岩田規久男のレビュー一覧
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ネタバレNHK「映像の世紀」を見たことをきっかけに、最近昭和史のうちの戦前から敗戦までの期間の本を読み始めているが、この本は非常に面白い。(別の意味での「失敗の本質」。)
「①戦争するかしないかは、集団間の利害対立を『戦争によって解決しようとするイデオロギー』と『平和的な外交・市場取引によって解決しようとするイデオロギー』との『イデオロギー間競争』において、いずれが勝ち残るかによって決定され、②この『イデオロギー間競争』に勝ち残れるかどうかは、経済的な状況に大きく依存している」(P.5-6)。
この「経済的な状況」に「大きく依存」とは、端的に言えば、国の経済が厳しい場合、貧富の格差が極端に開いている -
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初版は2005年。
岩田規久男のちくま新書『経済学を学ぶ』、『マクロ経済学を学ぶ』、『日本経済を学ぶ』、を「経済3部作」と独自に名付けて、続けて読んだ。読んだ目的は、毎日読んでいる日本経済新聞をより深く理解するため、より世界を知りたいためとシンプルに言えるけれども絶望的に難しいことはわかっている。
1作目「経済学を学ぶ」は経済学とミクロ経済学の基礎理論について、2作目「マクロ経済学を学ぶ」はマクロ経済学の基礎理論について書かれている。
今回読んだ3作目『日本経済を学ぶ』は、第1、2章で戦後復興から高度経済成長を経て、バブル景気から「失われた10年」へ至る2004(平成16)年までの日本経済の歩 -
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日銀副総裁を歴任し、上智大名誉教授でもある金融の専門家による、日本経済復活のための提言を述べた本。現状分析が的確で、加えてマクロ経済学、日本の経済政策の推移に詳しく、経験上日本の政治・行政の特性をもよく把握しているため、実現可能性の高い提言がなされている。アトキンソン氏のように、現状を諸外国とのデータと比較することによって、ある程度原因を特定できるのかもしれないが、日本経済の現状に至る経緯や特殊性までは理解していないために、提言内容に本質的なズレが生じている。極めて論理的で説得力がある。ところどころ野党やメディアを揶揄する表現は下品にも感じるが、面白く読めた。
「正規社員と非正規社員の生涯所 -
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2013年に第二次安倍内閣が発足し、とにかく経済最優先を全面に出して、7年経過。大胆な金融緩和でインフレターゲット2%に設定したが、まったく実現されず。当時いわゆるリフレ派と呼ばれる方々の本を読んだが、やはり結局理論通りにはいかないんだろうなと思っていた。この本を読んで、金融政策と財政政策の協調の必要性、また消費税増税がかなり影響してることが分かった。アベノミクスで確実に雇用は改善し、企業の収益率も増加した。デフレ対策と同時に大胆な規制改革を行い、日本経済を復活させてほしい。高度な内容ではあったが調べながら読むとかなり勉強になるのでお勧めの一冊です。
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・2014年4月の消費税率5%->8%への引き上げ前、4月時点では消費者物価前年同月比は1.5%と、2%の目標達成目前だった
・アベノミクス、量的・質的金融緩和後企業収益は順調に増加し、失業率は大幅に改善した
・アベノミクスで実質賃金は上昇していないと言われるが、消費増税分を差し引くとそうでもない、ただ非正規社員の賃金上昇に比べ正規社員の伸びが小さいことは否めない
著者が2013年3月20日から2018年3月19日までの日銀副総裁期間を綴った日記。日記とはいってもその時期の経済情勢や理論、著者の考察などが盛り込まれた肉厚な内容だった。長いこと続けられているアベノミクスや日銀の2%物価安 -
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2013年3月から2018年3月まで、日本銀行の副総裁を務めあげた著者による、任期の五年間に著した日記をベースに職務内容を著した一冊です。一般になじみのない語句には、注釈がつけてあるので比較的読みやすく工夫されています。経済の勉強にもなるので、経済学を勉強している方には本書は白眉と言えます。私が特に印象的だったのは、2014年4月に5%から8%に増税された消費税の負の影響に苦しむ著者の姿です。増税で棄損したリフレ・レジームをどの様にカバーするのか日銀で対応にあたる一方で知人のエコノミストに意見を聞いたり、如何に知恵を振り絞っているのかがよく分かります。
このような、悪影響の強い消費増税を201 -
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(思いのほかっていうと失礼かもしれませんが)よかったです!!!
そして議論を上手く進めるコツ、ノウハウをあの当時見抜いていた福澤諭吉は改めてすごいなと痛感しました。
■よかった点
□例がよい。
出版当時に問題になった相撲選手の賭博問題、夫婦のけんかのきっかけ、夫婦別姓…
□章立て構成がわかりやすい
□各章にまとめが書かれている(次の章では~と次の展開も記載されている)ので負担が少ない
■なるほど、明日から取り入れたいこと
第1章.議論の本位を定める
生活や会議では本位を定めずに銀論している人がお互いの議論の本位が違うことに気づかずに議論するから発散や誤解で終わる
→天声人語は良文とは本当 -
Posted by ブクログ
第1章~第4章、第6章まではありがちな経済の現象について触れている。
第5章は世界恐慌のおきた理由を、アメリカの金本位制のルールに基づかない不胎化政策によるものと分析する。また高橋是清の財政政策も有効需要創出を先取りしていると説く。
最終的に著者はインタゲ論を説く。かつ成果を示してインタゲは効果的であると主張する。ただ単純にインタゲを導入するのではなく、自己資本比率規制などの制作が重要であるとする。
最終的には日銀法改正に話は落ち着くのだが、政府の指導に従いすぎる中央銀行というのも危険ではあるが、今は金本位制ではないのだから、そういう政策も管理通貨制度の下では重要なのかもしれない。
今までの