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Posted by ブクログ
テムズ川で身元不明の女性の溺死体が発見された。当初は不運な事故だと思われていたがボーシャン警部の捜査によって、30年前の企業年金を横領して姿を消したCEOの事件と死んだ女性の関連が浮かび上がる。英国政府の影の権力者ハンプトン下院議員に事件の調査を依頼されるボーシャンだったが、15年前に発生した少女失踪事件の調査も行うことに。一見すると無関係なふたつの事件。だが思わぬ形でこれらが結びついたとき、イギリス上流階級の暗い闇に呑まれた叫び声が響きだす...。
シリーズ第2作ということだが、前作は未訳。次作も含めて紹介されたら、多少印象が変わるかもしれない。
Posted by ブクログ
ふたつ事件をロンドン警視庁の刑事たちが追う… 英国の階級社会を風刺したミステリー #果てしない残響
■あらすじ
ロンドン警視庁の刑事カイウスが劇場に訪れたとき、観客が倒れて亡くなってしまう。彼はかつて女学園で起こった失踪事件を調べていたらしく、カイウスは事件の再捜査を考えていた。
一方、テムズ川で女性の死体が発見される。当初は事故死と思われたが、過去の横領事件との関連性が浮かび上がる。さらにイギリスの下院議員で権力者であるハンプトンから、事件を詳細に調査せよと指示される。関連のなさそうなこの二つの事件、どんな背景があるのか…
■きっと読みたくなるレビュー
濃厚濃密なイギリスのミステリー、いやーお腹いっぱい、大満足ですね。いわゆる英国の階級社会、アッパークラスを風刺した内容になっていて、事件や犯行動機などに関係してきます。
日本人だとイギリスの階級社会ってのに馴染みがないですよね。なんとなく上級国民やお金持ちとそれ以外みたいな曖昧な感じはあるけどさ。
イギリスの場合は労働者、中間層、富裕層、上流階級といった明確な区別がある。なんつっても個々アイデンティティを持っていて、そういうもんだって納得してますよね。お国柄って面白い。
さて本作は、そんな階級社会のあるイギリスが舞台。ふたつの事件を現場ロンドン警視庁の刑事たちが追っていく。
ひとつは女学園でとある少女が失踪してしまった事件、もうひとつは年金横領事件に関係しそうな殺人事件。どちらも過去に起こった事件で捜査は難航。事故として処理されそうなところ、突然カイウスが権力者に呼び出され、捜査に拍車がかかっていく… という筋立て。
事件はもちろん、なぜ権力者の下院議員に捜査を依頼(というか命令)させられるのかってのも謎なんよ。権力者の出現あたりから、ミステリーとしての厚みがぐぐっと増してくるんすよね。
主人公はカイウス刑事ですが、お仲間の刑事マット、エイミーも魅力的。何より彼らの会話が機知に富んでだり、友達みたいなやり取りでほっこりするんすよ。もちろん意識が高いプロの刑事であり、事件解決に向けて大活躍してくれます。
そして本作、実は2割くらいはラブロマンスなんです。カイウスと帽子屋キャリーとの関係性が鬼アツです。出会いからデートして仲良くなって… みたいな感じで徐々に発展していくんだけど、もう羨ましいくって。私もまぜて欲しい! ただお話が進むと、更なる変化がおこるんですが… それは読んでのお楽しみ。
もうひとり鍵を握る人物、ルパート・ビーチャムですよね~。彼がいることで人間関係にエグみが爆増。ちなみに本作はシリーズ2作目で、彼は1作目にも出てくるようです。読み終わった後で解説を読んでいただくと、理解度もあがって楽しめますよ。
さて肝心の事件、謎解きについてですが、これも想像の二倍くらい練り込まれてましたね。事件自体はそうだよねって感じなんですが(とはいえかなりハード)、さらに物語全体とおして様々な人物がいり乱れるんすよ。えええぇっ? となるところも多くて力が入ったなー。終盤の着地なんて、全く想像できませんでした。
次回作は本国では既に発売されているようでして、もはや前作も次回作も読みたい。というのもやっぱり人が書けていて、彼らを見ていたくなるんですよね。しみじみと読ませてくれる良い作品でした。
2025年のエドガー賞、最優秀長編賞ってことで期待してましたが、やっぱり迫力ありましたね。パワフルなミステリーを堪能させていただきました。
■ぜっさん推しポイント
貴族、生まれながらのお金持ち、上流階級、ロイヤルファミリー。なーんて聞くと、なんか憧れちゃいますよね。
しかし生まれた瞬間に運命や、果たさなければならないことが決まっている人生ってのも、なかなかしんどそう。それが世のため人のためと信じられるならいいけど、そうでもなかったら良心と重責に潰されそうでさ。
自由に気楽に生きれる立場ってのが、やっぱり幸せなのかもしれませんね。
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