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昭和30年代に星新一と都筑道夫が牽引したショートショートブームに純文学畑から参戦し強烈な存在感を示した山川方夫。交通事故死という不運に見舞われ活動期間こそ短かったものの、その作品は今なお多くの読者を惹きつけてやまない輝きを放つ。この分野での著者の成果を一望できる日下三蔵編集によるオリジナル・コレクション全2巻。第1巻は代表作“親しい友人たち”ほか41編を収録。
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Posted by ブクログ
大好きな作家。 この人の作品は全体的に淡々としているような冷たさがある。でも話に引き込んでいく魅力がある。自分が一番衝撃を受けたのが「お守り」という作品。どの作品も人間の根底を暴いていくような一面があり、読んでいて少しヒヤッとする。でもこれがクセになる。この全集でなくても、買って読んでみてほしい。
年末、しかも今年の5冊を選んだ矢先にとんでもなくすごい小説に出会った。驚く展開のある作品もあるとかいうレベルじゃなく、全ての話に衝撃の展開が待ち受けている。一個一個について感想書きたい。 「夏の葬列」「菊」が秀逸。
純文学作家のショート・ショート集。星新一のような統一された様式のようなものはなく、純文学短編のように読めるものから、SF、ミステリーまで、多岐にわたるジャンルごとに筆致も変化する。 特に冒頭の「親しい友人たち」シリーズが様々なジャンルのあわいを行く、「奇妙な味」があり好ましかった。
終戦直前の疎開先で起きたある出来事のため、少年だった男は暗い記憶を持ち続けてきたが、長じてその地を再訪してある場面に遭遇し、自らの責任はなかったと解放の感を持ったのも束の間、思いがけない事実を知ってしまうという「夏の葬列」、教科書で読んだその作品が、作者の作品を読んだ初めてだった。どんでん返しの面...続きを読む白さとともに、戦争の悲劇とは言え救いようのない結末に恐ろしさを感じた記憶がある。 その後、作者は山川方夫という人であり、芥川賞の候補に何度もなったこと、ショートショートと呼ばれる作品を多数書いたこと、若くして交通事故で亡くなってしまったことなどを知った。 本書は、著者のショートショート全編を全2冊に集成するコレクションの一冊目。 アイディアとストーリー展開の妙がしっかりした文章と相まって、読み応えのある作品が多い。 本書収録作品のほとんどは1960年代前半に書かれた60年以上も前の作品だが、多少時代を感じさせる風俗などは出てくるものの、古めかしさはほとんどなく、今読んでも抜群に面白い。 ショートショートについて星新一、都筑道夫と共に語った座談会「ショート・ショートのすべて」が収録されているのも貴重であり、嬉しい。
すごく面白いけど、暗いねん。 何かじとーっと暗い。。。 ホラー要素が必要とあるけど、ホラー嫌いやねん。。泣
山川氏は所謂純文学とエンタメの境界領域で活躍した作家さん。教科書に採用されたこともあって、代表作と目される「夏の葬列」も〝オチ〟の後に、主人公の独白が続くという、ショートショートとしては異形なもの。巻末の座談会にもあるようにショートショートに明快な定義なんてないのだけれど。とはいえ、望まない結婚を強...続きを読むいられそうになっている女性の屈折と飼い猫の死を重ね合わせた「猫の死と」や、発表媒体が三田文学だという「昼の花火」が、一般的なショートショートの概念を外れているのは間違いのないところ。他にもショートショートとしては歪さを感じさせる作が多い。むしろ、きちっとまとまっている方の作が、今の眼では古さを感じさせもするので、その辺りが読みどころかも知れない。
恋愛や恐怖、サスペンスなど様々な黄泉味を持つショートショート終生。同じショートショートでも今まで読んできた星新一のものとは全く雰囲気が違うのが面白い。それでいて星のものと同じ時代を超えていくような普遍的な面白さというものは共有しており、迫力や貫禄を感じる。この才能が若くして失われてしまったことは本当...続きを読むに口惜しいことだ。ファンタジーやSFではなくある程度身近な現代の話が多く、人間の奇妙な運命や出来事が数々のどんでん返しや感情を動かすようなざわめくような奇妙ながら身近な感覚を呼び起こす。恋愛系も皮肉なものが多い星と比べて愛自体はしっかりと存在しているのが印象的な。(時折恐怖に変貌する)さらに印象に残ったこととして爽やかな夏の終わりと秋の初め、晴天を思わせる作品が多いのにじっとりしたあるいはさっくりとした閉塞感もまた印象深いことがある。取り返しがつかないことやどうしようもないことが急に目の前に現れる場面、そうした時にあらわれる自覚も言語化も難しい感覚を発見して提示させることにより得られる深く共感する感覚といってもよいだろうか?かつて共感できはずなのにもうできない、もはや輪郭だけしか見えないものへの未練か…。作者の死によってこの感覚は完成しているのかも? 夏の葬列。この中でも特に名高い一作だがそれも納得だ。あまりにも残酷ながらどこか爽やかな印象。 はやい秋。叙述トリックが予想もつかずに驚かされた。 彙集。ある意味で人間の強さといったところか? メリイ・クリスマス。最初ベランダのシーンの未知との遭遇感が印象的だ。終わり方も爽やかな暖かさがある。 ロンリー・マン。恨んで殺してもなお隣にいて当然と声をかけてしまう相手。 箱の中のあなた。主人公の擬態ぶりにすっかり騙されたゆえに変化への印象が強い。弱々しい女から恐ろしく魅惑的な妖女への転身。異様な迫力と魅力のある表紙と合わせて良い。 暑くない夏。もはや手の届きそうもない誰かの感覚への一瞬の接続。なんとも言えず言葉に詰まるが心が動いた。 トンボの死。コモン的な人生のままならなさを、思いもよらぬ角度で具現化しているのが印象的。 新年の挨拶。どこにでもありそうな見たこともない奇妙な現実。 昼の花火。一瞬の中にあり消えゆく思い出。記憶が苦手ゆえに少し違う意味だが身に覚えがあり一体化するような感覚。 猫の死と。あまり強い言葉はないが閉塞感と暗さが一段重い短編。 夫婦の仲。微笑ましい秘密のふれあいとでも言おうか?王道がこういうのが好きだ。 「別れ」が愉し。あまりにも別世界の人生。だがどこか憧れるし羨ましい、どこか嫌でこうはなりなたくない。玉虫色の他者に触れる面白さ。 未来の中での過去。人間の感性と受け取りとは、周囲の環境や時代の変化などあらゆる刺激から生まれる。それゆえに別の場所や別の時代に生まれた人間とは根本的に共有できないものである。そういう事実を再認識させられるようなお話。向こうは自分と同じ人生や感情をこれから永遠に生きようとも獲得などしないし、自分のそうした感じかたなどは永遠に他人と共有できず自分だけのものでありここにしかない。その不安感と寂しさ。 昭和の雛人形。逆にそうした自分の感性の中に沈み込むことのできる聖域とした人間を側から見る物語。上と合わせて読むと面白い。 ゲバチの花。失われてしまったものが、ほんの1日だけそこにある。奇妙な巡り合わせであり、その感性と感覚がほんの一瞬だけ現れて永遠に消えてしまうこと、それを繋ぎ止めたいと願う思い。 蛇の殻。どうしようもない事情によりどんどん取り返しがつかなくなっていく感覚だけがある閉塞。隣にいたはずのヒトが容易くそれを脱いで進んでいく孤独感。暗黒に自分だけ沈み、周りが消えて1人だけになっていくような緩慢な絶望。 遅れて坐った椅子。その時、そのタイミングしか感じられない感性や経験や景色がある。それを永遠に取り逃してしまったことを後からじっくりと味わうことになった場面。もはや遠く永遠に不明のままであり、取り返しがつかないことをもう手遅れになってから知ること。もう永遠に満たされたないと分かった上で新しく生まれてしまった未練。
印象的でゾワッとする良い話が多かった。ただ刺激的な話というだけでなく、生き方や家族、伝統などがテーマとして根底にあるようなものをいくつか感じ、短いストーリーの中で色んな人生を垣間見ることが出来た感じだった。乱歩もゾワッとだけど、乱歩はもっとじっとりとしている感じだが、山川方夫はスーッと冷たい風が通り...続きを読む抜けるような感じだ。短編だったが、話がたくさん入っているので読み切るのは大変だった。
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箱の中のあなた ──山川方夫ショートショート集成
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