Posted by ブクログ
2022年03月05日
●引用、→感想
●渡辺さんの「まちあるき=コンテンツツーリズム」論のポイントは、街歩きが単なる物語の追体験以上のものだという認識です。たとえば彼は、コンテンツツーリズムの原型として「文学散歩」に言及しますが、そこで実践されてきたのは、単なる作品の読者による追体験ではなく、「作品を現実の都市と結びつ...続きを読むけ、重ね合わせる」生産的な場の生成でした。そこではまず、「作品との関わりの中で都市の記憶が形作られ、また変容を蒙りつつ、われわれの中に刻み込まれ」ます。しかし、そうした作品を通じた集合的記憶は、その都市を巡る集合的イメージが形作られる基盤ともなり、そうしてメディアのなかの物語は「都市の側にも投げ返され、そのイメージを作り変えてゆくというダイナミックな関係」が生み出されます。「街語り」と「街歩き」と「街作り」のトライアッドな関係が存在するのです。
●つまり、「おばあちゃんの原宿」は、一方では「病治癒」の信仰に支えられ、他方では安価な食料品や衣料品のバラエティーに支えられてきました。それはちょうど、若者たちの間で原宿の人気がいっぽうではテレビ局やメディアとのつながりによって、他方では無数の小さなショップに支えられてきたのと似ていなくもありません。
●浅草から東武伊勢崎線に乗ると一駅で「とうきょうスカイツリー」駅です。実際、東京スカイツリーは浅草から驚くほど近く、もしも東京クルーズの浅草船着場辺りから対岸に遊歩橋が架けられ、スカイツリーまでの掘割になっている北十間川沿いの遊歩道が整備されれば、浅草からスカイツリーまでを一体的な遊歩空間として演出できます。→初出が何時かは分からないが、2020年6月には東武線隅田川鉄橋の付帯して人道橋(すみだリバーウォーク)が架橋、また北十間川沿いの遊歩道も整備された(「東京ミズマチ」ウエストゾーン)
●当時、寛永寺に立てこもっていたのは、幕府の正規軍ではなく、薩長連合軍に反感を持つ志願兵の寄せ集めでした。数だけは数千いたようですが、所詮は寄せ集めの部隊、組織的に戦ってきた薩長連合軍にかなうはずもありません。最初から勝負はついていたのです。ですからこれは、圧倒的に優勢な相手に対するヒロイックな抵抗という点で、その約100年後に起きた東大安田講堂での全共闘の学生と機動隊の攻防戦にすら比せられます。