佐藤卓己の一覧
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ユーザーレビュー
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久しぶりにメディア史関連の本を読んだ気がするが、随所で目からうろこが落ちる思いをし、非常に面白かった。「流言」という素材は、社会史やメディア史ではちょいちょい扱われているものであるが、そうした流言研究史をきちんと批判的に摂取し、新たな分析を加えている。
構成は全9章プラス「はじめに」と「おわりにか
...続きを読むえて」。1章から9章までそれぞれ具体的な「流言」が扱われている。簡単に紹介しておくと、第1章が有名な火星人襲来の話。第2章は、関東大震災時の流言。第3章が「キャッスル事件」、第4章が二・二六事件、第5章が「造言飛語」、第6章が従軍慰安婦問題などから「歴史のメディア化」が論じられ、第7章は(反体制ではなく)半体制のメディア、第8章が原子マグロの話し、そして第9章が「ヒトラー神話」の戦後史と続く。
メディア史的思考こそ、メディア・リテラシー涵養にとって最重要という著者の主張は、これらメディア史的思考実践によって裏付けられていると言えよう。
Posted by ブクログ
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「現代メディア史」あたりから続けて「『キング』の時代」「天下無敵のメディア人間」と著者の本を楽しんできました。この新書は佐藤卓己がいかにしてメディア史研究の第一人者になったか?というそのパーソナルヒストリーでもあります。大澤真幸の「社会学史」の序文に「社会学の歴史はそれ自体が社会学になる。そこに社会
...続きを読む学という学問の特徴があるわけです。」という記述がありますが、メディア論も同じようにメディア論の歴史がメディア論を形成していると思いました。なので佐藤卓己の個人の読書の歴史であると同時にメディアという概念がどんな本を書かせてきたか、というジャンルのヒストリーでもあります。ここに挙げられている本を全部読む能力も意欲もありませんがブックガイドとして名前だけ知っている名著の要約とその歴史的役割をなんとなく大づかみ出来ただけもうれしい感じ。著者でさえ、今回の本のために初めてマクルーハンを通読した、と告白しているのも、「メディア論」を積読している自分としては、ちょっとホッ…
Posted by ブクログ
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どれも読んでみたいと思わせる構成と文章である。
既読はマクルーハンのみと言うお恥ずかしい状況だ。
・文化産業以上の『意識産業』
・偉大な内省的宗教はいずれもテクストをもっている。
・ホガート:労働者階級の実感的識別力
・『子どもはもういない』
・清水は流言蜚語を国家と国民の感情的結合、つまりナショ
...続きを読むナリズムの試金石とみていた。
・火星人襲来パニックは盛りすぎた逸話
・安定な社会は、メディアに映る暴力を安定化の資源として必要としている。
・その形式が語る内容を制約する
・帝国主義は支配という目的を持っていたが、グローバリズムは無目的
・平和な日常生活の中でニュースを期待する読者の欲望こそ倒錯的
・政治家ではない一般市民が政治で実質的機能ではなく象徴的機能を重視するのは当然。メディアが政治ニュースで現実より感動を重視するのもそのためだ。
Posted by ブクログ
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すこぶる面白かった。
通例、このシリーズでは、1作品につき3〜4ページが割かれる配分なのだが、この本では10ページ程度割かれている。
なので、他のシリーズ本よりも大分になっている。
著者の佐藤卓己先生は、研究者としても教育者としても優れているのであろう。
単なる読書案内ではなく、先生なりの名著の読解
...続きを読むを示しておられ、その読解が深い。
また、読書案内自身を楽しんでおられる事が垣間見られる。
読んでいて、心地よい。
佐藤卓己先生自身のご著書にも興味が湧いた。
Posted by ブクログ
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メディア史の泰斗、佐藤氏が自身がいかにして歴史家になったかを振り返っている。
教訓的なジャーナリズム史から実証的なマスコミュニケーション史、そして批判的歴史学のメディア史へ。未来への問いを含むメディア史は歴史学のフロンティアであり、そこに可能性を感じるとも。
氏の研究遍歴が豊富なエピソードとともに語
...続きを読むられている。大学でのゼミナールの大切さ、師を見つけること、そしてその読書量に追いつこうと努力すること。氏の基本姿勢が語られている。
事実誤認を発見してくれた古川隆久氏や優れた自分史を書いた原武史氏への言及もあり、個人的に興味深い。
Posted by ブクログ
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