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昭和38年11月、三井三池炭鉱爆発と国鉄の多重衝突という、戦後事件史に残る大事故が同日に発生。「魔の土曜日」と言われたその日の夜、12歳の百々子の両親は何者かに惨殺された。裕福な家庭に生まれ育ち輝かしい未来が約束されていた少女を襲った悲劇。事件は拭えぬ悪夢として胸のうちに巣食い、彼女の運命をも揺るがしていく――。一人の女性の数奇な生涯を描破した著者畢生の大河小説。(解説・佐久間文子)
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Posted by ブクログ
最後がちょっと駆け足すぎたり、途中から全く出てこなくなった美村が唐突に出てきたり、いろいろ詰め込むあまり焦点がボヤけてしまってるとこもありますが、まあ面白かったと思います。 ここ最近読んだ作品に女性主人公が多くてしかも皆完璧超人なんで凡人すぎる私からしたらちょっと感情移入しにくいとこもあったりしま...続きを読むす。 女性特有の生きづらさを抱えてても完璧超人じゃんって凡人男性は思ったりします。 40後半独身の身には耳の痛いお話でもありました。(女性に対する理解が足りないから独身なんですかね?もちろん左千夫には同情しませんが) あと初登場時30代のたづさんが話し方のせいで最初から最後まで終始おばあちゃんのイメージでしたw たづさん良い人すぎて泣けてきます。
文庫王国から。”墓地を見おろす家”しか読んだことがなく、必然的にそのイメージの作家だから、正直期待値は高くなかったんだけど、いやいや恐れ入りました。本作は、心に沁みる人間ドラマ。750頁の超大作ながら、本を置く能わずの展開の妙。倒叙ミステリ的側面を持つんだけど、そこを軸にした組み立てが、実に奏功して...続きを読むいる印象。あえて苦言を呈するとすれば、最終章がちょっと蛇足に思えるくらい。せめて直木賞受賞作くらい、読んでみようかしら、と思わされました。
全体的に救いはたづさん(と美村さん)の周りだけ… 息苦しくなるような展開は多かった。 強く生きる人の一生の一例を見た感じ。 本人の魅力(内面も外面も)が良いようにも悪いようにも転ぶわことはあるけど、これはさすがに極端な例だとは思いたい… ところどころの表現はとても素敵で、つい立ち止まり、メモしてし...続きを読むまった。 下にメモを2箇所分だけ載せる。 十一月の午後の光が世界を領していた。縦に横に斜めに乱反射する光は、枯れかけた無数のススキの穂先で弾け飛び、小さな球のようになって地面に転がっていった。空も大地も、木々も草も、すべてが鬱金色に輝いていた。 石川夫妻には、野を駆けめぐる動物のごとき強靭な生命力がある。喪失の哀しみは、それがどれほど深いものであっても、次の何かと引き換えにできることを彼らは知っている。やがて絶望は絶望ではなくなる。希望の光が射し込んでくる。生きていくための新たな地平が開かれる。
1963年、菓子製造会社社長夫妻が惨殺された。残された12歳の一人娘が、悩みながらも力強く生きていく大河小説。悲しいことも沢山起こるが、家政婦のたづを始め、心温まる人々も登場する。子供時代の描写や終盤の60代の心の動きなどが丁寧に描かれており、心が揺さぶられる。
小学生から60代までのある女性の人生を描いた作品。両親を殺した犯人の目星は中盤まで読むと分かりますが、描きたいのはそこではないのだろう。 ひとつひとつの出来事が伏線なのではと怪しみながら読んだものの的はずれであったり、こういう展開がドラマティックだなと思っていることは起こらなかったりするのが、反って...続きを読む人生を描いていると感じた。
いち読者として、作家・小池真理子との付き合いもいつの間にやら長くなった。今から三十数年前、彼女の書いたエッセイを知人に薦められて書店へと出向いた私が棚から選んでレジへ差し出したのは、魅惑的なタイトル(「知的悪女のすすめ」)が付された随筆とは別のサスペンス小説(「プワゾンの匂う女」)で、それが著者の作...続きを読む品に触れるきっかけとなった。非常に多作なため、出版物全てに目を通すことは出来ないが、時々ふとその品格漂うセンテンスに逢いたくなる。そんな「付かず離れず」のままに、これまで小池文学を愛読してきた。文庫最新刊に当たる本作は、自分の留守中に両親が殺害されるという過去を背負った少女の人生を周囲との交わりを絡めて描いた大河ロマンで、読書の醍醐味を堪能させてくれる一編でもある この「神よ憐れみたまえ」で表されるのは色々な愛のカタチだ。主人公・百々子(ももこ)の両親がひとり娘に注ぐ大きな愛、突然の悲劇に見舞われた百々子へ温かい手を差し伸べる家政婦・たづと夫・多吉による無償の愛、百々子がたづの長男・紘一に寄せる叶わぬ愛、そして物語の中心に据えられた、百々子の叔父・佐千夫が姪に抱くインモラルな愛 歪んだ愛を単に扇情的でアブノーマルなものとして扱わないところが小池真理子の小池真理子たる所以と言ってもいい。血縁の百々子に対する抑えきれない佐千夫の気持ちは道徳という枠組みだけで容易く解決は出来ない。だからこそ彼は悩み苦しむ。そこへ至る感情の裏側には異父姉にして百々子の美しき母・須恵への幼い頃から持ち続けた愛なども窺える。佐千夫が百々子に惹かれたのはもしかすると彼女が須恵とよく似ていたからなのかもしれない。カヴァーフォトに使われたベルニーニの彫刻(アポロンの求愛を拒むダフネが父に助けを請い、その姿がまさに月桂樹へ変わらんとする瞬間を捉えたバロック芸術の傑作。ローマ・ボルゲーゼ美術館所蔵)は、斯様な佐千夫と百々子の関係性を如実に示している 文字通り「山あり谷あり」の人生だった百々子が還暦を過ぎてようやく細やかな幸せを手にしたと思われたのも束の間、身体に変調をきたす。病の影響で記憶が覚束なくなった彼女とかつての恩師が久々に再会を果たす件は、ふたりの言葉にならないエモーションが行間から溢れ、文字を追う私の視界は涙で霞んだ 小池真理子が夫で同業の藤田宜永を亡くしたのは本作を執筆している最中のことと聞いた。こうした大きな喪失感を糧に、彼女が作家としてさらなる高みへと歩を進めたのは間違いない
恵まれた環境にあった百々子の両親が殺される。最初から犯人が暗示されている倒叙法的展開の、ある種の大河小説のような味わいのある作品。息付く暇がないというよりも、私には最初から終わりまで、息苦しい作品だった。
何もかも恵まれて生まれた美しい少女が ある日両親を殺され亡くす。 最初は色んな人の目線で描かれて物語は進んでいく。犯人もわりと最初の段階で分かるので 犯人を予想するというサスペンス要素はない。 ただなぜ、殺したのか なぜ捕まらずに生きてこれたのか は読み進めて段々と分かってくる。 偶然重なった事故...続きを読むによって アリバイができ捕まらずに 姪のことを異常なまでの愛情によって それに気付いた姉が激昂し、思わず殺すという展開。 彼にとっての幸せとは? 百々子の人生で何度も襲ってくる別れ、悲劇 最後百々子はアルツハイマーになるが 彼女の記憶に最後に残るものが 美しいもので幸せな日々であることを願った
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