筑摩書房作品一覧

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  • 植物はおいしい ──身近な植物の知られざる秘密
    5.0
    私たちは、毎日、いろいろな野菜や果物、穀物を食べています。本書では季節ごとの旬の食材植物から、驚きの新品種、香りの効能、認知症予防まで、「食べる植物」について「すごい」「おもしろい」「ふしぎ」と感じる「おいしい話題」を豊富に紹介します。植物たちのかしこさ、生きるためのしくみの巧みさ、私たちの健康にもたらす効能など、食材植物たちがもつ楽しい資質を、ラジオなどでおなじみの植物博士が、平明にやさしく解説する一冊です。
  • 関数解析
    5.0
    関数解析学は微分方程式や積分方程式などの問題を解くための方法として、20世紀初頭に誕生した分野である。現代では偏微分方程式のほか、数理経済学や数値解析など幅広い方面に応用範囲をもつ。本書はバナッハ空間の解説から始まり、一様有界性定理・開写像定理・閉グラフ定理などの基本定理を証明。そして話題はボッホナー積分や線形作用素の半群にまで及ぶ。証明の式変形は非常に丁寧で、論理展開を追いやすいように書かれている。関数解析の基礎を過不足なくおさえた名教科書。
  • 代数入門 ──数と式
    5.0
    数学では、変化する数や量を表す際に、x、y、zのような記号を用いる。この「代数的方法」なくして数学をすることはできないし、実際、高校数学でははじめに「数と式」を学ぶ。けれど、そもそも「数や量を記号で表す」とはどういうこと? 文字だらけの数式を見るだけで、たじろく人も多いはず。本書はトランプや樹形図のように具体的な例を出発点にして、種々の多項式や方程式に慣れるところまでを目指す。「たくさんの人に数学を」という著者の思いの結実した、晩年の名教科書。遠山数学の集大成がここにある!
  • 解説 徒然草
    5.0
    伝説の国語教師による超ロングセラーの古文参考書。著者は、寄り道しつつ、遊びつつ『銀の匙』1冊を3年間かけて学ぶという独自の教育スタイルにより、灘校を東大合格者数ナンバーワンに導いたと言われる。本書には、その授業実践のすべてが凝縮されている。現世への無常観を抱きつつ、なお時代を、人をあたたかな目で見つめつづけた兼好の名随筆より、珠玉の断章をセレクト。やさしい現代語訳や語句注釈で学び、ユーモアと人間味あふれる解説でさらなる広がりに触れながら、古文の世界に楽しく親しむことができる、入門書の決定版。
  • 日本人の死生観
    5.0
    日本人は生きることと死ぬことをどのように考えてきたのだろうか。長明、芭蕉、千代女、馬琴、良寛など代表的な古典の中に日本人の死生観を辿り、「死」を前提に生き方を考え、「死」の意味をあらためて見つめなおす。日本人の心性の基層に今日も生きている伝統的な死生観を現代に生きる私たち自身の問題として考える指針の書。「死」の偉大な先達から「終い方」の極意を学んでみたい。
  • 負けない
    5.0
    「勝ち組・負け組」という二分法には、とりあえず否を唱えたい。生きることにおいて「勝ち」も「負け」もないからだ。「強いか弱いか」や「損か得か」だけで人を測らず、「美しいか醜いか」という基準を見失わない。それが「負けない」である。
  • 東京裁判「神話」の解体 ──パル、レーリンク、ウェブ三判事の相克
    5.0
    東京裁判は「勝者の裁き」であり、インド代表パル判事とオランダ代表レーリンク判事の反対意見は、その欺瞞を暴き出すものだとの論が日本の国内論議で長くみられた。だが、パルやレーリンク意見には重大な誤謬と恣意性があり、東京裁判の功績と問題点の歴史的・法理学的理解を大きく歪めている。東京裁判研究者の戸谷と国際法の大家コーエンが、従来見過ごされてきたウェブ裁判長による判決書草稿を読み解き、東京裁判の過程を再検証。判決から70周年を迎えた今、知られざる真相を解明する。
  • チベット仏教入門 ──自分を愛することから始める心の訓練
    5.0
    チベットの仏教はいま世界的に深く浸透しつつある。とくにその生と死の教えに関心が向けられている。チベットの伝統は古い形の仏教を残しており、それが現代の諸問題に対応しうるものとして大きく注目されているのだ。本書はチベットにおける仏教の正統的な教えを解説した初めての入門書。最初に必要最小限の知識を紹介したうえで、それを踏まえて仏教の実践へと進めるように、教えの本質をやさしく説き明かす。読者を、チベットに今も残る仏教の豊かで深い心の世界へと誘う。
  • 人知原理論
    5.0
    事物が存在するということは、それが知覚されているということである──。ジョン・ロックの経験論哲学の批判的継承者たるジョージ・バークリー(1685-1753)は本書『人知原理論』において、こう断言する。それは裏返せば、知覚されないものは存在しない、つまり私たちの心から切り離された「物質」なるものなど存在しない、ということだ。様々な批判にさらされながらも、ヒュームやカント、ドイツ観念論など後の哲学思想に多大な影響を与えたバークリーの思想とはいかなるものか。その透徹した論理にひめられた核心が、平明このうえない訳文と懇切丁寧な注釈により明らかになる。主著、待望の新訳。
  • 江藤淳と大江健三郎 ──戦後日本の政治と文学
    5.0
    大江健三郎と江藤淳は、戦後文学史の宿命の敵同士として知られた。同時期に華々しく文壇に登場した二人は、何を考え、何を書き、それぞれどれだけの文学的達成をなしえたのか。また、進歩的文化人=左翼の大江と、保守派文化人=右翼であった江藤の言動から1950年代以降の日本の文壇・論壇とは一体どのようなものだったのかを浮き彫りにする。決定版ダブル伝記。
  • 公共哲学からの応答 ──3・11の衝撃の後で
    5.0
    2011年3月11日に東日本を襲った大地震と大津波、それにともなう福島の原発事故は、実際上の問題だけでなく、公共哲学という“善き公正な社会を追求し、現下の公共的問題を考える”学問にも様々な問いを投げかけることとなった。それらに今どのように応えるのがふさわしいのか。日本における第一人者が、議論の手がかりとなる有力な学説を紹介しながら、3・11以降の社会を考えるための羅針盤を提示する。
  • 日本人の信仰心
    5.0
    日本人は宗教心がないとよく言われる。だが、私たちの心の底流には古来、アジア的な生産生活の秩序に根ざした、この上なく純粋で普遍的な信仰心が脈々と息づいている──。この土地に生きた人々の静かな祈りに満ちた「信仰のくらし」とはいかなるものか。保田與重郎、本居宣長、柳田國男らの思想や、列島の文化・民俗をめぐる考察を通じ、“大和心”の古層をどこまでも深く掘りおこす。
  • 博徒の幕末維新
    5.0
    黒船来航後の動乱期、それまで歴史の裏に潜んでいたアウトローたちが表に躍り出てくる。なぜか? 博徒・侠客としてひと括りにされる彼らアウトローは、錦絵や講談・浪曲、大衆小説等で縦横無尽の活躍を演じていたが、それは虚実入り混じっての密着固結したイメージで、実像とはとても言い難い。著者は虚像を覆う危うい皮膜を一枚一枚剥ぎながら、島抜けをした甲州博徒の巨魁・竹居安五郎やおなじみの国定忠治、黒駒勝蔵、勢力富五郎らの実像に一歩一歩迫る。歴史学の手法にのっとって幕末維新史に博徒を位置づけ直した、記念碑的労作。
  • ヨーロッパで勝つ!  ビジネス成功術 ──日本人の知らない新常識
    5.0
    2017年のEPA合意によって、ヨーロッパでの日本製品のシェアを奪い返すための格好のチャンスがやってきた。ヨーロッパ人の思考の癖を知りつくしてセールス技術を磨けば、良質な日本の製品は必ず売れる。大手商社マンとしてヨーロッパでの取引に従事したのち、現地で起業してさまざまなビジネスに関わってきた著者が、現地の商取引慣行や暗黙のルールとして横たわるビジネス作法について論じ尽くす。自らの体験に即して惜しみなく公開する、新時代のヨーロッパビジネス術。
  • 夢を食いつづけた男 ──おやじ徹誠一代記
    5.0
    クレイジー・キャッツのメンバー、俳優の植木等が描く父の人生。息子から見ると「支離滅裂」というその人生は? 若い頃、義太夫語りを目指し、やがてキリスト教の洗礼を受けたと思ったら、後に浄土真宗の住職に。その間、社会主義者として労働運動や部落解放運動に身を投じる。治安維持法違反の嫌疑で繰り返し投獄されても平等と平和を求め続けた。名著、ついに復活!
  • バリ島物語
    5.0
    バリ島にはかつてバドゥンと呼ばれる王国があった……百年前のバリを詩情豊かに描き、一九三七年の刊行以来、静かな感動を与え続けている古典的名作の完訳。
  • 絶滅危惧の地味な虫たち ──失われる自然を求めて
    5.0
    日本には名前がついているものだけで3万種近く、推定上は10万種の昆虫がいるとされている。しかし、そのなかで、すでに滅んだもの、滅びの道を歩み始めているものがいる。その状況に対して、保護活動が行われているが、綺麗なチョウやトンボ、ホタルや大型の甲虫ばかりが重要視されており、小さくてとにかく地味な虫は、おざなりに扱われている。そこで、日本各地にそれらの虫を探しまわり、発見するまでの格闘、発見した時の喜び、そして虫への溢れる思いを綴っていく。電子書籍版では、写真をカラーで収録。
  • 妖怪処刑人 小泉ハーン
    5.0
    時は1899年。いまだ倒れぬ徳川幕府と薩長同盟はともに性急なる近代化と軍備増強に余念なし。一方、強化アーク灯の光届かぬ荒野には未だ魑魅魍魎が跋扈する。この暗黒の時代、人知れず妖怪狩りを続ける男がいた。男の武器はウインチェスターM1876Z式ライフル銃。コルト社製アンブローズ・ビアス・スペシャル。そして鋼の信念。大公儀魑魅魍魎改方の最後の生き残り。不吉なる妖怪猟兵の装束を纏いて、黒の軍馬シャドウウィングを駆る偉丈夫。その男の名は……小泉八雲。
  • 夕陽妄語1 1984‐1991
    5.0
    1~3巻1,210~1,320円 (税込)
    二十世紀日本を代表する知識人・加藤周一が四半世紀にわたって朝日新聞に連載した時評エッセイ。話題は、絵画文学映画から、故人を惜しみ、国際政治について論じるものまでを含む。豊かな知識と透徹した見識は、同時性を保ちながらも、時代を越え、現代に生きるわれわれが参照する価値がある。本巻は、連載開始の1984年から1991年までを収録する。
  • 陸軍中野学校 ──「秘密工作員」養成機関の実像
    5.0
    インテリジェンス教育を行う日本初の専門機関、陸軍中野学校。一九四〇年に誕生し、敗戦とともに消滅する。二千三百余名を数える卒業生は、中国大陸や南方アジアの戦地へ送られ、諜報活動、ゲリラ工作などに従事し、命を落とす者も少なくなかった。秘密戦工作のこの壮大な実験は、いまだ全貌が明らかになっていない。公文書をはじめ、新たに発見された資料を用いてその実像に迫り、歴史的意義を検証する。陸軍中野学校に関する最良の研究書である。
  • 同時代史
    5.0
    暴帝ネロの自殺後、ローマ帝国に泥沼の内乱が勃発した。各地の総督がその配下の軍隊に担がれて、次々と皇帝となったのである。紀元69年1月1日、ゲルマニア軍のウィテッリウスは、ヒスパニア総督であった元首ガルバに叛旗を翻す。アレクサンドリア軍からは、ウェスパシアヌスが皇帝として奉戴されていた。その結果、多くの市民の血が流れ、三人の皇帝が斃れた。そこには、人間の欲望が絡みあい、殺戮、陰謀、裏切りなど、凄まじい政争が繰り広げられた。本書は、希代の歴史家タキトゥスが、この同時代の壮大な歴史ドラマを、臨場感溢れる雄渾な筆致で記録したローマ史の大古典。
  • カトリックの信仰
    5.0
    人間が神の知恵と愛に与るとはいかなることか──。近代日本のカトリシズムを代表する司祭・岩下壮一が、豊かな学殖と明晰さでキリスト教の真理を闡明した記念碑的名著。公教要理(カテキズム)の概説書としていまだ類例がないだけでなく、深遠で難解な神学は本書により日常の信仰の糧へと一変した。時に表出するプロテスタンティズムや近代哲学への峻烈な批判は、人間精神を主観性の牢獄から解放し、再び霊的実在へ開かんとする著者生涯の意図から発しており、それは神の恩寵の賜物=カトリックの信仰においてこそ実現すると説く。
  • 日本の外交 ──「戦後」を読みとく
    5.0
    戦後日本の驚異的な復興と経済成長を支えたのは、軽武装・日米基軸主義の基礎を築いた吉田茂の外交路線であった。だが、憲法九条を堅持したまま日米安保条約を結ぶことでねじれを抱えた吉田路線は、左右の政治勢力からの攻撃にさらされる。その様は、日本の国家像が左右に分裂したことを意味していた。そこに潜む「戦後」の呪縛を解き、外交戦略を再設計するには、吉田による「中庸」の選択の意味を深く問いなおすことが不可欠だ。こうした視座から戦後日本の歩みに新たな光をあて話題を呼んだ『日本の「ミドルパワー」外交』を、刊行後十余年の展開をふまえ全面改訂した決定版。
  • 新・風景論 ──哲学的考察
    5.0
    川越、祇園、白川郷……。不自然なまでに「和風」に統一された風景。その実態は、本当の意味における風景の経験を閉ざす「和風テーマパーク」にすぎない。本書では、「風景を眺めるとは何をすることなのか?」という問いを、西洋精神史をたどりながら、哲学的な観点から考える。美しいだけの絶景を求めていても、風景の秘密には到達できない。風景に出会い、風景の秘密に到達する道をひらく。
  • フランス現代史 隠された記憶 ──戦争のタブーを追跡する
    5.0
    一国の今は過去を抜きに語れない。華やかに語られることが多いフランスも例外ではない。第一次大戦の激戦地では現在も、不発弾と兵士の遺体で住めない村がある。第二次大戦中のユダヤ人の強制連行への加担の事実は、その重さゆえに負い目としてフランス人の心にのしかかる。アルジェリア戦争を戦った現地兵「アルキ」への冷たい処遇は人権の国の根幹を揺るがす。それらが「悪に抵抗した少数の英雄」レジスタンスの記憶にすがりたい心情につながっている。歴史に苦悩するフランスの姿を、多くの証言から紐解くルポルタージュ。
  • 枕草子 上
    5.0
    1~2巻1,430~1,485円 (税込)
    大人のための、新訳。北村季吟の『枕草子春曙抄』本文に、文学として味わえる流麗な現代語訳を付す。上巻は、第一段「春は、曙」から第一二八段「恥づかしき物」までを収録。全二巻。
  • 頼山陽とその時代 上
    5.0
    名は襄、字は子成、通称久太郎。安永9年、儒者頼春水の長子として大坂に生まれる。後に、天賦の詩才と史書の叙述で天下に令名を馳せる頼山陽(1780‐1832)である。その一代の文章は、幕末期に尊王攘夷運動の原動力ともなった。作家中村真一郎は、この人物の内面を丹念に掬い上げながら、生涯の全貌と時代の知的風景を余すところなく描き出す。発表後、山陽のみならず、江戸漢詩文の再評価をもたらした傑作評伝。上巻では、精神の異変と、脱藩事件や遊蕩によって始まる山陽の生涯、一族のあり様、西遊中の交際などを扱う。芸術選奨文部大臣賞受賞。
  • 未開社会における性と抑圧
    5.0
    「エディプス・コンプレックスはあらゆる社会に存在する」とフロイトは説いたが、マリノフスキーはこの仮説に対し民族誌的資料を駆使し、それが近代西欧の家父長制的社会特有の現象であると根底から相対化してみせた。近代的社会人類学の確立者として学説史に不朽の名を刻んだマリノフスキーが、性において人類の内なる自然と文化的力との相互作用のドラマを考察した古典的名著で、家族の起源、近親相姦の禁忌、父系制と母系制との関係等いまだ多くの示唆を与えてくれる。また、文化の概念をはじめ、彼の主要な理論、概念が展望でき、マリノフスキー理解の恰好な入門ともなっている。
  • 数学的センス
    5.0
    「美しい数学とは、つまり詩なのです」いまから数学者になるつもりはないけれど、そんなふうに数学の美しさを楽しめたら……。しかし、わかりきったようなことを論証するのはなぜだろう。わからないとき、数学者はどうしているのだろう。わかったときの喜びってどんなものだろう。見えてないものをどうしてまるで実際にあるように扱えるのだろう。なぜ……。数学の美しさ、愉しみ方、考え方などを、具体的な事例を使い、ユーモアのある語り口で、ていねいに語りほぐします。コンプレックスを軽くしてくれる、心やさしい数学再入門エッセイ。
  • 数学の好きな人のために ──続・数学をいかに使うか
    5.0
    数学好きの読者に贈る“使える数学”第2巻。前著『数学をいかに使うか』を読んでいなくても楽しめる。非ユークリッド幾何学、リー群のほかド・ラームの定理、p‐進体とハッセの原理など話題多数。有用さという視点から数学の広い世界を展望できる得難い入門書。書き下ろし文庫オリジナル。
  • 思考のための文章読本
    5.0
    本物の思考力は、先人の文章を読むことによって磨かれる──。着想し、論理を練り上げ、効果的に表現するという言語表現のすべての過程に作用する「思考」。古今東西の思索者たちは、どのようにそれを働かせてきたか。本書では、彼らの文章を自在に切り取り、さまざまに組み合わせることで、そのパターンを抽出しようと試みる。そこで分類された10の思考法は、私たちが本気で何かを考え、ひとに伝えようとするときの確かな指針となるはずだ。知的実践の基礎技術を網羅した前著『知的トレーニングの技術』の応用編となる、画期的な試み。
  • 武満徹 ──現代音楽で世界をリードした作曲家
    5.0
    戦争の傷跡が残る日本で、作曲家の道を志した青年がいた。正規の音楽教育を受けることなく、独学で現代音楽の可能性を切り開いていった男の物語。ある“歌”との出会いが、その少年の将来を決めた。新しい響きと表現を探求し続けた作曲家の生涯をたどる。
  • 空海入門 ──弘仁のモダニスト
    5.0
    真言宗の開祖であり、傑出した思想家・芸術家。唐代の新しさを日本へ移入し、「個人」と「自由」を発見した“モダニスト”。それが空海である。9世紀、弘仁時代の先鋭的表現ともいえるこの人物は、生涯にわたり自らの探求心につき動かされていた。高野山が空海にとって特別な地であり続けた理由も、そのことを無視しては理解できない。空海における自己探求とはどのようなものであったのか? 本書では、『性霊集』『三教指帰』『請来目録』など、空海自身の著作の読解と足跡の探訪を通して彼が生きたであろう時空を共有し、その実像に迫る。稀有な個性の魅力と同時代性を深い共感とともに伝える入門書。
  • 象徴としての女性像 ──ジェンダー史から見た家父長制社会における女性表象
    5.0
    国家の象徴、男を滅ぼす悪者……男は女をどう描いてきたのか。美術史上の女性像の成立と受容をたどり、その波瀾万丈な変遷を跡づける画期的ジェンダー美術論。家庭内では出産・育児を引きうけ、また劣等であるがゆえ社会から遠ざけられ、さらに、男をたぶらかす悪者とされてきた、物言わぬ「女」たち。彼女らがどのようにとらえられ、表象されてきたか──その波瀾万丈な変遷を丹念にたどる新しい美術史。
  • 読書の学
    5.0
    言語は、事実のコミュニケーションのための媒体であるばかりではない。言語自体がまた人間的事実であり、そこに集約されている著者の態度が精密に読み込まれてはじめて、読むことは十全な読書となる。論語・史記から契沖、宣長、徂徠にいたるまで、漢籍や和書を縦横にし、著者の内部に生起し蓄積する感情・思考・論理を通して内的事実に降り立つ実践を展開する。事実に触発される意識をたどり、読書論を超えて学問論にいたる。著者の悠然たる文学的逍遙につき随って、その思考の筋道をつぶさに経験する一巻。
  • 王の二つの身体 上
    5.0
    ユダヤ系でありながら熱烈な愛国者にしてゲオルゲ派。迫害と亡命。二十世紀の矛盾そのものを生きたかのような著者の法外な学殖と情熱は、王権表象の冷徹な解剖に向けられた。王は死んでも王位や王冠、王朝は存続する。その自然的身体とは独立して存在するように見える王の政治的身体は、いかにして産出されたのか。王権の政治神学的・象徴的基盤は西欧の歴史の中で、どのように編制されたのか。本書には、問題提起とシェイクスピア『リチャード二世』論に始まり、キリスト論との類比、法学的思考の浸透とその影響、王を神秘体の頭と捉える政体有機体説に説き及ぶ、第五章までを収録する。全二巻。
  • 戦略的思考の虚妄 ──なぜ従属国家から抜け出せないのか
    5.0
    1巻1,705円 (税込)
    地政学がブームとなっている。八〇年代には戦略論がもてはやされていた。にもかかわらず、日本人に戦略的思考は身につかず、政府の外交力も向上していない。一体なぜなのか。この問いに応えるべく、ベストセラーとなった戦略論を俎上に載せ、その誤謬を明らかにしてゆく。その上で、アメリカ、中国、日本など主要国の戦略を概観し、戦略とは何かを指し示す。日本を取り巻く現実を踏まえた上で、戦略論の根本を論じた本書は、これからの日本を考える上で必読の書である。
  • 文学部で読む日本国憲法
    5.0
    憲法を読んでみよう。あえて法学の作法を用いず私たちがふだん使っている「日本語の文章」として。そこに綴られた言葉の奥に、どんな叡智が込められているのか。民主主義・平和主義・表現の自由の原点に立ち返る。
  • 私の恋愛教室
    5.0
    なぜ、総合雑誌は「恋愛論特集」をしないのか、恋愛は生のもっとも根源的なものなのにと説く福田先生が、男女がその全能力を発揮して生きる場所=恋愛について文学作品や社会現象を取り上げて解説する。『チャタレイ夫人の恋人』でロレンスは何を訴えたかったのか、「ロレンス恋愛論」の入門書としても最適。
  • ギリシア文化史1
    5.0
    現代のさまざまな国家形態、政治思想、さらに哲学、弁論、文学・芸術の諸ジャンルにおける精神活動は、原型をほとんど古代ギリシアに見いだすことができるだろう。この天才的な民族の創造物にあらゆる面から深い考察を加え、文化史家としての力をすべて結集することで、ブルクハルトの『ギリシア文化史』は成立した。その史観の類を見ぬ深刻さ、厳しく率直な人間観、深い洞察力と広い視野により、古今の史家の試みをはるかに凌駕して、この畢生の大著は歴史の真実に肉薄する。第1巻は、ギリシア人とその神話、ポリスとそこで展開された僭主制や民主制を語る。
  • 新編 分裂病の現象学
    5.0
    実践的な臨床の経験から、分裂病(統合失調症)を治療すべき異常なものとする論理に与することなく、人間という矛盾に満ちた存在そのものに内在している自己分裂に根差したものとする地平から紡ぎだされた珠玉の初期論文。西田哲学における自‐他論や時間論を敷衍し、分裂病者の自閉性や体験の基本的構造に注目することにより、自我障碍よりも人と人との「あいだ」における自己の自己性の危機、自己と身体との乖離を論じる。
  • 不在の哲学
    5.0
    古来、西洋哲学は確固とした普遍的「実在」を求めてきた。本書は、そうした客観的・統一的な脱自己中心的世界としての「実在」ではなく、対立概念である「不在」こそが「真にあること」ではないかという問題に取組む。言語=理性を習得してしまった人間は、客観的・統一的な「実在」こそ普遍的であり、それを、多元的・自己中心的な「私の世界」よりも優位に置く図式に、なかなか抗うことができない。そして、自分が住んでいる世界の相貌を語りつくすことができない。それはなぜなのか。不在を生み出す時間、自己と他者というトリック等、数々の哲学のアポリアに迫る、渾身の書下ろし。
  • 世界史的考察
    5.0
    1868~72年、著者がスイスのバーゼル大学で行った講義は伝説となった。普仏戦争などの大国間紛争が起こりナショナリズムが台頭する中、著者は西欧の政治的状況を俯瞰し、国家、宗教そしてヨーロッパの伝統文化について根本的考察を展開、また同時に権力の持つ悪や、自然諸科学の進歩への不信、人間生活における利便性が孕む危険など、世界が抱える不安定要素をいち早く指摘した。この講義に基づく本書は、来るべき世紀の社会的危機と頽廃の予兆を察知して警鐘を鳴らした、古典的名著。ブルクハルト翻訳の第一人者の新訳により、19世紀の香り高い文明論が現代に蘇る。
  • 東京裁判 幻の弁護側資料 ──却下された日本の弁明
    5.0
    東京裁判は、公正な裁判だったのか? 検察官や裁判長の裁量により却下処分にされ、歴史の闇に葬られてしまった膨大な弁護側記録から、清瀬一郎弁護人の冒頭陳述や、マッカーサー、グルー大使等の証言をはじめとする18編を精選。戦争犯罪者として個人を裁くことや、「平和に対する罪」という曖昧な概念をふりかざすことのそもそもの問題点。日本の戦略をナチスになぞらえることにより、とりわけ知識人層を一部の軍国主義者により騙された被害者側へとまわすことに成功した占領軍側の戦略──。東京裁判の歪曲を鋭く指摘した解説付き。隠された日本の「真実」を明かす、貴重なドキュメント。
  • 民衆という幻像 ──渡辺京二コレクション2 民衆論
    5.0
    冬の夜、結核療養所で聞こえた奇妙な泣き声。日中衰弱しきって運び込まれた母娘は、朝を待たずに逝った。それを知った著者は、娘の体をさする瀕死の母親のやせた腕を幻視する──「小さきものの実存と歴史のあいだに開いた深淵」、それは著者の原点にして終生のテーマとなった。近代市民社会と前近代が最深部で激突した水俣病闘争と患者を描く「現実と幻のはざま」、石牟礼道子を日本文学に初めて現れた性質の作家と位置付けた三つの論考、大連体験・結核体験に触れた自伝的文章など39編からは、歴史に埋もれた理不尽な死をめぐる著者の道程が一望できる。
  • 「聴能力!」 ──場を読む力を、身につける。
    5.0
    「魅力的な話し方をしたい」「コミュニケーションが下手だ」「プレゼンや面接で人を惹きつける話がしたい」……その要は「聴能力」にあり。耳には、音を聴くのみならず、微妙な感覚を感じ分けるセンサー機能が組み込まれている。それらを活用して空間を読み、その場を効果的に生かす術、舞台で上がらないコツ、覚えておくと日常的に役立つ「聴能力」のテクニックを紹介。また聴覚そのものを進化の歴史から見直し、生命にとっての「聴くことの意味」から現代社会に不足しがちな「察する力」「思いやる心」まで、多様な重要性を訴える。
  • 慰安婦問題
    5.0
    従軍慰安婦は、なぜいま大きな問題となってしまったのか。韓国は誠意ある謝罪を求め続け、日本は法的に補償は終わったと主張し続ける。果たして和解はありうるのか。問題が複雑化してしまった経緯をたどり、その背景にある戦後補償問題、そして失敗に終わったアジア女性基金問題、女性の人権問題に対する国際的関心の高まりについて解説。さらに民族主義、ポストコロニアリズム、フェミニズムの三つを重ね合わせる多面的な理解の必要性を訴え、冷静な議論のための視点を提供する。
  • 知っておきたい感染症 ――21世紀型パンデミックに備える
    5.0
    エボラ出血熱、2つのタイプの鳥インフルエンザ、SARS、MERS、デング熱…。高速大量輸送、人口爆発の21世紀において、さまざまな感染症がパンデミック(感染爆発)の危険性をはらんでいる。それぞれのウイルスにはどんな特徴があるのか? 近年の流行はどのように起こったのか? そして、これからどんな危機がありえ、それを未然に防ぐために私たちは何をするべきなのか? このままでは、人類総倒れ。生き延びるために知っておくべき、必須の知識を授ける。
  • 江戸の坂 東京の坂(全)
    5.0
    東京は坂の街。「その名は江戸っ子気質そのままで、単純明快、即興的で要領よく、理屈がなくて、しかもしゃれっ気があふれている」。富士を眺められる坂は「富士見坂」、海を望む坂は「潮見坂」、墓地のそばの坂は「幽霊坂」、赤土の坂は「赤坂」、急な坂は「胸突坂」…。東京の坂道と、その名前を見つめると、江戸庶民の暮らしと心が浮かび上がる。東京中を隈なく歩き、古書や古地図を渉猟して、坂道に織り込まれた歴史を辿る。「坂道」研究というジャンルを確立し、いまなお坂道ファンのバイブルと親しまれる古典的名著。本書を片手に散歩すれば、いまも江戸を垣間見られる。
  • 神秘学概論
    5.0
    本書は、シュタイナーの四大主著の一冊であり、その思想の根幹が綴られている。肉体、エーテル体、アストラル体、自我という人間存在のヒエラルキアを解明し、宇宙論、人間論の中で、めくるめくような宇宙史の壮大な展望の下にマクロコスモス(宇宙)とミクロコスモス(人間)との関わりをあとづけ、進化の法則と意識の発達史、古代秘儀の本質、輪廻転生論、悪魔論、霊的認識の方法などを記し、過去と現在と未来についての常識をくつがえした前代未聞の神秘学大系が展開される。
  • 告発の正義
    5.0
    告発によって企業不祥事や談合が発覚、または政治汚職や脱税などが明らかにされ、捜査がはじまることが増えてきた。告発をしやすくするための法的・制度的な環境も整備されつつある。けれど起訴するかしないかの判断は、従来、検察が独占するものだった。そのため「検察の正義」と「告発の正義」は、たびたび衝突・対立を繰り返してきたし、現在でも相克は続いている。本書は、告発とは何であるかをさまざまな事件や法的観点から腑分け。その問題点から可能性まで、考えるべき論点を提示する。
  • 旧約聖書の誕生
    5.0
    旧約聖書はユダヤ教・キリスト教の正典であり、また、その宗教的権威を離れても広く人類の文化のなかで大きな影響を与えてきた。しかし、その中身はそれぞれが矛盾し錯綜したテキストの集合であり、多くの現代人にとっては通読することすら困難だというのが現実だろう。本書は、旧約聖書をその歴史的状況の中に置き直し、「創世紀」「出エジプト記」「ヨブ記」「雅歌」…等々の文書が成立した時代とそれらが背負っていた思想的課題からの解読を試みる。各文書の個性から、なぜ旧約聖書というまとまりのある書物が成立し権威を持ったのかまで、イチからよくわかる旧約入門の決定版。
  • 物と心
    5.0
    著者は現象の背後に実在を想定する二元論の仮構を否定する。そして自らが見て触れて感じている現実世界にどっしりと足をつけ、それを超越しているかのごときものをどう捉えたらよいのか問い進めてゆく。独自の哲学「立ち現われ一元論」のエッセンスが詰まった、大森哲学の神髄ともいえる名著。
  • 森と文明の物語 ――環境考古学は語る
    5.0
    地中海に広がる古代遺跡から北ヨーロッパ、そしてアメリカ大陸に至る森林調査の旅の記録をもとに、花粉分析と先端考古学の成果を駆使して森と文明との関わりを考察した、もう一つの世界史。
  • ビジネス英語を学ぶ
    5.0
    グローバル時代の現在、多くの会社で英語での実務が必須となっている。学生時代の辞書を引き引きの「読む」英語とは違う、「書く」「話す」「聞く」英語は、はたしてどのように勉強したらよいのか。著者は国際ビジネスの第一線で活躍したのちビジネス英語のプロになった異色の経歴の持ち主。その著者が自らの英語学習体験と国際交渉の経験をふまえて、ビジネス英語のエッセンスを解き明かす。「英語論理にもとづくコミュニケーションがうまくなれば英語も上達する」「英語は短文かつ単文であるべし」という持論を軸に、英語上達のコツを手ほどきする実践的入門書。
  • バーチャルリアリティ入門
    5.0
    いま・ここにいながらにして、遠く隔たった世界や歴史上の一空間、さらには無限の宇宙空間まで、あたかも現実にそこにいるような感覚で再現できる。まるでSFやゲームを髣髴とさせる、そんな臨場感をもったバーチャルリアリティの世界が実現しようとしている。どのようにして、人間のあらゆる感覚・認知メカニズムを解明し、現象をシミュレーションして、異空間にリアルに再現するのか。それによって、どんな新しい世界が広がるのか。この究極のテクノロジーのすべてを、第一人者がわかりやすく紹介する。
  • セ・シ・ボン
    5.0
    広告会社に就職したもののうまくいかず。OL生活をしてはみたけれどやっぱり楽しくない。したいことは特にないけれど、フランス語だけはちょっとできるし、留学って何だかかっこいいかも……とパリでホームステイを始めた。生き迷っていたタイコが留学先で出会った風変わりな人たちとのおかしな出来事を綴った留学エッセイ。
  • 琉球の時代 ――大いなる歴史像を求めて
    5.0
    いまだ多くの謎に包まれた古琉球王国。歴史をひもといてみると、壮大な交易ルートを通じて築き上げた華やかな文化を誇っていた。中国、マラッカやポルトガル等、海外の文書に記された当時の王国の姿などを参考にしながら、その栄光と悲劇の歴史ドラマにわけいる。沖縄独自の文化と世界像に新たな光をあてた歴史的名著。
  • 黒岩涙香集 ――明治探偵冒険小説集1
    5.0
    1~3巻1,320円 (税込)
    売り出されたいわくつきの古い屋敷。屋敷を買った叔父の命で下検分に出かけた主人公は謎めいた美しい女性と出会う。次々と現れる謎の人物。首なしの死体。時計塔のからくり。……「その怖さと恐ろしさに憑かれたようになってしまって、(中略)部屋に寝転んだまま二日間、食事の時間も惜しんで読みふけった」(江戸川乱歩)という名作「幽霊塔」と、父の死をめぐる意外な顛末が秀逸な中篇「生命保険」を収録。
  • 砂の審廷 ――小説東京裁判
    5.0
    民間人ただ一人のA級戦犯として巣鴨刑務所に拘留された大川周明。下駄履きのパジャマ姿で出廷し、東条英機の頭を叩いた奇矯な行動は有名だ。だがそれは、インドやイスラームの宗教哲学を根幹とする特異なアジア主義者であり、戦前の軍部や政府指導者に影響を与えた国家主義者の真実の姿なのだろうか。精神鑑定の結果不起訴となった大川周明に焦点をあて、獄中日記、検事の訊問調書、大政翼賛会興亜総本部長の戦災日記などの史料を駆使し、東京裁判のもう一つの深層を焙りだす。
  • 資本主義のパラドックス ――楕円幻想
    5.0
    近代社会存立の仕組みには、自己否定へ導くダイナミズムが潜んでいる。本書では自身の中に他者を孕むその様を、二つ焦点(=中心点)をもつ楕円になぞらえ、近代の本性に迫る。他者という存在に投資することで初めて成り立つ資本制の構図を明らかにし、その起源を錬金術に求めた。近代の萌芽から帰結まで様々な題材を議論することで、我々の社会の有様を示す。現代社会の問題に真摯に向き合いつつその行く末を論じる、著者の多層的見識が十全に発揮された意欲的論考。
  • 都市空間のなかの文学
    5.0
    二葉亭四迷「浮き雲」と言えば「近代的自我の発見を告知した作品」というのが常識だったときに著者が用いた方法は、二階の下宿(主人公内海文三は二階に下宿している)という住まいの空間を解読する事で作品を逆照射するというもの。実体としてとらえられてきた人間の自我を空間とことばの網の目によって決定されている関係性としてとらえ、ベンヤミン、バルトからフーコーまで現象学や記号論の成果を縦横に駆使して日本近代文学の流れを都市のコンテクストに即してたどる壮大な試み。
  • ちくま日本文学全集石川啄木
    5.0
    日本の近代文学史を彩るキラ星たち。そんな作家の代表作を短篇中心にコンパクトな一冊に収める文学全集。各巻に詳細な年譜を附す。本巻では、早くより詩才を発揮し、三行書きの表記法や、困窮した状態の中での生活詩人として、近代短歌に新領域を開きながらも、惜しくも夭折した若き文学者の表現、思想を堪能することができる。
  • 中華料理の文化史
    5.0
    フカヒレの歴史はせいぜい三百年、北京ダックはたかだか百年あまり。それ以前の中華料理とはどのようなものだったのか? 異民族との交流により中華料理は大きく変貌してきた。見知らぬ素材やレシピという異文化を中国人は貪欲に取り込んだ。中華思想も蛮夷の料理は拒まなかった。中華料理のなかにはハイブリッドな中国文化のエキスが濃縮されているといるのだ。孔子の食卓から開放経済下の新香港料理まで、中国の風土、異文化交流という大きな視野から描きだす、芳醇な中国文化史。
  • 無常
    5.0
    今も昔もわれわれの美意識や倫理観の奥底には「無常」が生きている。女流文学に登場する「はかなし」が歴史の転換とともに「無常」へと姿を変える。「無常」はよく言われるような「色はにほへど散りぬるを」といった感覚的・心理的なものではなく、日本中世に盛んになった大乗仏教のなかから生まれた形而上学が発見したものだった。「かげろふの日記」から始まり「平家物語」を経て「正法眼蔵」へといたる精神の歴史と、「無常仏性」に表わされる道元の哲学を明らかにした名著。
  • 百合子さんは何色――武田百合子への旅
    5.0
    泰淳夫人の色、詩人の色、秘密の色……。『富士日記』『犬が星を見た』『日日雑記』など秀れた文業で名高い武田百合子。その類まれな文筆家の本当の色とは? 光り輝く中に不思議な謎を秘めて逝った百合子さんの魅力に迫り、鎮魂の思いを込めてその生涯をさまざまなアングルから探った傑作評伝。
  • 悲劇の解読
    5.0
    「批評の言葉はいま停滞する時代の厚い層の中を通過している。」80年代へむけて批評の現在を告知する『批評について』を序に、著者が青年期に心から没入し読みふけった太宰治、小林秀雄、横光利一、芥川龍之介、宮沢賢治についての論考を収める。ここには日本の近代における秀れた資質の演じた悲劇が、生涯と作品を通して克明に読み解かれている。文庫化に際し、さらに補筆修正がなされた。
  • 戦中派虫けら日記――滅失への青春
    5.0
    昭和17年戦時下、20歳の山田風太郎は日記を書いておこうと思い立つ。「日記は魂の赤裸々な記録である。が、暗い魂は自分でも見つめたくない。(略)しかし嘘はつくまい。嘘の日記は全く無意味である」戦争のまっただ中、明日の希望もなく、精神的・肉体的飢餓状態にある1人の青年がここにいる。
  • 少年キム
    5.0
    19世紀後半、大英帝国は黄金時代を享受していた。ところが英領インドを目指すロシアの南下に伴って「グレート・ゲーム」(闇戦争)が勃発。激しい謀報活動が繰り広げられる。インドの豊かな自然を舞台に、次第に戦いに巻き込まれていくインド生まれのイギリス少年キムの成長を描く冒険小説の傑作。
  • これでもかーちゃんやってます
    5.0
    頑張らなくてもだいじょうぶ! ちょっとくらい家が散らかってても、キーってつい怒っちゃっても、晩ごはんが少々手抜きになっても、いいんじゃない? 上大岡トメが綴る頑張り過ぎない子育てのススメ。完璧な母を目指すより、等身大で子育てしよう。
  • さる業界の人々
    5.0
    下着売り場ではパンティーの透け具合を調べ、撮影現場ではホメちぎってモデルを脱がせる。デスクに戻れば刺激的なキャプションをひねり出し、警視庁に呼ばれれば平身低頭して始末書を書く。それらすべてを「編集」の仕事として面白がれるエロのプロフェッショナルと呼ぶのである。シンボー流「面白主義」の原点がここにある。
  • オリヴァー・トゥイスト(上)
    5.0
    18XX年初頭、イギリスのとある町の救貧院で1人の男の子が生まれ落ちた。母親は子供を産むとすぐに、ぼろ布団の中で息を引き取った。過酷な環境の中で育った孤児オリヴァーはその後、葬儀屋サワベリーなどのもとを転々とするも、残酷な仕打ちに見まわれ続ける。ついにロンドンに逃れたオリヴァーを待ち受けていたのは凶暴な盗賊団一味だった……。若きディケンズが19世紀イギリス社会の暗部を暴露し、痛烈に風刺した傑作長編小説。
  • 家内安全
    5.0
    誰かを好きになって、恋をして、一緒に暮らす。そこには、たくさん喜びや悲しみ、想いの襞が重なりあっている。夫と娘と初詣に行く日常を得るまでの、恋愛と仕事に戦う日々を描く表題作「家内安全」のほか、「ゆっくり進む船が行く」「鉄紺」「ぬるぬる」、平間至の写真から生まれた「ショートストーリーズ」など、いずれも、恋をする心と体を、まっすぐに見つめた小説集。
  • 新編 若い父母へのメッセージ
    5.0
    街のベテラン小児科医が、親になりたてのお父さんお母さんに豊富な具体例を基にして、気負わず、かまえず、取りつくろわずに、子どもが“標準”をはずれていても気にするな、男親も保育園や幼稚園にコミットしよう、子どもを医者にかけすぎるな、等マイプラン、マイペースの育児論を展開する。
  • ヴェーユの哲学講義
    5.0
    本書は、若き日のヴェーユがロアンヌ女子高等中学(リセ)の最高学年哲学級でおこなった講義の記録である。「心理学」から始まり、「精神の発見」「社会学」「倫理学」などを通して、意識・感情・国家・身体などを考察するこの講義は独創的かつ自由奔放、そして何よりも生徒の人格を発展させようとする姿勢に貫かれている。
  • 旅人 国定龍次(上) ――山田風太郎幕末小説集
    5.0
    喧嘩っ早い国定龍次は栄五郎親分の制止も聞かず、天狗党の隊士を叩っ切る。そこで出会った腹違いの兄千乗坊から、父親が国定忠治だと聞かされ勇気百倍、父の形見長脇差小松五郎を携え、渡世人修行に出る。お目付け役としてあとを追うのは親分の娘で恋仲のおりん。江戸の新門辰五郎、黒駒の勝蔵らに仁義をきるが……。
  • いま、子どもの本が売れる理由
    4.9
    本が売れず、子どもの数も減る一方の現代日本。にもかかわらず子どもの本の売れ行きは好調だ。90年代まで深刻化していた「子どもの本離れ」が驚くほど解消された背景には一体何があったのか? 戦後の児童書・児童誌・児童マンガ市場と読書推進活動・政策の通史を描きながら、この謎を解き明かす。と同時に、圧倒的に売れているのにその理由が考察されてこなかった『かいけつゾロリ』『ぼくら』『銭天堂』『12歳。』『図鑑NEO』などのベストセラーの分析、関係者取材から、いま子どもが求める本の姿を考える。
  • ニッポンの思想 増補新版
    4.8
    80年代の浅田彰・中沢新一・柄谷行人・蓮實重彦がもたらした知の衝撃、90年代における福田和也・大塚英志・宮台真司の存在感、ゼロ年代を牽引した東浩紀、テン年代と切り結ぶ國分功一郎と千葉雅也―。およそ半世紀にわたるこの国の思想と批評の奔流を一望したベストセラーに、二つの新章を加え更新して文庫化。
  • ルポ プーチンの破滅戦争 ――ロシアによるウクライナ侵略の記録
    4.8
    大破した住宅、穴だらけの乗用車、なぎ倒された街路樹、ずらりと並ぶ真新しい墓。前線では砲弾と銃弾が飛び交い、爆音、黒煙、振動、悲鳴、嗚咽、涙、流血、死が日々生み出されている。戦闘が終わっても、占領地では屈辱的な思想の押し付けや弾圧、相互の憎しみが続く――。ウクライナ各地を歩き、虐殺の街で生存者の声を聞いたジャーナリストが、ロシア・プーチン大統領の侵略行為を告発するルポルタージュ。
  • ルポ 女性用風俗
    4.8
    女性の社会進出が進む中、男女ともに未婚率が上がり、性交未経験の割合も増加している。そして女性たちの性のありようも多様化している。「30歳になって処女は重かった」と語る女性会社員、DVに悩みセックスレスの既婚女性、SMに魅了される女性、ストリップに号泣する若い女性たち。利用する女性たちだけでなく、サービスを提供する店や人々への取材を通して、性に対する多種多様な欲望や風俗に通う動機を探り、女性たちが求めているもの、そして手にしたものは何だったのかを探る。
  • SDGs時代の食べ方 ──世界が飢えるのはなぜ?
    4.8
    日本では今この瞬間にも大量の食べものが捨てられている。その量は国連が行う食料支援のなんと1.4倍。このおかしな状況を変えるにはどうしたらいいのか!?
  • すべてはタモリ、たけし、さんまから始まった ──笑いと日本社会の現在地
    4.8
    1980年代初頭、多くの人が「漫才ブーム」に熱狂した。その影響のもと、私たちは何かあればボケようとし、それにツッコミを入れるようになった。笑いが、重要なコミュニケーション・ツールとなったのである。そこにおいてシンボル的な存在となったのが、タモリ、たけし、さんまの「お笑いビッグ3」だった。先鋭的な笑いを追求して90年代に台頭したダウンタウン、M―1グランプリから生まれた新潮流、そして2010年代に入って頭角を現した「お笑い第7世代」……。今なお中心的存在であり続ける「ビッグ3」を軸に、日本社会の「笑い」の変容と現在地を鋭く描き出す!
  • デカルト入門講義
    4.8
    科学者であったルネ・デカルトは、自然科学の礎たりえる知識をもとめ、第一哲学=形而上学の再構築に乗り出す。なにひとつ信じられるものがない「懐疑」を出発点に、それでも絶対疑えない原理「我あり」へ、更に「神あり」「物体あり」へと証明をすすめる。本書はその哲学をまず『省察』『哲学の原理』など主著を追ってわかりやすく解説。ついで『世界論』『人間論』を通して、近代哲学の理解に不可欠な自然学的論理を説明する。スピノザ、ロック、バークリ、ライプニッツ、カント、フッサール等々、その後のすべての西洋哲学に強烈な影響力を持ち続けたのは何故か。
  • メディア論の名著30
    4.8
    「歴史学」は現在から過去を解明しようとするのに対し、「メディア論」は現在から未来を展望しようとする――。メディア史研究の第一人者である著者が、社会心理から政治学まで、文明論的な視座をもつメディア論の「名著」30冊を精選。「大衆宣伝=マス・コミュニケーションの研究」「情報統制とシンボル操作」「情報社会とデジタル文化」など六章にわたって解説を加えてゆく。ウェブ時代にあってメディア論を深く知りたい人にとり最良のブックガイドである。
  • 台湾物語 ──「麗しの島」の過去・現在・未来
    4.8
    旅行先として人気の台湾。しかし、ガイドブックに載る情報以外のことは、実は日本ではあまり知られていない。歴史、ことば、神様、建築、地名、映画、そして台北、台中、台南などの町々……この一冊を読めば、知らなかったさまざまなことがよくわかる。台湾でも活躍する日本人作家が語る、この島と人びとの昨日・今日・明日の物語!
  • 既にそこにあるもの
    4.8
    現代美術の閉塞状況を打破し続ける画家、大竹伸朗20年間のエッセイ。常に次の作品へと駆り立てる「得体の知れない衝動」とは? 「「既にそこにあるもの」という言葉は、あれから自分の中で微妙な発酵を繰り返しつつ、時に内側からこちらに不敵な笑みの挑発を繰り返す」。文庫化にあたり、新作を含む木版画30点、カラー作品、未発表エッセイ多数収録。
  • 青春怪談
    4.8
    美男子で合理主義の青年、宇都宮慎一は商売で店を持つことにのめり込み、その婚約者、奥村千春はバレエの道を邁進している。二人には、早くに伴侶を亡くした親がおり、ある時、親同士をくっつけてしまおうと画策するが……。一方でつかず離れずの関係を続ける慎一と千春をうらやむ周囲の人間から、仲を引き裂こうと怪文書が届き、この二人にもドタバタ劇が訪れる!
  • 位相のこころ
    4.8
    位相は“近い”という日常感覚を数学的に厳密にとらえ直したもの、といってよく、現代数学において最も基本的で重要な概念の1つである。歴史的には、18世紀から19世紀末にかけて解析学が進展していくなかで、極限・収束・連続性などをめぐる議論から位相空間論が生まれ、20世紀における関数解析学の展開によって、より抽象的に定式化されていった。本書は、数学の意味・こころを語る達人である著者が、1950年代、60年代、70年代に、位相をめぐって書き綴った「位相解析入門」「位相用語集」「位相構造」という3つの文章からなる。著者の名調子に乗せられて、位相のこころを体感してみよう。
  • カタロニア讃歌
    4.8
    ファシズムの暗雲に覆われた1930年代のスペイン、これに抵抗した労働者の自発的な革命として市民戦争は始まった。その報道記事を書くためにバルセロナにやってきたオーウェルは、燃えさかる革命的状況に魅せられ、共和国政府軍兵士として銃を取り最前線へ赴く。人間の生命と理想を悲劇的に蕩尽してしまう戦争という日常──残酷、欠乏、虚偽。しかし、それでも捨て切れぬ人間への希望を、自らの体験をとおして、作家の透徹な視線が描ききる。20世紀という時代のなかで人間の現実を見つめた傑作ノンフィクション。共和国政府の敗北という形で戦争が終結した後に書かれた回想録「スペイン戦争を振り返って」を併録。
  • 娘と私
    4.8
    文豪、獅子文六が「人間」としても「作家」としても激動の時を過ごした昭和初期から戦後を回想し、深い家族愛から綴られた自伝小説の傑作。亡き妻に捧げられたこの作品は、母を失った病弱の愛娘の成長を見届ける父親としての眼差し、作家としての苦難の時代を支え、継娘を育てあげ世を去った妻への愛、そして、それら全てを受け止める一人の人間の大きな物語である。
  • 岡本綺堂集 青蛙堂鬼談 ―怪奇探偵小説傑作選1
    4.8
    絶妙な筆致で読者を魅了する岡本綺堂。その代表作「青蛙堂鬼談」シリーズをはじめとする怪談の数々を収録する。綺堂が愛した江戸情緒や、農村、湯治場、戦場など、今や失われた風景のなかで、この世に残る未練・愛憎・因縁が引き起こす、恐しい出来事が、人びとの心に哀しくひびく――。
  • 増補 アルコホリズムの社会学 ――アディクションと近代
    4.7
    ひとはなぜアルコホリズム(アルコール依存)に陥るのだろうか。原因を「意志の弱さ」に求めていては何も解決しない。自分の意志ではどうにもできないと認めることが回復への第一歩となるのだ。そこから見えてくるのは、「自らの意志で欲求をコントロールする主体」という、近代社会の理想的人間像である。アディクション(依存症)とは、そうした近代的あり方の綻びが露呈したものに他ならない。だとすれば、回復への道は近代合理主義が切り捨ててきたものの中にこそ見出し得る──。ベイトソンやギデンズの思想に依拠しつつ、アディクションを社会学的に解明した先駆的名著。
  • 国際協力ってなんだ? ――つながりを創るJICA職員の仕事
    4.7
    「国際協力」というと難しそうですが、JICA(国際協力機構)で働く先輩たちの日々の仕事は、目の前にいる人と話し、理解し、ときにトラブルを乗り越えて、協力しあえる関係をつくりだすこと。あなたも国際協力の仕事を体感してみませんか? 【目次】1【セネガル、モーリタニア】国を超えた学び合いが、日本の食卓に届ける海の恵み…松野雅人/2【広島県・因島】若者は、多文化共生の専門家!?…岩谷允六有/3【ガーナ】ナショナルスタッフと、話して話して、話しあう…左近文子/4【日本】幻の魚の釣り方を一緒に考える、新しい研修のかたち…関一樹/コラム1 ODAの歩みとこれから――変わらないもの、変わっていくもの/5【バングラデシュ】住民の声を聞く、気候変動・防災対策…伊藤大介備/6【管理部】国際協力の裏方で働くということ…休場優希/7【スリランカ】対等な議論ができるカウンターパートと共に…島田和輝/8【カンボジア】綿密な調査を武器に、人身取引と戦う…齋藤有希/コラム2 JICA職員に求められる力――どのような人と協力したいか/9【青年海外協力隊事務局】もういちど、世界をつなぐ力になる…鈴木友理/10【ウズベキスタン】汚職を予防すると、国が発展する!?…芳村慶祐/11【インド】ビジネスと社会課題解決の触媒を目指す、新時代の国際協力…松本颯太/12【ジャイクエ】共創と革新は、チームの力と日々の手続きがつくる…神武桜子/コラム3 JICA職員のライフキャリア、ジョブローテーション/13【東ティモール】アジアでもっとも若い国に大学院を…土本周/14【ホンジュラス】週末隊員、柔道で治安改善に挑む!…横尾昂志/15【ザンビア】結局、うまくいったわけではないけれど…金田瑞希/おわりに――人と協力する国際協力の世界へ…大河原誠也
  • 東アジア現代史
    4.7
    「日本」「中国」「朝鮮」諸国を擁する東アジア世界は「鎖国」の終焉と共に近代化を迫られた。西洋列強の外圧の中で、植民地化や二度の大戦を経て、二一世紀の現代、劇的なまでの経済発展を達成している。一方で中国と朝鮮半島には今なお冷戦構造が残り、約二百年にわたるこれまでの歴史は、少子高齢化や安全保障にかかわる難問を投げかけている。協調と衝突を繰り返し突き進んできた過去を振り返り、未来につなげるための一冊。
  • 持続可能な交通まちづくり ――欧州の実践に学ぶ
    4.7
    欧州では、大都市も地方都市も、街の空間を再編し、多様な移動の選択肢を提示することで豊かな生活を実現しつつある。これはEUが提示した「持続可能な都市モビリティ計画(SUMP)」に基づく交通まちづくりの成果といえる。欧州の事例をそのまま日本には適用できなくとも、良いところを学ぶことで活力を取り戻せるはずだ。欧州における最新の取り組みと背後にある考え方、日本の交通政策の歴史的経緯を踏まえつつ、これからの日本に求められる具体的な戦略を提言する。
  • 理系的 英語習得術 ――インプットとアウトプットの全技法
    4.7
    科学者として英語を日常的に使いこなす著者が、半世紀にわたる英語学習の経験から「結果を出せる」ノウハウだけを厳選してアドバイス。システマティックで合理的な英語の勉強法、すなわち誰にでもできる「習得術」を理系的視点から大公開。英語情報のインプット、アウトプット、未来の活用の三項目を見据えて学習を進めていく。読めば、頭をポジティブに稼働させ、「英語が得意になった」感触を得ることができる実践の書。
  • ガンディーの真実 ――非暴力思想とは何か
    4.7
    ★中島岳志氏推薦! 「今後、この本を抜きにしてガンディーを語ることはできないだろう」★ 贅沢な食事をしないこと、搾取によってつくられた服を着ないこと、性欲の虜にならないこと、異教徒とともに生きること、そして植民地支配を倒すこと――。ガンディーの「非暴力」の思想はこのすべてを含む。西洋文明が生み出すあらゆる暴力に抗う思想・実践としての非暴力思想はいかに生まれたのか。真実を直視し、真実と信じるものに極限まで忠実であろうとしたガンディーの生涯そのものから、後の世代に大きな影響を与えた思想の全貌と限界に迫る。ガンディー研究を一新する新鋭の書!
  • 核戦争、どうする日本? ──「ポスト国連の時代」が始まった
    4.7
    1巻1,540円 (税込)
    核兵器をもつ権威主義的国家による、国際秩序への危険な挑戦。地獄のフタを開けたプーチン、相次ぐ北朝鮮のミサイル発射、間近に迫る台湾侵攻。平和と安全を守る唯一の道とは?
  • 女王陛下の影法師 ──秘書官からみた英国政治史
    4.7
    ヴィクトリア女王、エリザベス2世、そしてチャールズ3世まで、イギリスの歴代君主に仕えた君主秘書官たち。多くは君主の青年時代からの側近であった彼らは、国内外の様々な問題を君主に報告し、時に助言も行い、有事に際しては公正中立な立場から君主と政権をつなぐ重要な架け橋でもあった。本書では、彼らが登場した歴史的経緯を踏まえつつ、手紙や日記などの史料を交えて秘書官と君主との物語を描く。貴族政治から大衆民主政治への転換、二度の大戦、王室のスキャンダル……。激動の時代を経てなぜ今も君主制が存続するか。その謎に迫るユニークなイギリス近現代政治史。
  • 悟りと葬式 ──弔いはなぜ仏教になったか
    4.7
    出家者の悟りのための宗教として機能していた仏教が在家者の葬式のための宗教としても機能するようになったのはなぜか。布施、葬式、戒名、慰霊、追善、起塔それぞれの始まりを求め、アジア各地の仏教を探っていく。悟りを開いた出家者の霊力に対し、在家者が抱懐する聖者崇拝。布施をくれる在家者の要望に応え、出家者が受容する土着習俗。仏教学、民族学、文化人類学の成果をもとに、アジア各地に共通の背景を解明し、弔いが仏教となっていく過程を俯瞰する。

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