小説作品一覧

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  • オレンジ・ランプ
    3.9
    ある日、僕は認知症と診断された。 まだ、39歳だった――。 実話をもとに描く、夫婦の9年間の軌跡。   僕は39歳で若年性アルツハイマー型認知と診断された。 車の営業として働き盛りだった僕はその事実を受け入れられない。 だが、ある日、顧客の顔を忘れ、会議を忘れ、とうとう自宅への帰り道も忘れてしまった。 いつか大切な家族のことも忘れてしまうのだろうか。 「人生、もう終わり」。 そう思っていたが……。 実在の人物をモデルにした感動の物語。
  • BKBショートショート小説集 電話をしてるふり
    3.9
    たった5分で見えていた景色が変わる! よくナンパをされる私は、スマホで父親と話すふりをして避けていると……(「世にも奇妙な物語」でドラマ化された表題作)、老夫婦が営む喫茶店で話の上手な友が(「いつも悪いな」)など、ブラックジョークに笑い、思わず涙し、展開に驚く。 たった5分で見えていた世界がガラリとかわる、極上のショートショート、たっぷり50編! BiSHのモモコグミカンパニーとの特別対談も収録。
  • 木になった亜沙
    3.9
    奇妙で、不穏で、とびきり純粋な愛の物語 無垢で切実な願いが日常をいびつに変容させる。今村夏子の世界が炸裂する3篇に、単行本未収録エッセイと村田沙耶香による解説を付す。 ※この電子書籍は2020年4月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • また会う日まで
    3.9
    1巻3,800円 (税込)
    海軍軍人、天文学者、クリスチャンとして、明治から戦後までを生きた秋吉利雄。この三つの資質はどのように混じり合い、競い合ったのか。著者の祖母の兄である大伯父を主人公にした伝記と日本の近代史を融合した超弩級の歴史小説。『静かな大地』『ワカタケル』につづく史伝小説で、円熟した作家の新たな代表作が誕生した。朝日新聞大好評連載小説の書籍化。
  • それを世界と言うんだね 空を落ちて、君と出会う
    3.9
    少女は、薔薇の花畑で目覚めた。自分は誰? ここはどこ? すぐ先には白い小城があり、そこは物語管理局という時空の狭間だった。城には物語に登場するキャラクターが暮らし、城主は親指姫。少女は自分の正体を突き止めたいと「王子」と呼ばれる少年と“物語管理官”として活動することに。ふたりは物語の世界で不幸になった者を救うため「マッチ売りの少女」「裸の王様」などの作品に入るが、王子がある禁忌を破ってしまい……?
  • 毒をもって僕らは
    3.9
    1巻1,760円 (税込)
    高校生の木島道歩は、尿路結石で入院していた病院で16歳の誕生日を迎えた。またみんなに馬鹿にされる……。そんな木島に「ねえ、君にお願いがあるんだ」と声をかけてきたのは、不治の病とたたかう綿野という少女だった。「この世界の、薄汚い、不幸せなことを私に教えてくれないか。もっと、もっと、もっと」――。二人は「生きる証」を打ち立てようと、嘲笑と裏切りを突き抜けて進んでいく。第11回ポプラ社小説新人賞受賞作。
  • 殺戮の狂詩曲
    3.9
    1巻1,672円 (税込)
    累計50万部突破、リーガルミステリーの最高峰「御子柴弁護士」シリ―ズ。 【偽善という言葉から、これほど遠い小説はない】 高級老人ホームで発生した、令和最悪の凶悪殺人事件。好人物を装っていた介護職員の心中に渦巻く邪悪。最低な被疑者への弁護を名乗り出た悪評塗れの弁護士・御子柴礼司が、胸に秘める驚愕の企みとは?  ミステリーという技法を用いることによってのみ可能な、命あるものへの賛歌である。―杉江松恋(文芸評論家) ドラマ「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲」原作「御子柴弁護士」シリーズ、第6弾。 ●御子柴礼司(みこしば・れいじ) 本シリーズの主人公。14歳の頃、幼女を殺害しその遺体を解体してばら撒き〈死体配達人〉と世間から呼称される。少年刑務所を経て、高額の報酬を得ながら、検察の見立てを次々ひっくり返す悪徳弁護士となる。
  • ウィステリアと三人の女たち(新潮文庫)
    3.9
    大きな藤の木のある、壊されつつある家。真夜中に忍び込んだわたしは、そこに暮らした老女、ウィステリアの生を体験する。かつて存在した愛を魔術的に蘇らせる表題作。思いがけぬ大金を得、デパートで連日買い物を続ける女性の虚無を描く「シャンデリア」。いくつかの死、失った子ども、重なり合う女たちの記憶……研ぎ澄まされた言葉で紡がれる、美しく啓示的な四作を収録した傑作短編集。
  • 時かけラジオ ~鎌倉なみおとFMの奇跡~
    3.9
    ローカルラジオ放送局「鎌倉なみおとFM」の最終番組は22時で終了する。しかし、なぜか時々、23時から番組が流れる夜があり、それは1985年を生きるDJによるもので……。 親友の婚約を素直に祝うことができない女性・三回転半ジャンプさん、母親の再婚相手と距離を置いてしまう小学生・ラジコンカー君……悩めるリスナーが、時を駆ける真夜中のラジオと繋がる時、優しい波音がきこえてくる――。 聴き終えた後、心の声に耳を傾けたくなる不思議なラジオ。 『東京すみっこごはん』『今日は心のおそうじ日和』の著者・成田名璃子、新境地!
  • センチメンタル・シカゴ
    3.9
    修道院の会計係をしているおばが株券偽造の疑いをかけられた。ただ一人の親族の潔白を晴らすため調査を始めたヴィクに、何者かが圧力をかける。硫酸、友人の死、そしてアパートの火災――事件の背後の巨大な陰謀に孤独な戦いを挑む女探偵ヴィクと、やがて明かされる母親にまつわる衝撃の事実。話題の第三作。
  • レイクサイド・ストーリー
    3.9
    いとこの元ホッケー選手が埠頭から落ちて死んだ。死因に疑いを抱くわたしは彼のマンションを訪れるが、部屋は荒され、警備員まで殺されていた。たった一人のわたしに襲いかかる魔の手、五大湖を走る大型貨物船の爆破……海運業界に渦巻く陰謀とは? ハードボイルド界に颯爽と登場した女探偵ヴィクの第二作。
  • 逢魔宿り
    3.9
    元編集者で現ホラー・ミステリ作家の「僕」のもとに、昔仕事をしたデザイナー・松尾から連絡が入った。「小説 野性時代」に連載している連作怪奇短篇について、話したいことがあるという。各短篇は、それぞれ他人から聞いた体験談を基に小説化したもので、松尾とは何も関係がないはず。訝りながら家を訪ねた「僕」に、松尾は三十年前の出来事を語りだした。それは、日課の散歩中にある四阿で出会った、怪異譚を語りたがる奇妙な一家の話であった。子供時代に山小屋で遭遇した怪異、障子に映った奇妙な影絵、宿直していた学校で起きた異変。彼らが怪異譚を語るたび、なぜか松尾の近隣で事件が多発し……。(「逢魔宿り」) ほか、「お籠りの家」「予告画」「某施設の夜警」「よびにくるもの」の4編を収録した、珠玉のホラー連作短編集。
  • ポー傑作選1 ゴシックホラー編 黒猫
    完結
    3.9
    「この猫が怖くてたまらない」――ポー新訳2冊連続刊行!(2巻は22年3月発売) おとなしい動物愛好家の「私」は、酒に溺れすっかり人が変わり、可愛がっていた黒猫を虐め殺してしまう。やがて妻も手にかけ、遺体を地下室に隠すが…。戦慄の復讐譚「黒猫」他「アッシャー家の崩壊」「ウィリアム・ウィルソン」「赤き死の仮面」といった傑作ゴシックホラーや代表的詩「大鴉」など14編を収録。英米文学研究の第一人者である訳者による解説やポー人物伝、年譜も掲載。 あらゆる文学を進化させた、世紀の天才ポーの怪異の世界を堪能できる新訳・傑作選! ●傑作ゴシックホラー+詩 赤き死の仮面 The Masque of the Red Death (1842) ウィリアム・ウィルソン William Wilson (1839) 落とし穴と振り子 The Pit and the Pendulum (1842) 大鴉(詩)The Raven (1845) 黒猫 The Black Cat (1843) メエルシュトレエムに呑まれて A Descent into the Maelstrom (1841) ユーラリー(詩) Eulalie (1845) モレラ Morella (1835) アモンティリャードの酒樽 The Cask of Amontillado (1846) アッシャー家の崩壊 The Fall of the House of Usher (1839) 早すぎた埋葬 The Premature Burial (1844) ヘレンへ(詩) To Helen (1831) リジーア Ligeia (1838) 跳び蛙 Hop-Frog (1849) 作品解題 数奇なるポーの生涯 ポー年譜 訳者あとがき
  • おもいでがまっている
    3.9
    1巻1,700円 (税込)
    「待つ」ことでしか、進まなかった人生がある。 今は古びた平成初期の新興マンション。 その一室に、ひとりの年老いた男が、孫とともに住んでいた。 男が訥々と語る、心温まる、この部屋の思い出。 孫はここで、ずっと母を待っている。 この部屋に残された母の愛に囲まれて。 しかし、男が語る思い出はすべて“嘘”だった。 かつてこの男は、とある幼い兄妹から、この部屋を奪った。 男には、そうしなければならない、痛切な理由があったーー。 風吹く部屋で、ずっと誰かを待ち続けた、ある家族と男の物語。 水野良樹(いきものがかり)が筆名で描く、渾身の書き下ろし小説。 ■著者からのメッセージ すぐに話せて、すぐに理解できる。 待つことが少なくなったそんな世界において、人に会えず、先が読めず、いつ終わるかわからない、待つことを強いられた3年間でもありました。今という瞬間を侵食する過去との向き合い方。そして場所に沈殿し、宿り続ける記憶。 人生という自分たちの時間を、前に進めようともがく人々の物語です。 なお、本小説のプロットから受けたインスピレーションを元に創り上げられた楽曲『ただ いま (with 橋本愛)』が、各種音楽配信サイト・ストリーミングサービスにて配信中。 本楽曲は女優の橋本愛が初めて作詞を手掛け歌唱を担当。 作曲は著者の清志まれ、編曲は鈴木正人が手掛けた。
  • カケラ
    3.9
    美容外科医の橘久乃は幼なじみの志保から「やせたい」という相談を受ける。カウンセリング中に出てきたのは、太っていた同級生・横網八重子の思い出と、その娘の有羽が自殺したという情報だった。有羽は高校二年から徐々に学校に行かなくなり、卒業後、ドーナツがばらまかれた部屋で亡くなっているのが見つかったという。母が揚げるドーナツが大好物で、それが激太りの原因とも言われていた。もともと明るく運動神経もよかったというその少女は、なぜ死を選んだのか? 「美容整形」をテーマに、外見にまつわる固定観念や、人の幸せのありかを見つめる、心理ミステリー長編。
  • わたしのなつかしい一冊
    3.9
    1巻1,870円 (税込)
    本は帰ってくる。 友情、自由、冒険、歴史――ぜんぶ本が教えてくれた。人気作家ら50人が、何度も読み返す〈人生の一冊〉を語る。毎日新聞好評連載「なつかしい一冊」がついに書籍化。軽やかな絵と文章でおくるブックガイド。 ※こちらの作品は過去に他出版社より配信していた内容と同様となります。重複購入にはお気を付けください
  • ノレノレかるた 二人でつくる卒塾制作
    3.9
    1巻1,540円 (税込)
    小学六年生の小春と英(はな)は学校も得意科目も志望校も別だけど、塾でいつも隣同士の親友。彼女たちは2人だけの”卒業制作”として秘密のカルタ作りをはじめる…。 自立の一歩手前、少女たちの繊細かつしなやかな心情を描く、注目作家の最新作。 ※こちらの作品は過去に他出版社より配信していた内容と同様となります。重複購入にはお気を付けください
  • 影に対して―母をめぐる物語―(新潮文庫)
    3.9
    なぜ父と母は別れたのか。なぜあのとき、自分は母と一緒に住むと勇気を持って言えなかったのか。理由は何であれ、私が母を見捨てた事実には変わりはない――。完成しながらも手元に遺され、2020年に発見された表題作「影に対して」。破戒した神父と、人々に踏まれながらも、その足の下から人間をみつめている踏絵の基督を重ねる「影法師」など遠藤文学の鍵となる「母」を描いた傑作六編を収録。(解説・浅井まかて)
  • うちの父が運転をやめません
    3.9
    猪狩雅志は高齢ドライバー事故のニュースに目を向けた。78歳といえば親父と同じ歳だ。妻の歩美と話しているうちに心配になってきた。夏に息子の息吹と帰省した際、父親に運転をやめるよう説得を試みるが、あえなく不首尾に。通販の利用や都会暮らしのトライアル、様々な提案をするがいずれも失敗。そのうち、雅志自身も自分の将来が気になり出して……。父は運転をやめるのか。雅志の出した答えとは? 心温まる家族小説!
  • 待つ(乙女の本棚)
    値引きあり
    3.9
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 人気シリーズ「乙女の本棚」第30弾は、文豪・太宰治×イラストレーター・今井キラのコラボレーション! 小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。 ああ、私は一体、何を待っているのでしょう。 毎日、毎日、駅にまだ見ぬ人を迎えにいく女性。今日も彼女は、駅の冷いベンチに坐っている。 太宰治の名作が、他の追随を許さない独自の空気感で、世界中のロリータ少女たちから支持され続け、本シリーズでは太宰治『女生徒』を担当する大人気イラストレーター・今井キラによって描かれる。 名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。 自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。
  • 目で見ることばで話をさせて
    3.9
    わたしは物語を作るのが好き.11歳の少女メアリーは,島のだれとでも手話で話し,いきいきと暮らしています.一方馬車の事故で死んだ兄さんのことが頭を離れません.ある日傲慢な科学者に誘拐され,ことばと自由を奪われて…….手話やろう文化への扉を開く,マーサズ・ヴィンヤード島を舞台にした歴史フィクション.

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  • ダイヤル7をまわす時
    3.9
    かつて戸根市に存在した暴力団・北浦組と大門組は、事あるごとにいがみ合っていた。そんなある日、北浦組の組長が殺害される。鑑識の結果、殺害後の現場で犯人が電話を使った痕跡が見つかった。犯人はなぜすぐに立ち去らなかったのか、どこに電話を掛けたのか? 正統派犯人当て「ダイヤル7」。船上で起きた殺人事件。犯人はなぜ死体の身体中にトランプの札を仕込んだのか? トランプの名品〈ピーコック〉をめぐる謎を描く「芍薬に孔雀」など7編。貴方は必ず騙される! 奇術師としても名高い著者が贈る、ミステリの楽しみに満ちた傑作短編集。/【目次】ダイヤル7/芍薬に孔雀/飛んでくる声/可愛い動機/金津の切符/広重好み/青泉さん/解説=櫻田智也
  • GEQ 大地震
    3.9
    1995年1月17日、兵庫県一帯を襲った阪神淡路大震災。死者6347名を出したこの未曾有の大地震には、数々の不審な点があった……『下山事件』『TENGU』の著者が大震災の謎に挑む長編ミステリー。
  • 極刑
    3.9
    愛娘を殺されながらも極刑を望まなかった半田龍樹は、妻とも別れ、小さな居酒屋を始めた。一見、平穏に流れる日々――。だが、常連客は知らなかった。龍樹の陰の“制裁”を。卑劣な罪を犯しながらも逃げおおせた者を執拗に追跡し、淡々と運命の引き金を引いていく龍樹。黒い血に塗れた両の手は、やがて思いがけない事態を引き寄せてしまう。猛毒ミステリー『いっそこの手で殺せたら』で大注目の新進作家、衝撃のデビュー作。
  • 街に躍ねる
    3.9
    1巻1,760円 (税込)
    小学生五年生の晶と高校生の達は、仲良しな兄弟。物知りで絵が上手く、面白いことを沢山教えてくれる達は、晶にとって誰よりも尊敬できる最高の兄ちゃんだ。でもそんな兄ちゃんは、他の人から見ると普通じゃないらしい。晶以外の人とのコミュニケーションが苦手で不登校だし、集中すると全力で走り出してしまう癖があるから。第11回ポプラ社小説新人賞特別賞受賞作。温かさと切なさが胸を打つ、人と人との関わりの物語。
  • イシマル書房 編集部
    3.9
    満島絢子は念願かなって神保町の小さな出版社にインターンとして採用された。しかし、当のイシマル書房は親会社から「半年で経営が改善されなければ他社に株を売却する」と最後通告を受ける――会社存続の危機に、石丸社長を中心に、理由あり作家、引退していた編集者、活版職人で絢子の祖父、元ヤンキーの営業マン、全国の書店員……など「小説」を愛する人々が立ち上がった。果たして起死回生のベストセラー小説は生まれるのか? 書き下ろし長篇。
  • モダンタイムス(上) 新装版
    3.9
    恐妻家のシステムエンジニア渡辺拓海はあるサイトの仕様変更を引き継ぐ。 プログラムの一部は暗号化されていて、前任者は失踪中。 解析を進めていた後輩や上司を次々と不幸が襲う。 彼らは皆、ある特定のキーワードを同時に検索していたのだった。 『魔王』から五十年後の世界。 検索から始まる監視の行き着く先は──。
  • ラーメンカレー
    3.9
    1巻1,800円 (税込)
    「すべての出会いは運命的だ」 35歳、9月。ロンドンで高校の同級生の結婚式に参加した。 仁と茜の夫婦は、茜の古い友達を訪ねてペルージャまで足を延ばす。 そして窓目くんは、結婚式でシルヴィに出会ってしまったのだった。 ――言葉と記憶があふれだす、旅の連作短編集。
  • 口福のレシピ
    3.9
    隠し味のルーツをめぐる「食」の家族小説。 留季子の実家は、江戸時代から続く老舗の料理学校「品川料理学園」。いずれは継ぐものという周囲からの圧迫に耐えられず、大学卒業後はSEとして企業に就職した。しかし、食べることも料理をすることももともと大好きな留希子。SNSでレシピを発信しているうちに、料理研究家としての仕事も舞い込むようになる。アプリ開発会社と組み、大型連休に向けた簡単でおいしい献立レシピの企画を立ち上げるが、留季子の思いと、忙しい女性たちの現状はいつの間にか乖離し、アプリ制作は難航した。一方、昭和二年の品川料理教習所の台所では、女中奉公に来て半年のしずえが西洋野菜の白芹(セロリー)と格闘していた。どのように調理すれば美味しく食べてもらえるのか。しずえは、蕗と同じように小さく切って、少量の油で炒め、醤油と味醂、砂糖で炒りつけた。留希子としずえ、二人をつなぐ一皿の料理の隠し味をめぐる「食」の家族小説。巻末に、著者の原田ひ香さんと料理家・飛田和緒さんの対談を特別収録。 ※この作品は単行本版『口福のレシピ』として配信されていた作品の文庫本版です。
  • 本のない、絵本屋クッタラ おいしいスープ、置いてます。
    値引きあり
    3.9
    札幌にある『本のない、絵本屋クッタラ』はインクブルーの三角屋根が目印の、店主・広田奏と共同経営の八木が切り盛りする本屋兼カフェ。メニューは季節のスープセットとコーヒーのみだが、育児に悩んだり、自分の今の立ち位置に迷った客が今日もやってくる。名の通り店に本はないが、奏は静かに耳を傾けると、後日悩みに寄り添う絵本をそっと差し出す。それは時に温かく、時に一読しただけではわからない秘密をもっていて……。
  • 鮫島の貌(かお) 新宿鮫短編集
    3.9
    新宿署に異動直後、上司となる桃井と鮫島との出会い。飛び降り自殺を図ろうとした少年と関わる晶。鮫島の宿敵・仙田、鑑識官の藪……。シリーズに登場する個性的な人物たちの意外なエピソードから、人気コミックの主人公である両津勘吉や冴羽との共演まで。孤高の刑事・鮫島の知られざる一面が垣間見える短編が勢揃い。「新宿鮫」にしかない魅力が凝縮された全10作品。
  • 橘外男日本怪談集 蒲団
    3.9
    「日本最凶」の古典怪談、ここに甦る……。 ある地方の古着屋が入手した、青海波模様の縮緬布団。以来、その周囲では血塗れの美女が出現する怪現象が続発し、ついに死人まで――読む者を虚実のあわいに引きずり込む、独特の恐怖世界。日本怪談史上屈指の名作として読み継がれる表題作ほか、現代ホラー界の先駆的存在である著者初の怪談ベスト・セレクション全七篇。 【目次】  Ⅰ 蒲団(1937) 棚田裁判長の怪死(1953) 棺前結婚(1952)  Ⅱ 生不動(1937) 逗子物語(1937) 雨傘の女(1956) 帰らぬ子(1958) 〈解説〉朝宮運河
  • だからダスティンは死んだ
    3.9
    そのふた組の夫婦は、よく晴れた風の強い日に、屋外パーティーで知り合った。――版画家のヘンは、夫のロイドとともにボストン郊外に越してきた。パーティーの翌週、ふたりは隣の夫婦マシューとマイラの家に招待される。だがマシューの書斎に入ったとき、ヘンは二年半前のダスティン・ミラー殺人事件で、犯人が被害者宅から持ち去ったとされる置き物を目にする。マシューは殺人犯だと確信したヘンは彼について調べ、跡をつけるが……。複数視点で語られる物語は読者を鮮やかに幻惑し、衝撃のラストへなだれ込む。息もつかせぬ超絶サスペンス!/解説=村上貴史
  • あなたはここにいなくとも 無料お試し版
    無料あり
    3.9
    1巻0円 (税込)
    どれだけ辛くても、わたしひとりの苦しみではない。この苦しみを慈しんでくれるひとが、遠くに待ってくれている。 恋人に紹介できない家族、会社でのいじめによる対人恐怖、人間関係をリセットしたくなる衝動、わきまえていたはずだった不倫、ずっと側にいると思っていた幼馴染との別れ――いまは人生の迷子になってしまっているけれど、あなたの道しるべは、ほら、ここに。もつれた心を解きほぐし、本当の自分を取り戻すための全五篇。 2021年に本屋大賞第一位となり、常に新刊を心待ちにされる著者による2023年2月刊行の短篇集のなかから、「おつやのよる」を特別無料配信します。 *本稿は校了前のデータをもとに作成しています。そのため、刊本とは一部内容が異なる場合がございます。予めご了承ください。 町田そのこ(まちだ・そのこ) 1980年生まれ、福岡県在住。2016年「カメルーンの青い魚」で第15回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。17年、同作を含む短編集『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』でデビュー。『52ヘルツのクジラたち』で2021年本屋大賞を受賞。他の著書に『ぎょらん』『うつくしが丘の不幸の家』『星を掬う』『宙(そら)ごはん』「コンビニ兄弟」シリーズがある。

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  • 妻を殺してもバレない確率
    3.9
    第5回ネット小説大賞のグランプリ受賞作 未来に起こることの確率が調べられるとしたら、あなたは何の確率を調べますか? 時代遅れの政略結婚で、好きでもない女性と夫婦になってしまった男性。 彼女との暮らしに苦痛を感じていた彼は、あるときから『妻を殺してもバレない確率』を調べるようになった。 確率は低いが、うまくいけばこの無意味な生活を終わらせられる……。『確率』が繋ぐ人と人との不思議な縁。 表題作以外にも「明日、世界が終わる確率」「あの子が同じ電車に乗ってくる確率」「彼が奥さんと別れる確率」 「娘に彼氏ができる確率」「空から女の子が降ってくる確率」「私が一生独身の確率」など、 読めば心が晴れやかになる7つの短編からなるオムニバス作品。
  • 土竜(もぐら)
    3.9
    1巻1,760円 (税込)
    侠客の父と、ネグレクトの果てに自死した母。17歳で天涯孤独となった彼は、喧嘩と女に明け暮れ、全財産6万円を握りしめ上京する。そして、薬物に溺れ逮捕された――。昭和の高知を舞台に、どん底まで堕ちていく男のやるせない人生と、彼を巡る人間たちに光をあてる、絶望と再生の物語。壮絶な過去と向き合いすべてを曝け出した、自伝的初小説集。読書人を唸らせた唯一無二の世界がここに。
  • 詐欺師はもう嘘をつかない
    3.9
    詐欺師の母親の元でノーラは何度も名前を変え、その度に人を騙す方法を学んできた。ある日、彼女は友人と強盗事件に巻き込まれ……
  • 村田喜代子傑作短篇集 八つの小鍋
    3.9
    生きることのたくましさと可笑しさと 九州を主な舞台に、生きることのたくましさをおおらかなユーモアで描きつづけて四十五年。黒澤映画『八月の狂詩曲』の原作になった「鍋の中」(芥川賞)、「白い山」(女流文学賞)、「真夜中の自転車」(平林たい子賞)、「蟹女」(紫式部文学賞)、「望潮」(川端康成文学賞)など、各種文学賞の折り紙つきの傑作短篇八つを一冊に。 解説:池内紀
  • 三兄弟の僕らは
    3.9
    両親は死んだ。ある「秘密」を僕らに遺して――。愛情深い父母の元、平凡な毎日を送ってきた稲野家の三兄弟。しかし彼らは、ある日突然、両親を交通事故で亡くしてしまう。そんな三兄弟の家に、ほとんど面識のなかった母方の祖母がやってきた。彼らは戸惑いながらも祖母と暮らすうちに、近隣の住民のトラブルや、自分たち兄弟の関係、そして亡き父母が遺したとんでもない「秘密」とも向き合うようになり……。「東京バンドワゴン」「すべての神様の十月」シリーズの著者が贈る、若き三兄弟の成長を描いた心温まる家族小説。
  • 屋根裏のチェリー
    3.9
    もういちど会いたいです──都会のはずれのガケの上にある古いアパート。その屋根裏にひっそり暮らしている元オーケストラのオーボエ奏者のサユリ。唯一の友だちは、頭の中にいる小さなチェリー。「もっと外へ出て行かなくちゃ」とチェリーは言うが……。ハンバーガーやササミカツ定食やレモン・ソーダが好き。食いしん坊でこよなく音楽を愛するサユリと個性的な登場人物が織りなす、『流星シネマ』と響きあう愛おしい小さな奇跡の物語。
  • 映画ノベライズ 耳をすませば
    3.9
    読書が大好きで元気いっぱいな中学生の女の子・月島雫は、図書貸出カードでよく見かける名前が頭から離れなかった。天沢聖司――全部私よりも先に読んでいる。そしてあるきっかけで出会った二人は次第に惹かれあう。だが、聖司は夢を叶えるため中学卒業と同時にイタリアへ旅立ってしまった。それから10年。雫は児童書の編集者として働きながら夢を追い続けていた。遠く離れたイタリアで奮闘する聖司を想い、自分を奮い立たせていたが……。柊あおいの不朽の名作に完全オリジナルの「10年後」の物語を加えた実写映画を小説化!
  • 怪異の掃除人・曽根崎慎司の事件ファイル 生ける炎は誰が身を喰らうか
    3.9
    応募総数13,116作品 ネット小説大賞受賞作品!! 名状しがたいオカルト事件 這い寄る狂気はすぐそこにある 怪しげな男、曽根崎慎司は、警察では手に余る名状しがたい怪事件を請け負う「怪異の掃除人」だ。そんな彼のもとでアルバイトをする竹田景清も、不可解な事件に巻き込まれていく。 街中で見つかるちぎれた小指。 吸えば溺死する漆黒のタバコ。 体の一部が喰われる夢。 そして、生ける炎を信仰するカルト教団。 狂気に呑み込まれてしまえば、終わり。闇の底から這い寄る怪異に立ち向かう、ホラーサスペンス開幕。
  • ノーマル・ピープル
    3.9
    マリアンは、お手伝いの息子コネルとは幼馴染。惹かれ合い、周囲に内緒で付き合い始めるが、高校卒業前に別れてしまう。だが同じ大学に通うことになりーー。劣等感や社会格差、すれ違いで引き裂かれた男女の恋愛の機微を描く、全世界100万部超の傑作長篇小説
  • 片をつける
    3.9
    人生の最後に、向き合いたい思い出は何ですか。 自分に、本当に必要なものを探し出す「片付け」小説。 亜紗は、隣の部屋に住む老婆・八重を助けたことがきっかけで、彼女の部屋の片づけを手伝うことになる。片づけるうちに明らかになる八重の過去。そして阿紗も、幼少期の記憶が蘇ってくる。 自分に必要なもの、いらないもの、欲しかったもの、嫌だったもの。 思い出や物と向き合う中で、二人が選んだ道とは。
  • 小さな場所
    3.9
    まだ小さな世界しか知らないぼくに、大人たちはこの広い世界の秘密や真実を教えてくれた 台北の猥雑な街、紋身街。狡猾で強欲なだらしない大人たちに囲まれて、少年は世界の広さを知る。切なく心に沁み入る傑作連作短編集。 本書を編集しながら何度も笑いました。気づけば、泣いていました。この物語に出合うために自分は大人になったのかもしれない。ここは温かくて、時に残酷な、生きることへの問いと答えが詰まっています。どうか、現代を生きる子供たちへ、かつて子供だった大人たちへ。この物語が届きますように。――文庫担当編集者 ※この電子書籍は2019年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 鑑識課警察犬係 闇夜に吠ゆ
    3.9
    『正義の天秤』(亀梨和也主演)『婚活探偵』(向井理主演)『不協和音』(田中圭主演)など原作が数多く映像化されている大門剛明氏、文春文庫初登場の警察犬小説です。 主人公は鑑識課警察犬係に配属されたばかりの岡本都花沙。念願かなって警察犬係に配属となった岡本は、ベテランの警察犬アクセル号とコンビを組んで、捜査をすることに。岡本の「バディ」となるのは、通称「第二」と呼ばれている民間警察犬訓練施設の訓練士・野見山。野見山は元警察官で、名警察犬レニーとコンビを組んでいました。しかし、あることがきっかけになって辞職。いまは民間の立場から捜査の協力をしています。 本書は五章構成になっています。第一章は、岡本が赴任する前日譚で、主人公は野見山です。レニーに向けられた疑惑の真相と、野見山の決断を描きます。第二章から第五章は、岡本を主人公にして、野見山や先輩刑事の桐谷(第一章では新人犬係として出てきます)など魅力的な脇役を配置しつつ、日々の捜査を描きます。全て読切の短編として読めますが、全体を通じて大きな謎が隠されています。 実際、警察犬の出動依頼が多いのは、行方不明者の捜査で、近年は認知症高齢者の失踪に駆り出されることが多いそうです。当然、そこには認知症を抱える家族の辛さなどもあり、そういう「日常レベル」の捜査を扱うことで、他の警察小説とは違った人間ドラマを描けていると思います。そして捜査官と警察犬が苦労の末に「心を通わせる」ことができた瞬間のなんと愛おしいことでしょうか。 第一章「手綱を引く」は第75回日本推理作家協会賞(短編部門)の候補作になりました。 今後シリーズ化も予定しています。
  • モナドの領域(新潮文庫)
    3.9
    河川敷で若い女性の腕が発見された。ほどなく近隣のベーカリーでアルバイトの美大生が精巧な腕形のバゲットを作り、店の常連の美大教授が新聞のコラムで取り上げ、評判を呼ぶ。次に教授は公園で人を集め、その全知全能を示し始める。自らを神の上の「無限の存在である創造主」だという教授の真意とは。そして、バラバラ殺人の真相は? 天才筒井康隆がその叡智の限りを注ぎ込んだ歴史的傑作。(解説・池澤夏樹)
  • 首里の馬(新潮文庫)
    3.9
    問読者(トイヨミ)――それが未名子の仕事だ。沖縄の古びた郷土資料館で資料整理を手伝う傍ら、世界の果ての孤独な業務従事者に向けてオンラインで問題を読み上げる。未名子は、この仕事が好きだった。台風の夜に、迷い込んだ宮古馬(ナークー)。ひとりきりの宇宙ステーション、極地の深海、紛争地のシェルター……孤独な人々の記憶と、この島の記録が、クイズを通してつながってゆく。第163回芥川賞受賞作。(解説・大森望)
  • 犬も食わない(新潮文庫)
    3.9
    派遣秘書の福は雇い主と出かけた先のビルで、廃棄物処理業者の大輔とぶつかった。ろくな謝罪もない舐めた態度に激高した福は罵詈雑言の限りを尽くし、大輔は一言でやり返す……そんな最悪な出会いから始まった。ベッドの半分を占める体は邪魔だし、同じシャンプーが香る頭は寝癖だらけ。他人の「いいね」からは程遠い、喧嘩ばかりで格好つかない恋愛の本音を、男女の視点別に描く共作小説。
  • 子どもお悩み相談会 作家7人の迷回答
    3.9
    子どもの毎日は、山あり谷あり。第一志望の学校に落ちた! 体育が好きになれない。大人になるって楽しい……? ストレス社会でがんばる子ほど肩の力がみるみる抜ける人気作家7人の迷回答
  • 北海道警察10 樹林の罠
    3.9
    轢き逃げの通報を受け、臨場した北海道警察本部大通署機動捜査隊の津久井卓は、事故ではなく事件の可能性があることを現場で知る。それは被害者が拉致・暴行された後に撥ねられた可能性が高いからだった。その頃、生活安全課少年係の小島百合は、駅前交番で保護された、九歳の女の子を引き取りに向かう。その子は、旭川の先の町から札幌駅まで父親に会いたいと出てきたようだった。一方、脳梗塞で倒れた父を引き取るために百合と別れた佐伯宏一は、仕事と介護の両立に戸惑っていた。そんな佐伯に弁護士事務所荒らしの事案が舞い込む……。それぞれの事件がひとつに収束していく時、隠されてきた闇が暴かれていく――。コロナ禍に見舞われながらも懸命に生きる人々を鮮やかに描く、心に残る傑作警察小説!大ベストセラー道警シリーズ、最新作。
  • 超常気象~異形コレクションLIV~
    3.9
    〈超常気象〉――果たして耳慣れない単語と思われるでしょうか? 異常高温、異常低温。文明がもたらしてしまった地球温暖化。気象災害の規模も大きくなってきました。ならば、「異常気象」すらも異化するほどの〈超常気象〉をイメージすることも、このような時代を生き抜くためには意義があることではないでしょうか。あるいは、私たちは〈超常気象〉のただなかにいるのかもしれません。(編集序文より)
  • 夢も見ずに眠った。
    3.9
    夫の高之を熊谷に残し、札幌へ単身赴任を決めた沙和子。夫婦であっても共有しえない孤独と優しさを抱えた二人は次第にすれ違い、離別を選ぶことになったが……。
  • 朱華姫の御召人 上 かくて愛しき、ニセモノ巫女
    3.9
    1~2巻616円 (税込)
    「あなたがあの御方の娘だということは、絶対に誰にも知られてはいけないの。けして見つからないように生きなさい。帝の宮に近づいてはだめ。あそこはとてもおそろしいところだから」――母との約束で、先帝の血を引いていることを隠して暮らしている蛍。伯父の家で下働き同然に扱われていたが、ある日、奥の神に仕える巫女・朱華姫に選ばれる。朱華姫は帝の宮に住み、第二皇子が御召人となって世話をし、護衛するものらしい。冷ややかな美貌の皇子・柊にかしずかれる慣れない生活に戸惑う蛍だが、予想もしない秘密と向き合うことになり……。「後宮の烏」の原点!
  • f 植物園の巣穴
    3.9
    『家守綺譚』『沼地のある森を抜けて』の著者が動植物や地理を豊かにえがき、埋もれた記憶を掘り起こす長編小説。 月下香の匂ひ漂ふ一夜。植物園の園丁がある日、巣穴に落ちると、そこは異界だった。前世は犬だった歯科医の家内、ナマズ神主、愛嬌のあるカエル小僧、漢籍を教える儒者、そしてアイルランドの治水神と大気都比売神……。人と動物が楽しく語りあい、植物が繁茂し、過去と現在が入り交じった世界で、私はゆっくり記憶を掘り起こしてゆく。自然とその奥にある命を、典雅でユーモアをたたえた文章にのせてえがく、怪しくものびやかな21世紀の異界譚。
  • 象工場のハッピーエンド(新潮文庫)
    3.9
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 春が来るとジョン・アプダイクを思い出す。ジョン・アプダイクを読むと1968年の春を思い出す。ほんのちょっとしたことなのだけど、われわれの人生や世界観はそのような「ほんのちょっとしたこと」で支えられているんじゃないか、という気がする……。都会的なセンチメンタリズムに充ちた13の短編と、カラフルなイラストが奏でる素敵なハーモニー。語り下ろし対談も収録した新編集版。 ※この商品は固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
  • このミステリーがすごい!2023年版
    3.9
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 34年の信頼と実績を誇る、新作ミステリーランキングブックです。 巻頭では『ジョジョの奇妙な冒険』35周年を記念し『岸辺露伴は動かない』を特集。 荒木飛呂彦さんへのインタビューや、作家の伊坂幸太郎さん・辻村深月さん・法月綸太郎さん、脚本家・加藤敏幸さんが荒木作品を語るエッセイ、脚本家・小林靖子さんへのメールインタビューを掲載します。 また、西村京太郎さん追悼企画を実施。有栖川有栖さん・大山誠一郎さん・千街晶之さんに「トラベルミステリー」「本格ミステリー」「社会派ミステリー」の三つの視点から、作品を紹介してもらいます。西村さんの担当編集者による座談会も必読です。 各業界人も注目する2022年の国内&海外のミステリー小説ランキング・ベスト20、超人気作家による自身の新刊情報&特別エッセイなど、例年の人気コンテンツも充実の一冊です。 ※読者プレゼントのご応募は電子版は対象外となりますので、予めご了承ください。
  • 祝宴
    3.9
    1巻1,650円 (税込)
    「私は、彼女のことを、秘密にしたくないの」。長女が同性の恋人の存在を告白したのは、次女の結婚式の夜だった。戸惑う父は、娘にふつうでいて欲しいと願ってしまう――。日本で外国人として育った娘、外省人の祖父、日本・台湾・中国で生きる父。いくつもの境界を抱えた家族を、小籠包からたちのぼる湯気で柔らかく包み込む感動長編。
  • フェアな関係
    3.9
    1巻1,683円 (税込)
    地元と東京、仕事とジェンダー、恋愛、セックス、結婚。この社会にいる女性たちの自我を描く兼桝綾、第一小説集。

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  • 蒼色の大地
    3.9
    1巻924円 (税込)
    薬丸岳の新境地。 壮大なスケールで贈るエンタメ巨編! 〈螺旋プロジェクト〉明治編。 時は明治。幼なじみであった新太郎、灯、鈴の三人はそれぞれの道を歩んでいた。新太郎は呉鎮守府の軍人に、灯は瀬戸内海を根城にする海賊に、そして鈴は灯を探し、謎の孤島「鬼仙島」に辿り着く。交わることのない運命に翻弄され、三人はやがてこの国を揺るがす争いに巻き込まれていく。 友情、恋慕、嫉妬、裏切り――戦争が生む狂気の渦の中で、三人の運命が交錯する。 【電子版巻末に特典QRコード付き。〈螺旋プロジェクト〉全8作品の試し読みを読むことができます】 ※〈螺旋プロジェクト〉とは―― 「共通ルールを決めて、原始から未来までの歴史物語をみんなでいっせいに書きませんか?」伊坂幸太郎の呼びかけで始まった8作家朝井リョウ、伊坂幸太郎、大森兄弟、薬丸岳、吉田篤弘、天野純希、乾ルカ、澤田瞳子による前代未聞の競作企画 〈螺旋〉作品一覧 朝井リョウ『死にがいを求めて生きているの』(本作) 天野純希『もののふの国』 伊坂幸太郎『シーソーモンスター』 乾ルカ『コイコワレ』 大森兄弟『ウナノハテノガタ』 澤田瞳子『月人壮士』 薬丸岳『蒼色の大地』 吉田篤弘『天使も怪物も眠る夜』
  • MASK 東京駅おもてうら交番・堀北恵平
    3.9
    1~8巻704~792円 (税込)
    東京駅のコインロッカーで、箱詰めになった少年の遺体が発見される。遺体は全裸で、不気味な面を着けていた――東京駅おもて交番で研修中の堀北恵平は、女性っぽくない名前を気にする新人警察官。先輩刑事に協力して事件を捜査することになった彼女は、古びた交番に迷い込み、過去のある猟奇殺人について聞く。その顛末を知った恵平は、犯人のおぞましい目的に気づく! 「猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子」シリーズ著者による新ヒロインの警察小説、開幕!
  • アイドル失格【電子特典付き】
    3.9
    僕と彼女は、決して結ばれない運命なのだ-- 選ぶのは、恋か、夢か。 冴えない日々を送る大学生のケイタは、4人組アイドルグループ「テトラ」のセンター・実々花の熱烈なオタク。 叶わないと分かりつつも本気で恋をしていた。 一方、高校3年生の実々花は、グループの人気が順調に上がり、熱心に応援してくれるケイタの好意を嬉しく思いながらも、 将来に漠然とした不安を抱えていた。 ある日、実々花は母親との衝突をきっかけに自暴自棄になり、 SNSの情報を頼りに思わずケイタのバイト先へ向かってしまう――。 NМB48の現役アイドルが本気で描く、切なくも希望に溢れた青春小説 ※電子書籍特典として、巻末に特典SSを収録しています。
  • コミック昭和史(1)関東大震災~満州事変
    値引きあり
    3.9
    1~8巻446~492円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 昭和とはどのような時代だったのか。戦後50年を機に、いまあらためてその時代精神が問われている。それも権力者の視点ではなく庶民の眼で捉えたらどうなるのか。太平洋戦争下、ラバウルでの空襲により片腕を失った筆者が、万感の想いで描ききる。戦争を知らない世代に贈るコミック昭和史・全8巻。
  • 楽園とは探偵の不在なり
    3.9
    二人以上殺した者は文字どおり地獄に堕とされる世界。探偵の青島を常世島で待っていたのは、起きるはずのない連続殺人事件だった
  • 純喫茶パオーン
    3.9
    創業五十年(おおよそ)の喫茶店「純喫茶パオーン」。トレイを持つ手がいつも小刻みに震えているのに、グラスたっぷり表面張力ギリギリで運ぶ「おじいちゃんの特製ミルクセーキ」と、どんなにお腹がいっぱいでも食べたくなっちゃう「おばあちゃんの魔法のナポリタン」が看板メニューだ。その店主の孫である「ぼく」が小学五年・中学一年・大学一年でそれぞれ出会う不思議な事件と、人生のちょっとした真実。きっとあなたも通いたくなる、心地好さ。
  • 狼は瞑らない
    3.9
    佐伯鷹志は、かつて警視庁警備部警護課に在籍し、SP(セキュリティー・ポリス)として、政治家の警護をしていたエリート警察官だった。いまは一線を退き、北アルプスと立山連峰に挟まれた、広大な山岳地帯で遭難者を救助する、山岳警備隊の隊員となって久しい。その佐伯を狙う謎の暗殺集団。彼らは、警察と政界の闇の部分を知りすぎた佐伯を消すために送り込まれた、“掃除屋”と呼ばれる男たちだった。そして、幾重にも張りめぐらされた非常の罠。風速四十五メートルの大型台風に襲われ、下界と完全に弧絶した、標高二千メートルを超える険峻な山岳地帯を舞台に、過去を背負った男たちの、決死のサバイバルが始まる!
  • 古本食堂
    3.9
    かけがえのない人生と愛しい物語が出会う! 神保町の小さな古書店が舞台の絶品グルメ×優しい人間ドラマ。 大ベストセラー『三千円の使いかた』『ランチ酒』の著者による熱望の長篇小説。 美希喜は、国文科の学生。本が好きだという想いだけは強いものの、進路に悩んでいた。そんな時、神保町で小さな古書店を営んでいた大叔父の滋郎さんが、独身のまま急逝した。大叔父の妹・珊瑚さんが上京して、そのお店を継ぐことに。滋郎さんの元に通っていた美希喜は、いつのまにか珊瑚さんのお手伝いをするようになり……。カレーや中華やお鮨など、神保町の美味しい食と心温まる人情と本の魅力が一杯つまった幸せな物語。
  • 桃源
    3.9
    六百万円を持ち逃げした比嘉の行方を追うこととなった大阪府警泉尾署の刑事、新垣と上坂。二人が辿り着いたのは、沖縄近海に沈む中国船から美術品を引き上げるという大掛かりなトレジャーハントへの出資詐欺だった。遺骨収集、景徳鎮、クルーザーチャーター。様々な情報と思惑が錯綜するなか、真実はどこに向かうのか。過去作に登場した上坂が組んだ相方は沖縄出身の色男・新垣。新結成の警察コンビが事件の謎に迫る。新たな正統派警察捜査小説シリーズ、ここに誕生!
  • カサンドラのティータイム
    3.9
    1巻1,699円 (税込)
    スタイリスト見習いとして働く友梨奈と、牛肉加工工場でパートをしている主婦の未知。それぞれに何かから「抑圧」されている。現代社会で生きていく女性のやるせなさを見事な筆致で描きつつ、他者と他者がつながれることを希求する、期待の新鋭の飛躍作。
  • ある女
    3.9
    母が死んだ。 十二歳で学校を辞めて工場で働き、父と結婚した後は、共に店を切り盛りしていた母の人生。自分の子供に少しでも良い教育をと子どもの数は一人にし、教育にお金をかけてくれた母。そんな母の誇りは、一人娘が教員免許をとり、知識階級の仲間入りを果たしたことだった。やがて忍び寄る病魔の影。母はアルツハイマー病になっていた。母を引き取り介護に明け暮れるが、自分一人では母の面倒を見切れず、養老院に預けることに――。 フランス人女性として初めてノーベル文学賞を受賞した著者が、自らの母親の人生と、母が娘に託したものを綴る、自伝的小説。
  • かたみ歌(新潮文庫)
    3.9
    不思議なことが起きる、東京の下町アカシア商店街。殺人事件が起きたラーメン屋の様子を窺っていた若い男。その正体とは……「紫陽花のころ」。古本に挟んだ栞にメッセージを託した邦子の恋が、時空を超えた結末を迎える「栞の恋」など、昭和という時代が残した“かたみ”の歌が、慎ましやかな人生を優しく包む。7つの奇蹟を描いた連作短編集。(解説・諸田玲子)
  • 秘密にしていたこと
    3.9
    時代を超えて読みたい家族の物語 少女の死をきっかけに家族がそれぞれ抱えていた秘密が語られ、一家の深い闇が暴かれる。 死の真相を追うというミステリーの枠組みこそあれ、そこで語られているのは差別によって 心を蝕まれた家族の崩壊と再生の物語である。 舞台は1977年、オハイオ州の架空の田舎町。16歳の少女が行方不明になり、数日後に湖で遺体で発見される。 物語はリー一家を中心に進んでいく。父親ジェームズ・リーは中国系アメリカ人の大学教授。ハーバード大学を 卒業したものの、教職に就いてからも周囲になじめずにいる。そんなコンプレックスから、ジェームズはリディアに「友達と同じように」「周囲にとけこむように」という夢を託し、プレッシャーをかけ続ける。 妻のマリリンは南部出身のブロンドヘアーの白人。医師を志していたが、ジェームズと出会って恋に落ち、 妊娠・結婚。夢をあきらめることになる。マリリンもまた、あきらめきれなかった夢を、自分と同じ青い目を もつリディアに託し、知らず知らずのうちにリディアを追い詰めていた。 長女のリディアは母親によく似た容姿で両親に溺愛される。青い目であっても、黒髪であること、父親が アジア系であることから、周囲にはなじめずにいる。 一方、長男のネイスと次女のハンナは父親ゆずりのアジア人顔だ。ネイスは、父から疎まれ、母から 無視をされ、鬱屈した生活を送っていた。ただ大学入学を機に、ついに家を出ることが決まっていた。しかし、 このことで、お互いを支えとしていたネイスとリディアの関係が変化し、リディアに決定的な暗い影を落とす。 妹のハンナは、家族から相手にされず、常に部屋の隅、机の下に隠れている。だが、誰よりも客観的に家族を 観察し、事件の真相に迫っているキーパーソンでもある。 本書では、章ごとに1950年代の両親のなれそめ、1970年代の現代を行き来し、家族が徐々に崩壊していく 様子が語られる。その語り手も、リー一家が章によって入れ替わり、それぞれの秘密を静かに暴露していく。 終盤ではリディアの語りによって、死の真相が明らかになる。
  • 嫉妬/事件
    3.9
    2022年、ノーベル文学賞受賞! 別れた男が他の女と暮らすと知り、私はそのことしか考えられなくなる。どこに住むどんな女なのか、あらゆる手段を使って狂ったように特定しようとしたが──。妄執に取り憑かれた自己を冷徹に描く「嫉妬」。1963年、中絶が違法だった時代のフランスで、妊娠してしまったものの、赤ん坊を堕ろして学業を続けたい大学生の苦悩と葛藤、闇で行われていた危険な堕胎の実態を克明に描き、オードレイ・ディヴァン監督により映画化され、ヴェネチア国際映画祭でも金獅子賞を受賞した「あのこと」の原作の「事件」の傑作二篇を収録。巻末には、獨協大学名誉教授の井上たか子氏による「事件」の解説も合わせて収録。
  • 百(新潮文庫)
    3.9
    「おやじ、死なないでくれ――、と私は念じた。彼のためではなく私のために。父親が死んだら、まちがいの集積であった私の過去がその色で決定してしまうような気がする」百歳を前にして老耄のはじまった元軍人の父親と、無頼の日々を過ごしてきた私との異様な親子関係を描いて、人生の凄味を感じさせる純文学遺作集。川端康成文学賞受賞の名作「百」ほかに三編を収録する。(解説・川村二郎)
  • 兎の島
    3.9
    川の中洲で共食いを繰り返す異常繁殖した白兎たち、 耳から生えてきた肢に身体を乗っ取られた作家、 レストランで供される怪しい肉料理と太古の絶滅動物の目撃譚、 死んだ母親から届いたフェイスブックの友達申請…… 今、世界の文芸シーンでブームの渦中にある〈スパニッシュ・ホラー〉の旗手による、11篇の鮮烈な迷宮的悪夢が本邦初上陸!!! 現実と地続きに現出する奇怪な歪み、底知れぬ不安と恐怖を、 生理的嫌悪感を催すような濃密で冷たい筆致で描き切った、 現代スペインホラー文芸の旗手による11篇の鮮烈な傑作怪奇幻想短編集! 〈スパニッシュ・ホラー文芸〉とは マリアーナ・エンリケス、ピラール・キンタナ、サマンタ・シュウェブリン、フェルナンダ・メルチョール、グアダルーペ・ネッテル――今、スペイン語圏の女性作家が目覚ましい躍進を遂げている。作家によっては三十か国以上で翻訳され、世界中で好評を博すなど、現代文芸シーンにおける一大ブームとなっている。中でも、社会的なテーマを織り込みながら、現実と非現実の境界を揺るがす不安や恐怖を描いた作品群である〈スパニッシュ・ホラー文芸〉は、特に高く評価され、全米図書賞などの著名な賞の候補にも作品が上がるなど、今、最も注目すべき熱い文芸ジャンルの一つである。そして、このほど本書で初めて邦訳紹介するスペインの新進作家エルビラ・ナバロも、その代表的な書き手として数えられる。 作者エルビラ・ナバロは世界最大の文学誌Granta誌(英)のスペイン語圏ベスト若手作家にも選出された気鋭の作家。 本書の英訳版(2021)は、ニューヨーク・タイムズ紙、ロサンゼルス・タイムズ紙などの各紙誌でも絶賛され、同年の全米図書賞翻訳文学部門ロングリストにノミネートされた。 「この作家は生まれながらの文学的才能に恵まれている」エンリケ・ビラ=マタス 「不安を掻き立てる、カフカ風ですばらしい語り口」マヌエル・ジョレンテ La isla de los conejos, 2019 【目 次】 ヘラルドの手紙 ストリキニーネ 兎の島 後戻り パリ近郊 ミオトラグス 地獄様式建築に関する覚書 最上階の部屋 メモリアル 歯茎 占い師 謝辞 訳者あとがき

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  • 小説家の一日
    3.9
    1巻1,899円 (税込)
    「書くこと」の深遠なカタルシス 短篇の名手が、深遠なカタルシスを紡ぎ出す。すべて「書くこと」をテーマに、さまざまな日常の忘れられない瞬間を描いた珠玉の十篇! 目次 緑の象のような山々 園田さんのメモ 好好軒の犬 何ひとつ間違っていない 窓 料理指南 つまらない湖 凶暴な気分 名前 小説家の一日
  • 犬のかたちをしているもの
    3.9
    「子ども、もらってくれませんか?」――彼氏の郁也に呼び出された薫は、その隣に座る見知らぬ女性からそう言われた。薫とセックスレスだった郁也は、大学時代の同級生に金を払ってセックスしていたという。唐突な提案に戸惑う薫だったが、故郷の家族を喜ばせるために子どもをもらおうかと思案して……。昔飼っていた犬を愛していたように、薫は無条件に人を愛せるのか。第43回すばる文学賞受賞作。「おいしいごはんが食べられますように」で第167回芥川賞を受賞した高瀬隼子のデビュー作!
  • イコ トラベリング 1948‐
    3.9
    1948年、終戦後の日本。中学2年になったイコの周囲には、やけどを負った同級生や傷痍軍人の物乞いなど、今だ戦争の傷跡が多く残されていた。母を早くに亡くしいつも心のどこかに不安を抱えるイコだったが、英語の授業で習った【~ing=現在進行形】にがぜん夢中になる。「現在進行形、今を進むという事!」急展開で変わっていく価値観に戸惑いながら、イコは必死に時代をつかもうとする。そして「いつかどこかへ行きたい。私ひとりで」そう強く願うようになる。でもまだ、日本からの海外渡航が許されない時代。手段も理由も見つからないまま大学を卒業したイコに、ある日大きなチャンスが巡ってくる……。「魔女の宅急便」の著者・世界的児童文学作家、角野栄子の『トンネルの森 1945』に続く自伝的物語。戦後の日本を舞台に、懸命に自分の路を探す少女の成長をエスプリとユーモア溢れるタッチで描く著者の原点ともいうべき作品。87歳、角野栄子は今も現在進行形だ!
  • あなたへの挑戦状
    3.9
    ミステリ若手筆頭格の二人が全霊で競うところを、見たくないですか? 現在最注目の二名がプライドをかけて競作!? テーマは「あなたへの挑戦状」
  • 商う狼―江戸商人 杉本茂十郎―(新潮文庫)
    3.9
    江戸の金の流れを握る。それはお上を動かす力になる――。甲斐の農家から出て江戸で名を挙げた茂十郎は、永代橋の崩落事故で妻子を失ってしまう。だが悲嘆を糧に、茂十郎は立ち上がる。大胆不敵な資金集め、流通の構造改革、旧弊の刷新。すべては江戸の繁栄のために――。既存の枠を超えた発想と、強引なまでの辣腕で「狼」と畏怖され、歴史の闇に消えた謎の経済人を描く。新田次郎賞受賞。(解説・本郷和人)
  • 真夜中の密室
    3.9
    わが名は〈解錠師〉。 いかなる鍵も錠前も僕の敵ではない。 名探偵ライム、3年ぶりの新作。 ボーン・コレクター、コフィン・ダンサー、ウォッチメイカー、スキン・コレクター、そして……。 名探偵ライムに頭脳戦を挑むのは、密室に煙のように忍び込む怪人〈解錠師/ロックスミス〉。 怪人VS名探偵の興奮に満ちた現代謎解きミステリの新傑作。 〈ロックスミス〉と名乗る男が夜のニューヨークに跳梁していた。厳重に鍵のかかった部屋に侵入し、住人に危害を加えることもなく、破った新聞紙に書いたメッセージを残して去った。犯人はいかにして短時間で錠を破ったのか。犯行は無差別なのか、それとも被害者を結ぶ線があるのか。この奇怪な犯人の真の目的は何か。ニューヨーク市警からの依頼で、四肢麻痺の科学捜査の天才リンカーン・ライムが捜査に乗り出した。だがライムは警察内部の政争にまきこまれ、別件の裁判での失態を機に契約を解除されてしまった。このまま捜査を続行すれば逮捕される危険すら……。 密室を破る怪人〈ロックスミス〉VS現代の名探偵リンカーン・ライム。警察も敵に回り、犯罪組織に命を狙われながらも、名探偵はあくまで知力で戦いに挑む。そしていくつもの事件と謎と犯罪がより合わさったとき、多重ドンデン返しが華麗に発動する! ――ウォッチメイカーを思い出してるでしょ。 ――この二人は似た者同士だ。どちらも利口で、戦術に優れている。いわば闇の芸術家と呼べる点も似ている。それにどちらも機械式の装置に妄執を抱いている……。 “怪人VS名探偵”の興奮に満ちた現代謎解きミステリの新傑作。
  • 悲鳴
    3.9
    1巻1,078円 (税込)
    ごくありふれた浮気調査のはずだった。私立探偵・畝原の許へ現れた女は、夫の浮気現場の撮影を依頼してきた。だが、畝原が調査を始めると依頼人から指定された現場に現れたのは夫の本当の<妻>だったのだ。依頼人の女は、何者なのか? やがて畝原へのいやがらせが始まり、依頼人の女に関わった者たちに危機が。警察、行政をも敵に回す恐るべき事実とは何か!? 深く刻まれた現代の疵を描く、傑作長編ハードボイルド。(解説・細谷正充)
  • 奇跡を蒔くひと
    3.9
    1巻1,870円 (税込)
    年間4億円の赤字を理由に、地方小都市の市民病院は消滅寸前。勤務医が辞めていく中、34歳の青年医師、速水隆太は院長に名乗り出た。課された使命は3年で赤字ゼロ――。無理難題を前に、「すべての患者を断らない」という方針の下、病院再建に奔走する隆太の行動力は、周囲の人びとをも巻き込んでいく。医師会、市議会、そして国。巨大な壁を相手に奇跡を起こせるか!? 実話を元に描く、医療のために戦い続けた者たちの物語!
  • 東方見聞録
    値引きあり
    3.9
    ヴェニスから小アジア・パミール高原を経て中国に入り、元が席捲するアジア各地を行脚、16年に及ぶ見聞を克明に記して、西洋人に東洋への眼を開かせた旅行記の古典。
  • コルシア書店の仲間たち
    3.9
    かつてミラノに、懐かしくも奇妙な一軒の本屋があった。そこに出入りするのもまた、懐かしくも奇妙な人びとだった。女流文学賞受賞の筆者が流麗に描くイタリアの人と町。(解説・松山巖) ※この電子書籍は1995年11月に刊行された文春文庫を底本としています。
  • わたしが消える
    3.9
    第66回江戸川乱歩賞受賞作! 綾辻行人氏(選考委員)、推薦。 「序盤の地味な謎が、物語の進行とともに厚み・深みを増しながら読み手を引き込んでいく」  元刑事の藤巻は、交通事故に遭い、自分に軽度認知障碍の症状が出ていたことを知り、愕然とする。離婚した妻はすでに亡くなっており、大学生の娘にも迷惑はかけられない。    途方に暮れていると、当の娘が藤巻を訪ね、相談を持ちかけてくる。介護実習で通っている施設に、身元不明の老人がいる、というのだ。その老人は、施設の門の前で放置されていたことから、「門前さん」と呼ばれており、認知症の疑いがあり意思の疎通ができなくなっていた。     これは、自分に課せられた最後の使命なのではないか。そう考えた藤巻は娘の依頼を引き受け、老人の正体を突き止めるためにたった一人で調査に乗り出す。  刻一刻と現れる認知障碍の症状と闘いながら調査を続ける藤巻は、「門前さん」の過去に隠された恐るべき真実に近づいていくーー。 残された時間で、自分に何ができるのか。 「松本清張賞」と「江戸川乱歩賞」を受賞した著者が描く、人間の哀切極まる社会派ミステリー! 文庫化にあたり、受賞作の前日譚にあたる短編「春の旅」も収録。
  • 父親たちにまつわる疑問
    3.9
    私立探偵〈アルバート・サムスン〉シリーズ最新作 宇宙人を名乗る男から奇妙な依頼を受けた私立探偵サムスンは刑事になった娘と調査に乗り出す。四篇の連作によるシリーズ最新作
  • 豪球復活
    3.9
    1巻1,980円 (税込)
    俺は「消えるボール」で人を殺した。 記憶障害により全てを忘れてしまった天才投手・矢神大は、ある日、昔の自分が書いたノートを発見する。そこには失われた豪速球の投げ方と、奇妙な殺人の告白が書かれていた――。 あのストレートを、もう一度投げるんだ。失くしてしまった自分を取り戻すために。 東京ティーレックスの絶対エース・矢神大、失踪――。日本中が大騒ぎになる中、ブルペンキャッチャーの沢本拓は、わずかな手がかりを頼りにハワイへ飛び、ホームレスになっていた矢神を発見する。矢神は記憶障害に陥り、ボールの投げ方を忘れてしまっていた。何とか再起させたいと願う沢本、だが球団は矢神に戦力外を通告する。 そんなある日、矢神は自宅の地下で手書きのノートを見つける。そこには自分の投球技術に関する詳細な記録と、奇妙な告白が書かれていた。矢神が昔投げて、人を殺した「消えるボール」は封印する、と――。 矢神の豪速球は復活するのか。そして、殺人の告白に隠された驚くべき秘密とは。
  • 会社を綴る人
    3.9
    普通の人ができることがうまくできない――はたから見ればポンコツのアラサー男子・紙屋がなんとか内定をもらったのは老舗の製粉会社だった。案の定、配属された総務部では仕事のできなさに何もしないでくれと言われる始末。しかし紙屋は唯一の特技「文章を書くこと」で社内で起こる小さな事件を解決していく。すこしずつ自分の居場所を見つけていく一方で、会社は転換期を迎え……。
  • 間宵の母
    3.9
    小学三年生の詩穂と紗江子は親友同士だったが、紗江子の母の再婚相手である義父と詩穂の母が失踪、駆け落ちと見られていた。その日から、紗江子の母の精神状態は普通ではなくなる。詩穂も父親からDVを受けるようになり、児童養護施設に入れられてしまう。その後、二人は地獄のような人生を送ることになるのだが、実は驚くべき真実が隠されていた。得体の知れない恐怖が襲う、著者最恐のホラー・ミステリー!
  • 歩きながら考える
    3.9
    パンデミック下、日本に長期滞在することになった「旅する漫画家」ヤマザキマリ。思いがけなく移動の自由を奪われた日々の中で思索を重ね、様々な気づきや発見があった。「日本らしさ」とは何か? 倫理の異なる集団同士の争いを回避するためには? そして私たちは、この先行き不透明な世界をどう生きていけば良いのか? 自分の頭で考えるための知恵とユーモアがつまった1冊。たちどまったままではいられない。新たな歩みを始めよう!
  • 同姓同名
    3.9
    ~ミステリ作家からの挑戦状~ 登場人物全員、同姓同名! 大胆不敵、大混乱ミステリ待望の文庫化。 大山正紀はプロサッカー選手を目指す高校生。いつかスタジアムに自分の名が轟くのを夢見て 練習に励んでいた。そんな中、日本中が悲しみと怒りに駆られた女児惨殺事件の犯人が捕まった。 週刊誌が暴露した実名は「大山正紀」ーー。報道後、不幸にも殺人犯と同姓同名となってしまった “名もなき"大山正紀たちの人生が狂い始める。 これは、一度でも自分の名前を検索したことのある、 名もなき私たちの物語です。 書き下ろし短編「もうひとりの同姓同名」収録
  • ピカソになれない私たち
    3.9
    国内唯一の国立美術大学・東京美術大学油画科。なかでもスパルタで知られる森本ゼミの望音・詩乃・太郎・和美の4人は、自身の才能や未来に不安を感じながらも切磋琢磨していた。そんな時、ゼミに伝わる過去のアトリエ放火事件の噂を聞き――。不条理で残酷な「芸術」の世界に翻弄されながらも懸命に抗おうとする〝美大生のリアル〟を描いた青春小説。
  • 怪盗フラヌールの巡回
    3.9
    1巻1,760円 (税込)
    亡き父親の正体は大怪盗だった――!? 長男の「ぼく」は、傷ついた弟妹と愛する乳母のため二代目怪盗フラヌールを襲名。持ち主にお宝を戻す“返却活動”を開始する。次なる標的は、天才研究者が集う海底大学。忍びこめたかと思いきや、初代怪盗フラヌールを唯一捕らえたベテラン刑事と、新世代の名(ウルトラ)探偵が立ちはだかり、不可能犯罪まで発生! 二代目怪盗フラヌールは、数多の謎を解き明かし、任務を完遂できるのか!? 衝撃の怪盗ミステリー、ここに開幕!
  • 掌に眠る舞台
    3.9
    「だって人は誰でも、失敗をする生きものですものね。だから役者さんには身代わりが必要なの。私みたいな」 金属加工工場の片隅、工具箱の上でペンチやスパナたちが演じるバレエ「ラ・シルフィード」。 交通事故の保険金で帝国劇場の「レ・ミゼラブル」全公演に通い始めた私が出会った、劇場に暮らす「失敗係」の彼女。 お金持ちの老人が自分のためだけに屋敷の奥に建てた小さな劇場で、装飾用の役者として生活することになった私。 演じること、観ること、観られること。ステージの彼方と此方で生まれる特別な関係性を描き出す、極上の短編集。
  • ピンクとグレー
    3.9
    大阪から横浜へ越してきた小学生の大貴は、マンションで同い年の真吾と出会う。性格は全く違う2人だったが惹かれあい、親友に。やがて高校生になった2人は、雑誌の読者モデルをきっかけに芸能活動をスタート。 同居も始めるが、真吾だけがスターダムを駆け上がっていくことで2人の仲は決裂してしまい……。ステージという世界の魔法、幻想に魅入られた幼なじみの2人の青年の愛と孤独を鮮やかに描いた、作家・加藤シゲアキの原点となる青春小説。
  • Iの悲劇
    3.9
    Iターンプロジェクト担当公務員が直面するのは、 過疎地のリアルと、風変わりな「謎」――。 無人になって6年が過ぎた山間の集落・簑石を 再生させるプロジェクトが、市長の肝いりで始動した。 市役所の「甦り課」で移住者たちの支援を担当することになった万願寺だが、 課長の西野も新人の観山もやる気なし。 しかも、公募で集まってきた定住希望者たちは、 次々とトラブルに見舞われ、 一人また一人と簑石を去って行き……。 直木賞作家・米澤穂信がおくる極上のミステリ悲喜劇。 解説・篠田節子 ※この電子書籍は2019年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • シナモンとガンパウダー
    3.9
    「命が惜しければ最高の料理を作れ!」1819年、イギリスの海辺の別荘で、海賊団に雇い主の貴族を殺害されたうえ、海賊船に拉致されてしまった料理人ウェッジウッド。女船長マボットから脅されて、週に一度、彼女だけに極上の料理を作ることに。食材も設備も不足している船で料理を作るため、経験とひらめきを総動員して工夫を重ねるウェッジウッド。徐々に船での生活に慣れていくが、やはりここは海賊船。敵対する勢力との壮絶なる戦いが待ち受けていて……。面白さ無類、唯一無二の海賊冒険×お料理小説!
  • 夏休みの空欄探し
    3.9
    1巻1,760円 (税込)
    本に挟まれた暗号。謎解きに挑む姉妹。忘れられない夏が始まる。 会員が2名しかいないクイズ研究会会長の高校2年生・成田頼伸(ライ)は、クラス内で「じゃない方」と呼ばれている。ライと同じ姓で、ダンス同好会に所属する人気者・成田清春(キヨ)がいるからだ。クラスで「成田君」といえば、キヨのこと。「役立たたない」ことが好きなライと、大学受験に向けて効率重視で「役立つこと」が好きなキヨ。性格も対照的で、クラスでは決して交わることのなかった二人だが、夏休みの間、ひょんなことから、謎解きに挑む姉妹を手伝うことになる。謎解きの先で待つものとは――。 すべての謎が明かされた時、切なさと温かさが胸を満たす、青春恋愛ミステリー。
  • 音無橋、たもと屋の純情 旅立つ人への天津飯
    3.9
    東京都北区・音無橋のそばの定食屋。生死不問でご来店お待ちします――会社になじめず仕事もできず、鬱屈した毎日を送る凛々が野良猫と雨宿りをした「たもと屋」。そこは心残りのある死者が立ち寄る定食屋だった。身も心も疲れ果て死者と勘違いされた凛々は、勧められるまま食事を注文する。懐かしい味に心もお腹も満たされた死者たちはやがて旅立つ。凛々もまた、仏頂面でも面倒見のいい店主の青年のごはんを常連客と食べるうちに、元気を取り戻していく。逝く時も、生きる時も、寂しい人はお越しください……。定食屋を舞台におりなす、ちょっと不思議なごはん物語。

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