作品一覧
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3.5
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-13歳は幼くて素直で可愛くて…残酷。 平穏な日々に浮遊しているふとした拍子に感じる不安感。 大人にとって、他人からするとどうってことない事かもしれない、でも自分にとっては例えようもない恐怖…。 なんとなく面倒くさいのは…思春期だから? 実は彼女たちは計算している。どこまで許されて、子供のふりでいられるか…。 無意識な日常の中でさ迷う少女たちの4つの短編集「ペティの行方」「青いスクーター」「アキちゃんの傘」「ミミカの不満」を収録。 ▼著者紹介 藤野千夜 1962年、福岡県生まれ。千葉大学教育学部卒業後、出版社に勤務。 ’95年「午後の時間割」で海燕新人文学賞を受賞してデビュー。 日常を軽やかに描きながら、すべてをやさしく抱きとめるような空気感を持ち、’98年には『おしゃべり怪談』で野間文芸新人賞を、2000年には「夏の約束」で第122回芥川賞を受賞。
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-進学校の女子中学校での2人の女の子の仲違いから…ささやかなある現象が所々でほんのりと発生…? すでに小学生のころには変な力があった小清水さんは周囲から少しゆがんだ目で見られていた。 そして、いつしか小清水さんは中学生になると…浮いた存在になっていた。 そんな小清水さんのしょぼい超能力をはるかだけは知っている。 女子校を舞台に思春期を迎える少女たち。本音と建前、大人とは違う小さな社会のなかですれ違う気持ち。 そして、はるかも目覚める。 ▼著者紹介 藤野千夜 1962年、福岡県生まれ。千葉大学教育学部卒業後、出版社に勤務。 ’95年「午後の時間割」で海燕新人文学賞を受賞してデビュー。 日常を軽やかに描きながら、すべてをやさしく抱きとめるような空気感を持ち、’98年には『おしゃべり怪談』で野間文芸新人賞を、2000年には「夏の約束」で第122回芥川賞を受賞。
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-ベジタブルハイツの大家の娘、山本さやかは浪人生活から開放された。 父に甘やかされ育ったためか傲慢でわがまま? 両親・兄・愛犬に囲まれ何不自由ない生活。恋人・ダイちゃんはそんなさやかに愛想も尽かさず、さやかの仕掛ける喧嘩にも付き合ってくれる。 友達の反田ちゃんもマイペースなさやかにはとても優しい。 子供ではなく、半分大人になった開放感、心身ともに若く、自由なキャンパスライフはリアル、それは人生で一番贅沢な時間なんだだとまだ気づかない…。 ▼著者紹介 藤野千夜 1962年、福岡県生まれ。千葉大学教育学部卒業後、出版社に勤務。 ’95年「午後の時間割」で海燕新人文学賞を受賞してデビュー。 日常を軽やかに描きながら、すべてをやさしく抱きとめるような空気感を持ち、’98年には『おしゃべり怪談』で野間文芸新人賞を、2000年には「夏の約束」で第122回芥川賞を受賞。
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-アボカドはA号室、ブロッコリーはB、キャロットのC、そしてダイコンのD。アパートには野菜の名前のついたそれぞれの部屋での日常だけど微妙だけど不思議で滑稽な違和感。 大家の山本さんは四人家族。両親、予備校生の息子、高校生の娘、住人たちと大家さん、みんななんとなく、のんびりな平和主義者たち。 …だけど心の奥にゆっくりと積もる澱。 芥川賞作家の現代風のライトでありながら、読み進めていくと丁寧で微細に描かれている世界感。だけど、そのままゆっくりと季節は巡っていく。 ▼著者紹介 藤野千夜 1962年、福岡県生まれ。千葉大学教育学部卒業後、出版社に勤務。 ’95年「午後の時間割」で海燕新人文学賞を受賞してデビュー。 日常を軽やかに描きながら、すべてをやさしく抱きとめるような空気感を持ち、’98年には『おしゃべり怪談』で野間文芸新人賞を、2000年には「夏の約束」で第122回芥川賞を受賞。
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3.6綿柎開(わたのはなしべひらく)、水始涸(みずはじめてかるる)、朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)――。季節を表す言葉を鍵に、物語は膨らんでゆく。十二人の作家の想像力で、旧暦「二十四節気七十二候」が現代の物語に生まれ変わった。六世紀ごろに大陸から伝わり、改暦を重ねながら明治の初めまで用いられてきた旧暦。そこには春夏秋冬の四季に留まらない、さらにこまやかな季節が織り込まれている。大暑や立秋、大寒といった季節の節目を表す二十四節気と、「地始凍」「熊蟄穴」など、動植物や空模様がそのまま季節の呼び名に採り入れられている七十二候。古来伝わる“季節の名前”が現代の作家たちを刺激し、味わい豊かな掌篇に結晶した。<旧暦の魅力を知る解説つき>」*電子版には筒井康隆「蒙霧升降」は収録されていません。西村賢太「乃東枯」重松清「鷹乃学習」町田康「大雨時行」長野まゆみ「綿柎開」柴崎友香「玄鳥去」山下澄人「水始涸」川上弘美「蟋蟀在戸」藤野千夜「霎時施」松浦寿輝「地始凍」柳 美里「朔風払葉」堀江敏幸「熊蟄穴」白井明大「輪のようにめぐる季節のさなかで 二十四節気七十二候について」
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4.0
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4.0揺れ動く妻の内面を優しく描いた恋愛小説 高校の数学教師をしている忠彦を夫に持つ主婦・チエミは、何不自由ない平凡な生活を送っていた。真面目だけが取り得のような忠彦は、サッカー観戦が唯一の趣味といった、ちょっと冴えない男だが、チエミはそんな生活にも、そこそこ満足している。ある日、ワールドカップの予選を見に行った札幌でワカナちゃんという若い女の子と知り合い、その後、笑顔のステキなカメラマン・サカマキさんとも友だちになって、サッカー観戦を理由にみんなで集まるような関係になる。しかし、いつしかサカマキさんの存在がチエミのなかで大きなものになってくるが、忠彦はなんにも気が付かない。いや、気が付いていない振りをしているのかも…などとチエミは勘ぐったりもするのだが。
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
ネタバレ90歳を跨ごうとする新平と英子の5年間。これぞ8050問題。引きこもり、LGBT、経済的自立不能、未婚などなど息子達の問題と、妻の認知、介護、夫の過去の女性癖を加えた家族の課題が、戦争、高度経済成長、バブルの崩壊からコロナまでの社会問題や世相と相まって現在を形作っている。
問題しかないこの夫婦と家族ではあるが、筆致は決して暗くないし、一人矍鑠としている新平の趣味である街歩きは、美味しそうなお店や周る建物の描写が散歩欲求を刺激する。
悩んだところでどうすることも出来ないから、腹をくくって毎日を過ごしていく。それしか無い。
話題になった理由はこの年代の家族の典型のひとつだからなのではないだろうか -
Posted by ブクログ
久しく恋愛小説から離れていたので肩慣らしのように選んで読んだ一冊。好きだった作家の作品ばかりなので、読後感はいい。恋愛小説を読むと自分の日常すら物語のように言語化されていく感覚を思い出した。でも長いこと離れていたので恋愛小説特有の「におい」に鈍感になっていた。寂しいにおい、切ないにおい…。読みすすめる中で少しは鼻がきく状態に戻っているといいが。
ミーヨンさんの作品は私には少し理解に時間がかかったので、また読み返すと思う。全体的に「次読んだとき、前とは違う感想を抱くだろうな」と思わせられる作品ばかりだった。
ただ最近「百合」の作品も読むようになったせいか、作中の女友達との関係が百合的な関係に思わ