2005年、平凡社ライブラリー。
元は1995年から週刊エコノミストに連載されたもので著者は熊本在住、市井の研究者だという。
幕末明治の外国人による日本見聞記を邦訳、原著も含めて広く渉猟し、当時の日本人、とくに庶民の人と暮らしそして社会を描きだたもの。
良いことばかりではないことを意識しつつ、いか
...続きを読むに平穏で美しく豊かな社会であったか。それは一つの文明であったとし、自身もその時代に生きたかったと。テーマに分け14章に描き出す。
章立ては次の通り。第1章ある文明の幻影、第2章陽気な人びと、第3章簡素とゆたかさ、第4章親和と礼節、第5章雑多と充溢、第6章労働と身体、第7章自由と身分、第8章裸体と性、第9章女の位相、第10章子どもの楽園、第11章風景とコスモス、第12章生類とコスモス、第13章信仰と祭、第14章心の垣根。
とても良い本だとおもうが、巻末の解説が、戦後の左翼インテリが云々と無関係に述べ、せっかくの清涼な読後感を台無しにしている。