リチャード・E.ルーベンスタインの作品一覧
「リチャード・E.ルーベンスタイン」の「中世の覚醒」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「リチャード・E.ルーベンスタイン」の「中世の覚醒」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
Posted by ブクログ
12世紀のイスラミック・スペインでアリストテレスらの古代ギリシャ哲学が再発見されたことを契機として、当時の西欧社会が神や被造世界などの信仰上の概念について理性的な立場から理解を深めていく様を描いた書。アリストテレスのテクストには当然にキリスト教信仰と明確に対立する点があったが、宗教的世界観と理性的世界観が、度重なる論争の中で相互に変容を見せてゆく姿がスリリングに描写されている。
その相互変容を媒介したアリストテレス哲学も、近代以降の啓蒙哲学の発展の中で、次第に過去のものとして否定的に語られるようになる。近代以降の西欧社会が大量消費と大量生産に向かう中で、それまで支配的であったカトリック
Posted by ブクログ
中世は暗黒ではなく現代科学に連なる葛藤の時代。プラトン思想を取り入れたアウグストゥティヌス的なキリスト教思想が下地にあるなか、アリストテレスの自然哲学が西洋に流れ込んだ。神学と自然哲学の間にある矛盾を調停しようと、信徒たちが様々に思想を展開する。革新的な思想は慣習からの距離ゆえに忌避され、時を待って政治的社会的文化的な土壌が整って初めて受け入れられる。そうして時間をかけて、理性と信仰は棲み分けが進んだ。社会に通底する正しさは宗教から科学に取って代わり、信仰は個人的な領域に追いやられた。しかし、科学と宗教の境界に位置する心の領域には、未だ科学では手が届いていない。共通の理念が失われ、科学が十分に
Posted by ブクログ
本書のページ数は500ページ超あり、読み終えるのに多大な時間を要した。中世における思想の百花繚乱を巡る著者の記述は圧巻であった。この本のテーマである信仰と理性は、中世という時代区分に閉ざされているわけではない。現代社会の解決困難な問題がこのテーマに関わっているという著者の主張には読者を喚起させる何かがあるように思う。本書を読むために忍耐を要した。しかしそれに伴い中世における古代思想とその大きな物語を巡ることができる。中世の哲学・思想本は読み終えた暁に根性がつくものが多い。
後書きには、翻訳者さんと山本芳久さんによる解説他読書案内が添えられている。
Posted by ブクログ
本屋で見かけて。「一四一七年、その一冊がすべてを変えた」に似ていると思って読んでみたが似ていた。ルクレティウス再発見の代わりにアリストテレス再発見。ただし1417よりさらに壮大で上を行くおもしろさ。
中世は無知の暗黒時代と言われるがそうではなかった。アリストテレスの理性とキリスト教の信仰を調和させる中世の努力が近代科学の道を拓いた。現代の人間科学(道徳、政治、社会関係など)の課題は理性だけでも信仰だけでも解決できず、中世のような理性と信仰を調和させる活動が今こそ必要である、という主張。
ドゥンス・スコトゥスやオッカム(の剃刀)によって理性と信仰が分離していく転換点が印象的。理性を追求すれ
Posted by ブクログ
これは面白い!中世ヨーロッパにおけるアリストテレスの再発見と受容の話なんだけど、中世と聞いてイメージするステレオタイプの「信仰と迷信に支配され、合理的・科学的思考のない時代」を覆すストーリーを展開する本。あまりに魅力的で異端的だったアリストテレスの自然哲学を、あくまで教会内で、信仰という土台の上でどう消化し、カトリックの中のものとするのかという数百年にわたる論戦(ときに暴力)を時々の登場人物にフォーカスして語る。異端思想の源泉として警戒・禁止されつつも、押したり引いたりを繰り返しながらカトリック神学の中心に咲き誇り、そして時代の権力や経済力が教皇の手を離れていくに従い、教会の枠を離れていく複雑