岩田規久男のレビュー一覧
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本書の概要は次のとおりである。
日本銀行(日銀)の金融政策は前例主義を原則とする東京大学法学部卒をトップとする「官僚」によって運営されており、独特の「総合判断」に基づく裁量的金融政策をとっているが、それでは今の日本の大不況からは脱出できない。日銀のゼロ・インフレ政策はデフレ不況をもたらすとともに、過度の円高をもたらした。日銀は金融政策の達成目標を曖昧にしたまま「総合判断」という名の裁量で金融政策を運営しているため、国民は日銀の金融政策に対して、真の意味での「説明責任」を求めることができない、という点に問題の根源がある。成果を出しているインフレ目標を採用している国を見習い、日本でも、政府が日銀 -
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ざっくり内容
かつては物々交換をしていた。物々交換だと、例えば、コメを持っていて魚がほしい人(A)は、魚を持っていてコメがほしい人(B)を見つけないと交換はできず、人々はほしい物を手に入れられない。そこで、貨幣が登場し、交換が用意になるが、こんどは自分のほしいものを持っている人を探すのが大変。そこで、商人が登場し、商人を通して人々は色んな物を売ったり得たりできるようになる。しかし、一人の商人では限界があるから、市場が誕生し、人々は様々なものが得られるようになる。そして、市場が確立すると、人々は自給自足をするよりも自分の得意なサービス・商品を生産することに特化するほうが効率的になる。こうして、 -
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書かれたのが1994年で古いが、内容は普遍的なもの。
基本的な経済学の教科書として読める。
まず価格の話から経済に切り込む。価格はどのように決まるのか?価格は世の中にどのような影響を与えるか?という事から、失業の問題や景気変動の問題にまで切り込んだ内容になっている。
しかし、教科書的な内容では現実は全く測れるものとは限らない。
例えば、本書に書かれてる景気後退と失業の問題。景気後退時は企業は雇用を減らす。それにより人件費が減り利益が出て設備投資が増え、利益が増えまた雇用を増やす・・・なんて本当か?と思ってしまう。
理論は理論として必要だけれど、理論によって政策を決めるのは危険だと思う -
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日本は20年ほど前にバブルを経験して、いまだに回復したのかが明らかになっていない状態です。社会人になる直前にバブルを経験しましたが、当時はお金も無かったせいかその時代を楽しむことができなかった思い出のみがあります。
そのような歴史があるにも拘らず、アメリカで何回りも大きなスケールで土地バブルが弾けてしまいました。今回はサブプライムローンに始まって、モノライン保険、ローンの証券化等、高度なテクニックを使って世界中にばら撒いているので、弾けた場合の影響はアメリカ内部にとどまらず世界中に及ぼすことになると思います。あと何年かかるのかわかりませんが、早く正常な状態に戻ってほしいと思います。正常な状 -
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どうしてシロウト経済学はダメなのか、様々な例を用いて説明してくれており、読みやすかった。しかし、なぜダメなのかはよくわかったけれど、本来の経済学的思考である、演繹法や数式やグラフを用いて説明されている5章6章などは、ちんぷんかんぷんだった…。
シンプルな方がわかりやすいけれど、様々な要因が考慮されていないから悪影響を及ぼすだけという場合が多いんだなあ。経済は、大枠で見るため個人の損得だけが問題になるのではない。私はどうしても自分の損得や目の前のことだけで考えてしまいがち。帰納法には、錯覚の科学に通じるものがある気がした。因果関係とか。経済学はそう簡単に論じれるものではないんだなと思いました。難 -
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福沢諭吉はクリティカルシンキングを実践していこうという主張があったことが勉強となった。
このような日本人の日本語で書かれた著書を読まず、やたらと流行のビジネス翻訳本を読んできた自分を反省。
明治時代のベストセラーであるが、現代でも十分通用すると思われる。ベストセラーにした明治時代の民衆の向学心にも驚く。
古典として学ぶ必要あり。今後福沢諭吉を読もうと思う。
①議論の本位は比較から始まる。
②利害得失が関わる議論はどの立場の議論か明確にする。
③有益な結論を導くため、利害得失を超えた「一層高尚な視点」を導入して判断する。
④溺惑をしない
⑤憶断をしない
⑥学問とは何を疑い、信ずるかの取捨選択 -
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良書です。タイトルに「経済学」とありますが、
理論的な記述では無く、
米国住宅ローンブームの発生から
サブプライムローン証券化の仕組、そして
それが米国内を超えて世界中に危機が波及した流れに
ついてわずか220頁ほどの小著に簡潔にまとめてあります。
感情的な議論に落ち込まず、事実関係をシンプルにまとめて
ありますので、2009年出版ながらまだ読む価値があるかと。
(ただし、欧州債務危機までは述べられておりません)
なお、銀行間の資金決済の仕組みや
金融商品時価評価の景気増幅効果の問題点にも
触れられておりますが、
中の人としては残念ながら用語が正確では無く
苦笑いしてしまうような記述も。
しか