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「成功」「出世」「自己実現」など、くだらない――。名著『逝きし世の面影』の著者、初めての語りおろし。戦前の最先端都市、大連で少年期を過ごし、その後の熊本への引揚げですべてを失い、戦後を身ひとつで生きぬいてきた著者が「自分で自分の一生の主人であろう」とした半生を元に語る幸福論。
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Posted by ブクログ
亡くなられた時に、書店に置いてあり購入したが、今まで本棚のすみにしまわれていた。連休に取り出したらページが進み2日で読み終えた。今まで何度か取り出しては読み進めなかったのが不思議だ。 渡辺京二は石牟礼道子の「苦海浄土」の編集者として世に送り出し、「ゆきし世の面影」の作者ですが江戸の昔は決して悪い...続きを読む時代ではなかったと田畑は庭園のように美しかったと書いてます。庶民の暮らしも近所付き合いも温かだった。中学生のころ体罰は受けたが暴力は決してよくないが良き思い出だとしてます。最近のイジメにもちょっと精神が弱いのではないかとも言ってるような。 水俣闘争を戦った人ですが、決して体制に反駁してばかりの人ではないようです。組織には上下の秩序は必要としてます。 180ページほどの本ですが、最終章の「無名のままで死にたい」項はたくさんの付箋と赤線を付けてしまいました。博学な多くの本を読まれた渡辺京二は先人として学ぶべきところが多いです。
菊ちゃんが最近興味あるってことで渡辺京二さんの本をひっぱり出して読んでみた。こういう本をちゃんと押さえて収拾しているから、なかなか蔵書を捨てられない。言い訳はそのくらいにして… なんだろ、戦前、戦中、戦後を生き抜いてこられたの言葉にはぐうの音も出ない。しかも、歴史に詳しい。時代を超える人間の本質を...続きを読む見据える考察がある。 ほんでもって俺の考えもまんざら間違ってなかったと勇気づけられた。若い人が読んでどう思うか?感想を聞いてみたい。
「来山は生まれた咎で死ぬる也 それでうらみも何もかもなし」小西来山の辞世の句が紹介されている。 けれど、そう簡単に達観は出来ないだろう。 自己愛がどんどん強まる現代のみなさん。極まった自己愛の裏側には、本当はもうそういうのはやめにしたい、ひっそりしていたい、という気持ちもあるのではないか。と...続きを読むころが社会はとにかく前に出ろ、顕示しろと急きたてる。 著者は集団に対する二つの思いの兼ね合いがあってよいという。所属したい気持ちと離れたい気持ち。極端なナショナリズムを常時持っている必要もない。 決して手を抜けとか逃げろとか、そういう話ではない。もちろん楽しみを放棄するわけではない。 生きるために精一杯やって、それが結果として有名になることもあるが、無名がベースだ。 (自分の基準で)清潔に生きて、無名で死ぬに限る。 ちゃんと読まないと誤解されそうな本であるし、自分も誤解しているかもしれないが、昨今、自分が目指そうとしてきた方向に光が灯ったようで、結構安心している。
国家と個人との関係についてはいささか意見を異にしますが、あとはまったくその通りだと思いました。「無名の人生」、理想です。
「人間死ぬから、面白い」とは、言わなかったけど、 そういう本になってしまったという京二さん。 そう簡単に人生が進むわけもなく、 そう安楽に人生が終わるわけでもないことを、 渡辺さんはよくご存じだ。 自分の人生に主人公でいたい、というのは、 とても共感する。 たいした人生でも、たいした人間でもない...続きを読むけれど、 自分が感じる小さなうれしさを大事にしながら、 天寿を全うできたら、と思う。
タイトルに惹かれて購入。 作者のことは全く知らないので、前半の作者の生い立ちの話は正直退屈だった。 中盤の江戸時代の考察がすごく面白かった。 「説教がましいなぁ」と思うとこや、「そういう視点もあるかぁ」と思うとこが代わる代わる出て来る。ユーモアもあって吹き出すとこもあった。あとがきでは編集者に言いく...続きを読むるめられて作ったみたいなことも書いてあり、いいわけがましいところが人間臭くて作者が好きになった。
今の世の中を相対的に見る、その対比の一つとして江戸の暮らしというものを、懐古趣味ではなくフラットに見れば良いのだろう、明治維新賛歌は少し見直したほうがいい。
80歳を超えて、なお文筆活動をこなす著者が目の前に控える死を意識いながら、語る人生訓。戦後すぐの混乱期をを生きてきた人間の芯の強さが詰まっている。平和な時代だけを過ごした人たちにはなかなか達観できない境地だ。 著者のスタンスは、昔は皆が思うほど悪くないということ。といって、「最近の若いものは…」と...続きを読むいう結論ではない。古い時代、新しい時代、それぞれの良さを認め、到達した結論は「人間、死ぬから面白い」だ。 死があるから、生が輝き、生に喜びを感じ、生に執着する。生きてさえいれば、成功とか出世とかどうでもいいと、著者は語る。
隠者の風のある評論家がその生き様を語ったもの。著者は幼少期から京都、大連、熊本などを点々とし、老いて後、娘夫妻の家に身を寄せるまで借家ぐらしの流転の人生を歩みます。 心情的にどこにも属さない、あるいは故郷なるものを持たないそのマージナルな生きざまは、まさしく知識人の原点に沿ったものといえるでしょう...続きを読む。(サイードが"知識人とは何か"で語る知識人像をこの人が体現しているように思えます) 「成功」「出世」「自己実現」などくだらない、出世とは嫌々するもの、などシニカルな世界観が染みます。 ○だいたい部長になるのとヒラのままでいるのと、給料にどれほどの違いがあるというのか。大したことはないでしょう。それよりも、組織に身を置く置かないにかかわらず、清潔な生き方を目指したほうがよほどいい。 ○しかしながら、人間というのら元々肩書きのない存在だ。サルを見てみろ、サルに肩書きがついているか?職業人として肩書きにふさわしい仕事をすることも大事だけど、その一方で、肩書きのない自分が本当の自分であることを、いつも心の片隅に持っておいて欲しい。
そのままでいいのです 渡辺京二さんの著作にふれるたびに なんども うんうん これでいいのだ と うなづいている自分に気付く ことさら 難しい理屈が言われているわけではない でも ついつい人が陥りがちなちょっとした奢りを 鋭く指摘される 私たちのDNAにもきっと 潜んでいるであろう きちんと まっ...続きを読むとうに 生きてきた人 を 改めて意識させてもらえる 「心のあり方」の民芸復興運動のような一冊です
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