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Posted by ブクログ
岩井圭也さん作品なので
手に取りました。
主人公は恐らく場面緘黙症で
声を出す能力はあるし
家庭では話せるのに
外では言葉が出てこない。
辛い子供時代を過ごし
ひっそりと影のように生きている青年、遼馬。
そんな遼馬がボクシングと出会う。
「話せなくてもボクシングは出来るから」
その言葉に支えられ
地道な努力を積み重ねて
遼馬の人生が徐々に徐々に変わっていく。
ボクシングの知識はあまりなくとも試合の臨場感がすごくて、手に汗握りながら一気読み。
ボクシングは拳による対話。
こう書くととてもスマートでかっこいいー感じだけど、
そこは血みどろで、倒されてもすぐ起き上がり、敗ける恐怖、死ぬかもしれない恐怖にもがき苦しみながら辿り着ける場所でした。
しかし拳による対話なら
サクチャイだけでなく
対戦相手の廣瀬や小磯の事も
もっと掘り下げて欲しかったかも。
愚直に努力する遼馬が報われるラストがなんとも爽やか。
勝ち敗けではない。
どう戦ったか。
全力を尽くせたか。
「ぼくはここにいる」と思えたか。
派手な大勝利などなくても
静かな感動がしばらく余韻を引く。
岩井圭也さん。やっぱり好きだなぁ。
Posted by ブクログ
ボクシングが持つ圧倒的な臨場感と、手に汗握る熱量がそのまま本の中から伝わってくるような傑作だった。ボクシング観戦が好きな自分にとっても、リング上の緊迫感や駆け引きの描写はリアルそのもので、終始引き込まれた。
物語の芯にあるのは、コミュ症気味で生きづらさを抱えていた主人公の成長譚だ。言葉でうまく自分を表現できない彼が、リングという四角いジャングルの中に自分の「確かな居場所」を見つけ、ひたすら愚直に突き進んでいく。その姿を見て、単なる身体能力だけでなく、一つのことを泥臭くやり続けられること自体が、何よりも尊い「才能」なのだと強く実感させられた。
言葉を超えて、拳と拳のぶつかり合いを通じて相手と深く「対話」していく楽しさや歓び。不器用な人間たちが放つ、静かだが熱い情熱に魂が揺さぶられる一冊。
Posted by ブクログ
ボクシングは全く興味がなく、知識ゼロにも関わらず、元プロボクサーの知人が二人いる。
一人は王者のベルトを持ち、一人は早々に引退して専門職として働いている。
彼らとボクシングの話をしたことはあまりない。
けれども、ボクシングから離れた二人はとても活き活きとしているし、誰よりも他者への気遣いのできる人達だ。そして、暴力をとても嫌う。
ボクシングをはじめとした格闘技をする人達は、どんな思いで挑んでいるのか、長年疑問だった。
単に殴り合いが好きで、血氣溢れるのかと思いきや、私の知り合いの元ボクサー達はとてもそんな様子でなかったから…
本書を読んで、当たり前ではあるけれどボクサー達が様々な思いで挑んでいることを知った。
言葉が話せなくても、対戦することで相手と対話するという発想は驚きだったし、常に全力で試合に望む姿は誰にでもできることではないと思う。
様々な事情を抱えながら、自分自身と闘い続ける彼らだから、ほんとうの強さを手にすることができたのだろう。
プロボクサーであり、生命をかけて闘う彼等が手にする収入があまりにも少ないことも驚きだった…
ランカーであっても副業をしないと生活できないなんて、プロと言えるのだろうか。
お金のためでない何かのために、身を削る努力しているプロボクサー達。
その何かを大切にできる強くて優しい人だけが、プロとして活躍できるのだろうな…
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