人間の条件

人間の条件

ビジネス・実用
1,716円 (税込)

8pt

条件づけられた人間が環境に働きかける内発的な能力、すなわち「人間の条件」の最も基本的要素となる活動力は、《労働》《仕事》《活動》の三側面から考察することができよう。ところが《労働》の優位のもと、《仕事》《活動》が人間的意味を失った近代以降、現代世界の危機が用意されることになったのである。こうした「人間の条件」の変貌は、遠くギリシアのポリスに源を発する「公的領域」の喪失と、国民国家の規模にまで肥大化した「私的領域」の支配をもたらすだろう。本書は、全体主義の現実的基盤となった大衆社会の思想的系譜を明らかにしようした、アレントの主著のひとつである。

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人間の条件 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    すごい名著!ただ難解で解説が必要。科学万能主義への批判であり、人間はただ健康で長生きすれば良いという現代の健康重視の価値観に疑問を投げかけている。これが1958年に出ている事にもびっくり。ハンナアーレントの思想は、多くの人に触れて欲しい。

    0
    2026年03月22日

    Posted by ブクログ

    人間の存在について考えさせられた。許しと約束、しかしそれも自由。まさに、人生は自分次第という結論に帰着しそうで、でもそのなかに人間としての条件が残っている。頭が痛くなりそうなくらい考えた。しかし、難解だった。

    0
    2026年03月14日

    Posted by ブクログ

    アーレントの軽快な文章構成のおかげでスラスラ読み進められるが、一つの言葉に対して特有の意味をもたせる彼女のスタイルに慣れるまでが大変。

    本著で考察される労働、仕事、活動という三つの題目が西洋の歴史のなかで、どのようにして各時代を渡ってきたのか、その経緯をアーレントは入念に考察する。
    古代ギリシャを筆頭に言語の起源を辿ることで、その「言葉」そのものの語源、根本に立ち返りながら、意味の変遷過程を見据え、現代性を再考し、今一度冷静に捉え直す。
    プラトンやソクラテスによってテオリアが活動の上位に置かれ、それ以降の西洋史を大きく支配することに至るが、近代において生産消費の活動そのものがその上位の位置を奪うに至る。
    デカルト的懐疑も、その内省という終わりのない精神的活動を促進させる原動力ではあったが
    そうしてアルキメデスの点を見出したことこそが、近代特有の有用性、つまり自然そのものを理解する以上に、その生成「過程」を対象に向ける契機へとつながっていく。

    0
    2024年02月14日

    Posted by ブクログ

    私的領域よりも公的領域に、そして労働や仕事よりも活動に、人間としての善き生を思い描くアーレントの議論は、ポリス的な生き方(公的領域で人々が交わる)を理想化しすぎでは?という不満はある。

    でも、読むといろんな疑問がわいてきて、つまりそれだけいろんな閃きの可能性に満ちていて、興奮ずくめの読書だった。とくに活動についての第5章は、§24の誕生と始まり、§33の許し、§34の約束など、人間への希望を感じさせる発想がたくさんあって感動した。

    むずかしくて分からない箇所も多かったけど、何度も読み返して食らいつきたい。

    【疑問リスト】

    Q. 公的領域における「現れ」だけがリアリティのすべてなの?
    ・他人によって見られ、聞かれること=「現れ」が世界と自分自身にリアリティを与える、というふうに言ってしまうと、たとえばレイプ被害者や自死遺族などのように、誰にも言えないし言いたくもない、自分自身思い出したくもないような経験をした人たちの、辛い過去や傷つきにはリアリティがない、と見放すことになってしまわないか?

    Q. アーレントは「喜び」についてどんな考えを持っていたのだろう?
    ・アーレントは「私的なもの」を生命ゆえの必然性や必要の領域として描いているが、「私的なもの」の典型である家は、必然(生命への従属)だけでなく喜び(生命への愛)もあるのでは?
    ・自然と人間の物質代謝を支える労働ではなく、自然の循環過程に抗して世界を作り上げる仕事=制作の方により高い価値を置いたアーレントは、書く人ではあったかもしれないが、「喜んでオムレツを作る人」ではなかったのかもしれないと思った。労働のくりかえしにだって喜びはある、と個人的には思う。

    Q. 書かれたものだけがすべてなの?
    ・活動、言論、思考は物になる(=書かれる)ことで初めてリアリティを得るという考えは、たしかにその通りだなと思ういっぽうで、書くことを特権視する西洋の知的伝統そのまんまだとも思った。また人間のあり方をめぐって、ギリシャ語やラテン語の語源にさかのぼって考えようとするなど、アーレントの議論にはエリート主義の傾向がひそんでいるように感じられた。
    ・書かれた歴史の後ろで人知れず世を去っていった数多の無名の人たちの、書かれることのなかった生のリアリティは?
    ・歴史的資料として残らなかった口承は?

    【目次】

    プロローグ

    第一章 人間の条件
    1 〈活動的生活〉と人間の条件
    2 〈活動的生活〉という用語
    3 永遠対不死

    第二章 公的領域と私的領域
    4 人間──社会的または政治的動物
    5 ポリスと家族
    6 社会的なるものの勃興
    7 公的領域──共通なるもの
    8 私的領域──財産
    9 社会的なるものと私的なるもの
    10 人間的活動力の場所

    第三章 労働
    11 「わが肉体の労働とわが手の仕事」
    12 世界の物的性格
    13 労働と生命
    14 労働と繁殖力
    15 財産の私的性格と富
    16 仕事の道具と労働の分業
    17 消費者社会

    第四章 仕事
    18 世界の耐久性
    19 物化
    20 手段性と〈労働する動物〉
    21 手段性と〈工作人〉
    22 交換市場
    23 世界の永続性と芸術作品

    第五章 活動
    24 言論と活動における行為者の暴露
    25 関係の網の目と演じられる物語
    26 人間事象のもろさ
    27 ギリシア人の解決
    28 権力と出現の空間
    29 〈工作人〉と出現の空間
    30 労働運動
    31 活動の伝統的代替物としての製作
    32 活動の過程的性格
    33 不可逆性と許しの力
    34 不可予言性と約束の力

    第六章 〈活動的生活〉と近代
    35 世界疎外
    36 アルキメデスの点の発見
    37 宇宙科学対自然科学
    38 デカルト的懐疑の勃興
    39 内省と共通感覚の喪失
    40 思考と近代的世界観
    41 観照と活動の転倒
    42 〈活動的生活〉内部の転倒と〈工作人〉の勝利
    43 〈工作人〉の敗北と幸福の原理
    44 最高善としての生命
    45 〈労働する動物〉の勝利

    謝辞

    訳者解説
    文庫版解説(阿部齊)

    0
    2023年09月08日

    Posted by ブクログ

    本当に読み応えのある深い本でした。本書は20世紀の哲学者ハンナ・アレントの代表作の一つで1950年代に書かれました。訳者の志水氏も最後に述べているように、どちらかと言えば難解な本ですが、アレントの言葉の定義がわかってくると徐々にスラスラと読めるようになってきます。志水氏が最後に本書の概要をとてもわかりやすく説明されていますが、読者の皆さんはまずは自力で本書を読み進め、最後に自分の理解を補う上で志水氏の解説を読むと良いかと思います。

    本書は人間の「活動的生活」を「労働」「仕事」「活動」の3つに分類し、アレント氏がそれぞれを定義づけます。そして人類の歴史(古代ギリシャ以降)において、この3つの序列がどう変化してきた、そしてその理由は何か、を解き明かしています。最初はどう違うのか良くわからないかと思いますが、アレントの言葉の使い方に慣れてくるにつれ、本書の後半ではだいぶ違いが理解できます。

    アレントは本書の最後の章で「アルキメデスの点」の話を出します。これは何かといえば、人類は地球に拘束されている生き物であるにもかかわらず、地球を離れて宇宙のある点から地球を見ることが出来るようになったことを、ガリレオ・ガリレイの地動説をもって説明しているのですが、私はアレント自身も「アレントの点」なるものを持っていると思いました。しかもこのアレントの点は、空間的に遠く離れた点という意味だけでなく、時間的にも遠く離れた点に自分をおくことが出来る、という意味で時空間を超えた点だと思います。自身を古代ギリシャにおくと、いかに現代社会(20世紀)の常識が非常識であるか、が描写できるというようなことがたびたび登場します。アレントは非常に視野が広いだけでなく深い(つまり事象の根源を突き止める)ことができる卓越した人物であったと感銘を受けました。

    0
    2023年04月30日

    Posted by ブクログ

    おもしろすぎる!!!!いま自分たちの生きる「社会」への嫌悪の正体がかなり明瞭に示される。均一化や消費主義ときいてポジティブな印象を受けるひとは稀だろうが、そのことが生命過程との同化といった点から語られる。そこにはなによりも労働の優位がある。しかし本書がそのような啓蒙をめざしたものではないとはいえあえて苦言を呈すれば、このただ生命過程を維持するものとしての労働、消費の終わらない循環のなかにあって、いかに公的領域、仕事、そして活動をとり戻せばよいのだろう。そのことを思うと絶望的にならざるを得ない。

    0
    2022年04月13日

    Posted by ブクログ

    おそらく半分くらいしか理解できていないだろうが、「出生が人間事象への唯一の希望」という表現は心に残っている。

    0
    2021年02月26日

    Posted by ブクログ

    人間の条件
    (和書)2012年01月17日 19:52
    1994 筑摩書房 ハンナ アレント, Hannah Arendt, 志水 速雄


    最近ハンナ・アレントさんの影響を非常に受けている。

    去年、地震があった頃、大杉栄さんの本を読んでいた。そのあたりが奇遇ではあったが、政治哲学というものを自分自身の関係性の中で考えることが必要だと感じるようになった。

    僕は政治というものを軽蔑していた。なぜならばナザレのイエスもソクラテスも政治的敗北によって死んでしまったと思っていたからである。どうせ政治的には負けるに決まっていると半ば絶望だと認識していた。しかし自分が生きるなかの関係性において政治的に負けるとわかっていても、やらなければならないことがある。それはマルクスに言わせれば無条件的命令、カントだと至上命令、ナザレのイエス、ソクラテスなら何になるだろうか?

    その中で僕は柄谷さんに言わせれば深刻な病に陥った。僕個人にとっては徹底的な政治的敗北を痛感した。それに対しどうすればいいか途方に暮れるばかりだった。イエスのように「何故神は我を見捨てた給うたのか」と言いたい状況だった。政治的敗北ではあったが宗教的には成功したのか?そういう見方もあるだろう。それは考えない。そんなことを期待すること自体間違っていると感じる。

    そんな中で政治的敗北を考えるより政治哲学としてそれを止揚するというか乗り越えることを僕は考えるべきだった。実際、考えていた。しかしそれをもっと明確にして行くべきだと考えるようになった。そのためにハンナ・アレントさんの作品はずば抜けて有益である。

    これからも他の作品を読んでいきたい。

    0
    2020年09月26日

    Posted by ブクログ

    長かったし、半分も理解できたのか分からないのだが、「何かの始まり」であるような気がする。つまり、数十年後に読み返したとき、「これは自分の思索の出発点だった」と振り返るような予感である。

    0
    2019年10月19日

    Posted by ブクログ

    読み直したさ:★★★
    労働・仕事・活動。世界性。多数性。マルクス。第六章にて「最大多数の最大幸福」についての指摘あり(その点に関して、功利主義の失敗などにも他箇所で言及あり)。
    〈感想〉
    たしかに、しかし、〜だからである、と分かりやすく文章が続くので読みやすい。最初のうちは諸概念の理解に苦労したが、考えて読んでいれば後半は楽になる。自分のもつ視点によって得られるものが違うと思うので、また読み返したい。

    0
    2015年01月28日

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