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Posted by ブクログ
トランスジェンダー、ゲイのカップル、障害者を兄弟に持つ女の子、パニック障害持ちの主婦…この小説に収められている二篇に登場するのは、マイノリティな人間だらけ。
こういうマイノリティである人々を扱った作品が芥川賞を受賞する、まずそのことが私は個人的に嬉しかった。
ただ、それだけあって受け入れられない人はまったく駄目だと思う。まずそういった人間を理解できなければ、不快感しかないかもしれない。
そういう“マイノリティ”を理解した上で読めば(もしも共感できたなら尚更)、登場人物の見方もきっと変わってくる。
表題作に出てくるマルオ、私は好きだな。あの鷹揚さ。「人の目を気にしたって仕方ない。僕は僕でしかない」といった、堂々とした感じ。
マイノリティであることを負い目に感じて堂々とできない人たちっていっぱいいると思う。それは、『差別や偏見をなくそう』とか言いつつやっぱり根底には差別や偏見があるような世の中だから、堂々としきれないのだと思う。
マルオのような人間が、マイノリティ・マジョリティ含めもっと増えたら世の中変わるんじゃないかな。
二篇目に出てくる主婦の気持ちはよく理解できました。
私がこの小説にいろいろ感じてしまうのは、きっと自分が(元?)マイノリティ側の人間だからなのでしょう。
Posted by ブクログ
いつか読もうと思っていた本。
芥川賞受賞作だったんですね。
主人公がゲイなのは知っていたけど、デブとは思いがけなかった…
会社員のマルオは95キロ。編集者で小柄な恋人のヒカルとは手をつなぎっぱなしでデートをする仲。つなぎっぱなしにする必要性をこっちは感じないけれど、二人で宣言するような意味があるのかな〜。
今は女性になった美容師のたま代や、ヒカルの幼なじみの小説家・菊江など、彼らを囲む女たちも、ちょっとヘンだったりする〜ゆるい友達つきあいが描かれていて、なかなか良い感じです。
もっともの悲しいのかと思ったけど、嫌なこともありつつ、滑稽な日常。
2000年発行。作者は1962生まれ。
Posted by ブクログ
この作者が織りなす悲しみの雰囲気は、少しだけ癖になりそう。
ハッキリと書くことなく、ジワリと滲ませる感じ。
表題作の「夏の約束」について。
MtFの美容師がひょんなことから入院することになる。
友人らがお見舞いに行くと、同じ病室の男性から心無い言葉を聞いてしまう。
"隣のベッドに新しく入った中年男性が、白髪まじりの坊主あたまをなでまわしながら、あんた、おかまちゃんの友だち?とぎすぎすした声で訊いた"
酷い。あまりの無理解さに頭痛がする。
それでも、友人らは抗議することなく、当の本人が苦しむ描写も為されない。
だけど、一人のゲイとして、あえて描かれなかった部分が容易に想像できてしまう。
この他にも、マルオというゲイの登場人物に為された差別的なアクションがすらすらと書かれる。
決してドラマチックに書かないことで、こんな差別的な言動は日常茶飯事でありふれたものなのだ、ということがむしろ強調されていた。
そっか、1999年の作品。時代はまだ寛容への道すがら…。
同時収録の「主婦と交番」も悪くなかった。
電車恐怖症の主婦から見た世界は、マイノリティの生き方を感じさせて、夏の約束と同じエッセンスを持っていた。
話と登場人物がよりシンプルなだけに、こちらの方が読みやすいかもしれない。
さて、どちらの作品もある種の魅力的な囲気を持ってはいるのだけど、小説として秀でているかと言えば、凡庸さは否めない。ということは付記しておく。
芥川賞、やっぱりよくわからない。
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