若桑みどりのレビュー一覧
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ディズニーを代表する映画、「白雪姫」「シンデレラ」「眠れる森の美女」を、ジェンダーの視点から分析する本書は、女子大学での授業実践(受講生のコメント)も紹介されていて、作品に対する「憧れ」や「夢」を持っていた女子の作品への視線が変わってゆく様子が明確に示されているところなど、とても興味深く読みました。
ディズニーの古典的な「プリンセス物語」は、なんとなく「性別役割分担を補強しそうだな」という認識ではいたものの、根はもっと深く様々な「課題」があることに驚かされましたし、単に女子(女の子)にステレオタイプな性別役割を刷り込むだけではなく、男子(男の子)にも小さくない影響を与えていることもわかり、「 -
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西洋美術を中心に、多くは権力者であるパトロンの意向によって芸術家が生みだすイメージの変遷、絵画や彫刻によって喧伝されたイメージが社会に与える影響を、ジェンダー的・ポストコロニアル的視点で見つめ直す。また、西洋の伝統を無批判かつ無神経に受け継いでしまった20世紀日本の公共美術のあり方を問い、芸術の社会的役割から目をそらし続けてきた評論界にあって自らを省みる著者の誠実さが深く染み込んでくる、文化史の入門的な名著。
どこで紹介されていたのか忘れてしまったけど、若桑先生の著作のなかでも特に名著と呼ばれているのを知って以来、ずっと読んでみたかった一冊。
元は放送大学のテキストだったそうで、美術評論の -
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絵画、彫刻、風刺画を白人男性”ではない”視点から批評するこの本に相応しく、表紙はアルテミジアのユーディット。漫画だって、西洋古典絵画だってそこには読み方が存在する。その読み方を知れば、美術鑑賞はスルメのように長く楽しめるはずなんですが、こういうのを中学校とかで知りたかったなぁ。
12章はフランスの植民地政策の一環で、あくまで啓蒙的な植民なんですよというアピールのためのイメージ像が分析されている。アジアやアフリカは裸の女性として象徴され、そこにフランスが光を与えたというようなイメージだ。これって、日本がアジアを植民地にしたから現地にもいいことがたくさんあったんだ、という理論と同じですね…
また、 -
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2002年に出版された本。フィクションに込められたジェンダロールは今や普通に作品批評の際に語られるものになってきたけど、おそらくその先駆けと言ってもいいと思う
有名なディズニープリンセスの白雪姫やシンデレラ、眠れる森の美女などから思い込まされている女らしさ、男らしさを考えて男女が平等に社会に参画するとはどういうことなのか、ということを書いている
何がびっくりしたって2024年の今でも全然、全然この見方が現役だということだ。悲しい…!20年経っても変わらないことが、悲しい!
でもこういうフィクションからジェンダーやフェミニズムについて解釈して語らう人が増えたことはうれしいし前進している部分だと思 -
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美術史入門としての位置づけの本らしいです。
本書を読んで思ったのは、一枚の絵からこんなにも話が広がるものなのか、ということでした。この絵を描いたのは誰で、いつ生まれていつ亡くなって、その時代にはこういうことが起きていて―
そういうことが一つずつ丁寧に説明されています。
美術って見た目の美しさが全てだと思っていましたが、違うんですね。少なくとも中世まで、絵は思想の表現手段の一つだったのだそう。でも、文章表現とは違い、そこに在るものが全てで、表現の幅がとてつもなく広いです。だから、美術を解釈するには、歴史・社会学・民俗学…等々いろんな知識が必要なのだとか。
現代でも、様々な画像やイラストが描