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二〇世紀の自画像
二〇世紀は日本にとって、実にめまぐるしい百年間でもあった。空前の豊かさと膨大な人的犠牲という強烈なコントラストに彩られたこの世紀は、その時代を体験した人間にどのように映ったのだろうか。優れた文明批評家として知られる著者が、この百年を再考し、新たな混沌が予感される現代を診断する。 -
日英語表現辞典
英語の知識は、政治・経済・文化などあらゆる面で世界に向け開かれた大切な窓である。英語圏の人々とまったく同等にコミュニケート出来るだけの表現力はどうしたらつくのだろうか。英語には日本語に、日本語には英語にない考え方、感じ方がある。その違いを知り、自分の言いたいことを英語で表明できるための辞典。「英和の部」では、日本人が誤解しやすいもの、英語理解のカギになるもの、頻度の高いスラング、まぎらわしい同義語を厳選し、「和英の部」では、英米人に分かりにくいニュアンスをもった語句、日本語の伝統的な表現、慣用句、俗語などをアルファベット順に配列する。 -
日銀日記 ──五年間のデフレとの闘い
2012年12月からスタートした第2次安倍内閣では、デフレを克服するために金融緩和措置を講ずるという金融政策が実施される。その政策を牽引するために、リフレ派の論客と知られる岩田規久男が日銀副総裁として向かいいれられた。最初に注目を集めたのが、岩田氏が衆議院の所信聴取での「2年で2%インフレに達しなかった時の最高の責任の取り方は辞任だ」という発言である。国会やマスコミでも何度も取り上げられ、岩田氏の意思は別のところで一人歩きし、2年後に2%には達しなかったのに、なぜ辞めないのだという批判が殺到することになる。しかし、2014年の消費税増税、2015年の石油価格の暴落がマイナスに働いたため、この2年では2%達成することができなかったのであり、それがなければ2%に達する流れだったと岩田氏は振り返る。本書は、2013年から2018年から岩田氏が日銀副総裁として過ごした日々をつづったものであり、それは日本経済の転換点を克明に記したものともいえる。リフレの敵とはなんだったのか? 国会ではどうしてかみ合わない議論になってしまうのか? なぜ、マスコミは数字を誤解したままなのか? 元日銀副総裁が語る本音がここにはつまっている。 -
日常的実践のポイエティーク
読むこと、歩行、言い回し、職場での隠れ作業……。それらは押しつけられた秩序を相手取って狡智をめぐらし、従いながらも「なんとかやっていく」無名の者の技芸である。好機を捉え、ブリコラージュする、弱者の戦術なのだ――。科学的・合理的な近代の知の領域から追放され、見落とされた日常的実践とはどんなものか。フーコー、ブルデューをはじめ人文社会諸科学を横断しつつ、狂人、潜在意識、迷信といった「他なるもの」として一瞬姿を現すその痕跡を、科学的に解釈するのとは別のやり方で示そうとする。近代以降の知のあり方を見直す、それ自体実践的なテクスト。 -
日中15年戦争
「戦争へのあこがれ」に抗して 多様な人びとの視点とともに描く全体像 1931年から1945年まで15年の長きにわたる戦争で、日本はどの国にまけたのか? 多様なひとびとの視点を通して全体像を復元する。解説 一ノ瀬俊也 === 1931年から1945年の15年にわたる戦争で、日本はアメリカにのみならず中国にも敗北したのだ 著者は、陸軍の企図・満州利権・戦費調達など国内の政治経済的背景に加え、中国側の論理も含めて戦争の経緯を解く。生々しい戦場の実態や兵士の証言など、個々人にも強い焦点をあてた著者特有の記述が、戦争の真の全体像を浮き彫りにし、戦後日本社会の深層に与えた影響も説明する。歴史教育現場からの発言を続けた著者が豊富な史料を交え、人間の内なる「戦争へのあこがれ」に抗すべく、平和への熱情を注ぎこんだロングセラー。 【目次】 概観 日中戦争と太平洋戦争 一つの質問/忘れられた感覚 第1章 中国革命にはむかうもの 国民革命と日本/山東出兵 「田中外交」の展開/張作霖爆殺事件 第2章 乾いた大陸 満州事変 一九三一年九月十八日 日中十五年戦争の開始/ゼロアワーへの道 満州事変はなぜ起こったか/関東軍と陸軍参謀本部 ある「謀略」の構造 第3章 満州占領 「王道楽土」の現実 たたかいの日々/「満州国」の誕生 第4章 上海のたたかい ある「序曲」 「爆弾三勇士」/「国際都市」上海のたたかい/上海停戦協定 第5章 万里の長城をこえるとき 「ドミノ理論」のゆくえ 国際連盟・脱退/「王道楽土」の幻影/「華北分離工作」の形成 第6章 統一中国への道 大長征 よみがえる中国共産党/「幣制改革」 経済統一の進展/西安事変 第7章 日中全面戦争の開始 「七夕」の夜の銃声 蘆溝橋事件/一九三七年夏・東京/「支那事変」の成立 第8章 苦悶する中国 南京「陥落」/第二次国共合作の成立 八路軍の誕生 第9章 「国民政府を対手とせず」 いわゆる「不拡大派」の敗退/近衛声明/どこへゆく? 近衛内閣 第10章 たたかいの日々 徐州・漢口・広東 一九三八年 徐州 「対支消極持久」方針の成立/『麦と兵隊』ノート/一九三八年 漢口・広東 第11章 生と死の構造 ひもじさの間奏曲/まずしき兵站線/死者たちの群像 苦痛のカルテ 第12章 北のくにの「銃後」 「赤紙」がきた/「銃後」万華鏡 第13章 もう一つの「中華民国」 ある「偽国」の成立 汪兆銘工作/「中華民国」政府の成立 和平交渉の終末点 第14章 「点と線」への道 華中と華南のたたかい/百団大戦 八路軍が反撃する/八路軍のたたかい方 ただ一つの「秘密の兵器」 第15章 「軍国化」の経済構造 軍国財政と国民生活/国家総動員法の成立と展開/軍国日本の土台 戦争が社会を変える 第16章 ある「共和国」の誕生 「辺区」の抵抗の構造 巷にて/晋察冀辺区のなりたち/「辺区」展開図 第17章 ある中国理解者の生涯 尾崎秀実の生と死 尾崎・ゾルゲ事件/彗星の出現/ある死刑囚の最期 “Ecce Homo” 第18章 日中戦争から日米戦争へ 日中戦争と日独伊三国同盟/日中戦争と日米交渉 第19章 たたかいのはてに 12枚のカード たたかいのなかのたたかい 終局 文庫版解説 戦争の全体像復元の壮大な試み 一ノ瀬俊也 -
ニッポン沈没(世の中ラボ2)
戦争、原発、経済格差……。さあ、この国は沈没か? どうなんだ? いま何が起こっているのか。その時々のトピックスを関連書3冊をベースに論じる、47の同時代批評。 -
ニッポンの数字 ――「危機」と「希望」を考える
縮みゆくこの国を待ち受ける未来は暗いのか? 社会を考えるための論点各々を、数字をベースに考えると、「危機」と「希望」の両面が見えてくる。この国の未来の姿とは? 「人口・社会」「経済」「環境問題」「防衛・安全保障」「AI、そしてロボット」「最新医療」 考えるべき論点それぞれを数字で整理すると「危機」と「希望」の両面が見えてくる ・男性の60.4%が非正規労働者/・2005年生まれの女性の最大42%が生涯子どもを持たない/・殺人事件の検挙率は101%(2021年)/・再生可能エネルギーで賄える電力量のポテンシャルは、2020年度国内発電量の2.6倍超/・2100年までに、夏が1年の半分近く、冬は2カ月以下に? -
日本の台湾人 ――故郷を失ったタイワニーズの物語
戦前まで日本であった台湾。戦後政治に翻弄される台湾。政界、経済界、学界、そして芸能界、文芸分野まで、広く活躍する台湾出身者たちがつないできた日本と台湾の深い絆をたどる。蓮舫、安藤百福、羅邦強、ジュディ・オング、余貴美子、東山彰良、温又柔、辜寛敏とリチャード・クー、そして陳舜臣、邱永漢……。彼らのファミリーヒストリーから、日台関係の光と暗部を浮き彫りにする。 -
ニッポンの大地震 ――地学でわかる予測と対策
南海トラフ地震、 首都直下地震に、 備えよ! 京大人気№1教授が贈る全国民必携の書。 日本人が地震について知っておきたいことのすべて。 今後10年“最大の危機管理”を、この一冊から。 具体的な数字と図版満載で、分かりやすく解説します。 日本全国、地震の起こらない場所はない。 南海トラフ、首都直下、日本海、内陸の活断層…… 将来の巨大地震はどのくらい危険で、どう備えるか。 「東日本大震災の15倍の被害」 「19個の地震の巣が首都直下にある」 「十数年後に起きる」という具体的な予測を、 地学の知識から、豊富な図版とともに解説する。 対策についても、ローリングストック、避難、事業継続計画(BCP)など、実際的な方法を伝授しよう。 今後10年の“最大の危機管理”のすべてが詰まった、 大地変動の時代に全国民必携の一冊。 目次より…………「地震だ!」その瞬間に考えるべきこと/「沈み込み帯」にある日本列島/いつ起きてもおかしくない首都直下地震/震源域が19か所もある/3つの地震が連動して起こる/「西日本大震災」という伝え方/「10年後の手帳」に/南海トラフ巨大地震の季節が始まった/日本海側を太平洋側のバックアップ拠点に…………………etc === 【目次】 はじめに 日本にはどのくらい地震が多いのか/「大地変動の時代」だからこその思考法/知識こそが「サバイバル」のための武器になる 第1章 地震とはどういう現象か 「地震だ!」その瞬間に考えるべきこと/ゆれはどうして起こるのか/断層とは過去の地震の記録である/地震の波と震源域/地震には縦波と横波がある/地震波は地球の内部を知るカギとなる/地震の地表波/地震はどうやって測るか/デカルトの遺産/短周期の動きと長周期の動き/マグニチュードと震度/気象庁マグニチュードとモーメントマグニチュード コラム1 世界と日本の巨大地震 第2章 日本列島、地震の起こらない場所はない 地球の内部構造はゆで卵!?/地球は12枚のプレートで覆われている/リソスフェアとアセノスフェア/プレートに載って大陸はただよう/ウェゲナーの大陸移動説/地殻とプレートの違い/海洋地殻と大陸地殻を比較すると……/「沈み込み帯」にある日本列島/地震の発生を説明する「プレート・テクトニクス」 コラム2 津波はどうやって起きるか 第3章 いつ起きてもおかしくない首都直下地震 首都直下地震とは?/震源域が19か所もある/関東大震災の再来/関東大震災はどのように起こったのか/関東直下地震には周期がある/液状化と地盤流動/大量の災害廃棄物が発生/首都圏一極集中は、どう危険なのか/房総半島沖地震と巨大津波/千葉県直下にプレートが3枚/繰り返されるスロースリップ地震/房総半島を大津波が襲った延宝房総沖地震 コラム3 「災害シナリオ」で首都直下地震に備える 第4章 南海トラフ巨大地震とはどういうものか 3つの「地震の巣」がある/巨大地震の履歴/3つの巨大地震が連動して起こる/南海トラフ巨大地震の前後に増える内陸地震/活動期と静穏期から次の巨大地震を予測してみる/どのくらいの被害が想定されるか/「西日本大震災」という伝え方/緊急地震速報の仕組み/「空振り」よりも「見逃し」が怖い地震予測 コラム4 南海トラフ巨大地震の「半割れ」現象と時間差 第5章 スーパーサイクル超巨大地震への備え 超巨大地震のメカニズム/南海トラフ巨大地震、300年経過の意味/琉球海溝で発生するM9クラス巨大地震/「史上最大」の1771年八重山地震津波/「海底地滑り」で想定外の大津波が発生する/「琉球―東海巨大地震」を一連の課題とする/確率による発生予測/「地震発生確率」では伝わらない/「10年後の手帳」に/「南海トラフ地震臨時情報」が自分事になった日/南海トラフ巨大地震の季節が始まった コラム5 スーパーサイクル超巨大地震で富士山噴火の連動 第6章 日本海で起きる地震 元日の大地震/能登半島地震と活断層/次に警戒すべきは能登半島西部や佐渡沖である/数千年ぶりの地殻変動/日本海の成り立ちからわかること/そして、日本列島が陸化した/日本海東縁にはひずみ集中帯がある/日本海側を太平洋側のバックアップ拠点に コラム6 地球科学者にとっての東日本大震災 第7章 地震にどう備えればよいか――危機管理を具体的に 家庭でできる備え/非常持ち出し品と常備品/学校や会社ではどう準備するか/まず自分の命を守る/学校や会社からの帰宅はどうするか/避難所での生活をリアルにシミュレーション/情報収集と家族との連絡法/帰宅路を実際に歩いてみる/「安全」と「安心」/被害の6〜8割は事前準備で減らせる コラム7 「防災の日」に「率先避難」を考える 第8章 「大地変動の時代」だからこその思考法 「当たり前」を見直す/18世紀の破局的災害・リスボン大地震/当時の思想家たちの世界観をひっくり返した/リスボン大地震後のポルトガルから学べること/日本列島に生きる者の思考回路/地震にも「恵み」がある/豊かな都市に必要な条件/「流れ橋」に見るしなやかな生き方/「ブリコラージュ」の発想 コラム8 地学の「想定外」 第9章 地球の歴史の中で人類はどう生きるか プレート運動が石炭・石油を生んだ/地球上の自然は本来フローである/農業革命とストックへの転換/「北緯35度の逆転」と人類の居場所/都市の膨張/産業革命は地球をどう変えたか/環境問題には「逃げ場がない」/昔の生活に戻れるか?/資本主義的フローの危険性 コラム9 生命居住可能領域 おわりに 索引 === -
日本半導体物語 ――パイオニアの証言
1955年にトランジスタラジオをソニーが商用化して以降、日本の半導体産業は次第に地力をつけ、80年代末には世界トップの市場シェアを獲得した。だがその後、日米半導体摩擦の影響を受け弱体化が始まり、摩擦が収まった後も日本半導体の市場シェアの低落傾向は続いて今日に至っている。この栄枯盛衰のドラマの裏側には技術者たちの奮戦があった。日本の「ミスター半導体」と呼ばれ、生涯を半導体とともに歩んできたレジェンド技術者が語る、業界の内側から見た日本の半導体開発70年史。 -
日本海海戦の深層
連合艦隊が勝利した最大の要因は軍事技術の合理的で正確な運用にあった。日本は近代砲術の基礎となる「斉射法」を世界に先駆けて用いただけでなく、独自の砲術計算によって精度を高めていったのである。その後の海上決戦の範となった日本海海戦の全貌を検証し再現する。『坂の上の雲』では分からない日本海海戦の真実! -
日本経済を診る ――シン・競争の作法
緊急出版! 隠蔽された現実を 経済データからあぶりだす デフレ脱却 賃金と物価の好循環 人手不足 責任ある積極財政 荒唐無稽な政策キャッチフレーズに惑わされるな! 階級や利害の対立を直視し、健全な社会をつくる 異次元緩和が実現したのは円安と株高だけであった。恩恵を受けたのは輸出企業と投資家。多くの国民は蚊帳の外に。コロナ禍以降、混迷はより深まる。交易条件の悪化、実質円安の進行、実質賃金の低下。私たちの経済状況は悪化の一途をたどっている──。マクロ経済学の第一人者が、データを丹念に読み解き、とくに九〇年代以降の日本経済の変貌ぶりを診断。まっとうな保守主義の立場から、理論と実証を通じて政策を批判的に検証し、進むべき道筋をはっきりと照らす。 === 【目次】 プロローグ マクロ経済データと向きあってきて 第1部 診断書を書く――価格を診る 第1章 なぜ、インフレになっても「デフレ感覚」が続いたのか? 第2章 物価を診る――「デフレ感覚」の正体とは? 第3章 賃金を診る――労使協調の賃上げの不思議 小休止 需要と供給が出てこない! 第2部 診断書を書く――金利、外国為替、株価を診る 第4章 「マイナスの実質金利」をめぐる診断記録――あるいは、見えづらくなった預金者の負担 第5章 「もはや1ドル360円時代の円安に逆戻り」をめぐる診断記録─―あるいは、見えづらくなった国民の負担 第6章 「「バブルぬき」の高株価」をめぐる診断記録─―あるいは、見えづらくなった「株主以外の国民」の負担 小休止 投資家にとってのマクロ経済学――失敗しても納得できる投資 第3部 診断書を書く――モノ、カネ、ヒトの循環を診る 第7章 SNAから診た日本経済―─交易損失が明るみにした「円高阻止」の功罪 第8章 資金循環表から診た日本経済―─複雑怪奇な資金循環を生み出した財政金融政策の功罪 第9章 労働統計から診た日本経済――「人手不足」という巧妙なレトリック 小休止 旧いマクロ経済データを診る――そこに政策の愚を読む 第4部 そして処方箋を書く 第10章 巧妙な政策レトリックと滑稽な政策ロジック――表面上の対立の解消と実質的な対立の深化 第11章 「健康な経済」のための政策処方箋―財政規律の回復をきっかけとして 小休止 『ブリュメール18日』を読んで――「シン・競争の作法」 エピローグ 町医者と専門医のはざまで === -
日本・現代・美術
前近代的な土着性をはらんだ「日本の前衛」、〈つくらないこと〉の呪縛としての「もの派」、岡本太郎の「爆発」、赤瀬川原平の紙幣「模造」、読売アンデパンダン、森村泰昌、村上隆、会田誠……。世界史から切り離され、忘却と堂々めぐりを繰り返す「閉じられた円環」である「悪い場所」日本において、美術の歴史は成立しているのか? 1945年=敗戦以降の美術の動向と批評の堆積を遡行し、歴史的・政治的なコンテクストに位置づける。戦後日本の精神を浮き彫りにし高く評価された、卓越した日本文化論にして著者の主著! 解説 安藤礼二 -
日本語と道徳 ──本心・正直・誠実・智恵はいつ生まれたか
本音トークがもてはやされている。「本心」を包み隠さず「正直」に口に出すことが、あたかも「誠実」の証しであるかのように言われる。そして時に、タテマエに立ち向かう正義の人という印象さえ帯びる。しかし、かつて「本心」を隠す人などいなかった。「誠実」な人も存在しなかった。「正直」者は馬鹿呼ばわりされたこともある。いったいいつから「本心」や「正直」が、正義と結びつくようになったのか──。今日の倫理観は必ずしも日本古来のものではない。中世から江戸期をへて今日に至る道徳観をめぐる言葉の変化を丁寧に跡付ける意欲的な日本精神史。 -
日本語の外へ
湾岸戦争をアメリカのTV放送だけで追ってみる、という試みから始まった本書は、アメリカを突き動かす英語という言葉の解明へと焦点を移していく。母国語によって人は規定され、社会は言葉によって成立する。たえず外部を取りこみ攻撃し提案していく動詞中心の英語に対し、日本語とは自分を中心とした利害の調整にかまける言葉だと著者は結論付ける。言語にはそれぞれ美点と歪みがある。日本語のなかで生きる私たちは日本語という「歪み」を通してしか考えられない。「戦後」という時空間は、実はその「歪み」そのものなのだ。ではその歪みから自由になることはできるのだろうか。「歪み」を熟知したうえで「歪み」を駆使すれば、日本語の外へでていくことはできる、と著者は書く。英語と日本語への熟考が、やがて読み手を世界の認識の根源まで導く鮮やかな思考の書。 1997年は加藤典洋の『敗戦後論』と片岡義男のこの本の出現で画期的な年として記憶されることになるだろうと思った。(高橋源一郎『退屈な読書』より) -
日本詩歌の特質
何が日本の詩や芸術を支えてきたのか 恰好の日本詩歌入門 古代から現代まで、色と色離れ、うたげと孤心、全体と個といった対立概念がいかに日本の詩歌を支えてきたかを闊達に語った名講演。 === 古代から現代まで日本の詩歌はどのようなものに支えられてきたのか。彩り豊かな表現が行われる一方、色彩のない鋭い感覚自体が色となる転換も起きる。そうした「色」と「色離れ」をはじめ、大勢の人々が集い、交歓する「うたげ」と一人でいる孤独の心「孤心」、全体の世界と個の世界といった、遠心的動きと求心的動きの振幅が時代ごとの文芸を形づくったと著者は主張する(「詩歌の読みかた」)。その他、本書には、松尾芭蕉、高浜虚子、飯田蛇笏をテーマにした講演など七つを収録。著者自身、日本文学の全体像をめぐって語るべきことを語ったと述懐する、またとない日本詩歌入門。 【目次】 Ⅰ 詩歌の読みかた Ⅱ 芭蕉について立派だと思うこと 文学・美術にみる幕末 虚子文学の意味 飯田蛇笏の文業 Ⅲ 日本詩歌の特質 『日本とヨーロッパ 一五四三~一九二九』展 あとがき 解説(中西恭子) -
日本思想史と現在
私たちは、私たちの文化と言語とを形成してきた永い歴史を受けて、その流れの中で、感じ、思い、考えている。では、過去にどのようなことがあったために、いま私たちはこのように感じ、思い、考えるのか。そして、その過去に気づくことによって私たちは何を得られるのか――そうした日本思想史と現在の関わりについての問題を研究してきた著者が、これまでに様々な機会に発表してきた短い考察を集成。碩学による「日本」をめぐる長年の思想史探究を集成した、驚きと刺戟に満ちた珠玉の小文集。 【目次】はじめに/I その通念に異議を唱える/II 日本思想史で考える/III 面白い本をお勧めする/IV 思想史を楽しむ/V 丸山眞男を紹介する/VI 挨拶と宣伝/索引 -
日本社会再考 ──海からみた列島文化
日本を農業中心社会とみなす、長年常識とされてきた社会像は、近年つくられた虚像だった──ベストセラー『日本の歴史をよみなおす(全)』で、このことを明らかにした網野史学。この一貫した視点から、本書では「百姓」=「農民」という定説を覆し、実際にはその大きな部分を占めていた「海民」たちの活躍を読み解く。漁業、製塩業に従事するのみならず、広く遠洋交易を営み、企業家的な活動すら行った海民たちは、いかに日本の社会を彩り、形作ってきたのか。史料を駆使してその豊かな世界を掘りおこし、日本史に新たな地平を切り開いた快著。 -
日本商人の源流 ──中世の商人たち
大阪や東京日本橋界隈の問屋、観光地の朝市、縁日、門前町の商家など、その源流をさかのぼると、多くは中世社会にまでたどり着く。そして彼らの営業形態や商売人としての思想には、中世から引き継がれたものも少なくない。いわば現代経済社会の基礎は中世の商業社会にあるといえよう。本書は長く商業史を牽引してきた著者が、中世の個々の商人像にスポットライトをあてつつ、経済全体の流れについても描いてみせた商業史入門の傑作。朝廷に仕えた供御人、大原女などの行商人、都市の定住商人、戦国の豪商等々、さまざまな商人のしたたかな営業活動が、活き活きと浮かび上がる。 -
日本城郭史
日本人にとって城とは何か。 先入観を打ち砕く、おどろきの城郭研究。 日本の城といえば、姫路城のような天守閣のある建築物。だが、このような形の城郭が成立したのは信長・秀吉の時代になってからである。古代の城柵から近世の御城まで、史料に現れる城をたどってみると、日本という国のかたちが見えてくる。国家の平安を乱す野蛮な軍事施設から、地域の秩序を保つ平和の要へ――。城をめぐる日本人の思考様式を探る、文献史学からみた城郭の歴史。現代人の城郭観も変わる! === 【目次】 序章 城とは何か? 第一章 古代の城郭 第二章 古代から中世へ1――東北の戦乱と王朝の城郭観 第三章 古代から中世へ2――中世城郭の出現 第四章 鎌倉時代の城郭 第五章 南北朝・室町時代の城郭 第六章 戦国時代の城郭 第七章 中世から近世へ 終章 城郭史研究のフロンティア === -
日本人と遠近法
日本の浮世絵はなぜ遠近法をもたなかったのか。浮世絵に限らず、日本の美術は中国やヨーロッパの影響によるものを除き、独自の遠近法をもたなかった。しかし、写実の範囲を超えた造型方法である「視点の移動」が見られる。そこには日本人の伝統的なものの見方が反映されているのではないだろうか。遠近法を突破口に、浮世絵、歌舞伎、宗教から浮き彫りにされる個と全体との関係を論じた日本文化論。 -
日本人なら知っておきたい日本の伝統文化
現代の私たちは日本の伝統文化をあまりにも知らない。それは明治時代に西洋の知識や技術を取り入れるためにつくられた学校教育や近代の学問が、日本の文学や歴史を私たちの心から切り離して論じてきたからだ。伝統的な日本人の心のあり方や死生観はどのようなものだったのか。いま私たちが伝統的と思っているものの多くが、いかにして明治に入ってからつくりだされてきたのか。民俗学や宗教学、倫理学等の観点から近代以降に日本人が見誤り、見失ってきたものを掘り起こす。 -
日本人の身体
「膝」と言えば、ピンポイントの膝頭ではなく太ももの前側全体を指し、「肩」と言えば、肩峰のみならず、首肩まわりの「界隈」を指す……おおざっぱであり曖昧であり、細かいことは気にしなかったはずの日本人の身体観。ところが、現代の身体に関する志向性はこれに逆行している。人間同士の境界も環境との境界も曖昧であったがゆえに、他人や自然と共鳴できていた日本人の身体観を、古今東西の文献や文学、また能の詞章を検証しつつ振り返ることで、「カラダ」と「ココロ」に分裂し、内向きになっている現代の身体観を、打開する端緒としたい。 -
日本人はなぜ「頼む」のか ──結びあいの日本史
平安時代には父親などの「経済的庇護者」、中世には「主従制の主人」との関わりで使われた「頼む」という言葉。また、頼み頼まれる社会関係は近世に「義理」概念を生む基盤となるなど、日本史のなかで意味を変化させてきた。その変化は人と人の結びつきの変化を表している。『万葉集』『源氏物語』から「一揆契約書」「頼み証文」まで、様々な史料に現れる「頼む」の変遷を丹念に読み込み、日本人の社会的結合を描く、まったく新しい社会心性史の試み。 -
日本人無宗教説 ──その歴史から見えるもの
「日本人は無宗教だ」とする言説は明治初期から、しかもreligionの訳語としての「宗教」という言葉が定着する前から存在していた。「日本人は無宗教だから、大切な○○が欠けている」という“欠落説”が主だったのが、1960年代になると「日本人は実は無宗教ではない」「無宗教だと思っていたものは“日本教”のことだった」「自然と共生する独自の宗教伝統があるのだ」との説が拡大。言説分析の手法により、宗教をめぐる日本人のアイデンティティ意識の変遷を解明する、裏側から見た近現代宗教史。 【目次】はじめに 藤原聖子/第一章 無宗教だと文明化に影響?――幕末~明治期 木村悠之介/第二章 無宗教だと国力低下?――大正~昭和初期 坪井俊樹/第三章 無宗教だと残虐に?――終戦直後~1950年代 藤原聖子/第四章 実は無宗教ではない?――1960~70年代 木村悠之介/第五章 「無宗教じゃないなら何?」から「私、宗教には関係ありません」に――1980~90年代 和田理恵/第六章 「無宗教の方が平和」から「無宗教川柳」まで――2000~2020年 稲村めぐみ/おわりに 藤原聖子 -
日本精神史 ――自然宗教の逆襲
1945年の敗戦後、主体性をもたず権力や多数者にいとも簡単につき従う日本人の傾向をどう克服するか、が大きな課題として論じられた。だが、今もこの問題はなんら解決されていない。これほど根深く、空気のようにわれわれの精神を規定しているものは何なのか―それこそが、日本の「自然宗教」である。われわれの心性の背景をなす「自然宗教」とは、どのように生まれ、いかなる特徴をもつものか? なにゆえそれは、この国に「普遍的思想」が根づくことを阻害するのか? 民俗学、歴史学、宗教史、思想史など幅広い知見を渉猟してその淵源を探り、克服へのかすかな道筋を問う。渾身の書き下ろし。 -
日本政治、再建の条件 ――失われた30年を超えて
機能不全に陥った日本政治。いまや自公は少数与党となり、一方で野党はまとまることができず、右派ポピュリスト政党が存在感を増している。こうしたなかで、わが国の政治を立て直すには何が必要か。「平成の政治改革」から現在まで、野党再編、政権構想、選挙制度改革、ジェンダー平等、西欧の右派ポピュリスト政党、2025年参院選など複数の視点から検証。現在地を浮かび上がらせるとともに、来るべき日本政治を展望した、必読の論集! 【目次】はじめに(山口二郎)/第一章 日本政治の失われた三〇年と野党の蹉跌――なぜオルタナティブは生まれなかったか(山口二郎)/第二章 平成の政治改革と「二党制の神話」――なぜ小選挙区比例代表並立制は機能しなかったのか (中北浩爾)/第三章 ジェンダー政治の三〇年――平等で包摂的な社会に向けた成果と課題(辻由希)/第四章 政党政治の危機状況――西欧の混迷から考える(古賀光生)/終章 二〇二五参議院選挙と政党政治の再編(山口二郎)/あとがき (中北浩爾) -
日本政治思想史講義 ――『丸山眞男講義録 第四冊』を精読する
1964年の『丸山眞男講義録』をサブテキストにした法政大学法学部における本講義は、日本神話や古代天皇のあり方に日本の思想的伝統の「原型」を探る丸山の講義をわかりやすく精読。とくに丸山が力点を置いていた鎌倉新仏教の革新性について、その中にヨーロッパの宗教改革に匹敵する世俗化・脱宗教化の動きを見つつ、呪術的な心性も残り続けていくという特徴と、日本独自の政治思想の展開を見る。丸山の直接の教えを受け、その研究を引き継ぎ掘り下げた碩学による名講義。 【目次】はじめに/第1講 日本とは何か/第2講 日本思想における「古層」/第3講 天皇制神話の形成とその諸相/第4講 伝統とは何か/第5講 日本における古代国家成立と日本神話/第6講 日本神話における道徳意識──「心情の純粋性」と「集団的エゴイズム」の結合/第7講 記紀神話における出雲神話の位置/第8講 天皇制の正統性/第9講 国体とは何か/第10講 カリスマ的支配の諸相/第11講 血縁共同体の擬制/第12講 日本政治思想における仏教思想の萌芽/第13講 鎮護国家のための仏教/第14講 平安仏教がもたらしたもの/第15講 末法思想と慈円の歴史哲学/第16講 プレリュードとしての「隠遁」の思想/第17講 親鸞の思想の革新性/第18講 親鸞の思想と政治/第19講 孤高の哲学者・道元/第20講 闘う宗教改革者・日蓮/第21講 鎌倉新仏教のその後──屈折と挫折の諸相/第22講 あらためて「日本」とは何か/あとがき/人名・神名索引 -
日本大空襲 ──本土制空基地隊員の日記
太平洋戦争時、帝都防衛の任をおびていた陸軍飛行第五十三戦隊。その整備兵であった著者は、日本全土への空襲が本格化する昭和19年11月から翌年の敗戦に至るまで、手許にあった文庫本の余白にひそかに日記を書き綴っていた──。苛烈をきわめる各地への空襲とその被害の経過を定点観測のように詳細に記録しつつ、そこに疲弊していく兵士の日常や傍観者たらざるを得ない自身へのやるせなさ、膨らんでいく戦争・国家への疑念、荒廃していく国土や次々と斃れていく戦友への痛切な思いが、随所に差し挟まれていく。等身大の兵士の視点から本土空襲の全貌を綴った貴重な記録。 -
日本地図のたのしみ
日本地図を鑑賞しよう。「ムカツク」地名や人名にしか読めない地名、不思議な飛び地や奇妙な県境など楽しい発見の宝庫だ。その由来を探れば、地形や歴史、あるいは地図制作者の意図が見えてくる。地図の見方や古地図の味わいなど、マニアならではの目のつけどころを、初心者にもわかりやすく紹介する。「机上旅行」を楽しむ地図鑑賞入門。
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