岩田規久男のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ序論:アベノミクスとは:「大胆な金融緩和」「機動的な財政出動」「民間投資の成長戦略」の3本の矢である。日本のデフレギャップを金融緩和で埋める。
①金融緩和競争:リーマンショックに対してアメリカ・EUは金融緩和によって乗り越えた。アメリカは国債+MBSもFRBが買い込んだ。FRBはLSAPs(大量の資産購入政策)により長期金利の低減=デフレリスク軽減。デメリット:資本市場の機能不全→量的緩和を終わらせられない→バランスシートの負債→
②アベノミクスの金融緩和:デフレ要因→不良債権・IT革命・生産労働人口・中国・雇用形態→これらが原因とは断定できない。お金の流動性不足。予想インフレ率→円安→貯蓄~投資へ→株価up→設備投資→賃金上昇→消費増。日本財政がデフォルトは起こす可能性が低い。
③名目成長率をあげよ:ドーマー条件=名目成長率>国債金利にすること。名目成長率→4%の成長率が必要=2%のインフレ+2%の実質成長。それにより税収を上げる。14年は経済縮小で需要の減少で危機的状況になるかも・・・
④減速する世界経済:ユーロ危機・ESM・
⑤ -
Posted by ブクログ
現在、日銀副総裁としてアベノミクスの金融政策にたずさわっている著者が、高度成長からバブル景気、平成の長期不況、小泉改革までの日本経済を、明快に解説した本です。
本書では、行政指導は産業界の意向をおおむね受け入れる形で決定されていたとし、戦後の高度成長に政府による産業政策が大きな役割を演じたとする見方を批判しています。
また、平成の長期不況からの脱却には、市場の機能を活用する構造改革だけでは十分ではなく、デフレからの脱却を伴わなければならないという主張がはっきりと押し出されています。本書の刊行は2005年ですが、この頃から著者がすでにインフレ・ターゲット導入の必要性を訴えていたことが分かります。
本書の立場に対して、経済政策はより広い意味での社会政策の観点を考慮に入れるべきだという批判は当然ありうるかと思いますが(私自身も個人的にはそうした見方に共感しているのですが)、本書にそれを求めるのはないものねだりというものでしょう。一定の立場から、日本経済の歴史と現在の問題についてのクリアな見通しを示しているという意味で、良書だと思います。 -
Posted by ブクログ
「学問のすゝめ」「文明論之概略」から、思考や議論の手法を解説し学ぼうとするもの。「議論の本位を定める」「高尚な視点から軽重を判断する」「惑溺するなかれ」「憶断するなかれ」「多事争論のすすめ」などを大相撲野球賭博問題における責任のとりかたや夫婦別姓、規制緩和など、現代の事例を引っ張りだして説明されているので理解納得しやすい。特に「人間万事試験の世の中」という福澤の言葉があるが、これは、世の中分からないことだらけなので、旧習を有り難がって墨守するのではなく、新たな試みをせよ、ということでまさに起業家精神だと思う。著者の岩田先生は大学時代に必修科目を教えていただいていた。おなつかしゅうございます。
-
Posted by ブクログ
リフレ派の著者が多くの図表を用いて、リフレ政策の正しさを証明している本であり、非常に初心者用にわかりやすくと書こうとしているのがわかる。
内容は、日銀だけが金融政策の誤りのために世界で日本だけがデフレ状態になっており、まずこのデフレ状態を脱することが大切であることを主張している。デフレを脱却するためのアベノミクスの第一の矢であり、そのうえで、第2.3の矢を放つべきだとしている。名目GDPが上がれば、増税する必要もなくなるとしている。4章では、世界の経済状況が減速し、今後ユーロは、リスクが高いことも指摘している。
グローバル化というのは本当によいことばかりではないことを考えさせられた。 -
Posted by ブクログ
本書は,日本銀行副総裁(本文執筆時)・岩田規久男氏によるマクロ経済学の入門書である.
内容は,国民総生産・国内総生産・経済成長・雇用・物価・国際収支・金利・為替レートといった様々な経済変数が,如何に変動し,さらに我々の国民生活にどの様な影響を与えるのかを明らかにするとともに,これに関して政府の財政政策・金融政策が担う役割と,その効果について解説するというものであるが,本書では以上の問題を,簡単な例を多用して,図表と文章によって極めて分かりやすく述べている.
本書の発行は1996年であるが,今日の経済的・財政的諸問題を考える上でも本書の記述で特に違和感を感じるところは無く,より一層,マクロ経済学に対しての理解を深めることができた.本書の問題点であるが,読み進むに連れて記述が専門用語だらけになるので,本書を全くの入門書と位置付ける読者(私を含めて)に混乱をきたしやすい点が挙げられる.理解の助けとなるような図が幾らか用意されていれば良かったと思うが,新書には酷な要求であろうし,この様な問題点を加味しても,本書が初学者にとって比較的受け入れやすい表現を多用し,かつ非常にコンパクトに纏められた良著であることは間違いないであろう.
なお,本書の姉妹編として,ミクロ経済学を中心として論じた前著『経済学を学ぶ』もあるので,併せて読まれたい. -
Posted by ブクログ
通産省が行った産業政策は効果が無かった、行政完了や政治家には事業を育成する本当の誘引(インセンティブ)が無いので成長産業を見極めできない。
自由な市場で人々が創意工夫することこそ成長に繋がるなど、、いわば正統的な経済学の知見を易しく説いています。
今話題の金融政策については、インフレ期待形成について強調していますが、日銀の国債直接引受は明確に否定していますし、規制緩和や財政政策の組み合わせも大事と、あまり過激な金融政策一辺倒の話はしていません。ただし、どう金融緩和が実体経済に波及するかは簡単にしか説明されていません。
新書という制約もあるかと思われますので、また翁-岩田論争を読み返してみないと(前に読んだときは経済学の基礎がわかっていなかったので、理解が足りなかったと)。
2004年に書かれた本ですので、やや古いですが、今読んでもじゅうぶん面白かったです。 -
Posted by ブクログ
岩田先生はこういう啓発的な基礎テキストを書くのがたいへん上手だと思います。
簡単=いい加減ではなく、本質を捉えて平易に説明するというのは真に理解していないと書けるものではありません。
これは経済学的な考え方の解説ですが、
「世の中の事象の原因は単純なものではなく、表面だけ見て言うとたいてい間違っている」
「専門外のことにやたら意見を言うものではない」と
学問全般の心構えになっているかと。
なお、日本銀行批判もちらりと出てきますが、「日本銀行はあらゆる手段を用いて人々の間にインフレ予想を形成すべき」というのは正論ではあります。日本銀行にはデフレ脱出のインセンティブが無いという指摘は的を得ておりますが、場当たり的な政治家の恣意を許しかねない日銀法改正にはやはり危惧を持つものであります。
この辺りの金融政策にフォーカスした岩田先生の意見を深く聞いてみたいところです。 -
Posted by ブクログ
本書は2008年9月におきたリーマンショックに象徴されるサブプライムローン関連の本であるが、「アメリカの一部の信用力の低い人々への住宅ローンにすぎないサブプライムローンの一部が焦げ付いたからといって、なぜそれが世界中を金融危機に陥れるほどの大問題になるのか」という疑問をわかりやすく解説した書として高く評価できると思った。
サブプライムローンや2008年におきた世界的金融危機については、多くのマスコミ等でその都度解説はされているが、本書の全体的系統的な内容 は、とてもわかりやすい。
しかし、本書を読んでアメリカの「証券化・高度化・複雑化」した金融システムは、はたして「進歩」といえるのだろうかとの疑問を持った。たしかに「自由化・規制緩和」は「新たな可能性と市場」を生み出すのだろうが、その結果が世界中に金融危機をもたらし、その再建に巨額の国家支援が必要とされるならば、トータルでは「進歩で得られる利益」よりも「損害」の方が大きいのではないのかとも思えた。
本書は、二度と金融危機を起こさないためには、何が必要なのかを知ることができる良書であると思う。 -
Posted by ブクログ
本書は、現在リフレ派の総帥とも言われている岩田規久男氏によるものだが、その内容はわかりやすく説得力がある。
「日本銀行」の陣容や機能、他国の中央銀行との比較。その仕組みや金融政策の理論と実際。詳細な考察は、専門的ではあるが、とてもわかりやすい。
最終章の「日銀改革の進め」までを読み終わると、まるで釘の頭をげんのうで叩き潰すかのような徹底した日銀批判の論理にスッキリした小気味よさを感じた。
本書を読むと、なぜ「日銀」は本書のような方針を採らないのかと思うが、日銀の人々も一流の経済専門家であるのだろうから、本書への反論も是非知りたいと思った。
とにかく、日本経済は「失われた20年」を更新中であるのだから、経済専門家は、責任問題はともかくとして、そこからの脱出策を指し示して欲しいものと痛感する。本書は、そのひとつとして高く評価できると思う。