新潮社作品一覧

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  • 校舎の静脈
    4.3
    1巻1,496円 (税込)
    なかに入るとタイムスリップするという給食運搬用のリフト。毎日屋上からフェンスを越えて飛び降りるとささやかれる安行という謎の男。こことは並行して存在する異世界に思いをめぐらす少女。一見平凡そのものにみえる学校のかげに生じるかすかな綻び……。現実に微妙なズレを感じつつ生きる少年少女達を描く表題作他三篇。
  • 甲州赤鬼伝(新潮文庫)
    5.0
    その赤備え軍団は「戦国の伝説」となった――。十四歳の初陣で功を上げられず、父の介錯を務め首を切った山県昌満。心に深手を負い、若き頭領の重圧がのしかかる。だが馬鉄砲の腕を磨き、臣下の窮地を救った昌満は、赤備えの大将として復活。家康と、腹心井伊万千代を震え上らせる戦いを挑んでいく。権謀術数が渦巻く乱世で、最強の赤鬼たちは、いかなる光芒を放ったのか。鮮烈無比の傑作。
  • 好色覚え帳
    -
    「好色な小説家といわれる保坂庄助」の、好奇心あふれ、奇妙でいてしかも真剣な行動に託してくりひろげられる、現代風俗のカリカチュア。――“頓狂連”なる珍妙な仲間たちをひきいてとりおこなう赤線忌、寒詣りから、結婚相談所の見合い、近親相姦の村探訪記、乱交パーティの実地研究、女学校の運動会見物まで、黒メガネに映った虚実反転の世界を、諧謔諷刺まじえつつ描く連作長編。
  • 好色 義経記
    -
    源義経は「判官びいき」に代表されるように、母・常磐御前との生き別れや、兄である頼朝との確執など、その生涯が常に悲劇として描かれた。が、中丸流に史料のウラ側を眺めれば「こいつはただの寿毛平(スケベエ)な男じゃないか」という結論になる。事実、彼は出っ歯で赤毛、色白の小男でカッコよくないという。そんな義経の素顔を求め、大胆な推理と解釈を加えた講談調に仕立てた、爆笑の一代記。

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  • 好色の魂
    -
    昭和初期、エロ・グロ・ナンセンス華やかなりし時、たび重なる発禁にも屈せず、女泣かせの極意書や春本をあっぱれ秘密刊行して、名声天下にかくれもない「好色出版の帝王」貝原北辰。その奔放無頼の生涯を、空前の言論の自由を謳歌する今日、相も変らぬ官憲の発禁処分に対して闘う現代の北辰、野坂昭如が、己れの自画像をも映し入れながら共感と敬意をこめて描き上げた異色長編。
  • 麹町二婆二娘孫一人
    3.5
    1巻2,024円 (税込)
    東京麹町の古い屋敷に暮らす女ばかりの五人。昭和初め生まれのお嬢さん気質の抜けない家付き娘・富子さんも、ロリータファッションの孫娘・真由に振り回される平成の現在。富子さんと長年ともに暮らしてきた大正生まれのおきくさんが高齢出産で得た娘の紀美ちゃんもいて――世代様々、微妙な関係。変わりゆくもの、変わらないもの、それぞれの人生を温かくみつめる長編。
  • 工場(新潮文庫)
    3.4
    大河が南北を隔てる巨大工場は、ひとつの街に匹敵する規模をもち、環境に順応した固有動物さえ生息する。ここで牛山佳子は書類廃棄に励み、佳子の兄は雑多な書類に赤字を施し、古笛青年は屋上緑化に相応しいコケを探す。しかし、精励するほどに謎はきざす。この仕事はなぜ必要なのか……。緻密に描き出される職場に、夢想のような日常が浮かぶ表題作ほか2作。新潮新人賞、織田作之助賞受賞。(解説・金井美恵子)
  • 行人(新潮文庫)
    4.1
    学問だけを生きがいとしている一郎は、妻に理解されないばかりでなく、両親や親族からも敬遠されている。孤独に苦しみながらも、我を棄てることができない彼は、妻を愛しながらも、妻を信じることができず、弟・二郎に対する妻の愛情を疑い、弟に自分の妻とひと晩よそで泊まってくれとまで頼む……。「他の心」をつかめなくなった人間の寂寞とした姿を追究して『こころ』につながる作品。(解説・大野淳一)
  • 洪水はわが魂に及び(上)
    5.0
    1~2巻627円 (税込)
    50種の野鳥の声を識別する知恵遅れの幼児ジンと共に、武蔵野台地の核避難所跡に立て籠り、「樹木の魂」「鯨の魂」と交感する大木勇魚(いさな)。世界の終末に臨んでなお救済を求めず、自らの破滅に向って突き進む「自由航海団」の若者たち……。世代を異にする両者の対立・協同のうちに、明日なき人類の嘆きと怒り、畏れと祈りをパセティックに描いて、野間文芸賞を得た渾身の純文学巨編。
  • 高層難民
    3.3
    人類の歴史が始まって以来、広大な後背地を抱えた近代都市が巨大地震に遭遇したことは、一度もありません。首都圏や関西圏、東海圏で巨大地震が起こった際には、想像を絶する事態が待ち受けているのです。本書では、高層マンションの住民が「高層難民」になる可能性をはじめ、都市を襲う巨大地震が見せる「震災の新しい顔」の実態を解説、あわせて我々が採りうる対策法についても講じていきます。

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  • 公孫龍 巻三 白龍篇
    完結
    4.2
    2巻1,980~2,145円 (税込)
    周王朝の王子という身分を捨て、群雄割拠する諸国を商人として渡り歩く青年・公孫龍。その清廉潔白な人格で将軍や有力者たちの信頼を得た彼は、自らその登用に尽力し、燕に仕えるようになった名将・楽毅が企図する空前の大戦略の実現に向け、才覚を発揮する。名作『楽毅』の感動が新たに甦る、宮城谷文学最高傑作、第三部。
  • 皇太子殿下、ご退位なさいませ
    -
    2013年2月の『新潮45』3月号に発表されるや、世論を二分した論争に発展した宗教学者・山折哲雄氏の論文を全文配信! 論壇から女性週刊誌まで、山折氏の真摯かつ大胆な提言に触発され、議論は沸騰した。山折氏は、現下の象徴天皇制が近代家族制との狭間で異変が生じていると看破。天皇家の危機を回避するために退位し、弟である秋篠宮への「譲位宣言」をなさっては如何かと論陣を張る。いま改めて虚心に読まれて然るべき、2013年の論壇で最高の問題作。
  • 高知・龍馬 殺人街道
    2.7
    〈私は、現代の坂本龍馬である。必ず、日本を洗濯する〉。宣言書が雑誌社に届いた。その言葉通りに、物議をかもした社長、有名漫画家、風俗王が射殺されてゆく。そして、遂に狙いは総理大臣に定められた! 龍馬を崇拝し、彼の足跡を辿りながら、大胆な手口で犯行を続ける男。高知、京都、十津川警部の捜査行は続く。トラベルミステリーとサスペンスを見事に融合させた長篇小説。
  • 交通事故学
    3.4
    そもそも人間にとって、動くものの速度や距離の見積もりは苦手である。その上、心理や生理、環境によっても対応が違ってくる。だから、車の安全性能は年々進歩しても、ドライバーは相変わらずあれこれ間違え続ける。初心者とベテランの視線の違い、加齢によるミスマッチ、個人差のあるリスク敢行性――どうすればヒューマンエラーを防ぎ、安全レベルの高い運転ができるのか、交通心理学の知見をもとに徹底解説。
  • 交通崩壊(新潮新書)
    4.0
    日本の交通行政は「部分最適」の集合体である。新幹線の延伸によって寸断される在来線のネットワーク。欧州で復活続くも日本では広まらない路面電車。自転車に加え電動キックボードも乗り上げカオス化が進む歩道。権限を警察が握り、「まちづくり」の観点での施策が進まない道路行政……。そろそろ全体最適を意識した総合的な交通政策を構想すべきではないか。都市・交通問題に精通したジャーナリストによる提言。
  • 皇帝フリードリッヒ二世の生涯(上)(新潮文庫)
    4.4
    1~2巻935~990円 (税込)
    12世紀が終わる頃、神聖ローマ皇帝とシチリア王女の間に一人の男子が生まれた。少年は両親をはやくに失い、絶大な権力をもつ法王の後見を受けたが、帝位に登り、広大な領土を手中にすると、法王との関係が緊張。法王に十字軍遠征を約束するが、剣ではなく交渉を選んだことでますます反感を買い、ついには破門に処されてしまう……。生涯を反逆者として過ごした中世を代表する男の傑作評伝。
  • 行動する人に世界は優しい―自分の可能性を解き放つ言葉―
    4.0
    人生は一度だけ。持ち時間は有限だ。だから、傍観者や批評家になっている暇はない。自分が決めた「やるべきこと」にとことん没頭して、居心地がよくなったら新たな場へ移動しよう――それこそがシンプルにして最高の戦略だ。行動だけが人生を切り拓く鍵なのだから。「チャンスの窓」はいつだって、あなたを待っている。
  • 高熱隧道
    4.1
    1巻693円 (税込)
    黒部第三発電所――昭和11年8月着工、昭和15年11月完工。人間の侵入を拒み続けた嶮岨な峡谷の、岩盤最高温度165度という高熱地帯に、隧道(トンネル)を掘鑿する難工事であった。犠牲者は300余名を数えた。トンネル貫通への情熱にとり憑かれた男たちの執念と、予測もつかぬ大自然の猛威とが対決する異様な時空を、綿密な取材と調査で再現して、極限状況における人間の姿を描破した記録文学。

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  • 珈琲屋
    4.5
    東京・表参道の『大坊珈琲店』と福岡・赤坂の『珈琲美美(びみ)』――国内外で尊敬を集める、同い年で親友のふたり。この東西両雄の対談を「再現」する。豆をどう扱うか。この一杯を淹れる意味は。店には何が必要か? 美術、音楽、訪れるお客さんたち、そして、「生きる」とは。珈琲という共通語でつながるすべての人に贈る。
  • 幸福
    -
    1巻1,144円 (税込)
    愛してはいけない女との、ただ一度の過ちを胸に秘め、小さな町工場で油にまみれて働く、無口な青年数夫の前に、兄の婚約者だったその女、組子が再び現われた……。数夫を慕う組子の妹素子、組子を見守る中年男八木沢、そして数夫を憎む兄の太一郎。さまざまな愛が、互いにからみあい、もつれ、傷つけあう姿を通して、本当の「幸福」とは何かを問いかける、男と女の愛のドラマ。

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  • 幸福な家族
    3.4
    馬鈴薯や玉葱や南瓜に美を見いだして、あくことなく野菜の絵を描く老ドイツ語教師・佐田とその妻、聡明で個性的な息子、娘とその恋人たちが、人類の意志としての幸福を愛し、幸福を極めようとする、どこまでも素朴な善意を基調として構成された小説。彼らの周辺でさかんに交される、真情こもった当意即妙のユーモラスな会話は、読者の心を明るい希望で満たして尽きることはない。
  • 幸福な退職―「その日」に向けた気持ちいい仕事術―(新潮新書)
    4.3
    55歳を機に博報堂を退職した音楽評論家のスージー鈴木。激務で知られる広告業界で働きながら、10を超える著作を発表。その“二刀流”を可能にした仕事術とは? 「2枚目の名刺を」「5×10の法則」「65点主義」など、氏が実践してきた「無駄なく・無理なく・機嫌よく」働く方法を伝授。それは同時に「幸福な退職」への近道である――。若手から定年前まであらゆる世代に刺さる、気持ちよく働き、辞めるための仕事術!
  • 幸福な朝食
    3.5
    女優を目指して上京した少女は、運命の悪戯に全ての夢を打ち砕かれ、孤独のうちに歳月を過ごしてきた。だがその男との出会いを境に、心の底に凍てついた狂気がゆっくりと溶けはじめる。……なぜ忘れていたのだろう。あの夏から、私は妊娠しているのだ。そう、何年も、何年も、この子は待っていてくれたのよ……。濃密な心理描写が絶賛された直木賞作家のデビュー作。
  • 幸福について―人生論―
    4.0
    幸福は人間の一大迷妄である。蜃気楼である。がそうは悟れない。この悟れない人間を悟れないままに、幸福の夢を追わせつつ救済しよう。人生はこの意味では喜劇であり戯曲である。従ってこれを導く人生論も、諷刺的、ユーモア的にならざるをえない。本書は厭世哲学者といわれる著者が、豊富な引用文と平明な表現で人生の意義を説き幸福を教える名随筆「処世術箴言」の全訳である。
  • 幸福村
    -
    小さな島から上京し、カメラ店で働いていた景子が手にいれた幸せは、見せかけだけのものだった。――心身共に傷つきながらも新たな幸福への旅立ちを予感させる表題作。死化粧師という仕事を選んだ女性の変貌と自立を見つめる「天櫓」。一人息子に先立たれた老夫婦が息子の忘れ形見を探し出す「麦藁帽子」。身近な不幸を見据えながら、真の幸福を求め続ける女性たちを描いた中編三作。
  • 幸福論
    3.8
    多くの危機を超えて静かな晩年を迎えたヘッセの随想と小品。はぐれ者のからすにアウトサイダーの人生を見る「小がらす」など14編。
  • 坑夫(新潮文庫)
    3.8
    恋愛事件のために家を出奔した主人公は、周旋屋に誘われるまま坑夫になる決心をし、赤毛布や小僧の飛び入りする奇妙な道中を続けた末銅山に辿り着く。飯場にひとり放り出された彼は異様な風体の坑夫たちに嚇かされたり嘲弄されたりしながらも、地獄の坑内深く降りて行く……。漱石の許を訪れた未知の青年の告白をもとに、小説らしい構成を意識的に排して描いたルポルタージュ的異色作。明治41年、『虞美人草』に次いで「朝日新聞」に連載された。(解説・三好行雄)
  • 神戸 愛と殺意の街
    2.5
    〈神戸の悪党〉と名乗る人間から、ビール会社、銀行などに送られた脅迫状。それに続く巧妙な現金強奪事件。十津川警部は事件の鍵を求め、神戸に向かった。捜査の中で浮かび上がった男は、さまざまな作戦を使い、十津川と互角に渡り合う。強敵の出現に闘志を燃やす捜査陣。男は「夢の計画」を実現するために、十津川に最後の戦いを挑んだが――。港の街神戸をめぐる傑作長編ミステリー。
  • 神戸震災日記
    3.5
    何かしろ、何ができる? ――愛着ある街の悲報に接して、作家は現地に駆け付けた。バイクに跨がり、水、下着、化粧品などを直接手渡す。そして見えてきたのは、マスコミや企業の偽善、被災者の心を汲みとれない知事や市長の体温の低さだった。その後もテント村や仮設住宅に通い続けて、何ひとつ震災前と変わらぬまま封印されてゆく現代日本の病巣までを焙り出し、作家から長野県知事へ転身させた根本的動機となる経験の、渾身のレポート。
  • 神戸・続神戸(新潮文庫)
    4.1
    第二次大戦下、神戸トーアロードの奇妙なホテル。“東京の何もかも”から脱走した私はここに滞在した。エジプト人、白系ロシヤ人など、外国人たちが居据わり、ドイツ潜水艦の水兵が女性目当てに訪れる。死と隣り合わせながらも祝祭的だった日々。港町神戸にしか存在しなかったコスモポリタニズムが、新興俳句の鬼才の魂と化学反応を起こして生まれた、魔術のような二篇。(解説・森見登美彦)
  • 神戸電鉄殺人事件(新潮文庫)
    5.0
    神戸異人館のプールで、横浜にいたはずの若手人気女優と京都の会社社長の死体が発見された。彼女の死後、何かを探すために六本木の超高層マンションの彼女の部屋を訪れた、まるで共通点のない五人の男女。そのうちの二人が、カンボジア、東京駅で殺された。そして、有馬温泉駅発の神戸電鉄の車内でも、男女が殺害される! 十津川警部が大胆不敵な連続殺人に挑む、長編トラベルミステリー。
  • 荒野のおおかみ
    4.1
    物質の過剰に陶酔している現代社会で、それと同調して市民的に生きることのできない放浪者ハリー・ハラーを“荒野のおおかみ”に擬し、自己の内部と、自己と世界との間の二重の分裂に苦悩するアウトサイダーの魂の苦しみを描く。本書は、同時に機械文明の発達に幻惑されて無反省に惰性的に生きている同時代に対する痛烈な文明批判を試みた、詩人五十歳の記念的作品である。
  • 黄落(新潮文庫)
    4.0
    還暦間近の夫婦に、92歳の父と87歳の母を介護する日がやってきた。母の介護は息子夫婦の苛立ちを募らせ、夫は妻に離婚を申し出るが、それは夫婦間の溝を深めるだけだった。やがて母は痴呆を発症し、父に対して殺意に近い攻撃性を見せつつも、絶食し自ら命を絶つ。そして、夫婦には父の介護が残された……。自らの体験から老親介護の実態を抉り出した、凄絶ながらも静謐な佐江文学の結実点。(解説・櫻井よしこ)
  • 香乱記(一)
    4.2
    悪逆苛烈な始皇帝の圧政下、天下第一の人相見である許負は、斉王の末裔、田氏三兄弟を観て、いずれも王となると予言。末弟の田横には、七星を捜しあてよという言葉を残す。秦の中央集権下では、王は存在しえない。始皇帝の身に何かが起こるのか。田横は、県令と郡監の罠を逃れ、始皇帝の太子・扶蘇より厚遇を得るのだが……。楚漢戦争を新たな視点で描く歴史巨編、疾風怒濤の第一巻。
  • 香乱記(一~四)合本版(新潮文庫)
    -
    悪逆苛烈な始皇帝の圧政下、天下第一の人相見である許負は、斉王の末裔、田氏三兄弟を観て、いずれも王となると予言。末弟の田横には、七星を捜しあてよという言葉を残す。秦の中央集権下では、王は存在しえない。始皇帝の身に何かが起こるのか。田横は、県令と郡監の罠を逃れ、始皇帝の太子・扶蘇より厚遇を得るのだが……。楚漢戦争を新たな視点で描く歴史巨編。 ※当電子版は新潮文庫版『香乱記』一~四巻をまとめた合本版です。
  • 功利主義者の読書術
    3.8
    功利主義的読書とは何か? それは本の大海から、本当に使える叡智を抽出する技術だ。聖書、資本論、名作古典小説からタレント告白本まで、具体的効用の薄いとされるジャンルの書物をあえて選択。紙背に隠れたメッセージを読みとり、過酷な現実を戦い抜く方法を鮮やかに提示する。世界の非情さと教養の豊穣、いずれをも知りぬく当代随一の論客による、挑発と知的興奮に満ちた読書指南。
  • 厚労省―劣化する巨大官庁―(新潮新書)
    4.7
    長引くコロナ禍の中、感染対策とワクチンや治療薬の承認など、最も世間の耳目を集める省庁・厚労省。医療、介護、年金、雇用などに毎年莫大な予算を執行し、3万人の人員を抱える巨大官庁の所管分野はとてつもなく広く、その激務ぶりは大臣も含めて時に“ブラック”とさえ揶揄される。同省を担当して10年余り、社会保障政策に精通するベテラン記者が、その成り立ちから、組織・人員・政策、不祥事までを徹底解説!
  • 虚空の冠(上)―覇者たちの電子書籍戦争―(新潮文庫)
    4.0
    1~2巻671~715円 (税込)
    俺の夢は、メディアの制覇だ──。終戦直後の日本。若き新聞記者、渋沢はある船舶事故に遭遇。一人生き延びた彼は、事故をめぐる重大な秘密と引き換えに、出世の階段を登り始める。時は移り、現代。IT企業の社長、芦野は電子書籍ビジネスに目を付けた。そのコンテンツ獲得のために、今や極東グループの会長となった渋沢に接触を試みる。時代を予言する衝撃のエンタテインメント。
  • 虚空へ(新潮文庫)
    5.0
    暗がりのなかで蛍火のように点滅する詩もある。今の夥(おびただ)しい言葉の氾濫に対して、小さくてもいいから詩の杭を打ちたい――。誰よりも巧みに言葉を操りながら、疑いも抱きつづけた谷川俊太郎が、最晩年にありったけの願いを込めて編んだ十四行詩・88篇。誕生の不思議、いま生きて触れている感覚、世界の恐ろしさと愛おしさ、そして死の向こう側。遺作詩集にして、現代詩の到達点。(解説・俵万智)
  • 虚空遍歴(上)
    3.8
    旗本の次男、中藤冲也が余技として作る端唄は、独得のふしまわしで江戸市中のみならず遠国でももてはやされた。しかし冲也はそれに満足せず、人を真に感動させる本格的な浄瑠璃を作りたいと願い、端唄と縁を切り、侍の身分をも棄てて芸人の世界に生きようとする。冲也の第一作は中村座で好評を博するが、すぐに行き詰り、妻も友をも信じられぬ懐疑の中にとじこめられてしまう。

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  • 國語元年
    -
    明治七年、文部省官吏南郷清之輔は「全国統一話し言葉」の制定を命じられた。織田信長や太閤秀吉の天下統一にも比すべき大事業! しかし彼の家では家族、奉公人など十の方言が入り乱れて大混乱……。戯曲版・井上ひさし日本語連続講座。
  • 国語教科書の闇
    3.7
    国語の教科書が、変だ。「羅生門」「こころ」「舞姫」は、議論もされずに「定番教材」と化し、横並びで採録される没個性ぶり。国語教科書がここまで画一化したのはなぜなのか? そもそも、これらの「暗い」作品は教材にふさわしいのか? 「定番小説」という謎、知られざる舞台裏、採択を決定する「天の声」、教員の本音、仰天の実態。問題は歴史教科書だけじゃない。もう一つの「教科書問題」がここにある。
  • 国債クラッシュ―震災ショックで迫り来る財政破綻―
    3.0
    1巻1,232円 (税込)
    3・11以降、日本の「財政破綻」のタイマーは、そのスピードを確実に上げた。税制改革の議論はいっこうに進展せず、赤字国債の発行以外、震災復興財源の見通しも立っていない。このまま行けば、日本経済は国債大暴落という大津波に飲み込まれる日も近い――恐怖のシナリオを詳細シミュレーションをまじえて徹底検証する。

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  • コクと旨味の秘密
    4.0
    「ネズミはビールにキレよりもコクを求める」「赤ワインに醤油を垂らすとコクが増す!?」「男性生殖器と口の中には深い関係がある」「牧場のミルクが美味しい科学的根拠」「甘味無しの世界は殺伐としている」――。ビール、ラーメン、吸い物、カレー、あらゆる食物で感じられるコクとは一体何なのか。その正体を科学者の目で探ることで見えてきた美味しさの秘密。「コクの構造」が今明らかに!

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  • 国銅(上)
    4.4
    1~2巻737円 (税込)
    歯を食いしばり一日を過ごす。星を数える間もなく眠りにつく。都に献上する銅をつくるため、若き国人は懸命に働いた。優しき相棒、黒虫。情熱的な僧、景信。忘れられぬ出会いがあった。そしてあの日、青年は奈良へ旅立った。大仏の造営の命を受けて。生きて帰れるかは神仏のみが知る。そんな時代だ。天平の世に生きる男と女を、作家・帚木蓬生が熱き想いで刻みつけた、大河ロマン。
  • 国道16号線―「日本」を創った道―(新潮文庫)
    3.5
    横須賀から、横浜、町田、八王子、川越、柏などを経て木更津まで。東京をぐるりと囲む16号線エリア。約1100万人が住む一大経済圏である。旧石器時代から人々が集まり、二つの幕府の礎となった。絹の輸出で近代国家を支え、戦後はユーミンをはじめ新たな才能がここで育まれる。子供たちも増加し、未来へつながる道となった16号線、その秘密とは。胸躍る、新・日本文明論。(解説・三浦しをん)
  • 国道者
    3.5
    人は道なしには生きていけない。しかしふだん、その存在を意識することはほとんどない。人の道同様、道にも様々な道がある。廃道、酷道、登山道、階段、海に消える国道などなど。国が定めた「国道」でさえ、目を疑うような末路を辿る道もある。マニアを自認する筆者が日本の道の実態を浮き彫りにする「国道ノンフィクション」。
  • 国難―政治に幻想はいらない―
    -
    世界史上稀に見る、豊かで平和で格差が小さい、美しき日本国はもう終わった。政治は混迷を極め、経済は停滞。このままでは必ず国は滅びる。もうおわかりのはずだ。耳に心地のよいことばかり言う政治家を、決して信用してはいけないことを――。有事は明日にも起こりうる。我が国に残された時間は長くない。だからこそ国民を信じ、真実をお話しよう。全てを語り尽した覚悟と矜持の一冊。
  • 国難のインテリジェンス(新潮新書)
    4.3
    人口減少、災害対策、DXの発展、医療財政、教育システム、宗教法人、皇室の存続――日本は長い間、解決すべき問題を抱え続けてきてしまった。世界が再び混迷の時代に突入する中、それらは「時限爆弾」として我が国を脅かす。本書では各分野を代表する十四人のプロフェッショナルと本気で語り合い、日本の、そして個人の生存戦略を考える。問題を解決する猶予はもはや残されていないのだ。
  • 国民ID制度が日本を救う
    3.9
    国民への番号付与は「世界の常識」である。もし日本でも実現していたら、東日本大震災の被災者支援はもっとスムーズに進み、「消えた年金」問題も生じず、「役所たらい回し」も減っていたかもしれない。経済効果は年間3兆円以上との試算もある。アレルギー反応を示すより、「番号がないことのマイナス」を真剣に問い直すべきだ。導入後の社会のイメージ、情報漏洩の防ぎ方など、制度の根幹を徹底解説。

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  • 孤高の人(上)
    4.3
    1~2巻990円 (税込)
    昭和初期、ヒマラヤ征服の夢を秘め、限られた裕福な人々だけのものであった登山界に、社会人登山家としての道を開拓しながら日本アルプスの山々を、ひとり疾風のように踏破していった“単独行の加藤文太郎”。その強烈な意志と個性により、仕事においても独力で道を切り開き、高等小学校卒業の学歴で造船技師にまで昇格した加藤文太郎の、交錯する愛と孤独の青春を描く長編。
  • 孤高の人(上下)合本版(新潮文庫)
    4.7
    1巻1,980円 (税込)
    昭和初期、ヒマラヤ征服の夢を秘め、限られた裕福な人々だけのものであった登山界に、社会人登山家としての道を開拓しながら日本アルプスの山々を、ひとり疾風のように踏破していった“単独行の加藤文太郎”。その強烈な意志と個性により、仕事においても独力で道を切り開き、高等小学校卒業の学歴で造船技師にまで昇格した加藤文太郎の、交錯する愛と孤独の青春を描く長編。 ※当電子版は新潮文庫版『孤高の人』上下巻をまとめた合本版です。
  • ここから先はどうするの―禁断のエロス―(新潮文庫)
    3.3
    官能小説の依頼に難航していた女性ホラー作家は、女性同士のカップルの後をつけ漫画喫茶へ。隣の壁に耳を澄ませ聞こえてきたのは、衣擦れ、溜息、潤みの音で……(「壁の向こうで誰かが」)。医師の寺沢は急患の老女の足に驚く。爪先に向かって細く、指は折り畳まれ、足裏は窪んでいた。纏足だ。それは、性具だった――(「Lotus」)。歪んだ欲望が導く絶頂、また絶頂。五人の作家の官能アンソロジー。
  • ここから世界が始まる―トルーマン・カポーティ初期短篇集―(新潮文庫)
    4.1
    差別の激しい土地に生まれ、同性愛者として長じ、「八歳で作家になった」と豪語したという天才はデビュー前から天才だった。ニューヨーク公共図書館が秘蔵する貴重な未刊行作品を厳選した14篇。ホームレス、老女、淋しい子どもなど、社会の外縁にいる者に共感し、仄暗い祝祭へと昇華させるさまは、作家自身の波乱の生涯を予感させる。明晰な声によって物語を彫琢する手腕の原点を堪能できる選集。(解説・村上春樹)
  • ここだけの女の話
    3.5
    恋はどうして、いつも期待や望みを裏切って思いがけない方向へ転がっていくのだろう。そして人はどうして、そんなままならぬ恋から逃れられないのだろう――。なぜか手放せない想いに逆にからめ取られて、身動きできなくなってしまった男と女のデリケートな哀歓を、なめらかな大阪言葉にのせてしみじみと綴る。読むほどに人恋しさが募ってくる、恋愛小説ならではの情趣溢れる10篇。
  • ここで死神から残念なお知らせです。(新潮文庫nex)
    3.6
    梶真琴(かじまこと)が、喫茶店で耳にした不可解な会話。それは、保険外交員風の男が老婦人に契約書のサインを求めている光景だった。男は、死んだことに気づかぬ人間を説得する「死神」だと宣(のたま)う。漫画家志望で引きこもりの梶は、なかば強引に死神業を手伝わされることに。最期を迎えた人々を問答無用であの世へ送る、空前絶後、死神お仕事小説! ――あなたは、死んでいないと言い切れますか?
  • ここに物語が(新潮文庫)
    4.3
    人は人生のそのときどき、大小様様な物語に付き添われ、支えられしながら一生をまっとうする――。『二十歳の原点』『木かげの家の小人たち』『あらしの前』『百年の孤独』。作家・梨木香歩は、どんな本に出会い、どんなことに想いを馳(は)せ、物語を紡いできたのか。過去二十年に亘(わた)り綴られた、数多(あまた)の書評や解説、そして本や映画にまつわるエッセイを通してその思考を追う、たまらなく贅沢な一冊。(解説・長田育恵)
  • ここは夜の水のほとり
    3.3
    1巻1,540円 (税込)
    生に無頓着なのに、死と隣り合わせだったあの頃。あなたと優しい幽霊、古い一軒家、アトリエ、そして玉川上水のほとりの並木道……。あまりにも完璧な、けれどもどこか曖昧な環境で、かけがえのない人さえ守りきれなかった私たちの、歪でつかみどころのない青春群像。受賞作を含む連作短篇集。
  • ここは私たちのいない場所(新潮文庫)
    3.6
    順風満帆な会社員人生を送ってきた大手食品メーカー役員の芹澤は、三歳で命を落とした妹を哀しみ、結婚もしていない。ある日、芹澤は元部下の鴫原珠美と再会し、関係を持ってしまう。しかし、その情事は彼女が仕掛けた罠だった。自らの運命を変えた珠美と会い続けようとする芹澤。彼女との時間は、諦観していた彼の人生に色をもたらし始める――。喪失を知るすべての人に捧げるレクイエム。(解説・中瀬ゆかり)
  • こころ
    4.3
    鎌倉の海岸で、学生だった私は一人の男性と出会った。不思議な魅力を持つその人は、“先生”と呼んで慕う私になかなか心を開いてくれず、謎のような言葉で惑わせる。やがてある日、私のもとに分厚い手紙が届いたとき、先生はもはやこの世の人ではなかった。遺された手紙から明らかになる先生の人生の悲劇――それは親友とともに一人の女性に恋をしたときから始まったのだった。

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  • 心が折れた夜のプレイリスト(新潮文庫nex)
    値引きあり
    4.0
    人生初の彼女に振られた。そして、俺の部屋の窓は閉まらなくなった。怪奇現象? あるいは、メンタルの問題? 悩みを抱える俺に「彼」は飲み会で声をかけてきた。濃見秀一。誰もが振り向くイケメン。しかし、変態。この男、俺の話を聞いてくるかと思いきや……。元カノと窓。最高に可愛い女の子とラーメン。笑って泣ける、ふしぎな日常をエモーショナル全開で綴る、最旬青春小説。
  • 心が挫けそうになった日に(新潮文庫)
    4.2
    人生は挫折の連続だ。それを乗りこえていくのが人生ではないか。敗北をおそれず、勝利に甘えるな、と、小声で耳打ちするしかない。――この激動の時代をどのように生き抜けばいいのか。そして、生きていく上でのピンチをいかに克服するのか。不条理にみちた人生の危機からの脱出術を、自らの体験をもとに、深く丁寧に、そしてやわらかく伝える豊潤な講義録。『七〇歳年下の君たちへ』改題。
  • 心がだんだん晴れてくる本
    3.6
    話の間をもたせようと頑張ってしまう……相手の反応が恐くて、自分から誘えない……「印象に残らない自分」がイヤだ……なんだか自分を好きになれない……そんな風に思ったこと、ありませんか? 心がどんよりしてどうしようもない時、そんなにがんばらなくても、むりしなくてもいいのです。たまには「がんばる自分」をお休みしましょう。時に逃げたり避けたりするほうが正しい場合もあるのだから――。むりせず元気になるためのこころの処方箋。

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  • 心が安らぐ145種 旅先で出会う花ポケット図鑑(新潮文庫)
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 花に感じ入るのはそのいさぎよさである。時期が来れば咲き、時節が去れば散ってゆく。そんな姿を求めて、早春、他の植物が地中で眠っている時に咲く花に会いに行き、陽春から秋には海辺と高山を行き来する。晩秋から冬は信州に住む地の利を生かし、野山や高原へと向かう……。半世紀に亘り花を追い続けてきた著者が50の探索コースを極上のエッセイと写真で解説する花紀行、渾身の最終作! ※当電子版は固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。ご了承ください。
  • 心づかいの技術
    4.3
    今こそ伝えたいことがある――NHKアナウンサーとして大人気を得、四百万部を突破したベストセラー『気くばりのすすめ』で知られる著者が、新たに書下ろした「心」のテキスト。他人の本心の気付き方、「思いやり」の特効薬、個性を伝える会話術、相手が心地良くなる食事作法、心が澄み渡る直筆の効用、女性が美しくなる言葉づかい、悲しみとの付き合い方、躾と行儀の奥義……豊かな人間関係を築ける「29のゼミナール」。
  • 心に狂いが生じるとき―精神科医の症例報告―
    3.5
    最初は心の小さな狂いでも、それをきっかけに、普通の人間が精神全体を蝕まれてしまうことがあり、ときには取り返しのつかない行動をとることがある。しかし、正常な精神と狂気の境目はごく淡く、我々の社会はアルコール依存、統合失調症、人格障害、うつ病など様々な精神疾患とともにある。人は、いつ、いかにして心を病むのか。現役の臨床医師が、虚説を排して実態を報告する。
  • 心に龍をちりばめて(新潮文庫)
    3.6
    小柳美帆はエリート記者の黒川丈二との結婚を目前に、故郷の福岡で同級生の仲間優司と再会する。中学時代「俺は、お前のためならいつでも死んでやる」と唐突に謎の言葉を口走った優司。今その背中に大きな龍の刺青と計り知れぬ過去を背負っていた。時間や理屈を超え、二人の心に働く不思議な引力の正体とは――恋より底深いつながりの核心に迫り、運命の相手の存在を確信させる傑作。
  • 「心の傷」は言ったもん勝ち
    3.6
    「心に傷を受けた」と宣言したら、あとはやりたい放題。詳しい検証もなく、一方的に相手を加害者と断罪する――そんな「エセ被害者」がのさばっている現代日本。PTSD、適応・パニック障害から、セクハラ、痴漢冤罪、医療訴訟まで、あらゆる場面で「傷ついた」という言い分が絶対視されている。そう、「被害者帝国主義の時代」が到来したのだ。過剰な被害者意識はもうたくさん! 現役精神科医が示す処方箋。

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  • こころの最終講義
    4.5
    心理療法家・河合隼雄はロールシャッハ・テストや箱庭療法などを通じて、人間のこころの理解について新たな方法を開拓した。また、『日本霊異記』『とりかへばや物語』『落窪物語』等の物語を読み解き、日本人のこころの在り処と人間の根源を深く問い続けた。伝説の京都大学退官記念講義「コンステレーション」を始め、貴重な講義と講演を集めた一冊。『物語と人間の科学』改題。
  • こころの散歩(新潮文庫)
    3.0
    こんな窮屈な時代だからこそ、たまには、心に深呼吸させてみませんか? 目に見えるモノではない「心の相続」をすることの重さ、生きるためのエネルギーとなる「ノスタルジーの力」、そして「後ろ向きに前へ進むこと」の大切さ。自由闊達、融通無碍。九十歳をこえた作家が自らの豊富な経験をもとに綴る、「週刊新潮」連載のエッセイから選りすぐった、人生を楽しむためのヒント満載の四十三編。(解説・南陀楼綾繁)
  • こころの読書教室
    4.6
    一冊の本を端から端まで読むと、なにかを「知る」以上の体験ができる……物語を手がかりに人間の心の深層を見つめ、鋭い考察を重ねた臨床心理学者河合隼雄。豊かな読書体験をもとに、カフカ、ドストエフスキー、ユングから村上春樹、吉本ばなな、児童文学や絵本まで、「深くて面白い本」二十冊をテーマごとに読み解く。縦横無尽に語り下ろした晩年の貴重な書。『心の扉を開く』改題。※文庫版に収録されていた解説は、電子版では掲載していません。ご了承ください。
  • こころの免疫学
    3.8
    「こころの病」は、脳だけでなく、食べ物や腸内細菌までも含めた、からだ全体の問題だった――。この十年で、精神疾患とアレルギー性疾患が二倍以上も増えた理由、脳と免疫系が密接に影響しあうメカニズム、セロトニンなど神経伝達物質生成における腸内細菌の重要な役割……「こころの免疫力」をつけるための革命的パラダイム。

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  • 心の病が職場を潰す
    4.0
    今や日本中の職場が、うつ病をはじめとする精神疾患によって、混乱させられ、疲弊させられている──。それはいつから、どのように広がったのか。この現状を私たちはどう捉えるべきなのか。基礎的な医学知識を紹介しながら、精神科医療の現場から見える、発病、休職、復職、解雇などの実態を豊富な症例を通して報告。会社の意向と個人の要望が複雑に絡むこの問題を正しく知ることは、もはや社会人に必須の素養である。
  • こころは今日も旅をする
    3.3
    私たちの人生は不条理で不平等なものだけど、それでもなお生き抜くために――。齢九十を越えた五木寛之が、いまなお来るべき時代の足音を聴き、こころの融通無碍な在り方を問い、「ゆたかなボケかた」「運、不運の乗り越え方」「親から本当に相続したもの」等々を説いていく芳醇絶佳な人生論。いよいよ佳境!
  • 心は孤独な狩人(新潮文庫)
    4.4
    1930年代末、恐慌の嵐が吹き荒れるアメリカ。南部の町のカフェに聾唖の男シンガーが現れた。店に集う人々の痛切な告白を男は静かに聞き続ける。貧しい家庭の少女ミック。少女に想いを寄せる店主。流れ者の労働者。同胞の地位向上に燃える黒人医師――。だがシンガーの身に悲劇が起きると、報われない思いを抱えた人々はまた孤独へと帰っていくのだった。著者23歳の鮮烈なデビュー作を新訳。
  • 心は孤独な数学者
    4.5
    天才中の天才ニュートン。ニュートンの「プリンキピア」を12歳で読破した早熟の天才ハミルトン。ヒンドゥーの女神のお告げを受け、新定理を量産した神がかり的天才ラマヌジャン。天才はなぜ天才なのか。才能ゆえの栄光、が、それと同じ深さの懊悩を彼らは抱えこんでいたのではなかったか。憧れ続けた3人の天才数学者の人間としての足跡を、同業こその理解と愛情で熱く辿った評伝紀行。
  • 『こころ』は本当に名作か―正直者の名作案内―
    3.5
    文学に普遍的な基準はありません。面白いと思うかどうかは、読者の年齢や経験、趣味嗜好に左右されます。「もてない男」に恋愛小説が、そのケのない人に同性愛的文学がわからなくても、仕方のないこと。世評高い漱石の『こころ』やドストエフスキーは、本当に面白いのでしょうか? 読むべきは『源氏物語』か『金閣寺』か? 世界の古典を「大体読み終えた」著者が、ダメならダメと判定を下す、世界一正直な名作案内。

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  • 心を操る文章術
    3.4
    文章は、ちょっとした工夫で印象がガラリと変わる――文体模倣の名手が、「笑わせる」「泣かせる」「怖がらせる」「怒らせる」「和ませる」文章を書くために必要な発想とテクニックをつぶさに伝授。小説、エッセイ、新聞記事など様々な実例をもとに読み手の感情を揺さぶることのできる文章と、できない文章の違いを明快に解き明かす。ユーモア満載で描かれた異色の文章読本。
  • ここを出ろ、そして生きろ
    3.8
    1巻1,232円 (税込)
    目の前の誰かを救うためNGO活動に没頭しながらも、戦後利権に群がる民間組織の現実に戸惑いを覚えるさゆり。より危険な道を選ぶことでしか「生」を実感できない焦燥感に悩む、プロの人道支援者ジャン。コソボ、コンゴ、NY、エルサレムを舞台に、生死の境界を往く恋人たちの壮絶な闇を追った、渾身の長編小説。

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  • 叱言 たわごと 独り言
    -
    本書には合成甘味料、着色料等いっさい使用しておりません。歯に衣着せぬ辛口のお叱言をベースに、ほんのりとした酒・料理の甘み、人生のほろ苦さなどを加えてじっくりと練り上げた、風味豊かなエッセイ集です。近ごろ目にあまる世相への毒舌を味わうもよし、年期の入った酒の話、書斎の隅でのよもやま話もまたよし……。どこからでも楽しめる一二五編のエッセイ・アラカルト。
  • 古事記の正体(新潮新書)
    4.0
    本居宣長いらい、『古事記』は「大和心(やまとごころ)」、すなわち日本人の精神性の根源を伝える書として神聖視される。だが、その編纂の目的や経緯に関してはいまだ多くの謎がある。なぜ正史である『日本書紀』と別の史書が必要だったのか。なぜ五世紀後半で記述を終え、成立まで二百数十年の歴史を無視したのか――その裏には、天皇家と時の権力者・藤原氏への深い怨念がある。古代史研究の鬼才が「日本最古の書」の正体に迫る。
  • 古城の風景I―菅沼の城 奥平の城 松平の城―
    4.3
    戦国期の古城を巡る作家の眼は、そこに将兵たちの哀歓を見る。大軍相手でも容易に落ちぬ墨守の名将として驍名を馳せた菅沼氏。今川─武田─徳川と臣従し、その勇猛を賞賛された奥平氏。籠城せずに常に城外で決戦した剽悍無類の松平氏。三氏ゆかりの城々を経巡り、高潔達意の名文で、その豊穣な思念と鋭敏な歴史観を縦横に記した白眉の城塞紀行。単行本1、2巻を合本して文庫化。
  • 個人的な体験
    4.2
    わが子が頭部に異常をそなえて生れてきたと知らされて、アフリカへの冒険旅行を夢みていた鳥(バード)は、深甚な恐怖感に囚われた。嬰児の死を願って火見子と性の逸楽に耽ける背徳と絶望の日々……。狂気の淵に瀕した現代人に、再生の希望はあるのか? 暗澹たる地獄廻りの果てに自らの運命を引き受けるに至った青年の魂の遍歴を描破して、大江文学の新展開を告知した記念碑的な書下ろし長編。
  • 個人を幸福にしない日本の組織
    3.8
    昔ながらの「日本の組織」はもはや限界である。強い同調圧力や過剰なコンプライアンスゆえに、組織に属す個人の人格や個性を抹殺し、ストレスを増しているのだ。〈組織はバラバラなくらいがよい〉〈厳選された人材は伸びない〉〈大学入試に抽選を取り入れよ〉〈PTAや町内会は自由参加でよい〉……従来の組織論の間違いや欠点を徹底的に追及。個人を尊重する仕組みに変える画期的提言を示す。
  • コスパで考える学歴攻略法(新潮新書)
    4.0
    子供の教育には多大な費用と時間を割かねばならない。家庭の限られたリソースを使って、いかに効果的に果実を得るか。中学受験と高校受験ではどちらがコストパフォーマンスがいいのか。身も蓋もないが、子供にはできれば一流大学を卒業し、高い年収を得られるやりがいのある仕事に就いてほしい。そんな親心に応えるべく、膨大なリサーチと実体験をもとに、子供が現代の学歴獲得競争で勝ち抜くための戦略を論じる。
  • コスパ飯
    3.7
    ある時は最高の「牛めし」を決めるべく数十種を食べ比べ、またある時は美味しいサラダのコツを求めて評判のオーベルジュに足を運ぶ。東にいい食材を探し、西で名物料理の味を試す。「うまさ」は前提条件。その上でどれだけ投資効率が良いか、つまりコスパを追求。ネットを駆使して情報や現物を集め、想像力全開で工夫も凝らす。持ち前の知的好奇心で数々の「うまい!」に辿りついた軌跡を語る初めての「食」の本。
  • 去年今年
    -
    1巻440円 (税込)
    飄々として、清廉と一パイの酒を愛し、片隅の人生、ささいな市井事にも慈しみの眼を向けつづけた著者が、胸にせまる実感と鮮やかなユーモアで綴った短編集。著者自らが選んだ珠玉の十編を収録した、最後の自選集。
  • 古代史 50の秘密
    3.0
    なぜ、中国は倭国を重要視したのか。『古事記』が書かれたのはなんのため? 古代版政権交代・大化の改新の真相は。天照大神は本当に女神なのか。「任那日本府」は存在しなかった? 古代日本の戦略と外交、『日本書紀』などの文書に隠された謎、氏族間の政争、斉明・持統など次々と女帝が誕生した理由。気鋭の歴史作家が埋もれた歴史の真相を鮮やかに解き明かす。
  • 木精―或る青年期と追想の物語―
    3.8
    1巻671円 (税込)
    ドイツの神経研究所で学ぶひとりの日本人精神科医。彼が遠い異国へやって来たのは、人妻との情事に終止符を打つためでもあった。ドナウ源流地帯、チロルの山々、北国の町々――ヨーロッパを彷徨う彼の胸に去来する不倫の恋への甘美な追憶、そして、作家としての目覚めと将来への怯え。著者自身の若き日の魂の遍歴をふり返り、虚構のうちに再構成した《心の自伝》。『幽霊』の続編。
  • コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―
    3.8
    これが「脱北」だ! 豆満江を渡って平然と南北を行き来する、飢えた子供たち。ハンディカム片手に北へ潜入する不思議な男――「母国」北朝鮮から指名手配を受けながらも取材活動を続ける在日ジャーナリストが、「脱北の町」で見た真実とは? どこか緩くて滑稽な、それでいてリアルで哀しい、初めて登場した等身大の北朝鮮・脱北ルポ!

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  • 孤蝶の城(新潮文庫)
    3.7
    1巻1,045円 (税込)
    カーニバル真子としてクラブや芸能界で活躍する秀男は、モロッコで手術を受け、念願だった「女の体」を手に入れた! 帰国後の凱旋ショーは大成功をおさめるが、気まぐれな世間の注目を集め続けることは難しい。歌手デビューや地方回り、話題づくりのための結婚などあの手この手で奮闘するが、その先に待っていたのは!? 出会い、別れ、新たな始まり――。読んだ人の運命を変える圧倒的な物語。(解説・内藤麻里子)
  • 胡蝶の失くし物―僕僕先生―
    4.0
    師弟より近く、恋人より遠い関係のまま、ゆるゆると旅を続ける僕僕先生と王弁に怒濤の急展開! なんと政府公認の精鋭刺客集団「胡蝶房」に、先生暗殺の命が下されたのだ。送り込まれたのは、猛毒を操る劉欣。しかし孤独なスナイパーの意外な過去が明らかになり、僕僕一行は思わぬ局面へと歩を進めて……。一方で薄妃の恋にとうとう決着? 大人気の中国冒険奇譚、波乱の第三弾。

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  • 胡蝶の夢(一)
    3.9
    黒船来航で沸き立つ幕末。それまでの漢方医学一辺倒から、にわかに蘭学が求められるようになった時代を背景に、江戸幕府という巨大組織の中で浮上していった奥御医師の蘭学者、松本良順。悪魔のような記憶力とひきかえに、生まれついてのはみ出し者として短い一生を閉じるほかなかった彼の弟子、島倉伊之助。変革の時代に、蘭学という鋭いメスで身分社会の掟を覆していった男たち。
  • 胡蝶の夢(一)~(四) 合本版
    -
    黒船来航で沸き立つ幕末。それまでの漢方医学一辺倒から、にわかに蘭学が求められるようになった時代を背景に、江戸幕府という巨大組織の中で浮上していった奥御医師の蘭学者、松本良順。悪魔のような記憶力とひきかえに、生まれついてのはみ出し者として短い一生を閉じるほかなかった彼の弟子、島倉伊之助。変革の時代に、蘭学という鋭いメスで身分社会の掟を覆していった男たち。 ※当電子版は『胡蝶の夢』(一)~(四)の全四巻をまとめた合本版です。
  • 国家・企業・通貨―グローバリズムの不都合な未来―(新潮選書)
    4.3
    19世紀に誕生した国民国家・株式会社・中央銀行の3点セット。しかし、資本移動を伴うグローバリズムと、AIやブロックチェーンなどのテクノロジーが、3者のバランスを突き崩し、中間層を蝕み始めた。超低金利、株主優遇、財政赤字、タックスヘイブン、GAFA、リブラ、MMT……悪循環に陥った資本主義を再生する道を探る。
  • 国家と教養(新潮新書)
    4.2
    「教養」とは、世の中に溢れるいくつもの正しい「論理」の中から最適なものを選び出す「直感力」、そして「大局観」を与えてくれる力だ。では教養を身につけるためにはどうしたら良いのか。教養の歴史を概観し、その効用と限界を明らかにしつつ、数学者らしい独創的な視点で「現代に相応しい教養」のあり方を提言する。大ベストセラー『国家の品格』の著者が放つ画期的教養論。
  • 国家の成熟
    3.0
    先進国経済はすでに充分に成熟しており、急成長はもはや不可能である。デフレは「問題」というよりも、成長がたどり着いた必然の結果なのだ。成長幻想と訣別し、「成熟」という尺度でみれば、むしろ日本こそ世界ナンバーワンの先進国である。この強みを生かし、成熟の果実を広く国民が共有できるようになれば、日本は再び輝きを取り戻せる──。異色の元官僚が、世界史的展望も踏まえて放つ渾身の日本論。
  • 国家の総力(新潮新書)
    4.2
    国家の総力をあげて、中国を食い止めよ! 台湾有事が現実的な懸念となった近年、軍事面での議論はなされるようになってきた。しかし、国家間の戦いがグレーゾーンから始まる現在、総合的に有事を想定しておかなければ実際の戦闘には対応出来ない。エネルギーと食料安保、シーレーン防衛、特定公共施設と通信、そして経済・金融への影響などの観点から、有事における日本の問題を考える。
  • 国家の尊厳(新潮新書)
    4.0
    尊厳ある国へ――令和の時代、日本が誇りある国として生き延びるには、この道筋しかない。憲政史上最長に及んだ安倍政権を引き継いだ菅政権は、国家観を持たず、危機管理能力に疑問符が。世界ではグローバリズムが浸透し、中国に象徴される「力」が横行、アメリカの「自由」と「民主主義」は大きく揺らいでいる。混沌とした状況下、国は、個人は何に価値を置くべきなのか。ポストコロナを代表する堂々たる国家論の誕生。
  • 国家の怠慢(新潮新書)
    3.9
    すべては怠慢のツケである――医療は崩壊寸前にまで追い込まれ、オンラインでの診療・授業は機能せず、政府の給付金さえスムーズに届かない。新型コロナウイルスは、日本の社会システムの不備を残酷なまでに炙り出した。それは、政治、行政、マスコミの不作為がもたらした当然の結果でもあった。これまで多くの改革を成し遂げてきた財務省と経産省出身の二人のエキスパートが、問題の核心を徹底的に論じ合う。

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