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日本的思考の原型 ──民俗学の視角
ふとした時に表れる日本人独特の感覚。自分の湯呑みを他人に使われてしまった時の気まずさなどはその一例といえるだろう。高取によればこの感覚は、自己の範囲を所有するモノや所属する集団にまで広げて認識していた近代以前の名残だという。また祖先としての神、他所から来る神という二種の神観念があるのも、定住だけでなく漂泊もまた少なくなかった前近代の暮らし方に由来するという。本書はそうしたわれわれの感覚や習慣を形作ってきたさまざまな事例を挙げ、近代的な自我と無意識下の前近代が交錯する日本人の精神構造を明らかにする。民俗学の傑作にして恰好の入門書。 -
日本哲学 ――世界哲学への貢献
西洋哲学の概念や思考法のみが純粋なものであるという特権的な意識は、いまや世界的に大きな批判に晒されている。西洋独占主義的な哲学観を輸入した日本が、「日本哲学」を再び検討すべき時期がやってきた。アメリカ、日本、ドイツでハイデガーの哲学、現象学・解釈学から仏教思想・京都学派までを幅広く研究し、日本の哲学史を専攻の一つとしてきた著者が、日本哲学とは何かを、定義・内容から深く問い直し、世界規模の対話に開かれた日本哲学がもつ可能性を総合的に考察する。 【目次】まえがき/序 章 日本哲学の定義と範囲を再考する/第一章 日本・哲学・とは何か/第二章 西洋独占主義的な哲学観を問い直す/第三章 日本哲学の定義を問い直す/第四章 日本哲学の内容を問い直す/終章 世界における日本哲学、日本における世界哲学/参考文献/解説 世界の思考資源としての日本哲学 中島隆博 -
日本と西欧の五〇〇年史
西欧の歴史は休みない戦争の歴史であり、特に16~18世紀は「軍事革命」の300年だったと言える。西欧はそれを奇貨として、宗教改革によって強化されたキリスト教信仰と「新大陸幻想」に駆られて、新世界の発見・拡大に躍り出る。その歴史はスペインとポルトガルに始まり、オランダ、イギリスを経て、アメリカの「脱領土的世界支配」に至る。そして今日、中国の勃興を背景に流動化する国際秩序は、「新たな中世」の到来を告げているかのようだ。世界覇権をめぐる500年の争いを俯瞰し、日本が立ち向かうべき「現実」の正体に挑む著者渾身の一冊。 【目次】 -
日本賭博史
双六、丁半、花札、富くじ……。賭博は古代より日本社会に存在し、貴族の社交の嗜みとして、武士の陣中の慰みとして、また庶民のエネルギー発散のはけ口として、あらゆる階層の人々を虜にしてきた。本書では、現在もなお残る定番の賭け事から、忘れ去られた昔の流行物、果てはイカサマの技術に至るまでの数々を紙上に再現。権力による禁圧の裏で新たな賭博が次々と生み出されてきた様を、豊富な図版とともに活写する。賭博という人間存在を語るうえで不可欠な現象に着目することで、時代の性格や民衆の感情の新たな側面が見えてくる。類書のないギャンブル日本史。解説 檜垣立哉 -
日本の隠遁者たち
ひとは、生まれてから死ぬまで他人とのかかわりにおいて生きている。しかしそれが時にはわずらわしくもあり、また時には人恋しくもなる。並はずれた才能を持ちながら世を疎み、心の葛藤を自然を愛でることと孤独に耐えることで癒しながら生きた中世以来の隠遁者たち、西行法師、鴨長明、吉田兼好、松尾芭蕉、種田山頭火、尾崎放哉らの研ぎ澄まされた感性の表現から、われわれ現代人は何を感じとり、受け継ぐことができるのか。日本人の心の系譜を読み解く力作。 -
日本の外交 ──「戦後」を読みとく
戦後日本の驚異的な復興と経済成長を支えたのは、軽武装・日米基軸主義の基礎を築いた吉田茂の外交路線であった。だが、憲法九条を堅持したまま日米安保条約を結ぶことでねじれを抱えた吉田路線は、左右の政治勢力からの攻撃にさらされる。その様は、日本の国家像が左右に分裂したことを意味していた。そこに潜む「戦後」の呪縛を解き、外交戦略を再設計するには、吉田による「中庸」の選択の意味を深く問いなおすことが不可欠だ。こうした視座から戦後日本の歩みに新たな光をあて話題を呼んだ『日本の「ミドルパワー」外交』を、刊行後十余年の展開をふまえ全面改訂した決定版。 -
日本の経済統制 ──戦時・戦後の経験と教訓
統制とは、市場の価格機構に何らかの方法で干渉し、その機能を制限することである。日本における経済統制は、世界恐慌による危機的状況への企業の自主対応から生まれた。やがて、日中戦争(日華事変)の勃発、太平洋戦争への突入と戦争が全面化するにつれ、性格を変貌させていく。国家による軍需生産への集中とそれ以外の生産物への介入拡大という、統制が統制を呼ぶ事態のなか、破局へと突き進む日本―。昭和12年(1937)から昭和25年(1950)までの国家統制時代を中心に、名著『昭和史』の著者が経済の動きについて全体像を提示する。戦後の出発を決定づけた戦時中の経験とは何であり、現代に何を教えるのか。 -
日本の社会保障
私たちはいつ、病気で働けなくなったり、障害を負ったり、会社が倒産して仕事を失ったりするかわからない。個人の努力ではどうしようもない場面に遭遇した時にも健康で文化的な最低限度の生活が維持できるように憲法の生存権を保障する仕組みが社会保障だ。自分の力や家族や地域での支えあいではどうにもならないことが多いからこそ、この仕組みが必要である。では、法律と運用はどうなっているか。生活保護、年金、医療、公衆衛生、介護保険と高齢者福祉、労災保険と雇用保険、子育て支援、障害者福祉、社会保障財源としての消費税など、その仕組みと財政の最新事情から課題まで網羅する一冊。 -
日本の深層文化
日本の深層文化を探ること―それは、かつての日本人たちの豊穣な意味の世界を生きなおすことだ。「稲作文化」の常識に反して、かつて穀物の一方の雄であった粟の意義。田とは異なる豊かさを提供してくれた各地の「野」。食用だけでなく道具や衣類そして儀式の象徴となる鹿。さらには「大きな魚」としてのクジラ…。思い込みを排すれば、史料と遺跡はこんなにも新しい姿を見せてくれる。 -
日本の神話
古代日本においては、統治の正統性を確立するために、征服した部族が、征服された側の神話を、自らの神話に取り込んだ。そうして出来上がったのが天皇家の神話、記紀神話である。記紀神話の成立にあたっては、天皇家に征服された伊勢の豪族、度会氏、宇治土公氏がすすんで協力した。その結果、伊勢地方の太陽神であったアマテラスが万世一系の祖先神となる。しかしなぜ単なる一地方神が皇祖神に選ばれたのか?それはアマテラスが、日本人にとって最も当たり前で受け入れやすいタイプの神だったからだ。国家統治のために創り上げられた神話を元の地方神話に解体し、日本の神の原初の姿を取り出して見せた、画期的な研究。 -
日本の「ミドルパワー」外交 ――戦後日本の選択と構想
戦後の日本外交は、憲法九条を維持したまま日米安保条約を結ぶという吉田茂の「中庸」の選択によって規定されてきた。しかしこの外交路線は左右両政治勢力から攻撃され、「平和国家日本」と「大国日本」という国家像の分裂をもたらし、時にそれが日本外交の足枷となってきた。本書は吉田路線の上を歩んできた戦後日本外交の主体性を「ミドルパワー外交」の視座から掘りおこす。ミドルパワー外交とは、大国との全面的対立を放棄しつつ、紛争防止や多国間協力などに力点をおく外交である。国際政治および戦後日本外交への深い洞察によって導き出された、等身大の日本外交を考えるための必読書。 -
日本の民俗宗教
「日本独自の文化・伝統」はどのようにして生まれたのか。天皇のもと稲作中心に営まれた古代日本社会に、中国大陸から仏教が伝来して以降、さまざまな文化との交流、混淆、対立が繰り返される。大嘗祭、祇園祭り、盆踊り、元寇、ねぶた祭り、南蛮貿易、寺請制度、かくれキリシタン。古代から現代まで、数々の外来の文化の影響を受けて変容し形成された日本の民俗宗教を、歴史上の政治状況、制度の変遷とともに多角的に読み解く。 -
日本の裸体芸術 ――刺青からヌードへ
幕末に来日した外国人たちがこぞって驚くほど、日本には裸が溢れていた。理想化されない自然な身体イメージを享受してきた日本人は、江戸末期に初めて西洋の理想的身体であるヌードに出会い、近代化の過程で葛藤と苦難を体験する。本書は生人形や淫靡な錦絵を生んだ幕末の驚くべき想像力、日本という環境で日本女性を描こうとした洋画家たちの苦悩、戦後日本中に乱立したヌードの公共彫刻、海外で高く評価される日本独自の身体芸術・刺青など、さまざまなテーマを横断し、裸体への視線と表現の近代化をたどる異色の美術史。文庫化に際し大幅な加筆を行った増補版。 -
日本仏教のこころ
源流インドから中国をへて日本へ―― 厳正な眼差しで追う 独自の精神形成史 源流たる仏陀の教えから、時代とともに遠ざかってきた日本仏教。〈日本的霊性〉称揚に警鐘を鳴らし、原典研究の厳正な立場から、その精神形成史として追う。 === 共通の聖典をもつこともなく、数多くの宗派に分離した日本の仏教。キリスト教など、ほかの多くの宗教では、開祖の教えに立ち戻る宗教改革が起こったのに対して、日本仏教は実際問題として仏陀をそのように重要視してはこなかった。著者は「大陸からの伝来以来、順々と磨かれ、鎌倉期の仏教成立をもって〈日本的霊性〉を発揮する真正な宗教となったという自画自賛は間違いである」と述べる。原典研究者としての厳しい視点から、日本仏教独自の道筋に迫る不朽の名著、待望の文庫化。 -
日本文化の論点
情報化の進行は、二〇世紀的な旧来の文化論を過去のものにした――。本書は情報化と日本的想像力の生む「新たな人間像」を紐解きながら、日本の今とこれからを描きだす。私たちは今、何を欲望し、何に魅せられ、何を想像/創造しているのか。私たちの文化と社会はこれからどこへ向かうのか。ポップカルチャーの分析から、人間と情報、人間と記号、そして人間と社会との新しい関係を説く、渾身の現代文化論。 -
日本文化論
日本人、あるいは日本文化とは何か。民族の個性は、いつどのようにして形成されたのだろうか――文化人類学の明晰な方法論を用いて、西洋世界の社会・文化と対比しながら、日本人の思考様式・生活意識を規定する日本文化の特質を解き明かす。日本の文化人類学を確立した著者が積年のテーマを結実させた名著。 -
日本陸軍と中国 ──「支那通」にみる夢と蹉跌
中国スペシャリストとして、戦前の対中外交を率いた陸軍「支那通」。その代表的人物・佐々木到一は、孫文はじめ中国国民党の要人と深い親交を結び、第二次北伐に際しては国民革命軍にも従軍した。しかし、その後、支那事変(日中戦争)では南京攻略戦に参加して、いわゆる南京「虐殺」の当事者となり、戦後、激しい批判にさらされることになる。革命に共感を寄せ、日中提携を夢見た彼らが、結果としてなぜ泥沼の支那事変へと両国を導くことになったのか。われわれは、どこで道を誤ってしまったのか? 「支那通」の思想と行動を通して、戦前の日中関係の深層に迫る。 -
入門 男らしさの歴史
人は男に生まれるのではない。男になるのだ、と言えます。そして、時代が変われば、男らしさも変化します。……それをとらえるのが男性史研究です。そこでは英雄や偉人も登場しますが、男らしく生きる/生きようとする「ふつうの」男性も、男らしさに苦しむ男性も、男らしさから落伍した男性も重要な研究対象です。――「はじめに」より ・決闘に応じる男の名誉 ・徴兵を拒むのは臆病なのか ・男もハイヒールをはいていた/男はいつの時代も変わらないのか? 【目次】はじめに/第一章 男らしさはつくられる――男性史の誕生/第二章 男のからだを魅せる――身体とスポーツ/第三章 男同士でわかりあう――大学・クラブ・決闘/第四章 「男らしさの学校」に入隊する――徴兵制と「慰安婦」/第五章 戦わない男、戦えない男、戦いの果てに――誰が英雄か/第六章 「クィアな」性を生きる――「変態」は社会によってつくられる -
入門 記号論 ――自然と文化を読み解く
出色の講義・全15講 世界のすべては〈記号〉である 自然(自然科学)も文化(人文科学)も、記号論をつかえば、あらゆる事象を横断的に捉えることができるようになる。いちから深く学べる入門書。 === 記号論とは、私たちの身の回りの事象を横断的に捉えようとする分析手法である。対立する概念のように扱われがちな〈自然科学=自然〉も〈人文科学=文化〉も、この手法によって統一的に読み解くことができる。本書は、その分析の基本を網羅した明快な入門書である。記号の根幹にある「ことば/意味」から発して、ことば以外で「ことばらしいもの」としてのイメージ・絵画、衣食住・広告宣伝、動植物の「ことば」、生命体の遺伝情報に至るまで、記号論を用いた読解を豊富な事例をつかって見ていく。全15講でわかりやすく手ほどきする一冊。 === -
入門 多変量解析の実際
21世紀に入り、統計学とデータサイエンスは社会からますます注目を集めるようになっている。データを扱ううえで有効なツールのひとつが多変量解析だが、実際には「分析の仕組みがわからない」とか、「分析の結果が何を意味するのかわからない」という人も多いはず。本書は因子分析、クラスター分析、重回帰分析などの主要な分析法について、できるだけ絵と言葉でポイントを解説。各方法の使い方、トラブル・シューティング、分析の心構えなど、マーケティング分野での多変量解析の応用に長年携わってきた著者ならではの「ユーザー視点のノウハウ」を伝える。実務家必読の入門書。 -
入門 犯罪心理学
近年、犯罪心理学は目覚ましい発展を遂げた。無批判に信奉されてきた精神分析的をはじめ実証性を欠いた方法が淘汰され、過去の犯罪心理学と訣別した。科学的な方法論を適用し、ビッグデータにもとづくメタ分析を行い、認知行動療法等の知見を援用することによって、犯罪の防止や抑制に大きな効果を発揮する。本書は、これまで日本にはほとんど紹介されてこなかった「新しい犯罪心理学」の到達点を総覧する。東京拘置所や国連薬物犯罪事務所などで様々な犯罪者と濃密に関わった経験ももつ著者が、殺人、窃盗、薬物犯罪、性犯罪などが生じるメカニズムを解説し、犯罪者のこころの深奥にせまる。 -
入門ユダヤ思想
ディアスポラ以降、世界中に散り散りとなり、それでもなお一つの「民族」という名のもとに存続しつづけてきたユダヤ。彼らは、現実の地上において安定した土地を見いだすことはできず、また自分の内面においてもアイデンティティを見いだすことはできない宿命にあった。そのため、彼らは歴史の中で、混乱と分裂と抗争の種となり、社会の不安や憎悪を掻き立ててもきた。そうした中で、ユダヤはどのように、自分たちを世界内に位置づけようとしてきたのか? 本書では、そうしたユダヤ思想を知ることのできる主要な書物を追いながら、その核心へ踏み込んでいく。 -
ニュー・ダッド ──あたらしい時代のあたらしいおっさん
「おっさん=古いもの、いまの社会の悪しき土台を作ったもの」とみなされる今日この頃。それならいま「おっさん」はどこへ行くべきなのか? 国内外のポップカルチャーをヒントに、「あたらしいおっさん=ニュー・ダッド」たちの姿を見つめるエッセイ。ドラマ『ストレンジャー・シングス』、 映画『20センチュリー・ウーマン』、ブルース・スプリングスティーンやボン・イヴェールといったミュージシャン、 ゲーム『Detroit: Become Human』、漫画『クッキングパパ』といったカルチャーの中のニュー・ダッドたちから、一般人のパパ系インスタグラマー、プリキュア好きのオタクまで。 -
ニューヨーク おいしいものだけ! ──朝・昼・夜 食べ歩きガイド
ニューヨーカー御用達の朝ごはん、夜は大行列な店の穴場ランチ、記憶に残るスイーツ、アメリカンサイズの絶品ステーキ、メキシコ・中東・アジアなど目移りする世界の味、気分のいいバー、助かるTo Goと深夜営業の店、食いしん坊のおみやげまで……。NY在住のフードライターが歩いて食べて綴った、本当においしいニューヨークガイド! -
人間関係ってどういう関係?
「本当の友だちだと思ってたのに」「ただの知り合いです」「恋人と友人って何が違うの?」「親子はこうでなければならない」……身近な関係に悩むのはなぜ? 家族、恋人、友人――いちばんすぐそばにあり、実はいちばんつかみどころのない「身近な関係」。切り捨てることも、手放しに肯定することも難しいその関係は私たちをいつだって悩ませる……。人と人のつながりをいちから捉えなおすことで、息苦しさとさみしさの狭間に立ち位置を見つける本。 【目次】まえがき/序章 まえがき その二/第1章 身近な関係とはどんなものか/第2章 身近な関係はどんなものでないか/第3章 タテとヨコ/第4章 共同と相補/第5章 パターンをかけあわせる/第6章 身近な関係のウチとソト/第7章 あらためて、身近な関係は必要か/結びに代えて――人は変わる、関係も変わる/あとがき -
人間の条件
「私たちが実際に行っていること」とは何か――。 労働(labor)、仕事(work)、活動(action)という三つの行為様式によって人間の条件を考察した著者の代表作にして、20世紀の古典を達意の新訳でおくる。古代から現代に至るまで、それぞれの行為様式がどのように発展し、互いに関係してきたかを西欧思想史への豊かで卓抜な目配りとともに分析。科学やテクノロジーによる経験の変容と政治的思考の救済という本書が追求したテーマは、今やいっそうの緊急性を増し、新たな思想と討議を喚起してやまない。 原書第2版(2018年)に基づき、ダニエル・アレン(ハーヴァード大学教授)の序文とマーガレット・カノヴァン(キール大学名誉教授)のイントロダクションを付した決定版。 -
人間の本性を考える
人間を決めるのは「生まれ」か、それとも「育ち」なのか。いまだに議論の応酬がやまないこの論争に介入し、世界中で大反響を巻き起こした認知心理学者スティーブン・ピンカーの代表作。本書でピンカーは、人間の心は「空白の石版(ブランク・スレート)」であってすべては環境により決定されるという議論に対し、性差など「生まれつき」の要素を無視することはできないとして徹底的な反証を繰り広げる。現代科学の膨大な研究蓄積を武器に、「人間らしさ」の根源を問う、現代の古典というべき一冊。上巻は、人間本性の存在を否定することの危うさを論じた「第III部 四つの恐怖を克服する」まで。 -
ニーチェ入門
現代思想に多大な影響を与え、今なお多くの著作が読み継がれているニーチェ。しかしアフォリズム的に書かれたその文章は、他の哲学者にはない魅力である一方で彼の思想の核心を捉えにくくもしている。ニーチェは終生何について考えていたのか? 実はそこには「健康と病気」をめぐる洞察がある、と著者は述べる。みずからも病に苦しみつつ、その経験の中から「身体の健康とは何か、精神の健康とは何か」という身近な問題意識への思索を深めていったのだ。ニーチェの生涯や思想、キーワードを平明に解説し、その思想のもつアクチュアリティを浮かび上がらせる入門書。 -
熱学思想の史的展開
ニュートン力学のあとを受けた18~19世紀は、熱をめぐる世紀となった。なぜ熱だったのか? 本書は、科学者・技術者の実験や論理を丹念に原典から読みとり、思考の核心をえぐり、現代からは見えにくくなった当時の共通認識にまで肉薄する壮大な熱学思想史。迫力ある科学ドキュメントでもある。後世が断ずる「愚かな誤り」が実はいかに精緻であったかがじっくりと語られる。新版ともいえる全面改稿の全3巻。第1巻は、熱の正体をさぐった熱力学前史。化学者ラヴォアジェが熱素説の下で化学の体系化をなしとげ、より解析的に熱を取り扱う道が拓かれるまで。 -
熱烈応援!スポーツ天国
知れば知るほど、奥の深いマイナースポーツの世界。試合会場には「観戦症」の人々が溢れている。マイナースポーツと一口に言っても、その世界は多種多様であり、「スポーツ」そのものまで考えさせられるものもある。独自の視点を持つノンフィクションライターの著者がスポーツの楽しさと魔力をとらえた熱いレポート。人間のもつすばらしい能力のひとつである「応援」、その力がだれかを勇気づける。読んだ後に「観戦症」にかかることも!? -
ネルソン・マンデラ ――アパルトヘイトを終焉させた英雄
27年間、獄中でも闘いつづけてアパルトヘイトを根絶し、南アフリカを再生させた20世紀の英雄。対立ではなく対話を貫いた不屈の生涯をたどる。(巻末エッセイ・緒方貞子) -
呑めば、都 ──居酒屋の東京
赤羽・立石・西荻窪──。古き良き呑み屋街にはそれぞれの歴史がある。アメリカ生まれの著者が酒のグラスの向こうに見たのは、闇市のにぎわう猥雑でエネルギッシュな東京の姿だ。歴史探索とはしご酒という二重の“フィールドワーク”を敢行し、居酒屋文化に頭脳と肝臓で切り込んだ渾身のノンフィクション。
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