【感想・ネタバレ】東京裏返し 社会学的街歩きガイドのレビュー

あらすじ

これからの注目は「都心北部」だ! 『都市のドラマトゥルギー』から三〇年以上を経て、社会学者・吉見俊哉の新たな都市論が完成。これまでに東京は三度「占領」されている。一度目は徳川家康、二度目は明治政府、三度目はGHQによって。消された記憶をたどっていくと、そこに見え隠れするのは、日本近代化の父と称される渋沢栄一であった。本書の中核をなすのは、都心北部―上野、秋葉原、本郷、神保町、兜町、湯島、谷中、浅草、王子といったエリアである。これらは三度目の占領以降、周縁化されてきた。しかし今、世界からも注目される都心地域へと成熟している。まさに中心へと「裏返し」されようとしているのだ。詳細地図つきで街歩きガイドとしても最適。○「街を見失わないために、ゆっくり移動することの価値を復権させましょう。エンデが『モモ』のなかで示した時間論を、私たちは東京の街歩きにも活かしましょう。モモの冒険が「灰色の男たち」から人々の時間を取り戻す挑戦であったのと同じように、私たちの街歩きもまた、高度成長期以降の開発主義の東京から、再び人間的時間を取り戻す戦略を含むことになります」――吉見俊哉

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Posted by ブクログ

大変面白かった。渋沢栄一と川の関係性に唸る。コロナ禍が落ち着いたら、この本を片手に歩いてみたい。地形を知ることで歴史を学び、自分の足で感じることで、街の見え方が変わってきそう。

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2021年05月07日

Posted by ブクログ

東京人21年10月号の特集「上野の杜の記憶」で著者とこの本を知る。
東京の東北部を七日間で歩いて過去を思い、感じて、未来を考えることのできる本。
ただし実際に歩くには、この本だけでは新書故の文量制限もあり、情報不足は否めない。特に地元民ではない者は事前の予習や地図アプリ持参などの準備が必要だろう。

第1日 都電荒川線に乗って東京を旅する 鬼子母神~雑司ヶ谷~巣鴨~王子・飛鳥山
第2日 秋葉原-上野ー浅草間に路面電車を復活させる 万世橋・秋葉原~上野~浅草
第3日 動物園を開放し、公園を夜のミュージアムパークに 黒門~上野東照宮~博物館動物園駅~寛永寺~不忍池
第4日 都市にメリハリをつけながら、古い街並みを守る 谷中~鶯谷~三ノ輪・山谷
第5日 都心北部で大学街としての東京を再生させる 神保町~東大本郷~池之端・根津
第6日 武蔵野台地東端で世界の多様な宗教が連帯する 水道橋~御茶ノ水~湯島~御徒町
第7日 未来都市東京を江戸にする 蔵前~柳橋~日本橋~水上ツアー~平将門首塚
自分の生まれ育った地域が台頭区なので面電車伸長や首都高廃止など未来への提言も賛同できること多数。

下町地区の政治家はこの本から未来の街づくりを考えて欲しい。

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2024年05月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

<目次>
はじめに 「モモ」と歩く東京~時間論としての街歩き
第1日  都電荒川線に乗って東京を旅する
第2日  秋葉原-上野ー浅草間に路面電車を復活させる
第3日  動物園を開放し、公園を夜のミュージアムパークに
第4日  都市にメリハリをつけながら、古い街並みを守る
第5日  都心北部で大学街としての東京を再生させる
第6日  武蔵野台地東端で世界の多様な宗教が連帯する
第7日  未来都市東京を江戸にする

<内容>
最初はちょっと小難しいが、東京の再生プランを歴史軸を作りながら観ていこう、という本。今の東京は無機質に発展している。それも西の新宿・渋谷・六本木など。さらにウォーターフロント。しかしそこには思想がない。とっちらかしただけだ。著者は、東京は北部武蔵野台地東端に面白さがあり、その面白さは江戸時代に(場合にはよってはもっと昔に)作られ、近代化が進んでも痕跡が残されている。21世紀にはいり、発展が止まった日本の再生として、その面白さをうまく引き出すような都市づくりをしよう、という。7日間の旅をぜひ読んでほしい。いろいろと面白い視点が掲げられる。それはその辺にあるガイドブックとは一線を画したものだ。

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2020年08月27日

Posted by ブクログ

●引用、→感想

●渡辺さんの「まちあるき=コンテンツツーリズム」論のポイントは、街歩きが単なる物語の追体験以上のものだという認識です。たとえば彼は、コンテンツツーリズムの原型として「文学散歩」に言及しますが、そこで実践されてきたのは、単なる作品の読者による追体験ではなく、「作品を現実の都市と結びつけ、重ね合わせる」生産的な場の生成でした。そこではまず、「作品との関わりの中で都市の記憶が形作られ、また変容を蒙りつつ、われわれの中に刻み込まれ」ます。しかし、そうした作品を通じた集合的記憶は、その都市を巡る集合的イメージが形作られる基盤ともなり、そうしてメディアのなかの物語は「都市の側にも投げ返され、そのイメージを作り変えてゆくというダイナミックな関係」が生み出されます。「街語り」と「街歩き」と「街作り」のトライアッドな関係が存在するのです。
●つまり、「おばあちゃんの原宿」は、一方では「病治癒」の信仰に支えられ、他方では安価な食料品や衣料品のバラエティーに支えられてきました。それはちょうど、若者たちの間で原宿の人気がいっぽうではテレビ局やメディアとのつながりによって、他方では無数の小さなショップに支えられてきたのと似ていなくもありません。
●浅草から東武伊勢崎線に乗ると一駅で「とうきょうスカイツリー」駅です。実際、東京スカイツリーは浅草から驚くほど近く、もしも東京クルーズの浅草船着場辺りから対岸に遊歩橋が架けられ、スカイツリーまでの掘割になっている北十間川沿いの遊歩道が整備されれば、浅草からスカイツリーまでを一体的な遊歩空間として演出できます。→初出が何時かは分からないが、2020年6月には東武線隅田川鉄橋の付帯して人道橋(すみだリバーウォーク)が架橋、また北十間川沿いの遊歩道も整備された(「東京ミズマチ」ウエストゾーン)
●当時、寛永寺に立てこもっていたのは、幕府の正規軍ではなく、薩長連合軍に反感を持つ志願兵の寄せ集めでした。数だけは数千いたようですが、所詮は寄せ集めの部隊、組織的に戦ってきた薩長連合軍にかなうはずもありません。最初から勝負はついていたのです。ですからこれは、圧倒的に優勢な相手に対するヒロイックな抵抗という点で、その約100年後に起きた東大安田講堂での全共闘の学生と機動隊の攻防戦にすら比せられます。

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2022年03月05日

Posted by ブクログ

この本を片手に歩いてみたいと思ったのですが、イマイチ読んでてワクワク感が生まれないのは何故でしょうか⁈

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2021年11月02日

Posted by ブクログ

路面電車を復活させるとか、高速道路を取り払うとか、もっと川筋や水上交通などをとか、面白い提言もたくさんあり、大学や渋沢栄一のことなども面白かったけれど、吉原の遊女たちの悲惨さ壮絶さや平将門のあたりはずっしりと重たくなった。どんな都市も多くの死の上に成り立っているのだから、避けても通れないわけだけれど。ピカピカのビルやタワマンの下に、死や怨が重なっていくつもの歴史の層を成している。

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2021年02月13日

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