岩田規久男のレビュー一覧
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初版は1994年。
日本経済新聞を読んでいて、日頃からもっと深読みしたいなと思っていた。ちくま新書は今から25年位前の学生時代、出版される本はどれも興味を喚起させる書名ばかりで、読みたい本がたくさんあり、実際に何冊か読んではいたが、全然追い付かない状態だった。筑摩書房はいい新書出すと好印象をもてる出版社だった。現在は当時ほど注意して書名をチェックしていないのでわからないが、この本はちくま新書の30年前の経済学の本である。
当時の社会状況は今となっては少し古いが、経済学の内容は古くなく普遍的。この本を読んでみて基本的なことを説明するのに、わかりやすさの点で、この本を超える経済学の本はなかなか -
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著名な経済学者による、デフレ脱却の重要性を説いた本。著者は最近『日本型格差社会からの脱却』という名著を出版しているが、その中でも主題となっているデフレからの脱却について、詳しく述べているのがこの本。著者としては、欧米では当たり前の主張ではあっても、日本ではなかなか理解されないといったもどかしさを訴えている。説得力がある。
「(FRBの徹底したデフレ対策)FRBは、01年から景気減速が明確になったため、同年8月までに累計3%の利下げを実施しました。しかし、同年9月11日に同時多発テロが起き、不確実性が高まったため、さらなる利下げをせざるをえなくなりました。しかし、こうした連続の利下げにもかか -
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リフレ派の代表で元日銀副総裁、黒田日銀総裁の異次元の金融緩和を指導した人なので、そのことについてコメントを期待して読みました。ですが、そのことについてはほとんど触れられていませんでした。
デフレこそ不況の原因であり、これを根絶しないと日本経済の成長はないというのがリフレ派の理論です。そしてデフレを引き起こしたのは日銀の金融政策が間違っていたからなのだ、というリフレ派の理論的核心については凄い自信なのですが、黒田日銀総裁がその論理を使ったのだから、どうして効果があまり出ていないのか説明が欲しいところです。
もう一つ「MMT」についても語って欲しかったのですが、岩田教授はMMT論者じゃないこ -
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「経済学を学ぶ」の続編としてのマクロ経済入門。
できる限り文章で説明されているので、ロジックを追いやすく、頭の訓練もかねて、マクロ経済学の基礎を復習することができる。
★×4としたが、限りなく5に近いイメージ。
一方で、文章で説明されているので、わかりづらい面もある。図などで、自分なりに整理するとよりわかりやすくなる。
国民総生産、需要、供給、国民総所得、消費、貯蓄、投資の関係など。
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(登録時コメント)
経済の勉強、続きの続き。
自分のわかっていないことが見えてきているような感があるので、一度、ノートにまとめてみた方がよいかもしれない。
(目次)
第1章 国民総生産 -
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『経済学を学ぶ』(ちくま新書)の続編で、マクロ経済学の基本的な考え方を分かりやすい言葉で解説しています。
難解なマクロ経済学ですが、本書ではほとんど数式を使わず、定性的な記述で押し通しているので、一気に読み通すことができます。むしろ、立ち止まってしまうところがないために、どこがポイントなのか分からなくなってしまうのが本書の問題ではないか、と思えてしまうようなところがあります。
『経済学を学ぶ』と同様、すべての人に役立つ内容だと思いますが、とはいうものの、前著に比べると若干ですが、強硬なリフレ論者として知られる著者自身の主張がにじみ出ている度合いが強いように感じます。 -
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サブプライムローン問題に端を発する世界同時不況の原因と仕組みを解き明かすとともに、過去の大不況を顧みることで現在の危機に対処する方途を探っている本です。
じつのところ、経済学に疎く思想史に関心を抱く者としては、もっぱら理論的な立場から現在や過去の世界的な不況を論じている本書は、ややとっつきにくく感じてしまい、もっと包括的な立場から経済という人間の営みについて考える必要があるのではないかと感じてしまうのも事実です。
そうした私にとってもおもしろく感じたのは、石橋湛山の経済政策についての著者の評価です。反グローバリズム志向の強い左派の論者からは、石橋を評価する声は多く聞かれますが、著者のように -
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ネタバレ序論:アベノミクスとは:「大胆な金融緩和」「機動的な財政出動」「民間投資の成長戦略」の3本の矢である。日本のデフレギャップを金融緩和で埋める。
①金融緩和競争:リーマンショックに対してアメリカ・EUは金融緩和によって乗り越えた。アメリカは国債+MBSもFRBが買い込んだ。FRBはLSAPs(大量の資産購入政策)により長期金利の低減=デフレリスク軽減。デメリット:資本市場の機能不全→量的緩和を終わらせられない→バランスシートの負債→
②アベノミクスの金融緩和:デフレ要因→不良債権・IT革命・生産労働人口・中国・雇用形態→これらが原因とは断定できない。お金の流動性不足。予想インフレ率→円安→貯蓄~ -
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現在、日銀副総裁としてアベノミクスの金融政策にたずさわっている著者が、高度成長からバブル景気、平成の長期不況、小泉改革までの日本経済を、明快に解説した本です。
本書では、行政指導は産業界の意向をおおむね受け入れる形で決定されていたとし、戦後の高度成長に政府による産業政策が大きな役割を演じたとする見方を批判しています。
また、平成の長期不況からの脱却には、市場の機能を活用する構造改革だけでは十分ではなく、デフレからの脱却を伴わなければならないという主張がはっきりと押し出されています。本書の刊行は2005年ですが、この頃から著者がすでにインフレ・ターゲット導入の必要性を訴えていたことが分かりま -
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「学問のすゝめ」「文明論之概略」から、思考や議論の手法を解説し学ぼうとするもの。「議論の本位を定める」「高尚な視点から軽重を判断する」「惑溺するなかれ」「憶断するなかれ」「多事争論のすすめ」などを大相撲野球賭博問題における責任のとりかたや夫婦別姓、規制緩和など、現代の事例を引っ張りだして説明されているので理解納得しやすい。特に「人間万事試験の世の中」という福澤の言葉があるが、これは、世の中分からないことだらけなので、旧習を有り難がって墨守するのではなく、新たな試みをせよ、ということでまさに起業家精神だと思う。著者の岩田先生は大学時代に必修科目を教えていただいていた。おなつかしゅうございます。
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リフレ派の著者が多くの図表を用いて、リフレ政策の正しさを証明している本であり、非常に初心者用にわかりやすくと書こうとしているのがわかる。
内容は、日銀だけが金融政策の誤りのために世界で日本だけがデフレ状態になっており、まずこのデフレ状態を脱することが大切であることを主張している。デフレを脱却するためのアベノミクスの第一の矢であり、そのうえで、第2.3の矢を放つべきだとしている。名目GDPが上がれば、増税する必要もなくなるとしている。4章では、世界の経済状況が減速し、今後ユーロは、リスクが高いことも指摘している。
グローバル化というのは本当によいことばかりではないことを考えさせられた。