椹木野衣のレビュー一覧

  • 感性は感動しない――美術の見方、批評の作法

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    良き。すごく。


    ●芸術は、個が全責任を負って観ることができる
    ・観る人の心を動かすもの、が良い芸術であること。
    ・どんな絵に心が揺さぶられるかは、その人にしかわからない。誰にもわかってもらえない。ましてや共有などできるはずがない。
    ・上手なだけの絵は、知識や技の痕跡は垣間見えても、直接、感性を呼び覚ます力、絵を観ることの喜びや哀しみ、怒りや晴れやかさがない作品も多くある。無残である。
    ・本当は、感性を通じて自分の心のなかを覗き込んでいるだけなのに、そのことに気づかないづかない。気づこうとしない。結局、怖いからだろう。誰でも、自分の心の中身を知るのは怖い。


    ●ストーリーと共感の罠
    ・感性

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    2019年08月07日
  • 反アート入門

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    このひとの本を読んだのは初。おれリスペクトする人リストに入りました。いい本です。まず現代アートというものを初めて知りました。今まで何もわかってなかった。わかるっていうのも違うっていうはなしだったけど、そういう観点も含め、感謝。そしてその先、時代や人間や世界やこの国に対する洞察からの切り口、また提言が素晴らしい。読むべし読むべし。

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    2019年05月21日
  • 感性は感動しない――美術の見方、批評の作法

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    ‪エッセイ集ということで、テーマも美術だけではなく、音楽やツイッター、子育てまで幅広い。とはいえ、やはり冒頭の表題作や、鑑賞時の歩くスピードの重要性や基本的に美術は一人で見るもの、といった鑑賞の仕方に触れた一章が一番興味深かった。

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    2018年08月18日
  • 岡本太郎の宇宙1 対極と爆発

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    大好き。
    太郎さんの考え方が、リアリティのある言葉で丁寧に書いてある。
    その考えは突飛なものでもなんでもなく、ただまっすぐ。まっすぐいることは、時にたたかうこと。
    恐れるな、美しくまっすぐ立て、と力強く私を支えてくれる、お守りのような本。

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    2017年12月17日
  • アウトサイダー・アート入門

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    壮絶な内容に身震いがするほどだった。本書に登場する芸術家たちは皆、言葉を失うほど悲惨な体験をした人々ばかりで、もし芸術の神がいるとしたらなんと残酷なのだろうかと思う。彼らの作り上げた「作品」は永久凍土に根を張る木のようにしぶとく、粘り強く、己が環境をバネにするなんて生易しい言葉では済まされないほど毒々しく咲いた血の涙である。ヘンリーダーガーに興味を持ち本書を読んだが、出口なおや田中一村、山下清の生き様に衝撃を受けた。アートって何だろう?三たび自分の心に問いかけるばかりだ。

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    2016年08月20日
  • 反アート入門

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    ネタバレ

    「神なき世界で、美術はいかにあるべきか」

    これを読んでいて、村上春樹を解説した本を思い出しました。

    「聖なる天蓋のない世界で、それでも我々は「よきもの」としてあることはできるか」


    当面、自分の手の届く範囲の「ローカルなルール」を打ち出していくこと以外に方法はない、というような話だった気がする。

    芸術の世界に置き換えるとどうなんだろうなぁ。

    「神に代わる何か」という考え方自体が、旧体制のシステムを引きずっていて、「神」の面影が消えない。でも多分、西洋の美術を理解していくためには、このシステムの踏襲は必要不可欠、なのだろう。


    でも、そうではない方法だってあるのではないか、というのが

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    2015年10月03日
  • 高校生と考える日本の問題点 桐光学園大学訪問授業

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    最近受験生の我が息子は、少し遠くの塾に
    日曜日の夜間に通っています。(そんなに必死に
    受験勉強しているわけではないのですが)
    そこで、夫婦も揃って息子を送り届けて
    塾が終わるまで二人でスタバに行って2時間
    くらい待っています。私はじっくり本を読める時間
    なので割と気に入っています。そこで読み終わった
    今回のこの本。
    川崎の桐光学園高校に様々な
    論客(日本のトップクラス)が特別の授業をする
    らしいのですがその授業の内容が本になっている内容。
    こんな高校生はとても幸せだと思いますが
    多分自分が高校生だったときはあまり興味を
    覚えなかっただろうなあと思います。
    でも、それでもそういうことを言っていた

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    2015年06月28日
  • 岡本太郎の宇宙1 対極と爆発

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    ネタバレ

    岡本太郎の著作を5つのテーマに編集した著作集の第一部。テーマは対極と爆発だ。芸術はどうあるべきか、彼の芸術家としての立場はどのようなものか、芸術に対してどのような心構えや想いで望むか、そういったことについて綴られている。対極という考え方は、青年期から10年あまり過ごしたパリで生まれた。当時、アブストラクトアートとシュールレアリスムがパリの画壇でもてはやされていた。これらの絵はそれぞれ抽象と具体を突き詰めていったもので、芸術史上まさに対極に位置する。この相反する立場を、弁証法的に捉え直したのが、岡本太郎の対極主義だ。しかし、ただ合わせるのではない。片方に極端にかけることによって、はじめて激しいぶ

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    2015年02月14日
  • 反アート入門

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    タイトルとは逆に全く入門ではない現代アートの流れにある精神を読み解く書。言葉遣いが読みにくいという意見が多いみたいだけど、読みにくさの中に真意がある(本当に書く力がある人!!)。

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    2015年02月07日
  • 反アート入門

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    芸術関連の本をしっかり読んだのは、これが始めてのような気がする。高校の終わりくらいから、近代と呼ばれる時代に関心を持ち始めて、今までいくつかの衝撃的な本にも出会ったけれど、こちらもその一つとなった。同時に、今まで芸術について関心を払って来なかった自分の視野の狭さを思い知らされた。

    人間から芸術を抜き出せばそれは動物となり、芸術から人間を取り去った時に残るのは機械にすぎません。(p.297)

    アートというものは、突き詰めて考えると、ひとりひとりの人間が、いまここに存在しているという驚きそのものなのです。(p.303)

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    2011年10月31日
  • 反アート入門

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    ネタバレ

    非常に面白く、参考になる本。現代美術の流れを分かり易く解説している良書だと思う。日本の現代美術の一つの理解として、読んでおくべき本であると思う。

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    2011年04月07日
  • 反アート入門

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    ネタバレ

    ちょうど美術史の講義を受けた後に読んだが、講義で勉強した美術史の流れが書いてあり、2度目ということもあり理解しやすかった。美術史の流れをわかりやすくまとめてある。

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    2011年02月21日
  • 反アート入門

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    おもしろい!歴史同様一番近いようで知らない戦後のアートの動きを追いつつ、日本人としてのアートとの関わりを提起する。

    アートは、“ひとはみなひとりで生まれてひとりで死んでいく”という「真理」を「心理」とつなげていくフレームワークになるのではないか。
    過去のコンテクストを踏まえて解釈する知的遊戯としてのアート鑑賞であることを知るとともに、
    ひとが存在していることのメディア(媒介)としての存在意義があるのだと感じました。大満足。

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    2011年02月19日
  • 反アート入門

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    批評ってなんだろう?の答えを美術分野に求めて読んでみた本。

    「アート」、「美術」、「芸術」の言葉の意味から、キリスト教、貨幣価値、冷戦など(西洋の)歴史の流れのなかでのアートの変遷。
    「入門」というだけあって、非常に読みやすく理解しやすい。
    (ん?でも理解できているのか?わたし)

    「批評」については、作品と双子の関係とのこと。
    神様や権力者の手から離れた美は、その存在を自ら保証しないといけない。
    ルールから外れた作品はなかったことになってしまう旨の記述も、なるほどそうか、と納得。

    一番の肝は最終章「最後の門 アートの行方」。

    近代以降の日本(列島)人にとってアート的な価値とは何か。

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    2010年12月31日
  • 反アート入門

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    アートのコンテクストとは?とか、資本主義とアートとか、アメリカとアートとか、みーんなわかり易く説明してくれている。
    赤瀬川、岡本太郎の偉業からこの先まで、考えずにはいられない。日本のアートについて考える際に、まずこれに出会いたかった。

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    2010年12月30日
  • アウトサイダー・アート入門

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    流し読みした

    田村一村と奄美のらい病施設と小笠原医師(浄土真宗の寺出身の異端研究者)の話
    ルイーズ・ブルジョワの作品の原動力(英国人の愛人を家におく父と愛人への怒り、母への憐れみ、社会への怒り「人生を生きるのが男なら、女のは生活のやりくり」)

    などなど興味深かった

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    2025年04月14日
  • 感性は感動しない――美術の見方、批評の作法

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    美術の見方なのかと思ったら、色々徒然なるままに書き綴った一冊。
    でもタイトルの「感性は感動しない」という言葉の意味が腑に落ちた。

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    2023年11月28日
  • 感性は感動しない――美術の見方、批評の作法

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    美術批評家による随筆集。美術や音楽に関することから日常のくだらないことまで色々書いているけれど、特に印象に残ったのは次の2つ。

    1つ目は、冒頭の「感性は感動しない」で書かれている、美術作品を「まとまり」として見るということ。絵や彫刻を見るとき、作品になにか始まりや終わりがあるんじゃなくて、目の前には当の作品という「かたまり」そのものだけがあって、それを総体として捉えるべきだとしている。そのときに感じるのはどんなくだらないことでもよいとのこと。作者がどういう背景で描いたものだとか、どういう技法を使っただとかは二の次であって、自分のそれまでの経験やそのときの感情(というこれらの総体もかたまり)が

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    2023年01月02日
  • 感性は感動しない――美術の見方、批評の作法

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    率直というかなんというか、読んでいて心地の良い文章だなと思いました。喩えもとてもうまくて、こういう表現をする人はどんな風に育ってきたのかな、どんな学生時代を過ごしたのかなと、読み進むうちに興味が深まっていきました。
    「眠りと執筆」や「憑依する音楽」など、感じてはいても普通は見逃してしまったり気づいたら見失ってしまっているような、感覚を言葉に留めているのがすごいなぁと思いました。自分の語彙が少ないのがもどかしいのですけれども。

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    2020年07月28日
  • アウトサイダー・アート入門

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    美術評論家 椹木野衣によるアウトサイダーアートの解説書。ヘンリー・ダーガーを知ったことからアウトサイダーアートに興味を持ち、他にもどんな作家がいるのか気になり手にしました。本書ではフェルディナン・シュヴァル、サイモン・ロディア、ヘンリー・ダーガー、渡辺金蔵、三松 正夫、出口なお、王仁三郎、ルイーズ・ブルジョワ、ジャン=ピエール・レイノー、田中一村、山下清など、西洋だけでなく、日本にも光を当てており、詳細な解説があるため非常に参考になりました。新書という形態のため作品の写真などがあまりなかったのが残念です。

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    2019年07月14日