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子供の教育には多大な費用と時間を割かねばならない。家庭の限られたリソースを使って、いかに効果的に果実を得るか。中学受験と高校受験ではどちらがコストパフォーマンスがいいのか。身も蓋もないが、子供にはできれば一流大学を卒業し、高い年収を得られるやりがいのある仕事に就いてほしい。そんな親心に応えるべく、膨大なリサーチと実体験をもとに、子供が現代の学歴獲得競争で勝ち抜くための戦略を論じる。
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Posted by ブクログ
物理学者であり金融の専門家でもある著者が、日本の「お受験」の攻略法について述べた本。さすが物理学者だけあって、データに基づく客観的な論述には説得力がある。私は経験していないが、子供たちはSAPIXに通い、海外にいたために中学受験機会は逃したが、高校受験から一貫校に入っている。アメリカで小学校にも通わ...続きを読むせたので、本書の内容はよく理解できた。面白い。 「日本の教育、とりわけ小学校や中学校の公教育、そして、進学実績のある高校の教育は世界的にも大変に優れている。何よりも受験勉強を通して、子供は多くの知識を吸収することができるし、社会に出てから否が応でも向き合わなければいけない競争というものが何かを実体験できる」p6 「統計的には当たり前だが、大卒の平均年収は高卒の平均年収より高い。大学院卒の年収は大学卒の年収より高い。その格差はアメリカでは顕著だが、日本でも傾向は同じだ」p14 「学歴のない成金ほど高価なブランド品が好きな傾向が強い」p15 「偏差値の高い大学に入る一番の実利は何か、と言われれば、それは人気の大企業の採用面接に呼んでもらえる確率が格段に高くなる、ということだ。人気の大企業は、多数の学生から応募があるため、コスト的に全員と面接するわけにはいかない。そこで、書類選考の段階で、大学の偏差値で線が引かれ、その線より下だと書類選考でほとんど自動的に落とされてしまうのだ」p21 「東大は1学年が約3000人、京大は約2800人である。慶応は約6000人、早稲田は9000人程度だ。ここに地方の旧帝国大学などを入れても全部で3万人強である。さらに、上智、東京理科大学、関関同立、MARCHなどの有名私立大学、神戸大学や筑波大学などの難関国立大学を入れても10万人はいかないだろう。日本の1学年の人口が100万人程度なので、こうした大学に入れる子供は同じ学年の上位10%というところなのだ」p32 「一言でいえば、日本の大学入試はある種の科挙であり、卒業大学の格が「身分」と言ってもいいほどのものなのだ」p36 「(著者は日本の受験制度に批判的であったが)実際に身内の子供が中学受験の塾に通い始め、著者は勉強を教えたりしていたのだが、中学入試の問題はなかなかどうしてかなり面白かった。本当によく練られている問題である。こうして日本の受験産業にしばらく関わっていたら、不思議なことにまったく日本の「教育」についての違和感がなくなった。日本の教育とは、こういう競技なのだ、とわかったのである。いま風に言えばeスポーツみたいなものだ。そして、この競技は著者が当初思っていたような害(例えば、与えられた問題を解くだけのロボットのような人間になるみたいな偏見)もそれほどなく、見方によっては日本の中学生や高校生の学力が国際的に高いのは、こうした価値観や教育システムのおかげであることもわかってきた」p41 「この知的競技はじつに日本の子供の半数近く(=約50万人/年)がガチで参加しており、eスポーツの競技人口としてみれば世界最大規模である。そこで身につけられる知識や技能もまったく悪いものではない。むしろこのような広大で豊かな教育インフラが日本にあったことに最初から感謝するべきだったのだ」p42 「(高校の実力)伝統も実績もある、筑駒、灘、開成、桜蔭が日本の進学校トップ4校といって差し支えないだろう(近年ここに食い込んできているのが、神奈川県の聖光学院)」p50 「東大合格のランキングに載っている上位36校の合格者数を足し合わせると1570人となり、東大合格者数約3000人の50%以上となる。日本の高校の数は約5000校なので、東大生の半分以上はこれらたった0.7%の名門高校出身である」P57 「塾には、親や家庭教師にはできない極めて重要な役割がある。それは同じ目標を持つ集団の中に子供を入れるということだ。人間は社会的な動物である。みんながやっていることをやるほうが圧倒的に楽なのだ。不良グループに所属してしまった子供はたちまち勉強をやらなくなる。それと反対に、みんなが中学受験をする集団の中に入れば、子供は自然と中学受験をがんばるようになる。良い意味で同調圧力を利用するのだ」p93 「(塾の費用)ざっくり言うと、4年生は年50万円、5年生は80万円、6年生は120万円ぐらいだ。何か追加的な費用などいろいろ含めて、トータルで300万円ぐらいは見ておこう。これを高いと見るか安いと見るかだが、著者は率直に言ってとても安いと思う。(積み上げれば2mにもなるテキスト、加えてテストや模試も積み上げれば別に2mにもなる)教材をしっかり授業して、宿題を出し、毎週テストして採点してもらえ、質問があれば先生が親切に教えてくれるのである。これぜんぶ自前で準備したらどうなるのかよく考えてほしい」p95 「SAPIXに入れば誰でも最難関校に入れるわけではない。開成中学の合格率8割を超えるには、SAPIX偏差値を見れば67ほど必要である。定義から上位約4.5%だ。SAPIXでも上位1割にも入れない生徒、つまり9割の生徒は開成中学には合格しないのである」p103 「塾間の差はそれほど大きくない。じつはカルチャーなどそれなりに違いはあるのだが、子供はすぐに入った塾のカルチャーに染まっていく。とにかく家に近いところに通えばいい。どこの塾が合っているかはわからないが、入った後に塾に無理やり合わせていけばいい。長い通塾時間だけは確実に負担になる」p108 「難関大学の文系学部を目指す場合、中学・高校でもひたすら日本語の難解な文章の読解をやらされる。こうした大学入試の現代文の対策をするために勉強するのはある種の過剰な学習、もっと言えば有害だというのが筆者の意見だ。科学技術の発展にも経済の成長にも寄与しない、何の中身もない人文系の作家や学者が書く独りよがりの衒学的(げんがくてき)な文章を読まされ、その何の役にも立たない文章の中でもとりわけ意味がわからない悪文に線が引いてあり、どういうことか説明せよ、などと入試で受験生は言われてしまう。実際、具体的に説明すると中身がないのだから、受験生には答えようがなく、そんなものにつきあわされるのはとても可哀相だ」p109 「(算数の点数は個人差が大きい)難関中学の算数の入試問題の困ったところは、ちょうどそのレベルを受ける子供が解けるかどうかのギリギリの難度の問題がズラッと並んでいることである。ある程度の壁を越えておかないと、簡単に0点に近い点数を取ってしまう(小学校のテストは5分で満点を取る子供であってもだ)。算数が苦手で他の科目が得意な子供であっても、算数である程度の点を取るために膨大な時間をかけて対策せざるをえないのである。この最低限のハードルが非常に高いのだが、そこを超えていかないと、他の科目がどれだけできようと一流の中学校に入学することは不可能なのだ」p119 「割とよくあることだが、親子関係が険悪になり、さらに勉強を無理矢理やらされた子供はすっかり勉強嫌いになってしまうこともある。そもそもこれだけ大変な勉強をしても、名門中学に合格する子供は一握りであり、おそらく1割もいない。中学受験というものはとても賭け金の高いゲームなのだ」p139 「東京では教育熱心で比較的裕福な家庭の子供たちが小学校を卒業するとごっそり私立中高一貫校に抜けていく。そうなると、公立中学に入ってくる生徒は、勉強という観点からは上位1、2割が抜けてしまっていることになり、こうした上が抜けた母集団の中で競争すればいい高校受験の方が勝ちやすい、とも言える。実際に、私立中高一貫校で高校からも生徒を受け入れている学校では、中学入試の偏差値より高校入試の偏差値の方が10程度高くなる」p151 「中学受験の勉強量の半分でも英語学習につぎ込むことができれば、小学校卒業時ですでに高校入試に対応できるぐらいの英語力には到達してしまう。二度と使わない算数の鶴亀算などの難問で消耗している間に、楽しみながら英語や数学の勉強をどんどん進められれば理想的だ」p156 「(大学入試改革(英語))リーディング、ライティング、リスニングにスピーキングと日本の大学の英語入試で4技能すべてを見ようとしたが、反対が多く頓挫した。(既得権益が大きい)」p163 「日本人の子供が英語をできるようにするにはどうしたらよいか。小学生高学年から中学生ぐらいのときに英語が母国語の国の学校に留学させて帰国子女にすればいい。以上である」p171 「幼少期に親の赴任でアメリカなどに住んでいてネイティブと同じように英語をしゃべっていた子供でも、小学校の低学年ぐらいで日本に帰ってきて、何か特別な英語力を維持するための環境を用意しないと、ものの見事に忘れてしまう。これが日本に帰国するのが小学校の高学年以降になると、ちゃんと覚えている」p176
日本の学歴や受験を批判するスタイルではない。総じて日本の教育はコスパが優秀ということがわかりまずは一安心。受験塾や海外留学のコスパの論述は参考になった。
2023.06.20 良書。当たり前のことを冷静に説明してくれた。 日本の将来を考えると自分の辿ってきた進学の考え方でよいのかについて解きほぐしてくれた。感謝です。妻にも読んでほしいけど、1年に一冊読まない人だからどうかな?
中高大、どの段階でどの学部を受験するのが良いか。投資に見合ったペイを考える、辛辣だが興味深い考察。 中学受験にかかるコストと親の負担など費用の話から、科目ごとのいつまでにどのレベルまで身につけるべきか等、社会人になってからのスキルも含めた幅広い内容。 結局は本人のやる気に収束するとはいえ、考えさ...続きを読むせられる。受験は課金ゲームと良く言われるが本書でもダービースタリオンがたとえとして出てくる。 一つの真実を突いた本ではあるが、子供の教育をコスパだけで考える親にはなりたくない。ただし参考になる一冊。
著者自身の個性的な経歴や他国の教育制度との比較を踏まえ、ステレオタイプではない日本社会の課題を指摘しており、頷くことが多かった。 特に印象に残るのは、都会の子どもは受験の厳し競走社会で切磋琢磨することを大人に制度化されてしまっているのに、その大人の日本社会は、規制、終身雇用などで、国内でも、国際間...続きを読むでも競走しない制度が構築されているというギャップへの疑問である。 そう言われてみれば、家庭や職場でストレスフルではあるが、かつての子ども時代にいては受験や部活で日々競走が求められ、ストレス発散の自由も大人と比べると制約が大きい中で必死もがいていた。当事よりは今のほうが、競走という点に限れば、プレッシャーは小さいかもしれない。 大人にはワークライフバランスという概念があるが、子どもには同様の問題提起はない。 あえてではないかと推察するのですが、一見俗なテーマを、流行語的表現を用いてタイトルにしてはいるものの、教育関係者・親世代以外にも一度の価値あり。広く読まれてほしい本。
子どもの幸せを祈るすべての親に読んでもらいたい。東大とはなんなのか。大手塾の儲けのカラクリとは。そして話せる英語を習得する方法が余すところなく書かれている。やっぱりすべての親には読んでもらいたくない。ライバルが増えるので。
正に末っ子が中学受験生。私達夫婦にとっては最後。 最後くらい公立でもよいのでは? と思っていた末っ子に甘い母に対して 父は信念を曲げなかった。 結果はどうなるか分からないけど、 親子で同じ目的に向かって頑張る、 いい時間に出来ればいいかなと思う。 中学受験算数、答えは出せるのに教えられない。 末っ...続きを読む子にして初めて塾に放り込んで、 楽だなぁとしみじみしている。 今は適性検査って、普通の教科型入試とは違うのね。 もう親だけではお手上げです。 大学に入ったらルールが変わる、 は、勉強ではなく恋愛関係で実感しました。 不純異性交遊(死語!)を強力に警戒していたはずの親が、いきなり「いい人はいないの?」って聞いてくるんだもの。でもって、いい人を連れて行ったら、相手の出自やら何やらに難癖つけて強力に潰しにかかるんだもの。 私の選んだ人なら反対しないんじゃなかったの? その程度でポシャる相手だったから、所詮その程度のご縁、と今なら納得もするけど、不信感の残り香みたいな物は未だに抱えてる。 本の内容とは全然関係ない愚痴でした。
日本の受験産業の仕組みについて、客観的、合理的に解説した一冊。著者のブログや著書はどれも同じスタンスで描かれていていて共感できるのだが、本作もそうでした。
日本の教育の「攻略本」として面白く読めた。 ところで筆者の学歴はどのようなものか検索しても出で来ない。 わかっているのは一流大学の理系ということぐらいだ。
わかりやすい。(まだ小学校低学年の)子供を将来的に東大(くらいの学力の大学)に合格させたい、東大卒ではない親が、教育方針を考えるときに読むのに適してそう。 中学受験させるかどうか参考にするために読み始めたけど、そもそも日本にとっての学歴とはどういうものか(意味があるのか)、受験、大学、塾の役割と意義...続きを読む、受験科目と子供に課金する際の大きな分岐点など、今まで誰もあえて体系立てて言語化してなかったところがかなり根本から書かれている。これを読まなかったら周りに流されて受験戦争に参加させたり、途中でいきなり海外留学させたり、挙句の果てに勉強嫌いになって燃え尽き症候群になったりしそうだった。現代日本でどう戦略を立てて「受験」というレースに臨むのか、自分の家の経済状況と子供に期待できる頭の良さはどれくらいなのか、そういうものを考えられるきっかけになった。英語のくだりだけいきなり受験から離れて語られて戸惑った。結局著者の場合は地頭と好奇心でなんとかなってるから、、、
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