岩田規久男の作品一覧
「岩田規久男」の「日本経済の分岐点」「インフレとデフレ」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
NHK「映像の世紀」を見たことをきっかけに、最近昭和史のうちの戦前から敗戦までの期間の本を読み始めているが、この本は非常に面白い。(別の意味での「失敗の本質」。)
「①戦争するかしないかは、集団間の利害対立を『戦争によって解決しようとするイデオロギー』と『平和的な外交・市場取引によって解決しようとするイデオロギー』との『イデオロギー間競争』において、いずれが勝ち残るかによって決定され、②この『イデオロギー間競争』に勝ち残れるかどうかは、経済的な状況に大きく依存している」(P.5-6)。
この「経済的な状況」に「大きく依存」とは、端的に言えば、国の経済が厳しい場合、貧富の格差が極端に開いている場合に、『戦争によって解決しようとするイデオロギー』に流されやすい、ということと理解した。日本の場合であれば「デフレ不況をもたらした経済政策の大失敗」、それによる「昭和恐慌」が「戦争」イデオロギーが支配的になる状況を生み出した。
1940年までの「日本の貿易の圧倒的相手はアメリカ」であり「満蒙ではなく、アメリカとの貿易こそが、資源のない日本の生命線だった」(P.319)。もし、このアメリカとの貿易を重視する政策を採っていたならば、の「『たら、れば』の夢」(P.370)も、本当にそうなっていてほしかった、と思わせる内容。
Posted by ブクログ
初版は2005年。
岩田規久男のちくま新書『経済学を学ぶ』、『マクロ経済学を学ぶ』、『日本経済を学ぶ』、を「経済3部作」と独自に名付けて、続けて読んだ。読んだ目的は、毎日読んでいる日本経済新聞をより深く理解するため、より世界を知りたいためとシンプルに言えるけれども絶望的に難しいことはわかっている。
1作目「経済学を学ぶ」は経済学とミクロ経済学の基礎理論について、2作目「マクロ経済学を学ぶ」はマクロ経済学の基礎理論について書かれている。
今回読んだ3作目『日本経済を学ぶ』は、第1、2章で戦後復興から高度経済成長を経て、バブル景気から「失われた10年」へ至る2004(平成16)年までの日本経済の歩みについて、第3~7章で、日本的経営とその行方、日本の企業統治、産業政策と規制改革、構造改革と少子・高齢化、日本経済の課題と経済政策、の順に書かれている。
つい先日GDPでドイツに抜かれ世界4位に落ち、昨日あたりの情報によると近々インドに抜かれ世界5位になることが確実視されているようだ。アメリカを抜いて1位になった時、[Japan as no.1]と日本では騒いでいた。そしてまたアメリカに王座を譲ると、そのうち中国にも抜かれ、ドイツにも抜かれ、そして現在に至る。今「失われた30年」という言葉を時々聞くので、2004~2024年の20年間もそれほど日本経済が隆盛しなかったということになる。先日日経平均が史上初40000円を超えたが、バブルの時のような熱気はない。不良債権問題もいつの間にか聞かなくなった。リーマンショックも大きな事象だし、コロナ禍もあった。何といっても人口減少もあるし環境問題もある。
著者を信じてちくま新書の「経済3部作」を読んだのはよい勉強になった。経済学は神の視点から見て、世界は広いと感じさせてくれる。例えば、物理でもモノを点として考える状況があるが、経済学も似ているし、ゲームのプレイヤーのような感じでもある。色々な状況や条件を考えているとき、頭の中に様々な経済の要素を使って世界を構築し、日本を浮き彫りにするのが経済の醍醐味だと思う。現状を把握して日本の経済政策を考え、舵を取って行くのが凄い。