「文系学部廃止」の衝撃

「文系学部廃止」の衝撃

ビジネス・実用
748円 (税込)

3pt

2015年6月に文科省が出した「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」の通知を受け、各メディアは「国が文系学部を廃止しようとしている」と報じ、騒動となった。これは事の経緯を見誤った報道ではあったものの、大学教育における「理系」偏重と「文系」軽視の傾向は否定できない。本著では、大学論、メディア論、カルチュラル・スタディーズを牽引してきた著者が、錯綜する議論を整理しつつ、社会の歴史的変化に対応するためには、短期的な答えを出す「理系的な知」より、目的や価値の新たな軸を発見・創造する「文系的な知」こそが役に立つ論拠を提示。実行的な大学改革への道筋を提言する。【目次】第一章 「文系学部廃止」という衝撃/第二章 文系は、役に立つ/第三章 二一世紀の宮本武蔵/第四章 人生で三回、大学に入る/終章 普遍性・有用性・遊戯性/あとがき

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  • カテゴリ
    :
    ビジネス・実用
  • ジャンル
    :
    学術・語学 / 教育
  • 出版社
    :
    集英社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    集英社新書
  • タイトル
    :
    「文系学部廃止」の衝撃
  • タイトルID
    :
    370589
  • ページ数
    :
    256ページ
  • 電子版発売日
    :
    2016年04月22日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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「文系学部廃止」の衝撃 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    この国に蔓延る文系無意味論と前面から対峙し、「役に立たないが価値がある」ではなく「役にたつ」と喝破する論は斬新かつ説得力があり目から鱗であった。教養、リベラルアーツ、一般教育の差異を歴史的文脈から明らかにし現代の大学の混沌とした議論を整理したところは特に爽快であった。知のあり方の違いという点で見落とされがちな人文系の意義を再確認できた一方、大学の危機に暗澹とする気にもなった。

    0
    2025年06月28日

    Posted by ブクログ

    巷で耳にする"そんなん学んで何になるの"という言説に漠然とした不安を抱えている文系学習者にお勧めしたい一冊。文系の知が役に立つことを述べてくれるだけでなく、個人的には文系の論文の構成について詳しく述べているので、論文作成時にも役立つと思う。
    吉見先生のゼミ、時間があれば参加してみたいな〜!今期のシラバスも凄かったそうな

    0
    2020年04月09日

    Posted by ブクログ

    タイトルがキャッチーすぎて、コアな人文系の人々が敬遠するのではないかと心配してしまうけれど、とても読みごたえのある良い本だった。

    教養とリベラルアーツの違い、文・理の区別の歴史的背景、文系は社会にとって長期的に役に立つということ、未来の大学像などなど、文学部の学生としては興味深い話題ばかり。

    日本の文系軽視の問題だけでなく、現代において「学ぶこと」の価値とは何かというところまで深く掘り下げているので、文系や大学関係者だけでなく、あらゆる人に読んでほしい。

    0
    2017年11月13日

    Posted by ブクログ

    『大学とは何か』が大学論の基礎文献ならば、この本は現代日本への応用編。キャッチーなタイトルに反して、中味の射程は深い。前半の報道とその反応をめぐる浅薄さは痛快。学問の有用性を問い直す中で、文化にとって根源的な遊戯性の指摘で締めたことが印象的だった。

    ・大学には、学生や保護者への説明責任が大学にはあるのですが、説明責任を負うことと奉仕することは違います。
    ・「教養」は国民国家的な概念。グローバル教養は形容矛盾。
    ・イギリスでは「カレッジ」とは学寮のことで、学生が所属する大学の基本単位。日本でいえば学部。米国では「大学院」と「高校」にはさまれた「学部レベル」の教育課程を意味する。
    ・「教養」がどちらかというと近代産業文明の中で国民の人格を陶冶・涵養するために過去の伝統との結びつきを強調したのに対し、「一般教育」は人類の未来的な課題に立ち向かう能動的な知性を具えた市民の育成を目指した。リベラルアーツ=中世的な貴族社会、教養=近代的なブルジョア社会、一般教育=現代的な民主主義社会に対応。
    ・人文社会科学の様々な知は、その本質において、複眼的で流動的な「価値」を問い、観察し、分析し、批判し、創造していく視座や方法として、19世紀から20世紀にかけて形成された。
    ・大学はそもそも高度な知識を備えた教師と学生の協同組合として誕生したのであり、この協同組合の掛け金は「資本」ではなく「真理」でした。
    ・もはや教育と研究だけで大学がその価値を証明するのは難しい時代であり、社会的実践という第三の要素が重要になってきている。
    ・中高で要求される優秀さは確実な記憶力や思考の緻密さ、地道な努力など「失敗しない能力」。大学は、そうした基礎に立ちつつも、むしろ「失敗する能力」が求められる。
    ・日本の大学で25歳以上が占める割合は2%。世界は20%。
    ・文系において論文とは、著者の問いについての学問的方法論に基づく「認識」の深まりを、実証的な根拠を示しながら文章として構造化したもの。(このあと論文論もあり)
    ・個人的動機と学問的問いは別。問題意識は後者。
    ・大学と専門学校を隔てる最大のポイントは、大学は社会的需要に応じて、人材を供給する訓練所ではないこと、そのような神座自受用の短期的変動を超える時間的な長さや空間的な広がりを持った価値と結びついていることにある。
    ・ホイジンガ:遊びは文化の周縁にあるのではなく、文化は遊びを通して生成する。遊びのないところに真に充実した意味は見いだせない。

    0
    2016年04月12日

    Posted by ブクログ

    半ば反抗的に、文系はいかにして役に立つのかを説いてるように見えてしまった箇所有り。
    視点は違えど、大局的には「役に立つか否か」という土俵で議論を始めたのは主張の本筋からズレている気がした。
    ただそうでもしないと内容の片鱗さえも伝わらないことを危惧した結果なのであれば、分からなくもない。

    理系は何を扱い、文系は何を扱うのか、その説明から丁寧に行えば、自ずと「文系」の存在意義が浮き彫りになるのではと強く思うが、記憶に残っていない(書いてるかもしれないけど)。
    一方、鷲田清一先生が書かれた「文系が危ないのではない。文化が危ないのだ。」という紹介文は極めて的を得ていると思う。

    0
    2025年11月27日

    Posted by ブクログ

    「文系は役に立たないが価値はある」という言葉に対し「役に立つ」と言い切り、ずんずん進んでゆく本書を読んでいると、学ぶことへの勇気が湧いてくる。

    理系の知を、確立した価値体系の中で問題提起(目標)と解決を短期的に達成することを目指したものとおき、文系はそれに対して価値そのものを見つめる(「価値とは何か?」という問いを有する)とおく。

    確かに50年後、100年後の社会が現在と同じ価値基準で動いているとは思えない。(50年前と今がそうであるように)
    そしてまた、自身の50年後(生きていれば)を考える上でも、この意味をよく分かっておかなければならないように思う。

    筆者も言及しているように、今後、日本社会は超高齢化社会を迎える。
    子どもが少ない中で日本はどのような「成長」を遂げるべきなのかではなく、中年~老人がいかに生きるべきなのかを考える時代がやってくると思う。

    この本では大学の成り立ちや、では何故、理系が優遇され文系が淘汰されてきたのかというパワーバランスについても触れられていて面白い。
    神という価値、国という価値を経て、今はやはり学ぶ者自身が価値の取捨選択のしやすい時代になったと思う。
    (教養は国としての価値を体現したもので、国境を越えることが難しいという言葉が印象的だった。確かに。)
    そして今後、大学で学ぶ者の年齢幅を大きく増やした時、やはり筆者の言う文系的な知にまた戻って来ざるを得ないような気がする。

    AI台頭と英語の実用化が巷を賑わせている中、プログラミングや英語四技能が青年教育の中核を担っていくようだ。
    とすれば、そうした社会の「価値」の次には一体何がやってくるのだろう。

    三年ほど前に出版された本なので、続いて最新作も読んでみたいと思う。

    0
    2020年01月22日

    Posted by ブクログ

    2015年6月の文科省による「国立大学法人等の組織・業務全般の見直し」通知から始まったメディア報道の騒動から解き明かし、「理系」偏重と「文系」軽視の傾向がこの時に始まったものでないことを分かり易くひも解いてくれる。遠く岸内閣時代の松田文部大臣の説明にさえ、そのことがでてくるという。文系は大学にとってはお金がかからず、学生を集められるということから私学がそれを歓迎していたというおまけには、苦笑いまでしてしまう。つまり大学とは何かそのものが問われるテーマであるとの説明。「文系は役に立たないが、価値がある」という議論ではなく、「文系は必ず役に立つ。それは今後の経済成長に貢献するという手段的な有用性に限定しない。価値の軸の変化を予見したり、先導したりする価値創造を可能にし、長く役立つ教育」をアピールする。長期的には理系以上に役立つ、ことの主張である。しかし、国立大学の教員人数の8割を理系が占め、その結果、学長も理系が多いとの現状はお寒い次第である。もう一度、大学は「国家や企業社会に奉仕するのではなく、人類的な価値に奉仕する」ことを確認し直す必要があるだろう。12世紀から始まる中世の大学に始まる「リベラルアーツ」と19世紀の欧州の国民国家から始まる「教養教育」、20世紀の半ばからの米国の大学のユニバーサル化に淵源がある「一般教育」の3つの比較は分かり易い。

    0
    2017年11月16日

    Posted by ブクログ

    文系学部云々以前に、
    大学とはどういうものだったのか、
    どういうものなのか、等々、
    今まで深く考えずに述べていたことの中で
    実はこういうことだったのかと気づかされることも多く、
    大変勉強になりました。

    0
    2016年12月18日

    Posted by ブクログ

    昨年話題になった「文系学部廃止」と言うタイトルに興味を持って手にとってみた。文系学部廃止自体に関する内容は第1章のみで、大部分はその背景の解説。実際には文科省通知は「廃止」などとは言っていないし、通知の内容はずいぶん前から既に発表されていた内容であるし、世の中を騒がせたのは不勉強なマスコミとそれに乗っかった知識人であるのが実態なんだが、なぜその様な騒ぎとなったのかその背後にある本質、この20年間の大学を取り巻く状況についての解説と分析が非常に参考になる。大学の現状とその危機感は本書に書かれている通りだと思う。文系の著者としては「文系は役に立たないけど価値がある」というのではなく、「文系は(長期的に)役に立つのだ!」と言うことを主張している。その論拠として、そもそものヨーロッパにおける大学の成り立ちと変遷を解説しているのだが、リベラルアーツとは何か、教養教育とは何か、日本の戦後の一般教養教育というものがどのように変遷してきたのか、その解説が非常にまとまっていて分かりやすく、個人的には非常に興味深かった。役に立つとはある目的を達成するための手段としての有用性と、その目的自身を設定、価値の軸を設定するための有用性があり、前者は短期的で理系的、後者は長期的で文系的と著者は主張している。理系的な”役立つ”は短期的で、設定された目的を達成するための手段に過ぎない、と言われると個人的には反論したくなるが、もちろんそう言う部分もある。本書後半では今後の大学がどうあるべきかと言うことを論じているのだが、そのほとんどは既に文科省が各大学を誘導しようとしている方向とほとんど変わらないし独自性は感じられないのが残念だった。その議論の前提には、グローバル化は避けられない、今後もどんどん進行していく、という仮定があると思われるが、本当にそうだろうか。昨今の世界の状況を見ていると時代はされに別の方向に向かいつつあるように思うのだが。

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    2016年10月04日

    Posted by ブクログ

    東京大学の吉見副学長による『大学とは何か』の続編。タイトルの「「文系学部廃止」の衝撃」以上に読みごたえがあった(2015年の“騒ぎ”はマスコミの不勉強と煽り)。
    「大学は、国に奉仕する機関ではない(p64)、人類的な普遍性に奉仕する(p66)」
    「国・文科省に大学危機の打開で中核的な先導役となれる力がもはやない(p134)」
    あとがきでは「今日の大学は、一般に思われている以上に劣化している(p151)」と述べられている。
    自分なりに「大学を再定義」しながら、コトにあたっていこう。

    0
    2016年08月14日

「文系学部廃止」の衝撃 の詳細情報

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    :
    ビジネス・実用
  • ジャンル
    :
    学術・語学 / 教育
  • 出版社
    :
    集英社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    集英社新書
  • タイトル
    :
    「文系学部廃止」の衝撃
  • タイトルID
    :
    370589
  • ページ数
    :
    256ページ
  • 電子版発売日
    :
    2016年04月22日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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