吉見俊哉の一覧
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ユーザーレビュー
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雑誌、世界に掲載されたエッセイを集めたものである。読み易い。学生にとってはハーバードの教育が参考になるが、その通りを望まないであろうことは明白である。
Posted by ブクログ
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大学は死んでいる吉見俊哉☆☆☆
現代の大学論・改革論の基礎を網羅している、著者の見識の深さ素晴らしい
されど日本社会は、少子化・財政逼迫の中で争われ、中期ビジョンの実行のための取組は為されにくい
1.大学の環境変化
①18歳人口激減②グローバル競争激化③Digital革命の社会構造変化
91年大学設
...続きを読む置基準の大綱化
大学院の劣化 教養教育の弱体化
「カレッジ」大学の基本
生活共同体(旧制高校) 帰属の単位→エリートの育成
2.大学改革の機運
①日本社会にとって大学の重要性が高まる
②従来の大学教育には問題があった
③科目数の多さ15科目
米国は5つゼミのごとく 2冊読破/毎週→ハード実質
④大学入試が大学問題ではない
トータルシステムの見直し=教育・成果が本質
3.印刷革命15世紀グーテンベルク活版印刷→知の拡散
Digital革命も知の体制改革へ
大学<出版の隆盛 知の拡大へ
21世紀 Digital革命→新たな「知の再編・再構築へ」
Posted by ブクログ
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大学の系譜的解説。実は大学も多義的なことが理解できた。かなり中身が厚いので再読の価値あり。一応世界史、メディア、リベラルアーツの軸があるらしい。
①中世大学
欧州経済圏の中の自由都市に流浪の知識集団が定着したのが始まり。ボローニャに代表されるように法学(医学)が優越するが、アリストテレスのイスラム再
...続きを読む輸入で神学(学芸諸学)のパリも発展。しかし托鉢修道会の浸透と宗教・領主による分割で大学が硬直し衰退。
②国民国家による再発見
専門学校・アカデミー(実学研究)・印刷革命による出版(知識人網)産業の中、独でカントの「理性と有用性の峻別(哲学の理性の自由)」と共にフンボルトのナショナリズムを背景とした主体的国民育成の為の「研究と教育の統合(=文化)」による個人陶冶が大学を甦らせた。英国では「リベラルな知」として哲学が文学(シェイクスピア)と理学に分割され、米国は大学院(学位制度)を作った。
③帝国大学
啓蒙ナショナリズムから儒学国学に代わって洋学が導入し、実学中心の官立専門学校を統合した「天皇=帝国」の大学として帝大が設立された。主導者森有礼の思想に天皇制とプロテスタンティズムの結合体のもとで国民は主体化する事があったのは面白かった。帝大が広がるにつれ、東大は管理、地方帝大は社会設計、植民地帝大はその両方の分科大学が設立された。また、福沢諭吉の流れを汲む私学や岩波中公の出版業が帝大システムと結合し、教養読者層に支えられた創造知空間(吉野作造等)を形成した。
④戦後大学
南原繁は専門知と総合知の統合を目指し、旧制高校を廃止した。が、大学モラルは崩壊し、対抗運動としての学生闘争も潰えた。高度成長に伴う大学大衆化と理念の矛盾は46答申以後も規制緩和やサービス産業化に於いて継続し、公社構想や法人化、大学院の問題、「学生が大学を選ぶ」などでも噴出した。底流には大学の意義問題があった。筆者は、国家・企業社会に次ぐものは何なのか問題提起している。キーワードは国民国家の退潮とデジタル化(→空間的拘束からの解放・中世大学への再移行)、卓越性(→思想的拘束からの解放?)である。
終章が非常に難解(特に脱指示化あたり)だった。エクセレンスとリベラル知の関係は表裏一体と感じたが、違うのだろうか。
自分はコスモポリタニズム的な考えに懐疑的なのだが、一方で多国籍企業・大学を含めた一大市場が形成されているのは理解できる。しかし、教える側と一部の知識層はその波に乗れるだろうが、大衆はどうなるだろうか。大衆教育という役割を大学が担ってしまった以上、トップ大学とその他で分断が生じてしまわないだろうか(G型L型)。国民国家が希薄になったとして、世界規模の新階級が形成されたらそれはそれで怖い。そうしたときに中世大学の結末が気になりもう一度最初に戻り、歴史の循環性を疑うのもなかなか面白いものである。2021/1/23
(注:その後丸山眞男の議論を読み、本書の議論の流れが丸山の議論を踏まえていることがわかった)
Posted by ブクログ
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日本の「大学」が劣化している。その一番の原因は、国民の無関心、誤解、保守的思考…。
結局のところ「大学」を真に改革するには、日本の社会自体を改革しないといけない。しかし世間は社会の改革に乗り気ではない。だから日本の「大学」は、経済とともに国際競争から取り残されていく。
そもそも、「大学とは何
...続きを読むか」から始めなければ、改革は「ボタンの掛け違い」のまま悪化の位置図をたどる。それを歴史的経緯と並べて示したのが本書である。
これを読んだ読者は、では何をすれば今日の窮地を改善させることができるのだろう…ただただ、途方に暮れてしまう。
だが本書にはヒントもある。社会人も再び「大学」という場で学ぶ、ということだ。
終身雇用制度も綻び、セカンドキャリアなどが当たり前の時代になってきた。最先端の研究も十数年前より格段に進んだ。人生100年時代ともいわれるようになった。二十歳前後で学んだ知識だけでは、到底かなわない。
各個人が学ぶことをやめないこと。
これが、日本の「大学」および日本社会を発展させる一番の方法である、と感じた。
Posted by ブクログ
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「大学」という定義が歴史的にいかにゆらぎ、崩壊し、形を変えてきたのかを概観できる。「大学とは何か」に答えることではなく、この問いが成り立つ複数の地平の歴史的変容を捉えた本。
あとがきでは、大学は自由を基本原理に据えたメディアだと定義。
Keyは、「自由」やキリスト教思想、大学と出版文化の関係、にあり
...続きを読むそう。
印象的な問いは「大学は誰のためか」。
Posted by ブクログ
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