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「歯車理論」や「小物理論」の虚偽を突き、第三帝国下の殺戮における個人の責任を問う「独裁体制のもとでの個人の責任」、アウシュヴィッツ後の倫理を検討し、その道徳論を詳らかにする講義録「道徳のいくつかの問題」など、ハンナ・アレント後期の未刊行論文集。ユダヤ人である自らの体験を通して全体主義を分析し、20世紀の道徳思想の伝統がいかに破壊されたかをたどる。一方、人間の責任の意味と判断の能力について考察し、考える能力の喪失により生まれる“凡庸な悪”を明らかにする。判断の基準が失われた現代こそ、アレントを読むときだ。
...続きを読むPosted by ブクログ 2024年01月28日
“凡庸な悪”とは何か、アイヒマンが法廷に立ったあの時と、アウシュビッツにいたあの時とはどう違うのか。
政治、道徳というテーマを、古代ギリシャからカントやマキャベリ、ニーチェ等の思想も踏まえながら、組織に生きる我々はどのように生き、そして「無批判に行動すること」の危険性を示唆する内容となっている。
研...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年09月27日
責任と判断
(和書)2012年03月07日 19:48
2007 筑摩書房 ハンナ・アレント, ジェローム・コーン, 中山 元
あまり期待していなかったけど、読んでみるととびきり良い本だった。なんだか今までの自分自身を問い直すことができるように感じた。
・・・十分な数の人々が「無責任に」行動し...続きを読む
Posted by ブクログ 2018年04月13日
アレント後期の未刊行論文集。講演やスピーチとして聴衆に語る形式になっているので、いくぶん分かりやすい。なかで「独裁体制のもとでの個人の責任」は全体の要約ともいえるもので、国家の命令で犯罪に手を染めた個人の責任を問いかける。人間の責任の意味と判断の能力について考察する。判断の基準を喪失した現代こそ、ア...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年06月04日
ナチスドイツの体制のもとで、想像を絶する反人道的な犯罪行為を犯したアイヒマンたち。自分は組織の歯車に過ぎなかったと主張する被告たちの個人としての責任を追及できるのか、また、普通の人がなぜこのようなおぞましい行為に加担できたのかをハンナ・アーレントは懸命に思考した。そのことに並々ならぬ思いを感じた。
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Posted by ブクログ 2023年03月29日
こうした問題の議論において、特にナチスの犯罪を一般的な形で道徳的に非難しようとする際に忘れてならないのは、真の道徳的な問題が発生したのはナチスの党員の行動によってではないということです。いかなる信念もなく、ただ当時の体制に「同調した」だけの人々の行動によって、真の道徳的な問題が発生したことを見逃す...続きを読む
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