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太宰治との七年間
太宰が愛し信頼した弟子による鮮烈なる記録 野原一夫編集担当の名著57年ぶりの復刊 『互いの個性が切り結び合うドラマ 師弟愛とヒューマニズムが一貫』安藤宏 「いろいろと人の悪口も言ひたい。安心してそれを言へる相手は、誰も無いんだよ。お前の夢を見た夜もある。」(太宰が堤に宛てた書簡より) 「苦しいことがあったら、三鷹の奥で、下手な作家が、下手な小説を、うんうん苦しんでかいていることを思い出してくれたまえ。ひどい失敗ばかりしている、罪の兄貴がいると思えば、気持ちのなぐさまることもあるだろう」(堤と初対面時の太宰の言葉) 「戦後、太宰が名声の確立を代償に失っていったものが堤には直感できていたのかもしれない」 安藤宏 「残念なことをしたな。もう八年早く、お前と知り合っていたら」と太宰に言わしめた愛弟子・堤重久。ふたり並走した鮮烈なる季節の記憶を反芻し、活き活きと語り行動する師・太宰の姿を描き出す。堤が提供した実弟・康久の日記が『正義と微笑』の着想を齎したことでも知られる。師との出会い、やり取りから多くの人間関係、恋、酒、別れまで。貴重な記録を57年ぶりに復刊。 解説:安藤宏 【目次】 初対面の感動 先輩と山岸さん 酒中の文学論 後輩と亀井さん 「斜陽」の女性 武蔵野と銀座 開戦の日 三鷹の一夜 プロポーズ 甲府に遊ぶ 裂かれた恋 奥多摩の壮行会 入隊と除隊 熱海と三保 戦争末期 津軽・三鷹通信 再会と訣別 あとがき 解説 “三鷹サロン”の優等生 安藤宏 -
言葉を失ったあとで 増補版
被害を語る言葉をとりもどすために。 「人の話を聞く」ことを仕事にしてきた二人が、とことん具体的に語りあう対談集。補章「自由な被害者学」をくわえた決定版。 どうすれば、被害について語ることができるのか。どういう言葉なら、当事者は納得できるのか。言葉を禁じることで、どんな語りが生まれるのか。「人の話を聞く」ことを仕事にしてきた二人が、それぞれの来歴から被害/加害をめぐる理解の仕方まで、とことん具体的に語りあった対談集。補章「自由な被害者学」をくわえた決定版。 カバーイラスト ワタナベケンイチ カバーデザイン 有山達也 【目次】 まえがき 信田さよ子 第一章 言葉を失ったあとで 第二章 カウンセリングという仕事、社会調査という仕事 第三章 話を聞いて書く 第四章 加害と被害の関係 第五章 言葉を禁じて残るもの 第六章 ケアと言葉 あとがき――「聞く」の現場の言葉を聞く 上間陽子 補章 自由な被害者学 -
数学ができるとはどういうことか
ひらめきってそもそも何? 問題を解くって何をすること? 「正しさ」をどう考える? 学び方を変える「理解することの本質」 「自分には数学の才能がない」 「習った通りには解けるけど、自分でひらめけない」 もしかするとそれは、数学がわかっていないだけかもしれません。 数学者がゼロから語る、数学ができることの意味と意義。 === 【目次】 第一章 数学の力は才能で決まるのか 第二章 数学をわかっているとはどういうことか 第三章 数学の正しさとはどのようなものか 第四章 数学のゼミでは何をするのか 第五章 問題を解くにはどう考えればよいか 第六章 問題を解けるようになるにはどうすればよいか 第七章 数学を学ぶことにどんな意味があるのか 第八章 数学の考え方で「答えのない問題」に挑めるか 第九章 ひらめく力がなくても数学は学べるか === -
「組織が変わる」には何が必要か ――個人・職場・企業の学習の可能性
アンラーニングで人が動き出す! リーダー、管理職、経営層の方、 この本で会社の問題がマッピングできます。 【組織をめぐる不都合な真実】 ・スター人材は他社に移ってもそこまで活躍できない ・研修を単なる時間つぶしにしてしまう職場の共犯関係 ・ピンチのときこそ、企業の本音が出る ・部下は空気を読むことを学ぶことが多い ・職場の情報を共有することは思いのほか難しい ・職位によって管理職に求められる能力は異なる ・否定的な上司より、気まぐれな上司のほうがときに危険 ・組織ではすぐにバックラッシュが起きる ・キャリア自律の推進はパンドラの箱のようなもの === 【目次】 プロローグ 第1章 学習しない個人を嘆く組織 多層的に発生している組織と個人の「構造的なすれ違い」/「日本の働く個人が学習しない」というのは本当か/個人が学習しない理由/個人が学習しないことの個人レベルの弊害/個人が学習しないことの組織レベルの弊害/熟達化への道―個人の学習メカニズムの把握/学習の道しるべとなる「組織内地図」/「組織内地図」が効果を発揮する理由/「組織内地図」による総合的な学習効果/第1の壁をこえるための、ジョブ・クラフティング/個人のジョブ・クラフティングによる組織効果/学習の停滞を打ち破る外部刺激としての越境/卵が先か鶏が先か 第2章 嚙み合わない上司と部下 たとえ働く個人が学習しても……/忙しすぎる上司/上司の能力の限界もある/嫌われたくない上司は悩む/タイミングを逸すると、大怪我につながる/遠慮し、空気を読む部下/心理的安全性と相性の悪い社会的通念/問題外の「悪魔との契約」/上司の気紛れが引き起こす学習性無力感/手を取り合った成果としての信頼関係の力/職場に埋め込まれている上司と部下 第3章 不合理あふれる「横の関係」 働く個人は組織にどっぷりと埋め込まれている/学習資源を提供する職場集団/グループ・ダイナミクスがもたらす負の結果/頻繁に起こる学習の秘匿化/集団の規範を逸脱するコスト/スターになれば問題解決?/職場の仲間の支援あってのスター/職場内の知識の共有システム、TMS/難化するチーム学習/隠されたプロフィール現象に注意!/職場は組織の一部に過ぎない 第4章 時代遅れの檻が生み出す閉塞感 最深部で生じる傍観者的学習/時代遅れな組織風土に対する若者の戸惑い/正社員の「無限定性」が生み出す全人格的な拘束/既存の仕組みからの恩恵が少ない働き手率の上昇/長時間労働という「最大の壁」/継続か中断か、母親たちが突きつけられる選択/効率の悪いルールや考え方、無駄な仕事に悩む人々/キャリア自律という考え方/日本におけるキャリア自律の普及活動/企業が直面する、キャリア自律のパラドックス/必要になる組織学習メカニズムの理解 第5章 なぜ組織は学習できないのか 多層的な「構造的なすれ違い」の根源にあるもの/組織学習論とは何か/誤解①:「真面目に学習し続ければ、必ず成果は上がる」/U字カーブを描き始める学習曲線/組織アンラーニングと2つの組織学習/誤解②:「組織と個人の価値観がずれたとき、合わせる必要があるのは個人」/本来はニュートラルな存在である学習/鍵は誰目線での評価か/「学習する組織」論とシステム思考/ダンスは一人では踊れない/「構造的なすれ違い」を捉えるフレームワーク/第1章から第4章までの位置づけ 第6章 変えているつもりなのに…… なぜ変わらないのか/本音と建前が入り乱れる「パッチワーク変革」/建前のパッチワークの脆さ/組織としての「揺り戻し」/手段と目的が入れ替わる組織変革は失敗する/シーソーの上のキャンプというメタファー/迷信的学習と制度的同型化/「赤の女王」現象と競争から降りる難しさ/組織学習のパラドックスの発生/「働き方改革」にみる負担の移し替え現象/リスキリングに本気なAT&Tの取り組み/システムの工夫による副作用の「無毒化」/「遠投経営」で変わり続ける 第7章 高次学習に向けたダンス実践のために 「組織アンラーニングの起点」の可視化へ/ナドラー=タッシュマンの整合性モデル/動態的整合性モデルの必要性/女性活用着目の背景の可視化/女性活用はなぜうまくいかなかったのか/変化の時間軸が異なるハードとソフト/整合と不整合の間に存在する法則/X会の事例:フェーズ1としての組織変革前夜/フェーズ2としての変革の初期/フェーズ3に起こった専門職の反乱/変革が実現したフェーズ4/連続した絶え間ない組織アンラーニング/個人と組織で踊る「ダンス」 エピローグ === -
小鳥たちの計画
音楽、映画、本、日々の生活から東京郊外のことまで―― 荒内佑(cero)初のエッセイ待望の文庫化 機知縦横な思考とユーモア、きらめく知性に確かな筆力を感じずにはいられない “tweet”が「小鳥のさえずり」ではなく「つぶやき」と意訳されるずっと前、深夜のファミレスで繰り返されるとりとめのない会話のように──音楽、映画、本、日々の生活から地元の東京郊外のことまでを綴り、機知縦横な思考とユーモア、きらめく知性に確かな筆力を感じずにはいられない。荒内佑(cero)、初エッセイ集に書き下ろし原稿を多数加えて待望の文庫化。 解説 三浦透子 -
日中15年戦争
「戦争へのあこがれ」に抗して 多様な人びとの視点とともに描く全体像 1931年から1945年まで15年の長きにわたる戦争で、日本はどの国にまけたのか? 多様なひとびとの視点を通して全体像を復元する。解説 一ノ瀬俊也 === 1931年から1945年の15年にわたる戦争で、日本はアメリカにのみならず中国にも敗北したのだ 著者は、陸軍の企図・満州利権・戦費調達など国内の政治経済的背景に加え、中国側の論理も含めて戦争の経緯を解く。生々しい戦場の実態や兵士の証言など、個々人にも強い焦点をあてた著者特有の記述が、戦争の真の全体像を浮き彫りにし、戦後日本社会の深層に与えた影響も説明する。歴史教育現場からの発言を続けた著者が豊富な史料を交え、人間の内なる「戦争へのあこがれ」に抗すべく、平和への熱情を注ぎこんだロングセラー。 【目次】 概観 日中戦争と太平洋戦争 一つの質問/忘れられた感覚 第1章 中国革命にはむかうもの 国民革命と日本/山東出兵 「田中外交」の展開/張作霖爆殺事件 第2章 乾いた大陸 満州事変 一九三一年九月十八日 日中十五年戦争の開始/ゼロアワーへの道 満州事変はなぜ起こったか/関東軍と陸軍参謀本部 ある「謀略」の構造 第3章 満州占領 「王道楽土」の現実 たたかいの日々/「満州国」の誕生 第4章 上海のたたかい ある「序曲」 「爆弾三勇士」/「国際都市」上海のたたかい/上海停戦協定 第5章 万里の長城をこえるとき 「ドミノ理論」のゆくえ 国際連盟・脱退/「王道楽土」の幻影/「華北分離工作」の形成 第6章 統一中国への道 大長征 よみがえる中国共産党/「幣制改革」 経済統一の進展/西安事変 第7章 日中全面戦争の開始 「七夕」の夜の銃声 蘆溝橋事件/一九三七年夏・東京/「支那事変」の成立 第8章 苦悶する中国 南京「陥落」/第二次国共合作の成立 八路軍の誕生 第9章 「国民政府を対手とせず」 いわゆる「不拡大派」の敗退/近衛声明/どこへゆく? 近衛内閣 第10章 たたかいの日々 徐州・漢口・広東 一九三八年 徐州 「対支消極持久」方針の成立/『麦と兵隊』ノート/一九三八年 漢口・広東 第11章 生と死の構造 ひもじさの間奏曲/まずしき兵站線/死者たちの群像 苦痛のカルテ 第12章 北のくにの「銃後」 「赤紙」がきた/「銃後」万華鏡 第13章 もう一つの「中華民国」 ある「偽国」の成立 汪兆銘工作/「中華民国」政府の成立 和平交渉の終末点 第14章 「点と線」への道 華中と華南のたたかい/百団大戦 八路軍が反撃する/八路軍のたたかい方 ただ一つの「秘密の兵器」 第15章 「軍国化」の経済構造 軍国財政と国民生活/国家総動員法の成立と展開/軍国日本の土台 戦争が社会を変える 第16章 ある「共和国」の誕生 「辺区」の抵抗の構造 巷にて/晋察冀辺区のなりたち/「辺区」展開図 第17章 ある中国理解者の生涯 尾崎秀実の生と死 尾崎・ゾルゲ事件/彗星の出現/ある死刑囚の最期 “Ecce Homo” 第18章 日中戦争から日米戦争へ 日中戦争と日独伊三国同盟/日中戦争と日米交渉 第19章 たたかいのはてに 12枚のカード たたかいのなかのたたかい 終局 文庫版解説 戦争の全体像復元の壮大な試み 一ノ瀬俊也 -
自分を大切にできない時に読む本
人生には自分を大切にできない時がある 心身ともに疲れちゃった時でも、 より元気になりたい時でもできる31のセルフケア 元気な時はセルフケアができるけれど、介護や育児、仕事に追われたり、心身の不調や高齢化によって、本当はセルフケアが必要なのにできない時に、私たちはどうすればいいのでしょうか? へろへろだった大原扁理と、「どん底」を知る服部みれいが、初級から上級までのセルフケアの方法を伝授します。 <目次> まえがき 大原扁理 第1章 大原扁理の話 人生には自分を大切にできない時がある わたしが自分を大切にできなくなっていった話 原因はわかっているのに解決策を封じられる。どうすりゃいいの? そもそも自分を大切にするって、どういうこと? 起き上がれないままやってみたこと・考えたこと 第2章 服部みれいの話 どうにもこうにも八方塞がりで、袋叩きにあうようなことが人生で起きるのはなぜ? 人生にはどうしようもない時がある ヘロヘロな時にできることは? どん底の背景にある社会にもふと目を向けてみる どのあり方が自然なのでしょうか いよいよ人間の「自然」が発動しはじめているのかも 思春期から20代のどん底だった頃のこと 薬漬けになった心身を土壌改良していった 自己憐憫も被害者もやめた日のこと 自分にかけた呪いは自分で解き放てる 第3章 服部みれいのセルフケア案内 今の自分を越えていく23のケア どん底の自分のままで、不調のまま、今すぐにできることがある どん底の自分のまま、やってみたいこと(3つの「あ」) ケアの前に、3つの状態のこと 第4章 大原扁理のセルフケアレポート 驚きと発見の体験記! 第5章 リアル体験往復書簡 セルフケア、実際やってみてどうだった!? 自分を大切にできない時に読む本リスト 治療院・セラピスト連絡先 あとがき 服部みれい 巻末付録 自分を大切にできているかチェックリストを作ろう セルフケアをすると起こりうるいいことリスト -
なぜイヌとヒトは特別に仲が良いのか
可愛くて、従順な性格には意味がある! イヌはなぜこんなにもヒトと相性が良いのか? ヒトがイヌを愛さずにはいられない理由を、イヌ科学の最前線から解き明かす。 イヌは3万年前から私たち人類のそばで生きてきた。さらに、イヌは他の動物に比べて、人間とのコミュニケーション能力に秀でている。どうしてイヌは自然とヒトに懐く性格になったのか?古代から現代まで続くイヌとヒトの絆の不思議に迫る。 === 【目次】 はじめに なぜイヌとヒトは特別に仲が良いのか 第一章 イヌとヒトの関係を考える方法 第二章 イヌとヒトを結びつけるものとは?──メカニズム 第三章 イヌとヒトの関係はいつから始まったの?──進化 第四章 イヌはどんな環境で育つのが良い?──発達 第五章 イヌとヒトはどうして一緒に暮らしているの?──機能 === -
思考をみがく禅入門
自己の欲望と好奇心を どうするか? 「道」「平常心」「自力」とは── こころの解像度を上げる禅的思考の本質とは。 答はない、あるのは自己のみ。 理屈を超えた、命がけのことばのバトルを味わう。 唐代の『趙州録』から、11の禅問答を抜粋して解説。 本書に登場するキーワード ……平常心 自力 道 明暗 作為 是非 自由 目指さない 意識 無意識 聖者 凡夫 具体 抽象 自己陶冶…… 禅問答は、ことばを使っておこなう、地に足のついた禅僧同士の、ガチな対話の記録である。 唐代の名僧・趙州は、ことばで相手の基盤を揺さぶる達人で、師である南泉との問答には、「道」「平常心」「我欲」「自力」といった禅的思考の本質が凝縮されている。 決してわかりやすいものではないそれは、禅のスタート地点にあるもので、つまずきながら読み込む先に、おもしろさという値打ちがある。 この世で自力で生きていくためのヒントに満ちた11の問答を味わう一冊。 イラストレーション=越井隆 === 【目次】 まえがき 問答という対話のかたち/自己を言語化することの極み/他人とともにことばを使いあう/ことばの自己対象化のはたらき/禅問答とはいかなる問答か/AIに禅問答はできるだろうか/なぜ11の禅問答を読むのか 第1の問答 平常心がそれだ──なにも隠されていない 現実をありのままに認識する/ことばの意味を理解する/よく生きることを意識する/自由であることはむずかしい/こころを汚れに染まらせない/一切の意識をなくすべきなのか/目指さずして意識できるのか 第2の問答 言語化なくして明暗なし 言語化せずに答えられるのか/たれが打たれるべきだったのか/知覚し思考するところを言語化せよ/言語化しないのは甘えだ 第3の問答 なにが有ることを知っているのか 知るべきことを知っている/ウシはそれを知っているのか/異類はよく生きているのか/死んだらどこにゆくのか 第4の問答 火事だ!火事だ! 師と弟子とが火花を散らす/なにごとも自力でやるべし/なぜ鍵を投げ入れたのか/自力とは、自己とは…… 第5の問答 助けて!助けて! ただ助けるふりをするだけ/ちゃんと助けられている 第6の問答 命がけの一言をよこせ──しからずんば諦めよ ほんとうの本末転倒はなにか/本末転倒にもいろいろある/かさねがさねの筋ちがい/我欲をどうやって捨てるか/ヘタな有言は無言にひとしいのか 第7の問答 くやしい!くやしい! 「ことば」がやっていること/ことばは行動についてくる/ズバリと異類になってみせる/ほんとうに問いたったこと/生きることと言語化すること 第8の問答 手綱はもってきたか──それでも自己は捨てきれない その行為はみられている/主体性はどこへいったんだ/いまひとつ?みあわない 第9の問答 理屈にかかずらうな──けれども言語化はサボれない 無言であることはゆるされない/理屈をはなれる仕方もいろいろある/ふたつの仕方のわかりかた/象徴とそれが象徴するもの/ことばで示さないでどうする 第10の問答 なんてこったい! どうして門を開けたのか/ことばは経験にささえられている/ことばは行為をあらわしている/禅問答という特殊空間 第11の問答 ことばは生きている──仏をもとめ、汚れを捨てよ 言語化する隙もあらばこそ/馬祖はなんといっているか/心はただちに仏でありうるか/仏に近づき、汚れを捨てる/「ありのまま」じゃいけない/自覚なくして成仏はない/ほかならぬ自己が成仏するのだ/熟した梅の実は落っこちる/ことばは生のなかに息づく あとがき 参考文献 === -
ファシズムの解剖学
危機は本当に消えたか 運動の始まりから、権力の掌握と行使、そして破局へ その過程を精緻に分析し、現象の本質に迫った名著 20世紀を代表する政治的産物、ファシズム。それは、民族共同体の没落への恐怖を強迫的なまでに抱くとともに、民族の活力や純潔への熱狂に駆られた政治行動の一形態である。本書は従来の思想的定義に留まらず、ファシストの「行動」や保守派・社会との「相互作用」に焦点をあて、その機能的側面を解剖する。イタリアとドイツの事例を軸に、第一次世界大戦の経験から誕生し、権力の掌握と行使を経て、自壊へと到る運動の過程を精緻に分析。現象の本質を余すところなく論述する。ファシズム研究の第一人者による集大成であり、現代の危機を捉えなおすための視座を与えてくれる名著。 【目次】 序文 ドイツ語版および日本語版への序文 第1章 序論 第2章 ファシズム運動の始まり 第3章 根をおろすファシズム 第4章 権力の掌握 第5章 権力の行使 第6章 ファシズム破局への行程――過激化か、それとも拡散か? 第7章 戦後のファシズム、ヨーロッパ以外のファシズム 第8章 ファシズムとはなにか? 注記 訳者あとがき 文庫版訳者あとがき 人名索引 事項索引 -
伝説の出版社 博文館
明治半ばに彗星のごとく現れた出版社・博文館は、たちまち出版界に革命を起こした。書物を廉価で供給し、魅力的な書籍や雑誌を次々に刊行。世代を超えた広範な読者を獲得するとともに、取次・書店などによる流通ルートを整備した。東京堂書店や共同印刷、博報堂などのルーツともなった一大文化王国・博文館はいかにして築き上げられたのか。貪欲な〈近代読者〉の誕生と、豊穣な文学世界の成立の経緯、そして近代出版業という知的システムの構築過程を総合的に描き出す。 【目次】はじめに/序 章 赤手のアントレプレナー/第一章 出版革命の夜明け──『日本大家論集』/第二章 戦争特需の写真雑誌──『日清戦争実記』/第三章 児童文学を創出したカリスマ──『少年世界』/第四章 文芸界の新潮流──『文藝倶楽部』/第五章 巨大なオピニオン・リーダー──『太陽』/第六章 最高級の趣味雑誌──『新青年』/第七章 辞書というベストセラー──『辞苑』/終章 伝説の出版社がもたらしたもの/あとがき/主要参考文献事項索引/人名索引 -
新版 「色のふしぎ」と不思議な社会 ――2020年代の「色覚」原論
丹念な取材から最新科学が示す「色の見え方」の驚くべき多様性と、悩ましい検査の問題が明らかに。20世紀には、学校健診から雇用時検診までありとあらゆる場面で制度的色覚検査が行われ、「異常」の人には大きな制限が課されました。極端な扱いはなくなったものの、未だに前世紀の「色覚」観と検査の問題は社会の隅々にまで浸透しているように思えます。本書は、色覚に関する誤解を塗りかえるべく「色」をめぐる冒険へと旅立った科学作家が、進化生物学、視覚科学、ゲノム科学、医学等の最先端に接して、様々な事象を再点検。「色覚」とは何なのか。そもそも、あなたが見ている赤と私が見ている赤は同じなのだろうか? 取材の末見えてきたのは、「多様性と連続性」の新しい地平でした。多くの取材を通して得た「色覚」についての新しい知見と考察を重ねた1冊。 -
数学史入門 ――微分積分学の成立
ニュートンやライプニッツによって創造された微分積分学。それは近代西欧数学の象徴であり、今日の科学技術社会の基礎である。その学問はいったいどのような思想的・社会的前提の下に成立したのか? 古代ギリシャの公理論・解析的発見法、アルキメデスの無限小幾何学、アラビアのアルジャブル、ヴィエトとデカルトの記号代数学、無限小代数解析の形成をたどり、さらに近代西欧社会と東アジアにおけるその受容までの悠久の歴史を包括的に論じ数学的知識の本質に迫る。東京大学大学院数理科学研究科の講義のハイライトを、一般読者向けに簡明にまとめ直して成った、数学史の重厚さを垣間見せる力作。 -
人間の本性を考える
人間を決めるのは「生まれ」か、それとも「育ち」なのか。いまだに議論の応酬がやまないこの論争に介入し、世界中で大反響を巻き起こした認知心理学者スティーブン・ピンカーの代表作。本書でピンカーは、人間の心は「空白の石版(ブランク・スレート)」であってすべては環境により決定されるという議論に対し、性差など「生まれつき」の要素を無視することはできないとして徹底的な反証を繰り広げる。現代科学の膨大な研究蓄積を武器に、「人間らしさ」の根源を問う、現代の古典というべき一冊。上巻は、人間本性の存在を否定することの危うさを論じた「第III部 四つの恐怖を克服する」まで。 -
新版 知的創造のヒント
『思考の整理学』の原点となった主著。「独創的なアイディアは自分からは出てこない」と諦めていませんか? 日々の思考トレーニングでユニークな発想は生み出せます。本書では著者の経験を踏まえ、個性的な思考を発揮する方法、忘却の効用、雑談のすすめ、メモの是非、本の読み方まで、すぐに実践できる知的トレーニングを案内します。新版に際し、東大生・京大生の疑問に答える特別講義を増補。 -
言葉を復元する ――比較言語学の世界
言語はいかにして生まれ、変化するのか。そのメカニズムを解明するのが比較言語学という学問だ。現存する言語や死語となった言語を突き合わせることで記録以前の言語を再建し、各言語を歴史的に位置づけていくその試みは、ソシュールをはじめとする多くの学者たちを魅了してきた。本書では、ヒッタイト語などの印欧アナトリア諸語のみならず、ギリシア語、ラテン語、古教会スラブ語、古期アイルランド語、ゲルマン語、サンスクリット語など、多数のインド・ヨーロッパ語に通じた世界的な比較言語学者が、その本質や具体的アプローチを丁寧に掘り下げて紹介する。第一人者による最良の入門書。 -
文読む月日
1日を1章とし、1年366日、古今東西の聖賢の名言を、日々の心の糧となるよう、結集・結晶させた、一大「アンソロジー」。最晩年のトルストイが、序文だけでも100回以上の推敲を重ね、6年の歳月を費やし、心血を注いで完成させた。総勢170名にものぼる聖賢の名言の数々は、まさに「壮観」。トルストイ自身、「自分の著述は忘れ去られても、この書物だけは、きっと人びとの記憶に残るに違いない」と語り、臨終の数日前にも、娘タチヤーナに10月28日の章を読ませて、「みんないい、みんな簡潔でいい……、そうだ、そうだ……」と呟いたという。トルストイを敬愛してやまない訳者の「心訳」による、わが国初の完全訳。上巻は1月から5月までを収録。 -
天文学者たちの江戸時代 増補新版
江戸時代、天文学者たちは星を見上げ、暦に命を懸けた。鎖国下の日本で外国の知識やことばと必死で格闘し、研究に身を捧げた人びとを描く情熱の天文学史。/・渋川春海による「日本独自の暦」を作る苦闘/・西洋天文学の導入を目指した徳川吉宗と麻田剛立/・地動説、彗星、星座は当時どう考えられていたか? /・伊能忠敬の全国測量異聞――幻となった間重富の測量計画/・オランダ語を独力で習得し、命がけで「ラランデ暦書」を翻訳/・最新情報を求めシーボルト事件で獄死した高橋景保 etc. /現役の科学館学芸員である著者が、江戸時代の天文学者たちの思索と、ドラマにあふれた人生をたどる。待望の増補文庫化! 解説 渡部潤一 -
資本論 第一巻
剰余価値追求の終わりなき運動、資本主義。本書はそのメカニズムを精密に分析し、社会科学史に聳え立つ。『マルクス・コレクション』版を全面改訳。 貨幣の増殖を自己目的とする終わりなき運動、資本主義。なぜ等価交換に見える商品流通のなかから、富裕化する階級と貧困化する階級との絶対的対立が生じるのか。この矛盾に満ちた資本主義社会の運動法則全体を、マルクスは19世紀イギリスの産業社会を素材に解明しようとした。全4巻を構想しながら、生前に刊行されたのはこの第1巻だけだった。しかしそれは独立性の高い著作として、以後の知的・政治的世界に巨大な影響を与え続けた。上巻には、「第1篇 商品と貨幣」から「第4篇 相対的剰余価値の生産」の「第12章 分業とマニュファクチュア」までを収録。全2巻。 -
ことばの学習のパラドックス
赤ちゃんはなぜことばを正しく理解できるようになるのか? この謎を解く鍵として1980年代に登場したのが「制約」理論だ。人間にはことばに関して正しいかどうかを判断する基準が生得的に備わっている、というのだ。しかし研究が進むにつれ、言語間でのカテゴリー化の違いなど、この理論だけでは説明のつかないことが出てきた。そこで著者が導いたのが「制約」は人間の発達の過程で外的状況や言語にあわせて柔軟にコントロールされる、という仮説だ。本書ではそのメカニズムが巧みな実験により明らかにされていく。認知科学の分野をリードしてきた著者の原点となるデビュー作。 -
大阪の生活史
150人が語り、150人が聞いた大阪の人生。大阪に生きる人びとの膨大な語りを1冊に収録した、かつてないスケールで編まれたインタビュー集。 -
種村季弘コレクション 驚異の函
世界のからくりや不思議を語らせたら随一、教え子であり本書編者でもある諏訪哲史をして「日本の人文科学が世界に誇るべき“知の無限迷宮”の怪人」と言わしめた種村季弘―本書はその博覧強記のエッセンスをぎゅっと詰め込んだアンソロジーだ。ヨーロッパ各地に伝わる吸血鬼伝説を渉猟した「吸血鬼幻想」、自動人形論の金字塔「少女人形フランシーヌ」、ぺてん師研究の白眉「ケペニックの大尉」、怪物誕生を神話の源泉に探る著者畢生の名作「怪物の作り方」などの代表作はもちろん、著者の素顔が透けて見える自伝的随想・講演・読書論・対談まで網羅。没後20年、インチキと不寛容に満ちた現代に放つ文庫オリジナル。 -
なつかしい本の話
「本とは、むしろ存在である」。『アーサー王騎士物語』『モンテ・クリスト伯』『谷崎潤一郎集』…。自身の虚弱さや母との死別といった、堪えがたい現実から幼き著者を解放してくれたのは、病床の枕元に積み上げられた本だった。昭和を代表する文芸評論家が、第二次世界大戦の戦中から戦後の重苦しい空気とともに、本だけが支えであった自身の幼少期から青年期を回想する。 -
増補 決闘裁判 ――ヨーロッパ法精神の原風景
生命を賭して一対一で戦い、その結果にしたがって紛争を決着した「決闘裁判」。中世ヨーロッパに広く普及したこの裁判は、どのように行われ、いかにして終焉を迎えたのか。決闘裁判は、熱湯神判、冷水神判といった神判が禁止された以後も、1819年にイギリスで廃止されるまで存続した。それはなぜか。著者は、解決を他者に任せない自力救済の要素に、現代にまで通じる「当事者主義」の法精神をみる。法とは何か、権利や自由、名誉や正義とはどんなものかといった深い問いを投げかける法制史の名著に、「法と身体のパフォーマンス」を増補した決定版。 -
エラスムス 闘う人文主義者
中世の大ベストセラー『痴愚神礼讃』の名を知る人は多いだろう。ヨーロッパ文化への貢献者に与えられる栄えある賞に今もその名を残す、西洋知性の粋、デジデリウス・エラスムス。宗教改革をはじめ、世俗権力と教会の対立が顕在化し、争いが絶えなかった狂乱の時代を生きた彼は、つねに学問に打ち込み、「何者にもその道を譲らない」という自らの信条が揺るぐことはなかった。派閥に属さない知性的な態度や人間味あふれる魅力的な人柄、「世界市民」としての生き方を、西欧文化を知悉する著者が憧憬をこめて描き出す傑作評伝。 【目次】まえがき/第1章 我、何者にも譲らず/第2章 不信の時代/第3章 変革への底流/第4章 古代へのめざめ/第5章 ふたつの友情/第6章 イタリアへの旅/第7章 ヴェネツィアの印刷業者/第8章 ゆっくり急げ/第9章 『痴愚神礼讃』/第10章 宗教改革の嵐/第11章 嵐のなかの生涯/第12章 自由意志論争/第13章 栄光ある孤立/はしがき -
歪な愛の倫理 ――〈第三者〉は暴力関係にどう応じるべきか
DV(ドメスティック・バイオレンス)に代表される、暴力関係から逃れられないひとには、実際、何が起きているのか。問題系を前提とした〈当事者〉ではなく、特定の個人に注目した〈当人〉の語りから議論を始めたとき、〈第三者〉は、どのようにして応答することができるのか。本書は、「なぜ暴力関係から逃れられないのか」という問いへの通説的な見解に対して、再考を迫る。あるべきかたちに回収されない異なるエートスを探求する、刺激的な論考。 【目次】まえがき 親密な関係に生じる暴力を問う――〈当人〉と〈第三者〉のあいだの亀裂/第1章 なぜ暴力関係から逃れないのか【通説編】――専門家らによる見解/1 加害者から離れたがらない被害者たち/2 専門家らによる代表的な回答/第2章 なぜ暴力関係から逃れないのか【異端編】――語られる歪な愛/1 分離以外の解決策の必要性――「離れたくない」/2 〈当人〉の言葉の真正性――「私は相手のことをよく知っている」/3 依存がもたらす救済――「依存によって生きのびられる」/4 欲望される暴力や支配――「私はマゾヒストである」/第3章 分離とは異なる解決策――DVと修復的正義/1 加害者との関係性切断を拒絶する被害者/2 DVにおける修復的正義の実践「サークル・オブ・ピース」/3 DVに修復的正義を適用することへの批判/4 日本の現状と今後/第4章 暴力的な存在と社会的排除――トルーディ事件を考える/1 トルーディ事件/2 トルーディの真正性/第5章 生きのびるためのアディクション――自己治療・自傷・自殺/1 自己治療仮説/2 日本における「生きのびるためのアディクション」/3 見えなくなっていく死(者)/第6章 介入と治療からの自由/1 〈第三者〉にできること:ドラマ『ラスト・フレンズ』から考える/2 自傷他害とパターナリズム -
中世の覚醒
12世紀の中世ヨーロッパ、一人の哲学者の著作が再発見され、社会に類例のない衝撃を与えた。そこに記された知識体系が、西ヨーロッパの人々の思考様式を根底から変えてしまったのである。「アリストテレス革命」というべきこの出来事は、変貌する世界に道徳的秩序と知的秩序―信仰と理性の調和―を与えるべく、トマス・アクィナスをはじめ、キリスト教思想家たちを激しい論争の渦へと巻き込んでいった。彼らの知的遺産は、現代にどのような意義を持つのであろうか。政治活動の発展と文化的覚醒が進んだ時代の思想を物語性豊かに描いた名著。 -
ゴダール革命〔増補決定版〕
いつ炸裂するかわからない時限爆弾として映画があるとするならば、ジャン=リュック・ゴダールの作品はいかなる条件のもとにそうであるのか、あるいはそうでないのか。映画批評的/映画史的差異を捉えた者だけに現れる問題が存在する──。最初の長編『勝手にしやがれ』から遺作『イメージの本』まで、稀代の映画作家が置かれ続けた孤独。撮ることと観ることとのいまだ決着のつかない闘争の場に対峙してきた著者は、「映画はもはやゴダールなど必要としていない」と断じる勇気を持てと訴える。新たなる孤独の創造のために。ゴダールへのインタヴューなどを再録増補した決定版論集。 -
不動智神妙録/太阿記/玲瓏集
宮本武蔵の『五輪書』、柳生宗矩の『兵法家伝書』とならぶ三大兵法書の一つ『不動智神妙録』。書いたのは武士の家に生まれながらも得度し、大徳寺住持となった禅僧・沢庵宗彭。剣の修行は心の修行に他ならないという「剣禅一如」が初めて説かれた一書で、戦いのみならず万事に対処できる心と体の動きが解説されている。将軍家剣術指南・柳生宗矩に授けられたことから柳生新陰流の聖典となったが、小野派一刀流など他の流派でも広く読まれ、幕末の剣聖・山岡鉄舟も愛読した。併録した『太阿記』は凡人が凡人のまま剣の達人になる道筋を示したもの。『玲瓏集』はわれわれの視野がいかに分別心によって曇らされているかを説く。 -
リヴァイアサン
人間世界における自然状態は、絶対的に自由な状態であるがゆえに各人の各人に対する戦いが絶えない。これをいかに脱し、平和と安全を確立するか──。感覚器官の分析から始まる人間把握を経て、人々が自らの権利を、一人の人間あるいは合議体に譲渡し、政治的共同体を設立していく理路が解明される。イングランドの内乱を背景に、哲学と宗教論の全域にまで考察を行った書『リヴァイアサン』は、近代政治哲学を大きく切り拓くこととなった。この一大古典を17世紀という時代の特性を踏まえた明晰な新訳で届ける。上巻には「第一部 人間について」「第二部 政治的共同体について」までを収める。全2巻。 -
着眼と考え方 現代文解釈の方法〔新訂版〕
伝説の現代文教本には続きがあった! 『現代文解釈の基礎』の著者二人による発展編であり、長年読み継がれた定評のある参考書。現代文を読むには、特殊な知識は必要ない。「考える力」という武器が必要なのだ──。70の小説や評論、詩歌などを題材に、まずは何が書かれているかを理解する「内容的意味の把握」、次にその内容がどのように表現されているかを理解する「表現的意味の把握」、そして両者の総合に必要な「考え方」を丁寧に説く。受験生だけでなく、簡単には正解の出せない問題を、言葉をつかって考えようとする全ての人へ贈る現代文参考書。 -
山岡鉄舟先生正伝 ――おれの師匠
幕末の偉人の一人、山岡鉄舟。剣、禅、書を究め、日本のため、市井の人々のために、全身全霊をなげうった。本書はその鉄舟の内弟子として寝食をともにした小倉鉄樹が、鉄舟から直に聞いたこと、自分自身が同時代人として見聞きしたことを、弟子たちに書き取らせたもの。鉄舟の豪放磊落な人となりや幕末の空気が生き生きと描かれ、歴史的事件の舞台裏も次々と明かされる。中でも「江戸無血開城」のくだりは本人たちのみぞ知る会話が並び、まるで歴史小説のよう。江戸を戦火から守るための、命を懸けた西郷隆盛との交渉は息をのむ。幕末を生きた群像を活写した伝説の書を文庫化。 -
常微分方程式
微分方程式は、自然現象、社会科学的現象、工学的現象等の記述・解析に広範に用いられている。本書は、微分積分学を修得した理工系学生に向けて叙述されたもので、定評あるテキストとして名高い。この本の特徴として次の五つが挙げられる。1、多くの例、それに伴って発生する問題を、多岐にわたって記述。2、行列演算を積極的に用い、行列の指数関数についても活用できるように配慮。3、解の定性的研究について、明確な方向性を提示。4、古典的な複素領域における微分方程式にも言及。5、計算困難な関数形を、多数の図版で視覚化。演習問題も多数収録。 -
ウィリアム・アダムス ――家康に愛された男・三浦按針
徳川家康の外交顧問、三浦按針とは何者か。関ヶ原合戦の半年前、英国人ウィリアム・アダムスが日本に辿り着いた背景には、大航海時代の激動する欧州事情があった。彼が見た戦国時代末期の日本では、カトリックのイエズス会がキリスト教の信仰を広げ、英蘭の東インド会社が貿易の機会をうかがうなど、スペイン、ポルトガル、イギリス、オランダ各国の思惑が交錯していた。家康の側近としてその渦中にあったアダムスは何をなしたのか。二代将軍・秀忠のもとで禁教と鎖国が進むなか、どんな晩年を送ったか。アダムスの生涯から世界史の中の日本史をとらえ直す。 -
原発事故 自治体からの証言
福島第一原発事故当時、現地の役場で何が起きていたのか。途方もない危機が迫っているにもかかわらず情報は乏しく、国や県からの指示もなく、事故対応マニュアルは役に立たない。そして水素爆発の重い音が町中を揺らした。事故の瞬間から避難、さらに復興に向けて、原発災害の過酷な状況に直面した自治体の職員が何を考え、何をしてきたか。石田仁(大熊町前副町長)、宮口勝美(浪江町前副町長)へのインタビューをもとにした証言に、研究者による解説を加えた貴重なドキュメント。 -
武家文化と同朋衆 ──生活文化史論
室町時代、足利将軍に仕え、将軍家のサロンにおいて、茶や華、香、室内装飾などを担当した同朋衆。目利きとして活躍した彼らは和歌、連歌、能楽など多くの芸能にも通じ、北山文化、応永・永享文化、東山文化の骨格を築いた。今に伝わる「日本らしさ」を生み出したアートディレクター的集団だったといえるだろう。彼らは能阿弥・芸阿弥・相阿弥など阿弥号を名乗っていたことから、仏教の宗派、時衆との関係が指摘されてきたが、時衆ではない同朋衆もいる。いったい彼らはどこから現れ、どのようにして文化の中心に立ったのか。同朋衆の実像に迫った類のない研究を文庫化。 -
日本大空襲 ──本土制空基地隊員の日記
太平洋戦争時、帝都防衛の任をおびていた陸軍飛行第五十三戦隊。その整備兵であった著者は、日本全土への空襲が本格化する昭和19年11月から翌年の敗戦に至るまで、手許にあった文庫本の余白にひそかに日記を書き綴っていた──。苛烈をきわめる各地への空襲とその被害の経過を定点観測のように詳細に記録しつつ、そこに疲弊していく兵士の日常や傍観者たらざるを得ない自身へのやるせなさ、膨らんでいく戦争・国家への疑念、荒廃していく国土や次々と斃れていく戦友への痛切な思いが、随所に差し挟まれていく。等身大の兵士の視点から本土空襲の全貌を綴った貴重な記録。
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