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恋人をフロリダに残し、ブルックリンへと逃亡したマイルズ。彼を待っていたのは、一軒の廃屋と将来への不安を抱えた三人の仲間だった。気のいいドラマーのビング、画家志望のエレン、博士論文執筆中のアリス。景気が後退の一途を辿る中、不確かな未来へ踏み出そうとした彼らに突き付けられた無慈悲で甘くない現実とは……。失うものの方が多い世界で、まだ見ぬ明日を願った若者たちの物語。(解説・松村美里)
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Posted by ブクログ
不況で不穏なアメリカを生きる若者たちを中心とした群像劇。 主人公マイルズを始めとして、 それぞれが不器用で、不完全で、思い詰めている。 背後にある経済の崩壊と不安定な未来は確固たる壁なのだが、 過去に縛られ、未来を夢見た先にたどり着く答えが、 here and nowだとは。 ポール・オースター...続きを読むは今回も個を浮かび上がらせる。 群像劇という形で各々の主観を突き詰める。
状況説明の少なさ、心理描写の過剰さ等、オースター作品の、個人の鬱屈した思考の渦に深く沈み込んでいく感じが、どうにも肌に合って仕方がない。 なんで小説なんて読むのかって、こん時くらい思考の海溝に沈み込んで、1人静かに暮らしたいからじゃないですか。(ミスチルの「深海」のジャケットみたいなイメージ。) ...続きを読む オースターの小説では、メインのストーリーと無関係に思える、サブの人物の思考や過去のエピソード、たまたま見た映画の話などが急に執拗に深く長々と描かれて、また急に場面が戻ったりする。 後であの伏線が回収された!となる事もあるし、あまりならない事もある。 それは人生のように「そんなものだ」とも思うし、 せっかく小説なのだから日常を引っぺがしてくれ、ハッキリとした状況説明、論理的に行動する人物、明快なストーリーなんて要らんのですよ。とも思う。 ただ本作、オースターにしては随分あったかくて人間らしい、と思ったらだいぶ後年の作ですのね。こんなオースターもとても良いですよ。 こんなに暖かいオースターを読んだことがなく、終盤に結末が気になったのは初めてだった。今まで読んだオースターはもっと突飛で脈絡なく、ぶっ飛んだ事が当たり前のように起き、何も解決せずに終わるけど、今回はあまりに物語が生活臭くて人間臭いので。 世界観がリアルで地味な事で感情移入が捗り、ぶっ飛んだ展開よりも逆にドキドキしてしまう事を学んだ。 最後にオースター氏に、レストインピース。 こんなに全ての作品で没頭に導いてくれた作家は他にいない。あなたの新しい作品に出会う喜びの回数が今後増えないことはとても寂しい。書き続けてくれて本当にありがとう。
期待に違わぬ素晴らしい作品でした。リーマンショック後の先の見えない時代を背景に、心が損なわれた主人公と取り巻く人達が、傷ついた心や厳しい生活を抱えながらも互いをいたわりながら日々を懸命に生きていく様は、強い共感を覚え心が癒されます。
それぞれの事情を持った4人がサンセット・パークで過ごす数ヶ月間の物語。 学生の頃から、ポール・オースターが好きで、久しぶりに読みたくなり購読。 “青春群像劇”とは銘を打っているが、いままで読んできた青春小説とはだいぶ趣がことなる。それもそのはず、この小説の名は『サンセット・パーク』、つまり日が沈み...続きを読むゆくような仄暗い背景を舞台にした物語なのだ。 この本が書かれた当時、世界金融危機が起きた直後だった。先行きが不透明な社会情勢と、自分が何者になれるのか、あるいはなれないのかという将来への不安と希望を抱く若者達の心の葛藤が、同じような色調で物語に彩りを与えている。
舞台はリーマンショック後のアメリカ ブルックリンの廃屋に不法居住する若者三人を描いた群像劇。 大不況の中で、もがき苦しみ懸命に生きる若者達のリアルな心理描写が心に沁みる。 慣れない海外文学で苦労したが、この作品を読めて良かった。
リーマンショック後のニューヨーク。 空き家に不法居住する4人の若者の群像劇。 不確かな未来の中、お互いなんとか寄り添って、 歩きだそうとした彼らに突きつけられた現実は…。 今だけのため、この瞬間、このつかのまの瞬間の ために生きるんだ。マイルズの言葉の重みをひしと 感じながら、今日も夕日が沈んで...続きを読むいった。 家族の優しさがいい。
P・オースター作品の中では少々異色の現在進行形(既に15年前となる2010年に刊行されたことを踏まえても)の空気が流れる群像劇。登場人物はそれぞれ問題を抱えているしすっきりとした解決などはない。そんな先の見えない不穏で憂鬱ムードの中に時折現れるきらめくような人生の輝きに、この時代を生きてゆく希望を感...続きを読むじる。
リーマンショック後のアメリカを舞台に、野球、映画、家族(と家族の死)などオースターが一貫して書いてきたテーマに加えてちょっとセックスの要素が多く他の作品ほど感情移入はできなかったけれどもサンセット・パークの住人4人のそれぞれの視点から構成される各章は面白かったです。 The Best Year o...続きを読むf My Life(オフコースじゃない方)観てみたいな。
リーマンショック後のニューヨーク。朽ち果てた建物に不法居住しつつ毎日を懸命に生きる若者たち。それぞれ苦悩もありつつ若者らしい恋の悩みもあったり、閉塞感のある世界の中でささやかな楽しみも垣間見える。 国は違えど、就職氷河期をどうにか生き抜いた日本の若者たちに重なる色を感じる。 この後、4人+αはどんな...続きを読む人生を歩んだのだろうか。
経済危機の最中にあるアメリカ・ニューヨークで、金のない4人の若者が一軒の廃屋に不法に住み着いてシェアハウスする話。構造的には「万引き家族」や「パラサイト」のようであり、最後の読後感は村上龍のようでもあった。 あと、魅力はやはり、舞台がブルックリンであること、ですよね。やはり。若者たちの不安や焦燥感...続きを読む、孤独や無力感が全体を通して強い話ではあるのですが、それが湿っぽすぎないのはやはり、舞台のオシャレ感、か。 そして一番かっこよかったのはこのくだり。 「私、会ったらあの子に何するかわからないわ。顔を引っぱたく?それとも抱きついてキスする? 両方やれよ、とモリスは言う。まず引っぱたいて、それからキス。」
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サンセット・パーク(新潮文庫)
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ポール・オースター
柴田元幸
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