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どうせ食事をするならばおいしいものが食べたい。しかし、どういうものが「おいしい」のだろう?栄養があるもの?食べなれているもの?あるいは高価なもの?「おいしさ」というのは、実は生理的、あるいは文化的な数々のファクターが組み合わさったきわめて複雑な現象なのである。本書では、多様なレベルの考察を通して、その正体を追求し、その中でも、現代人にとって、もっとも重要な「情報のおいしさ」の構造とその行き過ぎを考える。
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Posted by ブクログ
「おいしい」と感じるには理由があって、経験や環境、栄養素、空間などあらゆる「要素」が関わっていてとても面白かった。 なるほどなぁと感心してしまう。
伏木先生の本はおもしろい。 言葉の 取り扱い方が うまい。 時折挟まれる『』文が 絶妙の間の手である。 美味しさを科学的に説明する。というのをメインテーマとする。 美味しさとは 多層的な構造をしている。 1 生理的欲求に合致した美味しさ 2 (生まれ育った)特定の食材に誘導されるやみつきの美味しさ...続きを読む→安心感 (民族)文化に合致する美味しさ 3 脳の報酬系を強く刺激してやみつきとなる。 4 情報が美味しさをリードする;先入観。安全なものを食べる欲求。 脳科学、情報学、生理学、人文科学などの広がりを持つ。 情報過多に陥った現代人の美味しさの構造はイビツである。 食べる時のかおりは 鼻が最初にであう 化学的な情報 『人間の口は味覚や食感を介して食品の化学的な情報に最初に出会う器官』 『舌の表面にある様々な受容体が食品成分に結合し、脳に送られる信号となることによって食品の成分がかなり正確に分析される。』 そのまえに ブランド名、表示、包装紙、見た目、匂い、など 情報として 察してから食べる。 口に入る前に評価をする。→『人間は脳で食べている。』 つまり、人間は、脳の情報に依存した食べ方に慣れてしまった。 そのために 五感で直接 食品の評価を判断する能力が低下した。 脳で感じるきれい 汚いとはなにか。 鍋で下着を洗うことは、許せない。下着が悪いのか?鍋が悪いのか? 『らしさ のためには科学は無力、いや逆効果でさえある。』 『食品には安全とともに安心が必要』 『安心の中には安全だけでは達成できない反科学的で人間臭い要因がいっぱいある。』 日本人が要求するのは 情緒的安心感。 信用とは 安心の結晶。 食品の中に 昆虫が入っていたら なぜ全部回収しなければならないか? 基本的に 気持ちが悪い 偽装表示は 何が問題か? 『舌で判断できないから表示に頼っているのに、その表示を偽るなんて許せない。』 天然は安全といえるのか? 『天然はやはり最高、自然はやさしい。人間は自然と一緒に生きていかなくちゃ。』 『自然に対する畏敬に比べて、人間の技術に対する深い不信が感じられる。』 養殖と比べて、体脂肪蓄積が少ない。身がしまっている。 派手な味ではなくとも、繊細でほのかな美味しさがある。 『プロが褒める味』『味がわかる人間』 第2章 やみつきの美味しさ→高度な嗜好性食品。 『快感を強く生じる食べ物には、動物や人はやみつきになる。人間は油脂、甘味、アミノ酸などの旨味が好きである。それぞれ、生命維持のために必要な脂質、糖質、タンパク質の存在を示す味の信号である。』 前頭前脳束 快感をあらわす なぜ美味しい店は 行列ができるのか? タッグがついておれば、つけましょう。 情報重視は 安全対策にある。 『有毒な食物は、通常は食べて消化器官に達してから毒性を発揮する。消化管の中で有害な微生物が繁殖してからであることも多い。』 『匂いの判断は味よりもかなり正確である。味の受容体は甘味や旨味ならば一種類ずつであるが、毒物に関係が深い苦みでは30種類程度。匂いの受容体は、人間でも数百種類。ネズミでは1000種類に近い。』 『一部の汚染や不都合であっても、どれもが汚染されているような気持ち悪さを感じてしまう。不意をつかれた脳の過剰反応。』 『情報しか信じられない情報依存型人間は期限に過敏である。賞味期限とはいえ具体的に設定された期間を過ぎることは不安である。』 『脳の先回り、近道志向の影響が健康食品ブームに現れている。』 『口で確かめる動物と情報で推測する人間』 苦み(毒)や酸っぱさ(腐敗)があれば、動物は食べない。 それを避けなくなったことで、人間は 安全なものを区別できなくなった。 納豆など 腐敗さえもが 食文化の中に取り込むようになった。 『生理から快感への転換』それは 食もセックスもそうである。 『トウガラシの辛さは痛覚である。温度や酸を受容する温度受容体がカプサイシンという辛味成分に反応している。』 『調理や料理の歴史は、動物としての正常な満足(生理的満足)を打ち破るための魅力的な味付けに腐心してきた。食の文化が人間の生理的な制御を凌駕した。』→美味しいは快楽を求めるものとなった。 『視床下部から脳下垂体さらに副腎皮質というストレスの主要な伝達•応答経路』 『戦うための交感神経にかわって副交感神経が活発になる。』 『ネズミの食行動は栄養素の摂取に非常に忠実であるのに対して人間は楽しみにも関心がある。ネズミが生理に制御されているのに対して人間は、複雑な情報の影響が色濃くみられる。』 脳が 美味しさに対して どのようなメカニズムで行なわれるのかが 詳しく説明されていて 参考となる。 美味しいとは 社会的歴史的な背景と 人類進化の過程の中にあるのだと思う。 そして、生まれ落ちた地域の気候条件、自然条件が 美味しさの制約をするが あまりにも 美味しいものが沢山あって 欲望は限りなく広がり 肥満や 生活習慣病は どんどんと広がっていく。
人間がおいしさを感じるメカニズムについて考察する本。 おいしさの構造を生理・文化・本能・情報などに分類し、それらの複合によっておいしさがもたらされるとしている。それらの中でも特に情報がもたらすおいしさに重きを置き、現代人の食事が情報に大きく依存していること、その行き過ぎについて書かれている。 おいし...続きを読むさという概念が分かりやすく解説されていて、誰もが「なんとなく」レベルで持っている理解を整理してくれる。食の安心・安全といった、多くの生物にとって無自覚レベルの分別を人間は宙に漂う情報へ委ねているのはうすら寒い。情報化の恩恵には存分に浴しても、その良し悪しを自分で判断する能力は持っていたい。
先日、著者の『おいしさを科学する』を読んで、出汁(ダシ)について、学ぶことができた(といってもほとんど頭に残っていないが・・・)。 本書ではおいしさの重要な要素である「情報」について書かれている。 著者の使っている『おいしさの四分類』は 1:生理的な欲求に合致するものはおいしい。 2:生まれ育った...続きを読む国や地域あるいは民族などの食文化に合致するものは美味しい。 3:脳の報酬系を強く刺激してやみつきなる。 4:情報がおいしさをリードする。 というもの。 人間のみに活用される、食べる前の「情報」というもの。 動物は摂取してからの味覚や嗅覚による情報や、記憶による情報によって、身体に有害なのか必要なのかを判断する。 人間は、賞味期限/消費期限」などのパッケージからの情報や、テレビコマーシャル、伝聞、などなど、外部情報に依存した形でおいしさを味わっている。 人間の能力・文化が作り出す味わい方について、著者は『現代の人間にとって、生の五感は失われ始めている。失われた五感を補うためにさらに情報が増える。我々は本当に幸せなのであろうか。』 ・・・と、やや暗い結末に至っている。 いくつかの実験も紹介しつつ、分かりやすく、「おいしさ」について説明しておられる。 ”おいしさ”についても、”健康”についても、僕らは外部情報(データ)に頼り過ぎているのかも知れない。 そういったことを意識して、ふと自身の五感に頼った生活に意識を向けてみるのもいいのかも知れない。 本書とは関係なけども、野口三千三のいった、『からだに貞(き)く』ということを思い出した。 ---------------- 【内容(「BOOK」データベースより)】 どうせ食事をするならばおいしいものが食べたい。しかし、どういうものが「おいしい」のだろう?栄養があるもの?食べなれているもの?あるいは高価なもの?「おいしさ」というのは、実は生理的、あるいは文化的な数々のファクターが組み合わさったきわめて複雑な現象なのである。本書では、多様なレベルの考察を通して、その正体を追求し、その中でも、現代人にとって、もっとも重要な「情報のおいしさ」の構造とその行き過ぎを考える。 ---------------- 【目次】 第1章 「情報」は最高の調味料 ・神社の清めの水 ・鍋で下着を洗う女 ほか 第2章 四つの「おいしさ」 ・おいしさの四本柱 ・その一・生理的なおいしさ ほか 第3章 おいしさの生理メカニズム ・おいしさ研究の最前線 ・味の信号は舌から延髄へ ほか 第4章 現代人の食べ方 ・本能から見た辛味ブーム ・ラーメンブームにも本能の影がちらつく ほか ---------------- 【著者について】 1953(昭和28)年京都府生まれ。京都大学農学部卒業、同大学院を経て、現在、京都大学大学院農学研究科教授。専門は食品・栄養化学。著書に『おいしさの科学』『食品と味』(編著)『子供を救う 給食革命』(共著)など。日本栄養・食糧学会評議員、日本香辛料研究会会長。 ----------------
[ 内容 ] どうせ食事をするならばおいしいものが食べたい。 しかし、どういうものが「おいしい」のだろう? 栄養があるもの? 食べなれているもの? あるいは高価なもの? 「おいしさ」というのは、実は生理的、あるいは文化的な数々のファクターが組み合わさったきわめて複雑な現象なのである。 本書では、多様...続きを読むなレベルの考察を通して、その正体を追求し、その中でも、現代人にとって、もっとも重要な「情報のおいしさ」の構造とその行き過ぎを考える。 [ 目次 ] 第1章 「情報」は最高の調味料(神社の清めの水 鍋で下着を洗う女 ほか) 第2章 四つの「おいしさ」(おいしさの四本柱 その一・生理的なおいしさ ほか) 第3章 おいしさの生理メカニズム(おいしさ研究の最前線 味の信号は舌から延髄へ ほか) 第4章 現代人の食べ方(本能から見た辛味ブーム ラーメンブームにも本能の影がちらつく ほか) [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
栄養学&医学を学んでいる自分にとってすごい興味深い内容だった! 例がわかりやすくて,読みやすく1日で読めた. でも,何度も同じコトを繰り返し言っていてちょっと飽きてきそうな… 強調したいコトだから,何度も述べていたのかな? でもでも!! この本に出会えてよかった やっぱり 人間って 食べる...続きを読むことって 奥深い. まだまだわからないことだらけだけれど, 生きているってやはりありがたいことなんだ
161ページの消化管の不快が食べ物の嫌いに繋がるという指摘には納得した。幼い頃、嫌いな食べ物を口にすると吐き気が反射的にしたからだ。 江戸時代に好まれなかったマグロのトロを現代人が好むのは、油分のおいしさに慣れすぎているからか。
タイトル通りで、人間は味やにおいといった生物本来の感覚で食べ物を食べているのではないという内容。本来、生物であれば、においや味で、食べ物の安全性を判定する能力が備わっているが、発達した脳のおかげで、事前の情報によって様々なバイアスを受け、それが味や安全性の判断に大きな影響を及ぼすという。 食品マー...続きを読むケティングにおいて、経験的にそうした人間の行動特性を踏まえ、地域ブランディングや原料および原産国表示などにおいて、さまざまな工夫がなされているのは説明の必要はないであろう。また、反対にそれを悪用した偽装などの事件も記憶に新しい。本書は、脳科学的なアプローチが根底となっているが、社会学的または経済学的な見地を融合した、それでは人間はどのように食に対して向き合うべきなのかという、より建設的な議論には至っていないのが残念。
おいしさを四種類に分類し、その中の一つであり、筆者が最も強いとされる「情報のおいしさ」を主に取り上げた本。 上述の「情報のおいしさ」について書かれている前半は面白く、納得できる部分も多かったが、後半はなんというか一般論が多かったように思える。一言で言うと後半はあまり面白くなかった。
[雑感] ■味の良し悪しは,リアルな味覚ではなく, 情報に影響を受けまくっているよねって感じの本。 ■原点に立ち戻って身体感覚を取り戻したくなった。
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