作品一覧

  • 日本・現代・美術
    -
    前近代的な土着性をはらんだ「日本の前衛」、〈つくらないこと〉の呪縛としての「もの派」、岡本太郎の「爆発」、赤瀬川原平の紙幣「模造」、読売アンデパンダン、森村泰昌、村上隆、会田誠……。世界史から切り離され、忘却と堂々めぐりを繰り返す「閉じられた円環」である「悪い場所」日本において、美術の歴史は成立しているのか? 1945年=敗戦以降の美術の動向と批評の堆積を遡行し、歴史的・政治的なコンテクストに位置づける。戦後日本の精神を浮き彫りにし高く評価された、卓越した日本文化論にして著者の主著! 解説 安藤礼二
  • 戦争と万博
    -
    1巻1,540円 (税込)
    1970年大阪万博は、敗戦直後「爆心地」を目の当たりにした男の構想を起点とした。 文明の過剰と滅亡というそのビジョンを覆い隠すように謳われたスローガン「人類の進歩と調和」が響く中、メタボリズムやネオ・ダダといった前衛運動のひとつの極限として「万博芸術」が花開く── 資料と証言を積み重ね、日本で反復される万博の意味を鋭く問う。 【本文より】 技術革新に多くを負ったメディア・アートや、単純な国際性が即、芸術上での前進と取り違えられてしまう安易な進歩主義がまかりとおってしまうことの背景には、われわれが大阪万博における「未来」の問題を、正面から批評して来なかったことに原因がありはしないか。じっさい、大阪万博で芸術家たちが果たした役割がなんであったのかと問うことは、事実上、封印されているといっても過言ではない──そしてそのさまは、なにかに似てはいないだろうか。 (本書第二章「一九七〇年、大阪・千里丘陵」より、一部省略) 【本書の主な内容】 第一章 「爆心地」の建築──浅田孝と〈環境)の起源 戦争と「こどもの国」/焼け跡から「環境」へ、「環境」から未来へ/原爆時代と建築/「列島改造」と「日本沈没」 第二章 一九七〇年、大阪・千里丘陵 人類の進歩と調和/「未来」の矛盾、「世界」の矛盾/未来と夢の廃墟/フジタと太郎 第三章 「実験」から「環境」へ──万博芸術の時代 空間から環境へ──エンバイラメントの会/実験工房からインターメディアへ/巨大なトータル・シアター 第四章 ネオ・ダダとメタボリズム──暗さと明るさの反転 奇矯な明るさ/前衛の突然変異/ふたりの境界人──粟津潔と磯崎新 第五章 戦争・万博・ハルマゲドン 廃墟となった未来都市──電気的迷宮/紀元二六〇〇年の万国博覧会/ハルマゲドン・チルドレン 第六章 そこにはいつも「石」があった 月からの石と投げられた石/穴を掘る──《位相─大地》/石を置く──石子順造と李禹煥/石を売る──『無能の人』/石の時代──環境と芸術 第七章 ダダカンと“目玉の男” 一九七〇年四月二十七日へのタイムスリップ/ダダイスト糸井貫二/「震災」というダダイスム/都市を駆け抜ける裸体  第八章 万博と戦争 映画人・甘粕正彦/バーチャル・シティとしての満洲国=大阪万博/「環境」の起源/『環境開発論』と『日本列島改造論』/曲がりくねったら、それは芸術だ  註 核アトムの時代──「あとがき」にかえて グラウンドゼロ──学術文庫版「あとがき」にかえて 主要参考文献 *本書の原本は、2005年2月に美術出版社より刊行されました。
  • 洲之内徹ベスト・エッセイ2
    -
    1巻935円 (税込)
    「「かすみ草」を見ていると、私はふしぎに、いま自分はひとりだという気がする。いい絵はみんなそうかもしれない」白洲正子がその審美眼に全幅の信頼を寄せた「目利き」洲之内徹。獄中「転向」によって思想の意味を見失い、その場その場を生き延びる習性を身につけた。放蕩と諦観の果てに、洲之内が見出した美への「誠意」とは──。戦前に書かれた最初期の批評を含む美術エッセイの名筆を集めたアンソロジー第2弾。
  • 洲之内徹ベスト・エッセイ1
    -
    1巻935円 (税込)
    「買えなければ盗んでも自分のものにしたくなるような絵なら、まちがいなくいい絵である」。かつて小林秀雄が「今一番の批評」と称賛し、美術エッセイ「気まぐれ美術館」で人気を博した洲之内徹。陰惨な戦争体験を引きずり、癒すことができない飢えを抱えながら、屈託のある達観の文を書いた。振り返られることが少なくなった異才の随想を、稀代の美術評論家・椹木野衣が選りすぐったコレクション。
  • 感性は感動しない――美術の見方、批評の作法
    3.9
    1巻1,870円 (税込)
    子供の絵はなぜいいの?絵はどうやって見てどう評価すればいいのか?美術批評家・椹木野衣は、どのようにつくられ、どんなふうに仕事をして生きているのか?美術批評の第一人者が、絵の見方と批評の作法をやさしく伝授し、批評の根となる人生を描く。著者初の書き下ろしエッセイ集。
  • 高校生と考える日本の問題点 桐光学園大学訪問授業
    3.3
    1巻1,650円 (税込)
    「いまの日本の指導者にいる大人たちの中に、君たちの将来の幸福なんて考えている人間はほとんどいません」―内田樹 豪華講師20人が、中高生に向き合いながら、日本の問題点を語り尽くした白熱1800分! この社会の仕組みはいつまで続くのか? わたしたちはどうやって現代を生き抜くべきか? 文学・社会学・歴史・科学・芸術・政治などさまざまな分野から考えます。 豪華講師が、中高生に向き合いながら、日本の問題点を語り尽くしました。 この社会の仕組みはいつまで続くのか? 白熱1800分!
  • 反アート入門
    4.3
    1巻1,584円 (税込)
    芸術には芸術の分際がある。アートの出生とその証明。ポップアートと死の平等。あまりに根源的な(反)入門書。
  • アウトサイダー・アート入門
    3.9
    1巻1,024円 (税込)
    アウトサイダー・アートとは、障害者や犯罪者、幻視者など正規の美術教育を受けない作り手が、自己流に表現した作品群。40年間、小さなアパートで空想の戦争物語を挿し絵とともに描き続けたヘンリー・ダーガー。手押しの一輪車を心の支えに33年間、石を運び、自分の庭に理想宮を作り上げたフェルディナン・シュヴァル。12歳で入った養護施設で貼り絵と出会った山下清。彼らに通底するのは社会からの断絶によって培われた非常識な表現手法。逸脱者だからこそ真の意味で芸術家たりえた者たちの根源に迫る。
  • 岡本太郎の宇宙1 対極と爆発
    4.7
    1巻1,595円 (税込)
    20世紀を疾走し、屹立した芸術家、岡本太郎。その多面的な活躍は大きなセンセーションを巻き起こした。しかし彼の活動の軌跡は、さまざまな断片として人々の記憶にしまわれ、全体像を捉えるのは難しくなってしまった。はたして、岡本太郎とは何者だったのか―。遺された著作によって伝説と偶像を解体し、その存在の全貌に迫る、決定版著作集。1巻では「対極」と「爆発」というキーワードを手がかりに、若き日の詩文から、大阪万博参加への決意を記したテクストまで、生涯を貫く思想を掴みだす。

ユーザーレビュー

  • 感性は感動しない――美術の見方、批評の作法

    Posted by ブクログ

    良き。すごく。


    ●芸術は、個が全責任を負って観ることができる
    ・観る人の心を動かすもの、が良い芸術であること。
    ・どんな絵に心が揺さぶられるかは、その人にしかわからない。誰にもわかってもらえない。ましてや共有などできるはずがない。
    ・上手なだけの絵は、知識や技の痕跡は垣間見えても、直接、感性を呼び覚ます力、絵を観ることの喜びや哀しみ、怒りや晴れやかさがない作品も多くある。無残である。
    ・本当は、感性を通じて自分の心のなかを覗き込んでいるだけなのに、そのことに気づかないづかない。気づこうとしない。結局、怖いからだろう。誰でも、自分の心の中身を知るのは怖い。


    ●ストーリーと共感の罠
    ・感性

    0
    2019年08月07日
  • 反アート入門

    Posted by ブクログ

    このひとの本を読んだのは初。おれリスペクトする人リストに入りました。いい本です。まず現代アートというものを初めて知りました。今まで何もわかってなかった。わかるっていうのも違うっていうはなしだったけど、そういう観点も含め、感謝。そしてその先、時代や人間や世界やこの国に対する洞察からの切り口、また提言が素晴らしい。読むべし読むべし。

    0
    2019年05月21日
  • 感性は感動しない――美術の見方、批評の作法

    Posted by ブクログ

    ‪エッセイ集ということで、テーマも美術だけではなく、音楽やツイッター、子育てまで幅広い。とはいえ、やはり冒頭の表題作や、鑑賞時の歩くスピードの重要性や基本的に美術は一人で見るもの、といった鑑賞の仕方に触れた一章が一番興味深かった。

    0
    2018年08月18日
  • 岡本太郎の宇宙1 対極と爆発

    Posted by ブクログ

    大好き。
    太郎さんの考え方が、リアリティのある言葉で丁寧に書いてある。
    その考えは突飛なものでもなんでもなく、ただまっすぐ。まっすぐいることは、時にたたかうこと。
    恐れるな、美しくまっすぐ立て、と力強く私を支えてくれる、お守りのような本。

    0
    2017年12月17日
  • アウトサイダー・アート入門

    Posted by ブクログ

    壮絶な内容に身震いがするほどだった。本書に登場する芸術家たちは皆、言葉を失うほど悲惨な体験をした人々ばかりで、もし芸術の神がいるとしたらなんと残酷なのだろうかと思う。彼らの作り上げた「作品」は永久凍土に根を張る木のようにしぶとく、粘り強く、己が環境をバネにするなんて生易しい言葉では済まされないほど毒々しく咲いた血の涙である。ヘンリーダーガーに興味を持ち本書を読んだが、出口なおや田中一村、山下清の生き様に衝撃を受けた。アートって何だろう?三たび自分の心に問いかけるばかりだ。

    0
    2016年08月20日

新規会員限定 70%OFFクーポンプレゼント!