テーマは利己性と利他性、社会性。集団によってどのように暴力性は生まれるかといった考察は興味深い。
エドワード・O.ウィルソン
高度な社会性を形成する真社会性は、生物進化の歴史上、少なくとも17回実現している。テッポウエビで3回、スズメバチで2回、キクイムシで2回、ハダカデバネズミで2回など。人類で
...続きを読むは、300~100万年前にグループ間の競争があった。競争を好む性質は、群選択によってもたらされた。社会的生物では、グループの中では利己的な個体が有利になるが、グループ全体として行動する場合は利他的なグループが有利になるという法則がある。宗教信仰は部族主義から生まれてきた。哺乳類のバイオマスのうち、人間が36%、家畜が60%を占め、野生動物は4%にしかならない(PNAS, 2018/6/19)。
ティモシー・スナイダー
ポピュリズムによって出てきた人物が、自分は人々の声の体現者であると言いつのることによって、法や体制が意味を失っていき、障害物として払拭されることが危険であり、こうしてポピュリズムはある種のファシズムに変化していく。インターネットでは、嘘は真実より70%も多くリツイートされ、6倍速く広く深く伝わる(Science, 2018/3/8)。ナチのヘルマン・ゲーリングは、「人々を戦争に同意させるのは簡単だ。我々は攻撃されたと言いふらし、平和主義者を国に危機をもたらす愛国心を欠いた卑怯者と言って貶めればいいだけだ」と言っている。
ダニエル・デネット
哲学者は、繰り返し問いかけ批判することで思考を深め、より適切な問題設定をすることに長けている。意識はひとつではなく、非常にたくさんの事柄が一緒になったもの。ありとあらゆる能力とは別に、意識というものが特別に存在すると考えるのは誤り。宗教への信仰をもたない人たちの数は急速に増えている。イスラム過激派の台頭などは、宗教の最後のあがきを見ている。安定した持続力のあるコミュニティには、入口と出口の非常に厳しいルールがある。内部ではかなり透明だが、外部を嫌い、コミュニティからの離脱を厳しく罰する。
ノーム・チョムスキー
アメリカで生まれた多国籍企業は、世界の富の約半分を占めている(ショーン・スターズ2014)
最大の暴力は考えることをせずに素直に指示に従ってしまう善良な一般人によって行われる(ハンナ・アーレント)。