作品一覧
-
4.7
-
4.0数学は学問のなかでもっとも確実なもの、疑えないものと考えられている。数学の確かさは、出発点となる命題、つまり「公理」から、「証明」によって新しいことを導き出すという推論のしくみによって保証される。しかし公理や証明それ自体の確からしさは、いかにして基礎づけられるのだろうか? カントールの創りだした集合論が実は矛盾含みであることをラッセルが明らかにすると、数学者たちはこの問題に目を向けざるをえなくなったのだった。公理とは、証明とは何か? 本書はあらゆる数学の基礎となる公理系のしくみ、そして数学全体を見渡す理論である証明論の初歩を、具体例をもとに平易に解説した「数学の基礎」入門である。
ユーザーレビュー
-
購入済み
公理系から初等幾何を展開する
この教科書は、「点」からはじまる7つの無定義用語をさだめ、これらから公理系をつくるのだが、その公理系の対象は座標平面とすることから出発する。この公理系を選ぶところで大切なのは、その公理系から初等幾何がたやすく展開できることであるが、この展開が大変わかりやすく丁寧に説明されている。
練習問題は「証明を完結せよ」というような形式で、学習者が自分で公理系からユークリッド幾何学の定理を考えるようにできている。具体例では定理「相異なるどのような2点に対しても、それらを通る直線がただ1つ存在する。」の証明のあとに出題された問。
この問を考えることで、直線の定義と定理とのつながりを自分でたしかめ -
Posted by ブクログ
大袈裟かもしれないが数学世界全体のエッセンスを一気に得たような気になった。おそらく、数学の本質を述べている書なのだと思う。現代数学というものまで分かったような気になった(実際は門の前に立ったくらいだろうが)。それくらい読んでいい気分にさせてくれる。書いてあることは難しいのだけど、じっくり読めば理解できるくらい優しさがあふれる解説である。中学生か高校生くらいの時に読んでいれば、大学では数学科を選んだかもしれない。いや、そんな人は実際にいるだろうと思う。脳みそは使ったけれど、楽しい読書でした。
文庫版の初版は2020年2月だけど、本自体は1988年のものである。コンピュータについての解説は古いと