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一冊の本を端から端まで読むと、なにかを「知る」以上の体験ができる……物語を手がかりに人間の心の深層を見つめ、鋭い考察を重ねた臨床心理学者河合隼雄。豊かな読書体験をもとに、カフカ、ドストエフスキー、ユングから村上春樹、吉本ばなな、児童文学や絵本まで、「深くて面白い本」二十冊をテーマごとに読み解く。縦横無尽に語り下ろした晩年の貴重な書。『心の扉を開く』改題。※文庫版に収録されていた解説は、電子版では掲載していません。ご了承ください。
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Posted by ブクログ
ユング派心理学の第一人者である河合隼雄氏の最晩年の著書。 著者が「読まなきゃ損」と考える書籍を紹介し、自分はどう読んだか、どんなメッセージを受け取ったかを語るという形式になっている。 一番読みたいと思ったのは「一組の男女の関係は6通りある」と語るエマ・ユングの『内なる異性ーアニムスとアニマ』。河合氏...続きを読むのような洞察は不可能にしても、実際の著作に触れてみます。
心とはどういうものかということを、臨床心理学者であった河合隼雄さんのおすすめの文学作品をとりあげながら語られたもの。知識として、学問的に心を理解するのではなく、文学作品に触れながら、登場人物の心の働きについて一緒に感じてみようというねらいがある。 この本を読んで、物語というのは知識や情報を並べるだ...続きを読むけでは決して生まれないもので、作者が無意識をどんどん掘り下げながら創作しているものだから、読書することで読む側の無意識もまた自然と掘り下げられるのだということがよく分かった。そういう視点を忘れずに本に向かい合うと、本から得られるものというのは格段に広がっていくし、自分自身に向かい合うことに通じているのだと思った。 自分自身や、自分の人生に向かい合おう!と思って向かい合うことのできる人は少なくて、心の中の深い部分に向き合って悲しみや怒りや孤独といった感情を取り出してみるのはとても勇気のいること。なぜならそうした深いものと向かい合ったところで、自分のメリットになるとは思えないし、むしろ社会生活をまともに送る上では邪魔にすら思えてくるから。それを、目の前の本の物語を経由しながら、心の動きを見つめ、それによって物語だけでなく自分自身を理解するというのはとても大切なことだし、安全だと思った。きっと本当に触れたいのは、物語の中の登場人物の心ではなく、自分の心なのだと思う。 自己実現はself realizationと訳されるけれど、realizationという単語には理解という意味もあるというお話が面白かった。自分を理解するということが自分らしく生きるうえでとても大切なのだということ。 河合隼雄さんが真剣に選ばれた文学作品をこれから少しずつ読んでいきたいと思った。
タイトルに惹かれて購入。著者が選んだ本を解説しつつ、人の心について解き明かした本。ここに紹介されるのはカフカ、ドストエフスキー、ユング、村上春樹、吉本ばなな、児童文学から絵本まで幅広い。私が読んだことがある作品も取り上げられていたけれど、全く読み方が違っていて、目からウロコが落ちました。色々な読み方...続きを読むが出来るのは文学の楽しさだなと改めて思いました。読んでみたい本が増えたので探して読みます。「人間ていうのは、ほんとうに大事なことがわかるときは、絶対に大事なものを失わないと獲得できないのではないか」この河合隼雄さんの言葉が突き刺さる。
魂とか深層心理の話とか、現実世界でどっぷり生きてるとなんか敬遠してしまったりするところを、河井隼雄さんの言葉だとまんざらでもなく引き込まれる。知らないことがたくさん。読むたい本が増えました。理解できない小説とかの視点のヒントももらった感じ。 2016.5.15 河合先生はあまり本を読まないといわ...続きを読むれるが、その読解力というのか物語を味わう力がすごい。こんなに深く本を読めたら読書が楽しいだろうな。自分の尊敬する人が推薦する本を読む、という。 2024.7.8
20冊の本をテーマに心の扉を開く話。膨大な量の中から読む本を選ぶか?書評を参考にするか、尊敬する人の推薦するものは必ず読むとのこと。尊敬する人を増やすには、尊敬できるような人と数多く接する必要がある。対談集を数多く出してる著者や司馬遼太郎さんがすごいのはこういうところにありそうだ。もちろん、今回お薦...続きを読むめの本は読んでいくつもりだ。2015.5.24
潜在意識が、「それ」という存在として、昔から様々な文筆家に扱われてきたこと、ユングが探究してきたことを理解する糸口になる厳選された図書が紹介されている。残念ながら、どれもまだ読んだことがない。
こころの問題を文学を通して論じているところに感銘する。河合さんが推薦している本は村上春樹のアンダーグラウンドとねじまき鳥クロニクルしか読んでないので他の本にも挑戦してみたい。河合さんの関西弁や人柄に親しみを感じた。
凄く良い本でした。 河合隼雄さんは臨床心理学で専門的なイメージがあってなかなか手がでませんでしたが、タイトルが「心の読書教室」ということで読書が関わっているなら私も楽しく読めるかもと思って読みました。 文章は話し口調で凄く分かりやすい文章です。 隼雄さんが関西の方で関西弁なので、関東の方はしっく...続きを読むりくるのか分かりませんが私はすんなりと読むことができました。 読むだけでセラピーを受けているような少しづつ心の重さが軽くなってきて、本当に本当に不思議な本です。 大して、心理的なことが書いてあるわけではないのですがどこかほっとする、難しく考えなくてもいいやーというような優しく面白く軽い雰囲気がありました。 村上春樹が好きな方には是非よんでほしいと思います! 心理的な見方で村上春樹作品を読んでみたいと思いました。
表紙の笑顔で星5つ・・・ 河合先生がお勧めする本のなかに、 子どものころに読んだ本があり、あ・・・中学生の時に読んだ・・・と思いだしたことに軽いめまいが(笑)いったい何十年前でしょうか。 お勧めの20冊の中で、何冊読んだかなと数えてみたら 12冊読んでいた。 河合先生のこの20冊を、読んだものも含...続きを読むめて全部読んでみるのも楽しそうだな。 トムは真夜中の庭で の本を説明しているとき引用した部分があって、おばあちゃんが寝ているだけでも、孫にとっては心の深いところで成長の役に立っている、と河合先生は仰っていた。 他の本でも、人間生きているだけでそれだけで凄いことなのですと仰っていて、つくづくそうだなあと思うし、尊敬する河合先生が仰っていたこと、そのことがとても嬉しい。 何年経っても嬉しい。
河合隼雄が4つのテーマに即して選んだ本、数冊を解説しながら、それを基にして人間の心のことを考えるという本。講演なので、各章の最後に質疑があり、理解が深まる。 それぞれの章の冒頭に、「まず読んでほしい本」数冊と、「もっと読んでみたい人のために」数冊があげられる。 小説、心理学、宗教学、児童文学、絵...続きを読む本・・・と幅広い。 「読まな、損やでぇ」という。 Ⅰ 私と“それ” 山田太一「遠くの声をさがして」・・・幻聴 ドストエフスキー「二重身」・・・もう一人の自分が見える カフカ「変身」・・・引きこもりのような バーネット「秘密の花園」・・「人間はみな心の中に庭を持っている」 Ⅱ 心の深み 村上春樹「アフターダーク」・・・無意識の世界 遠藤周作「スキャンダル」・・・聖人君子のような人の二重身のような二重人格のようなまわりの人の集団ヒステリーのような 山口昌男「道化の民族学」・・・トリックスターの重要性 吉本ばなな「ハゴロモ」・・・ センダック「かいじゅうたちのいるところ」・・・これもなかなか味のある絵本。少年が凄い世界に行って、戻ってくると、温かいご飯がそのまま残っている・・・日常の世界 Ⅲ 内なる異性・・・「心の中に異性がいる」ユング 漱石「それから」・・・東洋的な男女と西洋的な男女 シェイクスピア「ロミオとジュリエット」・・・ジュリエットは14歳だった! 桑原博史「とりかえばや物語全訳注」・・・男と女が入れ替わる エマ・ユング「内なる異性――アニムスとアニマ」・・・理想的男性像、理想的女性像・・・二人の男女には2人分の男と二人分の女がいる・・・なので話がややこしくなる。 村上春樹「ねじまき鳥クロニクル」・・・現代人の魂の問題 安部公房「砂の女」・・・凄い女性像 Ⅳ 心――おのれを超えるもの ユング「ユング自伝――思い出・夢・思想」・・・ユングの深い体験 大江健三郎「人生の親戚」・・・自己実現の悲しみ 白洲正子「明恵上人」 ・・・明恵は河合隼雄の日本における師 茂木健一郎「脳と仮想」・・・イマジネーションは近代科学を超える
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