【感想・ネタバレ】アウトサイダー・アート入門のレビュー

あらすじ

アウトサイダー・アートとは、障害者や犯罪者、幻視者など正規の美術教育を受けない作り手が、自己流に表現した作品群。40年間、小さなアパートで空想の戦争物語を挿し絵とともに描き続けたヘンリー・ダーガー。手押しの一輪車を心の支えに33年間、石を運び、自分の庭に理想宮を作り上げたフェルディナン・シュヴァル。12歳で入った養護施設で貼り絵と出会った山下清。彼らに通底するのは社会からの断絶によって培われた非常識な表現手法。逸脱者だからこそ真の意味で芸術家たりえた者たちの根源に迫る。

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Posted by ブクログ

壮絶な内容に身震いがするほどだった。本書に登場する芸術家たちは皆、言葉を失うほど悲惨な体験をした人々ばかりで、もし芸術の神がいるとしたらなんと残酷なのだろうかと思う。彼らの作り上げた「作品」は永久凍土に根を張る木のようにしぶとく、粘り強く、己が環境をバネにするなんて生易しい言葉では済まされないほど毒々しく咲いた血の涙である。ヘンリーダーガーに興味を持ち本書を読んだが、出口なおや田中一村、山下清の生き様に衝撃を受けた。アートって何だろう?三たび自分の心に問いかけるばかりだ。

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2016年08月20日

Posted by ブクログ

流し読みした

田村一村と奄美のらい病施設と小笠原医師(浄土真宗の寺出身の異端研究者)の話
ルイーズ・ブルジョワの作品の原動力(英国人の愛人を家におく父と愛人への怒り、母への憐れみ、社会への怒り「人生を生きるのが男なら、女のは生活のやりくり」)

などなど興味深かった

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2025年04月14日

Posted by ブクログ

美術評論家 椹木野衣によるアウトサイダーアートの解説書。ヘンリー・ダーガーを知ったことからアウトサイダーアートに興味を持ち、他にもどんな作家がいるのか気になり手にしました。本書ではフェルディナン・シュヴァル、サイモン・ロディア、ヘンリー・ダーガー、渡辺金蔵、三松 正夫、出口なお、王仁三郎、ルイーズ・ブルジョワ、ジャン=ピエール・レイノー、田中一村、山下清など、西洋だけでなく、日本にも光を当てており、詳細な解説があるため非常に参考になりました。新書という形態のため作品の写真などがあまりなかったのが残念です。

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2019年07月14日

Posted by ブクログ

ヒリヒリと「生」ににじり寄ろうとする切迫感というか

「そうせざるを得なかった」切なすぎる事情も込みで、

彼らのアートは胸が締め付けられる。

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2019年06月27日

Posted by ブクログ

仕事で、キュレーターの小出由紀子氏に会えそうな機会があったのだけれど、叶わず、本書で憂さ晴らし。
アール・ブリュットと、アウトサイダーアートの呼び分けなど、イマイチよく分かってなかった事も書いてありスッキリ。

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2019年02月07日

Posted by ブクログ

日本奇人伝・椹木野衣ver。
田中一村、山下清はそうだが、出口王仁三郎や、三松正夫まで、レンジの広い人選が素敵な本です。引用にあるように、コリン・ウィルソンのアウトサイダーを下敷きにしてます。21世紀の日本人の美術評論家がリブートした文章です。

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2016年03月20日

Posted by ブクログ

ヘンリー・ダーガーに興味を持って、読み始めました。
アートの世界というのが、必ずしも自由なものではなく、アーティストと名乗るための、いわゆる「王道」があることを知りました。
それと同時に、「王道」から外れたアートがあるということも知り、アートの世界の奥深さを感じることが出来ました。

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2021年10月17日

Posted by ブクログ

ひとの生から決してなくせない負の宿命からこそ生まれ、たった一人でそこに拮抗するために存在する、どこまでも個でしかない芸術の根源的な姿。
"自然"の存在がアウトサイダーたちの感性の底をなすことも興味深い。
コレクティブやコミュニティ意識の広がる現代だからこそ再発見があった。

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2019年11月08日

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