あらすじ
これからの注目は「都心北部」だ! 『都市のドラマトゥルギー』から三〇年以上を経て、社会学者・吉見俊哉の新たな都市論が完成。これまでに東京は三度「占領」されている。一度目は徳川家康、二度目は明治政府、三度目はGHQによって。消された記憶をたどっていくと、そこに見え隠れするのは、日本近代化の父と称される渋沢栄一であった。本書の中核をなすのは、都心北部―上野、秋葉原、本郷、神保町、兜町、湯島、谷中、浅草、王子といったエリアである。これらは三度目の占領以降、周縁化されてきた。しかし今、世界からも注目される都心地域へと成熟している。まさに中心へと「裏返し」されようとしているのだ。詳細地図つきで街歩きガイドとしても最適。○「街を見失わないために、ゆっくり移動することの価値を復権させましょう。エンデが『モモ』のなかで示した時間論を、私たちは東京の街歩きにも活かしましょう。モモの冒険が「灰色の男たち」から人々の時間を取り戻す挑戦であったのと同じように、私たちの街歩きもまた、高度成長期以降の開発主義の東京から、再び人間的時間を取り戻す戦略を含むことになります」――吉見俊哉
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Posted by ブクログ
<目次>
はじめに 「モモ」と歩く東京~時間論としての街歩き
第1日 都電荒川線に乗って東京を旅する
第2日 秋葉原-上野ー浅草間に路面電車を復活させる
第3日 動物園を開放し、公園を夜のミュージアムパークに
第4日 都市にメリハリをつけながら、古い街並みを守る
第5日 都心北部で大学街としての東京を再生させる
第6日 武蔵野台地東端で世界の多様な宗教が連帯する
第7日 未来都市東京を江戸にする
<内容>
最初はちょっと小難しいが、東京の再生プランを歴史軸を作りながら観ていこう、という本。今の東京は無機質に発展している。それも西の新宿・渋谷・六本木など。さらにウォーターフロント。しかしそこには思想がない。とっちらかしただけだ。著者は、東京は北部武蔵野台地東端に面白さがあり、その面白さは江戸時代に(場合にはよってはもっと昔に)作られ、近代化が進んでも痕跡が残されている。21世紀にはいり、発展が止まった日本の再生として、その面白さをうまく引き出すような都市づくりをしよう、という。7日間の旅をぜひ読んでほしい。いろいろと面白い視点が掲げられる。それはその辺にあるガイドブックとは一線を画したものだ。