岩田規久男のレビュー一覧
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リフレ派経済学者の著者が,今次の震災復興について,関東大震災,戦後復興,阪神淡路大震災の歴史を踏まえて論じる。国債の日銀引受によって復興支出を増加するのが肝要としている。国債日銀引受は従来からの持論らしい。
復興国債を民間が引受ける場合は,財政支出の乗数効果だけにとどまるが,日銀が引受ければ,それに加えて貨幣増加による需要拡大効果もあるという。ただ,財政法は国債の日銀引受を原則禁止してる。これは政府がそれに頼って放漫財政に陥ることを避けるため。
戦前の高橋財政で,国債の日銀引受は行なわれた。これは失敗だとする考えもあるが,高橋の暗殺までは昭和恐慌からの脱却に一定の成功を収めていたそうだ。 -
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経済学の専門家でない人が経済本をものし,それが結構売れちゃう日本。経済学者がこの現状に警告を発する本。
一般向けに噛み砕いて本を書いてきたのに,間違いだらけのシロート経済本の方が売れると愚痴もこぼしている。筆者は,他の分野ではそんな非専門家によるダメ本は幅効かせてないよねと言っているが,トンデモ本が売れるのは経済学に限らないと思うけど…。
経済学は演繹で,似非経済本は帰納だ!と両者の違いを強調。前提を仮定して,そこから経済の動きをを演繹的に導き出すのが本物,あやふやな帰納とか類推を使って大雑把に分かったような気にさせるのがニセモノだという。
まあいいたいことはよくわかるし,経済学の説明 -
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経済学の入門書。マクロ経済の概観を掴むにはちょうどいいかも。
序章 景気とはなんだろう
第1章 景気はなぜ良くなったり悪くなったりするのだろうか?
第2章 設備投資は南極探検のようなものだ!
第3章 日本の景気は海外の景気とどう連動するか
第4章 お父さんの会社は景気とどういう関係があるのか
第5章 いろいろな価格は景気とどう関係するのか
第6章 景気を安定させる方法はあるのだろうか?
第7章 インフレにどう対応するか
付論 イワタ流景気動向指数の見方
景気が良い悪いって、確かに感情論で言っている場合が多く、景気そのものの実態って分かりにくい。著書は、そんな漠然とした景気という対象を、分か -
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[ 内容 ]
二〇〇八年秋、世界金融危機が発生した。
世界金融危機はなぜ世界同時不況をもたらしたのか。
一〇〇年に一度の未曾有の危機といわれる今回の不況は、一九三〇年代の世界大恐慌から何を学べるのか。
昭和恐慌や平成の「失われた一〇年」の歴史と比較しながら、世界およびわが国が、この不況からどうすれば脱出できるのかを緊急提言する。
[ 目次 ]
第1章 世界金融危機はなぜ起きたのか
第2章 世界金融危機はなぜ世界同時不況をもたらすのか
第3章 一九三〇年代の世界大恐慌はなぜ起きたのか
第4章 昭和恐慌と高橋財政
第5章 日本の金融危機と「失われた一〇年」
第6章 世界同時不況からどう脱出するか -
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岩田紀久男の最新作にあたる一般書。岩田は本作のみならず数学を使わず、マクロ経済学を使って述べることの出来るマクロ経済学者である。
本作でも、インフレターゲットの有効性と限界性を述べている。日本の景気の減速の仕組みが適切に述べられていて、巷間に流布される謀略的な経済学を説くものではない。その点で、昨今の昨今の米国金融危機の謀略性については全く述べてはいないのはさすがというべきであろう。
米国の経常収支の赤字であり、それが中国、インド、その外のアジアの新興国、日本の黒字を補っているという国際経済のあり方の指摘は、ありふれた指摘でありながらもマクロ経済学的には「常識」である。
そのような視点 -
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なぜアメリカで景気が悪くなると日本の景気も悪くなるのか、なぜ景気が良くなっても給料は増えないのか、円高になると誰がなぜ困るのか、サブプライムローンとは、という、最近ニュースで聞く話題を中心に、内需・外需とは、設備投資とは、インフレとは、バブルとは、のように経済について全然知識のない人でも読める基本のレベルから解説した本。
おれ自身は全く経済のけの字も分からない人だが、最近過去の記録を更新する勢いで円高、株安が進んでいるというニュースをやたら耳にするので、興味が湧いて、買ってみた。経済学をやってた人が、経済の本質は物の流れだ、という話を言ってたが、まさにその通りで、「これがこうなるとこういう