椹木野衣のレビュー一覧
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良き。すごく。
●芸術は、個が全責任を負って観ることができる
・観る人の心を動かすもの、が良い芸術であること。
・どんな絵に心が揺さぶられるかは、その人にしかわからない。誰にもわかってもらえない。ましてや共有などできるはずがない。
・上手なだけの絵は、知識や技の痕跡は垣間見えても、直接、感性を呼び覚ます力、絵を観ることの喜びや哀しみ、怒りや晴れやかさがない作品も多くある。無残である。
・本当は、感性を通じて自分の心のなかを覗き込んでいるだけなのに、そのことに気づかないづかない。気づこうとしない。結局、怖いからだろう。誰でも、自分の心の中身を知るのは怖い。
●ストーリーと共感の罠
・感性 -
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ネタバレ「神なき世界で、美術はいかにあるべきか」
これを読んでいて、村上春樹を解説した本を思い出しました。
「聖なる天蓋のない世界で、それでも我々は「よきもの」としてあることはできるか」
当面、自分の手の届く範囲の「ローカルなルール」を打ち出していくこと以外に方法はない、というような話だった気がする。
芸術の世界に置き換えるとどうなんだろうなぁ。
「神に代わる何か」という考え方自体が、旧体制のシステムを引きずっていて、「神」の面影が消えない。でも多分、西洋の美術を理解していくためには、このシステムの踏襲は必要不可欠、なのだろう。
でも、そうではない方法だってあるのではないか、というのが -
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最近受験生の我が息子は、少し遠くの塾に
日曜日の夜間に通っています。(そんなに必死に
受験勉強しているわけではないのですが)
そこで、夫婦も揃って息子を送り届けて
塾が終わるまで二人でスタバに行って2時間
くらい待っています。私はじっくり本を読める時間
なので割と気に入っています。そこで読み終わった
今回のこの本。
川崎の桐光学園高校に様々な
論客(日本のトップクラス)が特別の授業をする
らしいのですがその授業の内容が本になっている内容。
こんな高校生はとても幸せだと思いますが
多分自分が高校生だったときはあまり興味を
覚えなかっただろうなあと思います。
でも、それでもそういうことを言っていた -
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ネタバレ岡本太郎の著作を5つのテーマに編集した著作集の第一部。テーマは対極と爆発だ。芸術はどうあるべきか、彼の芸術家としての立場はどのようなものか、芸術に対してどのような心構えや想いで望むか、そういったことについて綴られている。対極という考え方は、青年期から10年あまり過ごしたパリで生まれた。当時、アブストラクトアートとシュールレアリスムがパリの画壇でもてはやされていた。これらの絵はそれぞれ抽象と具体を突き詰めていったもので、芸術史上まさに対極に位置する。この相反する立場を、弁証法的に捉え直したのが、岡本太郎の対極主義だ。しかし、ただ合わせるのではない。片方に極端にかけることによって、はじめて激しいぶ
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批評ってなんだろう?の答えを美術分野に求めて読んでみた本。
「アート」、「美術」、「芸術」の言葉の意味から、キリスト教、貨幣価値、冷戦など(西洋の)歴史の流れのなかでのアートの変遷。
「入門」というだけあって、非常に読みやすく理解しやすい。
(ん?でも理解できているのか?わたし)
「批評」については、作品と双子の関係とのこと。
神様や権力者の手から離れた美は、その存在を自ら保証しないといけない。
ルールから外れた作品はなかったことになってしまう旨の記述も、なるほどそうか、と納得。
一番の肝は最終章「最後の門 アートの行方」。
近代以降の日本(列島)人にとってアート的な価値とは何か。
キ -
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美術批評家による随筆集。美術や音楽に関することから日常のくだらないことまで色々書いているけれど、特に印象に残ったのは次の2つ。
1つ目は、冒頭の「感性は感動しない」で書かれている、美術作品を「まとまり」として見るということ。絵や彫刻を見るとき、作品になにか始まりや終わりがあるんじゃなくて、目の前には当の作品という「かたまり」そのものだけがあって、それを総体として捉えるべきだとしている。そのときに感じるのはどんなくだらないことでもよいとのこと。作者がどういう背景で描いたものだとか、どういう技法を使っただとかは二の次であって、自分のそれまでの経験やそのときの感情(というこれらの総体もかたまり)が