作品一覧 2023/03/10更新 イメージの歴史 試し読み フォロー イメージを読む 試し読み フォロー お姫様とジェンダー ――アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門 試し読み フォロー 絵画を読む ──イコノロジー入門 試し読み フォロー 皇后の肖像 ──昭憲皇太后の表象と女性の国民化 試し読み フォロー 象徴としての女性像 ──ジェンダー史から見た家父長制社会における女性表象 試し読み フォロー 「ジェンダー」の危機を超える! 徹底討論!バックラッシュ 試し読み フォロー 戦争がつくる女性像 試し読み フォロー 1~8件目 / 8件<<<1・・・・・・・・・>>> 若桑みどりの作品をすべて見る
ユーザーレビュー お姫様とジェンダー ――アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門 若桑みどり 非常にわかりやすくて読みやすかった。学生の感想が多分に使用されている点も、等身大でとても良い。しかし驚くのが、この著書が出版されたのは20年以上前であること。何も進んでない日本、やばすぎでは。 Posted by ブクログ お姫様とジェンダー ――アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門 若桑みどり 友達に教えてもらった。すばらしい。 わかりやすいし文章が明晰で美しく、なによりも学生へのリスペクトにあふれている。最近の論調は怒りが前に出すぎなのかも、と思う。くらい穏やかで冷静な文章。 Posted by ブクログ お姫様とジェンダー ――アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門 若桑みどり ディズニーを代表する映画、「白雪姫」「シンデレラ」「眠れる森の美女」を、ジェンダーの視点から分析する本書は、女子大学での授業実践(受講生のコメント)も紹介されていて、作品に対する「憧れ」や「夢」を持っていた女子の作品への視線が変わってゆく様子が明確に示されているところなど、とても興味深く読みました。...続きを読む ディズニーの古典的な「プリンセス物語」は、なんとなく「性別役割分担を補強しそうだな」という認識ではいたものの、根はもっと深く様々な「課題」があることに驚かされましたし、単に女子(女の子)にステレオタイプな性別役割を刷り込むだけではなく、男子(男の子)にも小さくない影響を与えていることもわかり、「大衆文化」として大量生産・大量消費されることの意味を改めて感じさせられました。 これらの作品はもちろんジェンダーの視点から問題があるということで文学的・文化的に価値が失われるわけではありません。しかし、「どういったメッセージがふくまれているのか」ということを(少なくとも大人は)認識して視聴することが大切なのかなと思います。 これらの作品を通して、一度でも「お姫様」にあこがれたことがある女性はもちろん、これからなお一層進めるべき男女共同参画社会の担い手となる若者世代、さらには「”古い”男女観を抱き続けている昭和の男たち」にも読んでもらいたいと思います。 文章も読みやすく、高校生くらいから十分に読めると思います。 Twitterなどではフェミニストやミソジニストが感情的に怒りをぶつけあう風景も見られますが、建設的な社会を作ってゆくためにも、お互いの「理想」を話し合い、共有してゆくことが必要なのだろうと思います。社会的なシステムをどう変革してゆくか、ということを考える前に、現代の社会がどのような思想のもとで作り上げられてきたのかを冷静に見ることは大切だと思います。 Posted by ブクログ お姫様とジェンダー ――アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門 若桑みどり ディズニープリンセスを題材としてジェンダー学をわかりやすく教えている。ジェンダー学とは何かを知るためにお勧めしたい一冊。 白雪姫、シンデレラ、眠り姫…どの「プリンセスの話」にも小さい頃一度は触れたことはあるが、ジェンダー学の視点から見ると家父長制度がどのように話に組み込まれているかなどが鮮明にな...続きを読むり、はっとさせられた。 Posted by ブクログ イメージの歴史 若桑みどり 西洋美術を中心に、多くは権力者であるパトロンの意向によって芸術家が生みだすイメージの変遷、絵画や彫刻によって喧伝されたイメージが社会に与える影響を、ジェンダー的・ポストコロニアル的視点で見つめ直す。また、西洋の伝統を無批判かつ無神経に受け継いでしまった20世紀日本の公共美術のあり方を問い、芸術の社会...続きを読む的役割から目をそらし続けてきた評論界にあって自らを省みる著者の誠実さが深く染み込んでくる、文化史の入門的な名著。 どこで紹介されていたのか忘れてしまったけど、若桑先生の著作のなかでも特に名著と呼ばれているのを知って以来、ずっと読んでみたかった一冊。 元は放送大学のテキストだったそうで、美術評論の歴史を概説した理論編と、実際に作品を通して当時の社会状況を読み解いていく実践編の二部構成になっているのが大変わかりやすかった。理論編では、なんとなくわかった気で済ませていた表現様式の移り変わりを最後の晩餐を描いた絵画の比較で説明され、古代ギリシャが〈聖典(カノン)〉として現代に至るまで大きな影響力を持つことを具体例で示されるので、西洋美術の見方の基本を学び直すことができた。古くから権威を奮ってきた男性中心主義的な見方が反省されつつあることもここで語られている。 実践編ではより詳しく、女性=〈征服される性〉というイメージがカトリシズムと結びつき、処女懐胎する〈聖母〉のイメージを生みだしたことをまず見ていく。「マリアの身体活動は停止している。マリアに許されている身体活動は二つしかない。それは『授乳』と『涙』のみである」。若桑先生には『聖母像の到来』という著作もあるが、本書でも聖書にない〈無原罪受胎〉を教会が正統化していくプロセスを詳しく追っているのがとても助かる。 また、メディチ家の庭にあったユディト像が一度は共和国のシンボルとなるも、結局はミケランジェロのダビデ像と入れ替えられた経緯を追う8章「女性英雄の問題」は特にスリリングで面白かった。昔プロテスタント教会に通っていたのでユディト書という外典の成り立ち自体に前から興味津々なんだけど、女性が男性を倒すと〈英雄〉譚ではなく〈ファム・ファタル〉の物語になるという、現代のエンタメ作品にまで続く問題を取り上げていてとても面白い。 理論編の後半では国の象徴として女性像が用いられたことから自由の女神像の読み解きへ、そして帝国主義とオリエンタリズム、ナチスのプロパガンダへと論が及ぶと、男性性の神話は悪しきものだと歴史がすでに証明しているにも関わらず、いまだに信仰されているのが不思議で仕方なくなる。ヨーロッパにとって〈制服すべき土地〉だったころの北米の象徴はネイティヴ・アメリカンの少女で、白人が北米を掌握したあとはフェアネス強調のためにその象徴が首長的な大人の男性像になるという推移は、イメージを浸透させる側の卑怯さにつくづく呆れる。またホワイトヘッドの『地下鉄道』にでてくるまんまの植民地博物館が紹介されている。 しかし、本書を名著にしているのは最終章「二十世紀の日本 東京の公共彫刻」だ。ここで若桑先生は、当時勤務していた大学の他学部の女子学生たちからの率直な指摘によって、自身がそれまで男性目線にチューニングされた美術の見方を内面化していたことに気がついた経験を語っている。そして女子学生たちが疑問を持つきっかけとなった、公共の場に置かれた彫刻を新たな目で見つめ直していくのである。若桑先生が見て驚いたという「豊展観守像」を画像検索してみたら本当にびっくりした。私には不快というより「特殊な性癖の人の作品なのかな…」という困惑が勝ったが、そんな像が公共物として置かれているのはよく考えれば異常ではある。そういえば自分の小学校に体育座りしてパンツが見えている少女像が置かれたとき、なんなんだろうと思ったな…など、封じ込めていた問題意識に読みながら気づかされた。「日本の都市空間に林立する意味のない裸婦像は、その意味の無さゆえに選ばれたのである」と語る若桑先生は、同時に20世紀の日本社会そのものの病理を語っている。21世紀になった今もまだ我々は過渡期にいる。 Posted by ブクログ 若桑みどりのレビューをもっと見る