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少子高齢化による労働力不足や、流動的な世界情勢を受け、近年日本に多くの外国人がやってくるようになった。2070年には、人口の約10%に達するとも言われる。それに対し、治安や社会保障に関する不安の声は多く、排外主義も台頭している。移民は日本にとって救世主なのかリスクなのか? 日本は欧米のように分断されるのか? 移民なしではこの国はもたないのか? 第一人者が、エビデンスを基に、移民政策の歴史と未来について考察。移民をめぐる議論に一石を投じる。
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Posted by ブクログ
移民排斥論が跋扈する昨今の日本社会にあって読むべき一冊。日本の移民受入状況や移民政策の歴史的な変遷を全体的に捉える事が出来る。 p.171の以下内容は、日本が国際労働市場に対してフェアでオープンな選択肢を提供しているという事で、国際社会に対する貢献であると同時に、少子高齢化社会への対応の一助にもな...続きを読むる重要な点であると感じた。 -----以下引用 このようにアジアでは国際労働市場が急速に成長、拡大していっている。日本への移住はそういった潮流の中で経済合理的な選択肢として選ばれているものであり、多くの若者にとって人生のチャンスをつかむ、貴重なものとなっている。 繰り返しになるが、移住を希望する個人にとって重要なのは、お金や時間などのコストと移住の結果得られるリターンとのバランスである。日本に来るという選択肢はお金や時間の点において相対的にコスト高であり、実際に来るのはそのハードルを乗り越えてきた人たちである。そのため、いったん来日した後は、できるだけ長く、安定的に学んだり、働いたりすることを目指す。 また、日本の場合、他の欧米先進国と異なり、経済力や人的コネクションなど、先天的に持って生まれた環境に依存せずとも、本人のポテンシャルや努力によって移住することができる、極めてオープンな政策をとっていることも重要である。 今、アジア諸国で成長しつつある新中間層の多くは、新興の大企業を経営する一族の出身でも、旧植民地時代の準支配者層の出身でもない。そういった「普通」の家庭出身の若者たちが、その能力だけで移住することができる唯一の先進国が日本といってよい。 -----以上引用
本書は、政府や国際機関の最前線で活躍する専門家が、移民政策の現状と未来を冷徹かつ緻密に解き明かした一冊である。タイトルにある「どう向き合うか」という問いに対し、本書は安易な感情論を排し、徹底して事実に基づいた正確な現状認識を提示する。 特筆すべきは、日本と世界の移民政策の比較に留まらず、なぜ人々は...続きを読む移住を選択するのかという学術的視点や、送り出し国の構造・体制に着目した国際移住の基礎理論が極めて丁寧に解説されている点だ。こうした多角的なアプローチは、類書とは一線を画す本書独自の強みと言える。第一人者ならではの卓見に基づき、構造的かつ網羅的に整理された内容は極めて示唆に富み、多くの学びを与えてくれる。 また、著者が高い地位にありながらも、現場の声や個別具体的な課題に真摯に耳を傾ける姿勢を堅持している点にも深い感銘を覚えた。国民の移民問題に対するリテラシーを向上させるためにも、広く読まれるべき必読書である。日本の進むべき道を模索し続ける著者の今後の活躍を、心から期待したい。
面白かったところ ■欧州型移民と日本型移民の違い ・欧州先進国は旧植民地からの当時の政策を清算する目的での供給側の都合による人権的移民がメインだが、日本は労働移民を中心とした需要側の都合による移民が多い。この背景の差を踏まえずに欧州型移民問題を日本の未来として議論することはできない。 ■日本の移民...続きを読む政策は世界でも特異なリベラルさ 日本は技能形成を通じた移民受け入れという国際的に見てもユニークな形を選択した。結果として永住可能な「特定技能2号」の創設に見られるように世界でも特異な開放的でリベラルな移民政策を志向する国となった。 ■健康保険タダ乗り問題 外国人が健保の高額医療費を請求する数は日本人と比較し1/3(人口比) ■奴隷開放の影響 日本人が多くハワイやブラジルに移民したきっかけは奴隷開放による労働力不足。
「日本の移民政策は開放的でリベラル」 排外主義スピーチ、ヘイトスピーチが溢れる中、これらに激しい嫌悪感を抱きつつ、移民の実態を自分でも理解できていないことにモヤモヤしていたが、とてもスッキリした。ヘイトを行っている単細胞な人たちがこの本を読むことは期待できないが、漠然とした不安により右派の言動になび...続きを読むきそうになっている人にはぜひ読んでほしい。 欧州の移民政策は植民地政策の清算に端を発していること、これにより家族型移住が多いこと、これに対して日本では技能を測る手法により合理的に長期滞在、永住へのルートが整備されていること。起源が異なる移民政策に対して、安易に単一の結論に結びつけず欧米を追従すべきではないこと。 個人的には大学時代に留学生が非常に多かったため、彼らが親に学費を支援してもらいつつ、限られた時間でバイトして生活費を稼ぎ、レポートを書き、大学院進学まで目指していたことから、そんな彼らが日本の企業や外資に就職して定住するのは当然だろうなあと思っていた。今現在、近所にいる外国にルーツのある人たちにも高度な日本語能力があり、持ち家があり、子供も学校に馴染んでいるため、自分は大学時代の延長でいたのだが、なんとなくその「母国でも勢いのある世代が日本に来ている」という本の記述と自分の感覚が一致してすっきりする。もちろん技能実習生で来ていると思われる若いアジア人グループも見かけるのだが、なるほど高卒以上で移住能力と意欲が一致しているのかと思うと、自分の中に少なからずも低学歴のイメージがあったことは否めず、この本で少しでも実情を知れて本当に良かった。 自分の不安を他人への批判で置き換えては行けないし、少しでも他人のことを知ればヘイトもなくなるのではないか。現実は甘いものではないだろうが、これ以上、移民問題に乗じて排外、ヘイトが増えないことを願うばかりである。
肌感覚からとても近いので私には説得力ある。ベトナムとアメリカ以外の国のことはともかく、いろいろの問題もともかく、感じていたことをうまく説明してくれる。多分かなり言っていることは当たってそうな気がする。
日本における移民や外国人労働者の現実について、データを元に分析する本。 本書の大きな特徴は、国際的な水準との比較を重視していることだ。 「かわいそうだよね」「良くないよね」といった感情的な議論に流されず、一貫して客観的な視点を貫こうとする姿勢が印象に残った。 正直な所、自分は移民や外国人労働者に...続きを読む対する基礎知識が欠けていたため、読み進めるのには苦労した。 (調べつつ、AIに質問しつつ、何とか読み通せました……) しかし、苦労して読んだ甲斐はあったと思う。 自分がいかに無知だったのかを痛感させられた。 本書では、ネットやメディアの多くの言説を、データを元に否定している。 外国人に保険にタダ乗りされている、日本の受け入れ基準は閉鎖的すぎる、移民を受け入れると問題を引き起こす、などだ。 それに対する反論は実際に読んでもらうとして、その説明は納得感のあるものだったと思う。 特に、以下の指摘は非常に重要だと感じた。 ・日本は公式には移民政策を認めていないが、実質的には移民を受け入れている。 この建前と現実のギャップが、管理や排除といった強硬的な姿勢を生む要因になっている。 ・移民が「新たな」貧困や格差を生み出すことはほぼ無い。 しかし排外主義は「今すでにある」移民の生活を破壊する。 ・欧米の「失敗談」を鵜呑みにして、日本にそのまま当てはめようとしてはいけない。 日本と欧米では、文化も歴史もまるで違う。 自分には知見がないので、これらの指摘が本当に正しいのかは分からない。 しかし今後移民問題を考えていくうえで、新たな視座を与えてくれたことは間違いない。
日本の移民政策は国際的に見てもユニークで、人口減少が続くこれからの日本社会に適合的なものになりうる。その基盤の一つを図らずも用意したのは、在日の権利保障をめぐる在留資格についての工夫であった。入管行政の問題点に関する指摘が控えめに過ぎる気もするが、正規で在留する外国人をいかに日本社会の活力につなげて...続きを読むいくか、という視点でもって、この課題について明るい展望を持たせてくれる。
ここ最近読んだ本の中で一番面白かった。国立社会保障・人口問題研究所の中にいる著者による、冷静な日本・世界における移民の分析は「なるほど!」と目から鱗の情報がたくさんあった。 先の参議院選挙から、急速にいわゆる「外国人」政策が全面に出てきた。以前から火の粉は燻っていたが、多くの政党・政治家が自身の票の...続きを読むために煽ったことで燃え盛ってしまった形だ。 著者があとがきの追記で述べているように、かつてのように外国人の「管理と排除」を全面に押し出した移民政策不在の体制に回帰することなく、冷静に議論しなければならない。 とはいえ、多くのSNSや偽情報分析の研究が示しているように、感情は理性よりも先んじるため、これだけ世論で煽られた「外国人」政策をもはや冷静に議論することは不可能に思える。
オトラジシリーズ。 排外主義の声が大きくなる中で、実際の現場での実践とデータに基づく説明が成されていて、とても腑に落ちた。 正しい知識で物事を考えることの大切さを痛感。
世間一般で言われている日本は今後外国人から選ばれなくなるという認識は誤りで特にアジアの人にとっては日本の移住が希望国の上位に来ている。 社会保障の搾取も制度上難しく人口減を抱える日本で移民受け入れは重要なテーマ。排外主義は自国の成長を阻害する。
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