Posted by ブクログ
2022年04月02日
中山七里『死にゆく者の祈り』新潮文庫。
何とも珍しい僧侶を探偵役に据えたタイムリミット・ミステリー小説である。
奇抜な設定とスピーディーなストーリー展開が非常に面白い。教誨師の説く仏教の経典の内容も興味深く、あっという間に読み終えてしまった。そして、ラストには感動した。
かなりの偶然が重なる設...続きを読む定と真犯人の正体には多少の無理も感じるが、小説というのはそもそもそういうものだからこそ面白いのだ。
浄土真宗の僧侶である高輪顕真は東京拘置所の教誨師を務めていた。ある日、拘置所から請われて、死刑囚と一般囚人を集めた教誨を行っていると、死刑囚の一人に見知った顔を見付ける。顕真が大学の山岳サークル時代に冬の劔岳で懸命に彼の命を救ってくれた友、関根要一が殺人の罪で死刑囚として収監されていたのだ。
25年余りの時が関根を殺人犯へと変えたとは信じられない顕真は事件の背後を調査すると思いもしない事実が浮かび上がってくる。事件の担当刑事の協力を得た顕真は関根の死刑執行までに真犯人を突き止められるのか……
本体価格710円
★★★★★