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Posted by ブクログ
米国の教養市民層の話も欲しい
ドイツは何か美しい原理や原則に陶酔すると、バランス感覚を失い、突っ走ってしまう。対して英国は時として狡猾だが、特定の原則や主義に従うことに本能的に危うさを感じ、バランス感覚に従って行動する。こんな感じで両国の教養市民層の違いをざっくりと説明するくだりは面白かった。若干物足らなかったのが米国に関する掘り下げだ。教養主義とは対極にある功利主義の国と指摘するが、かの国に教養市民層が皆無であるわけではないので、それを説明するような1章を設けて欲しかった。現代であれば、学費が巨額で金持ちの子どもしか入れない大学の在り方が米国社会にどんな影響をもたらすのか近未来の予想も読みたかった。
Posted by ブクログ
非常に刺激的だった。
・教養の変遷という視点からではあるが、人類史における大きな流れや転換期をストーリーとして理解しやすくなる。歴史の一テキストといっても良いかもしれない。
・各イデオロギーにはそれぞれのデメリットがあるが、教養がその打開策になりうるというのは個人的に大きな発見だった。
・これまで民主主義は最善と考えていただけに、批判的思考がまだまだ足りていないと自覚されられた。
・本書の構成や解説は論理的でとても読みやすくありつつ、主観をしっかりと盛り込み、個人的な感情を明確に出している。このことこそが、教養ある人が持ちうる、いわるゆ「論理一辺倒ではなく情緒や形を基盤とした思考」である証左といえよう。
主張の内容を文体で体現しているこのスタイルは、他に頭に浮かんだものとしては(例として不適切かもしれないけれど)例えば漫画のバクマンなどにも共通している。
各所に英国仕込みと思われるユーモアも忘れない。
主観をはっきり打ち出すと、今日では「それはあなたの感想ですよね?」とでも揶揄されそうではあるけれど、教養や、ある程度のリテラシーがあればそれもまた一意見として受け止められるだろう。
著者の域に立ち、それを超えられるまで、更に精進していきたい。
Posted by ブクログ
グローバルスタンダードの背後にあるアメリカの意図を知ったのは衝撃的だった。
アメリカに言われたから郵政民営化を行った事は知ってはいたが、民営化する事で惰性ではなく金儲けを考えられるように郵便局が変わったと感じていたからだ。
日本から資産が大量に離れていると知れたのも、この本を通してだった。
この本を読んで危機感を感じた。
第一次世界大戦後に日本が第二次世界大戦に走るまでの間にどのような流れがあったのかも知らなかった。
教養層の人々が戦争に向かっていったのは、世界を知らない軍人と日本人特有の同調圧力のせいだと思っていた。
それもあるとは思うが、歴史的な流れを知ると教養層の人間が日本人的な人情を忘れていたという事もあるのかもしれないと感じた。
しかし、自由経済に染まっている私の頭では、理解できない部分も多かった。
弱者を助けなければならないと言うけれど、弱者は時代の転換期に変わろうとしなかった怠け者のように感じる。
機会があったのに変化を望まなかったからこそ、弱者になったので自己責任ではないのかとさえ思う。
私は日本人的な人情が欠如している可能性がある。
本書で紹介されていた書籍をまずは一度読んでみようと思う。
また、歴史についてもシッカリと学ぶべきだ
Posted by ブクログ
言うまでもなく『教養のススメ』的な内容なのですが、知識と教養があるはずのエリートたちがなぜ戦争を防げなかったのか?などの問題提起もあり、教養の両側面について述べた良書だと思います。個人的には中間部分の教養の歴史についての記述がおもしろかったです。人類の歴史をたどっていると言っても言い過ぎではなく、人類がどのように叡智を受け継ごうとしてきたのかについては興味が湧きます。少し前に読んだ『イモータル』という小説を併読されてもおもしろいかもしれません。教養を身に着ける手段として、結局『本を読め』だけなのはちょっと残念ですが、ぜひ読んでみてください。
Posted by ブクログ
国家を正しく導くためには真の教養が必要で、日本もドイツも偏った教養のために破滅の道を突き進んだ、という。また、第二次大戦前のアメリカの日本へのオレンジ作戦など、私の知らない記載が多く、目を疑った。世界には偏った教養ばかりで、真の抵抗は生まれなかった。▼「教養が哲学や文学に偏るのは危険で、人文教養・社会教養・科学教養・大衆文化教養の4つがすべて必要です。民主主義という暴走トラックを制御するのは、国民のこの4つの教養だけなのです」、と説きます。▼そのなかでも、日本古来の情緒あふれる文学や芸能は世界に誇るもの、大事にすべきと説きます。▼筆者の意図はよく分かるのですが、国民全体が筆者の説く教養を身につけることは、多大な努力を国民に求めるもので、残念ながら達成できる日は遠いと感じました。でも独自の考察には感心しました。読んで得るところは大きいです。
Posted by ブクログ
【情報を論理的に体系化したものが知識とすると、これからの教養は書斎型の知識でなく、現実対応型のものでなくてはなりません。現実対応型の知識とは、屍のごとき知識ではなく、生を吹き込まれた知識、情緒や形と一体となった知識です】(文中より引用)
主に日本、そして欧米における教養の歴史を振り返りながら、現代社会を生き抜く上で本当に必要な教養とは何かを探求した作品。著者は、大ベストセラーとなった『国家と品格』を手がけた藤原正彦。
教養という多義的な言葉に切り込み、今日的な知の在り方について光を当てた点を評価したい一冊でした。かなり刺々しい言葉が作品中に目立つため、それを毛嫌いしてしまう人もいるかもしれませんが、藤原氏の思考回路をたどっていくのも本書の楽しみなのかもしれないなと感じました。
『国家と品格』が懐かしい☆5つ
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