【感想・ネタバレ】サンセット・パーク(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

恋人をフロリダに残し、ブルックリンへと逃亡したマイルズ。彼を待っていたのは、一軒の廃屋と将来への不安を抱えた三人の仲間だった。気のいいドラマーのビング、画家志望のエレン、博士論文執筆中のアリス。景気が後退の一途を辿る中、不確かな未来へ踏み出そうとした彼らに突き付けられた無慈悲で甘くない現実とは……。失うものの方が多い世界で、まだ見ぬ明日を願った若者たちの物語。(解説・松村美里)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

マイルズ・ヘラーを中心人物に置きながらもブルックリンサンセット・パークの廃屋に共に住むビング、エレン、アリスをはじめ、マイルズの父親のモリスに視点人物を移しながら語っていく構成は群像劇のようで個を描く著者の作品の中では珍しい語り口だと思った。

読み終わった時は著者の作品のなかでは比較的地味な作品だと感じたが、リーマン・ショックによる住む家を失った人々や経済危機に直面している様子が読み取れ、細部を読んでいくと現代アメリカの悲哀や疲弊感のようなものが描かれており、登場人物のドラマ性だけに収まらない主題を持つ作品だと思った。

リーマン・ショックを背景に作品で語られる三人のメジャーリーガーの訃報とウィリアム・ワイラーの1946年の映画「我等の生涯の最良の年」により、戦後アメリカの精神性と現在とを引き較べる構成はかつてアメリカ国民が抱いていた輝かしい未来の終わりを示唆し突き付けている。そしてマイルズの今後のように希望のない未来を読者に問いかけているようでラストが切なくも胸に迫る。

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2026年03月01日

Posted by ブクログ

期待に違わぬ素晴らしい作品でした。リーマンショック後の先の見えない時代を背景に、心が損なわれた主人公と取り巻く人達が、傷ついた心や厳しい生活を抱えながらも互いをいたわりながら日々を懸命に生きていく様は、強い共感を覚え心が癒されます。

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2025年12月08日

Posted by ブクログ

舞台はリーマンショック後のアメリカ

ブルックリンの廃屋に不法居住する若者三人を描いた群像劇。

大不況の中で、もがき苦しみ懸命に生きる若者達のリアルな心理描写が心に沁みる。
慣れない海外文学で苦労したが、この作品を読めて良かった。

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2026年02月02日

Posted by ブクログ

リーマンショック後のニューヨーク。
空き家に不法居住する4人の若者の群像劇。

不確かな未来の中、お互いなんとか寄り添って、
歩きだそうとした彼らに突きつけられた現実は…。

今だけのため、この瞬間、このつかのまの瞬間の
ために生きるんだ。マイルズの言葉の重みをひしと
感じながら、今日も夕日が沈んでいった。
家族の優しさがいい。

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2026年01月03日

Posted by ブクログ

P・オースター作品の中では少々異色の現在進行形(既に15年前となる2010年に刊行されたことを踏まえても)の空気が流れる群像劇。登場人物はそれぞれ問題を抱えているしすっきりとした解決などはない。そんな先の見えない不穏で憂鬱ムードの中に時折現れるきらめくような人生の輝きに、この時代を生きてゆく希望を感じる。

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2026年01月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

リーマンショック後の冷え込んだ景気のアメリカで、4人の若者がサンセットパークの廃屋に不法滞在してシェアハウスする物語。

金融危機で起こった不景気による先行きの見えない不安と未来に対する絶望感は今の日本の感覚とも通じるものがあり、解説でも語られている通りの「いま・ここ」にしかない切迫感が凄まじい。それは立ち退き期限の迫った廃屋の不法滞在という腰の座らなさがそのまま若者たちの「寄る辺なさ」へと繋がっており、夢や目標のために節約しているというより本当に行き場がなくて迷い込んだような感じなのがたまらなく切ない。群像劇視点ながら主人公含む4人ではなく、主人公マイルスの父親であるモリス・ヘラーの視点も混じっているのがこの手の青春群像にしては珍しく、社会的には成功していながらも、息子の失踪によって負った傷や妻との不和が描かれており、その孤独感と喪失感に年齢は関係ないことが伝わってくる。個人的に自身の年齢もあってか刺さったのは父親視点のページであり、息子を心配する立派な父親であると同時に、死の匂いを振り払えない一人の人間としての孤独が痛烈に胸に刺さった。

それぞれの視点で描かれてるのは高学歴の貧困であったり、性的に満たされていない行き詰まった芸術家であったり、自身のセクシャリティに悩みつつもパンクな反抗心を捨てられない青い若者であったりと、どの視点も内省的であり物語はあるようでない印象である。そう劇的なことは起こらないのが逆にリアリティがあり、オースターらしいと思うと同時に幕切れは悲劇的で、突然の立ち退き勧告から積み上げたものが壊れるものは儚くも一瞬であり、若い恋人ピラールや父や母との再会で持ち直したかに見えたマイルスが、警官へのパンチ一発で文字通り全てを失ってしまうラストは衝撃的でありながらも、小説全体を通して伝わってくる喪失感に一貫性はあったように思う。

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2025年12月14日

Posted by ブクログ

リーマンショック後のアメリカを舞台に、野球、映画、家族(と家族の死)などオースターが一貫して書いてきたテーマに加えてちょっとセックスの要素が多く他の作品ほど感情移入はできなかったけれどもサンセット・パークの住人4人のそれぞれの視点から構成される各章は面白かったです。

The Best Year of My Life(オフコースじゃない方)観てみたいな。

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2025年12月11日

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リーマンショック後のニューヨーク。朽ち果てた建物に不法居住しつつ毎日を懸命に生きる若者たち。それぞれ苦悩もありつつ若者らしい恋の悩みもあったり、閉塞感のある世界の中でささやかな楽しみも垣間見える。
国は違えど、就職氷河期をどうにか生き抜いた日本の若者たちに重なる色を感じる。
この後、4人+αはどんな人生を歩んだのだろうか。

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2025年12月08日

Posted by ブクログ

かつてサンセット・パーク近くのゲストハウスに2週間ほど滞在したことがあり、当時の光景を懐かしみたくて手に取りました。
​しかし、そこに描かれていたのは美しい追憶ではなく、ブルックリンの若者たちが抱える複雑な心情や、逃れられない過去のトラウマ。彼らを包む閉塞感や、行き場のないやるせない感情は、不法占拠されたアパートの空気感、そして決して裕福とは言えないサンセット・パーク周辺の乾いた街並みと見事に共鳴しています。
​マイルズの浮世離れした美男子ぶり(女優の息子という設定も効いています)など、細かな描写も印象的です。ニューヨークの情景を五感で思い出しながら読む体験としては非常に贅沢でしたが、物語そのものの展開としては、個人的にはあと一歩物足りなさを感じました。

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2026年02月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ピラールに惹かれるのはわかる気がする。マセガキが一番魅力的だと思う。やはりオースターらしい孤独を感じるが、ストーリーに凡庸さを少し感じてしまった。ムーンパレスや偶然の音楽のような、どこか劇的な要素に欠ける。特にラストはプツッと終わりすぎかなと思う。オースターってそういうものだろうけど、何かしらの変化というのはもっとあるべきだと思う。ポールとリンダが出てきた。オースターも好きなのか。

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2026年01月17日

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