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Posted by ブクログ
◯人への強烈な不安を描いているのでは
3つの手記をもとに、葉蔵の人生を描いている。お道化を演じながら3人の女性と過ごし、人間への不審や戸惑いを感じながら生きる葉蔵。人間として生きることに苦しみ、最後は自分で自分に「人間失格」の烙印を押す。葉蔵の苦悩がありありと具体的に語られていて面白い。
さて、葉蔵の苦悩は痛いほどわかるところが多くあった。例えば、地主の父親が懇意にしている政治家の演説を聞いた人たちが帰りに政治家の演説や父の悪口を言うのに、当の父の前では称賛する場面。このような、「実にあざやかな、それこそ清く明るくほがらかな不信」があることに葉蔵は嫌悪感を感じる。たしかに、まだ自分には、外面はいい顔をするのに裏では悪口をボロカスにいう人がいると苦しくなる。自分が嫌われたくないという思いをまだ捨てきれていないからだろうか。そんな、人間の影の部分にたいして、葉蔵は苦しんでいるように感じる。
私の場合、そんな世界を受け入れるしかないとは思いつつも、傷つきたくない自分がいる。(悪口を言われて、傷ついたとして何が悪いのか)とおもうが。
でも、結局は、そんな嫌な気持ちも幸せな気持ちも葉蔵の最後の言葉に収斂されていくのだろう。
「いまは、自分には幸福も不幸とありません。ただ、一さいは過ぎて行きます。」
Posted by ブクログ
幼い頃から人間という存在を恐れ、道化でごまかしてきた主人公。人間である以上逃れない「人間の条件」から逃げ続けた末に、やがて破滅へと至る過程がとてもドライに描かれている。
自分にとって苦手なことや、時には恐ろしいと感じることは、人生の中でいつかは決着をつけなければならない。そんなことは誰にもいくつかはあるはずだし、だからこそ誰もが何らかの歪みを内に秘めているのだと思う。主人公の惨めな生き方に腹が立つと同時に、心情的に妙に共感できる部分があるのも多分それが理由だろう。
読み終えたとき、とても暗い気分になり、このストーリーをどう受け止めれば良いのか混乱したが、自分の内面を映す鏡として機能しているように感じた。
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