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一九六七年ニューヨーク。文学を志す大学生は、禁断の愛と突然の暴力に翻弄され、思わぬ道のりを辿る。フランスへ、再びアメリカへ、そしてカリブ海の小島へ。章ごとに異なる声で語られる物語は、彼の人生の新たな側面を掘り起こしながら、見えざる部分の存在を読む者に突きつける。事実と記憶と物語をめぐる長篇小説。
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Posted by ブクログ
2009年刊行の当作品、表題の示す通り、まさに不可視~Invisibule!! 作品中の部分が実は手記の引用であったり、ある箇所が本人が他者の語りを組み立てなおしたものであったり。。。真相を掴もうとするほどに、霧が濃くなっていく。 1960年代後半のコロンビア大学 2人の男が出会った。とある出来...続きを読む事から繰り広げられていく情景がずんずん不可視的 invisibule 化していく。 流れに戸惑い、流され、宙に放り出されて迷子になって行くのは私だけじゃないだろう。 文学志望の美青年 アダムは暴力と禁断の愛の時間を経て 仏へ、カリブの島へと各地へ流れていく。 その時間は春夏秋と手記の形でつdられて行く。 一人称でありつつも、視線と思惟の異なる複数の語り手が語る「真相」とやらは温度差をさほど明確化しないまま、読み手の脳内で混然一体化されるかのよう。 「意識の遠い地平線に浮かぶ」おぼろげな影」がかすかに見えるだけ 最期の方で往時の儚く可憐だった面影を「微かに」留めた感のあるセシールが語る手記が最もリアルに近いところにある感を抱かされた~ しかし、今や、唯一の存命者であるセシールにとっては かつて起きた処々の出来事は「ハンマーの響きの様に・・」私と共に有るのみ・・ ボルンとマルゴ、美し過ぎる姉グウェンとの近親相姦の謎、異人種サンドラ・ウィリアムズとの婚姻と義理の娘レベッカ、エレーヌ・セシル母子との交流・・なかでも黒人男性への暴力と撲殺こそ深く暗い闇だが。。ボイルンの正体が一番黒い。 親子異常に年の離れたセシールの求婚し、憑かれたように語る激動の世界情勢への蘊蓄。 各地で起きた紛争の結末を「相互確証破壊」と称し、人類史上最もエレガントな解決策と一刀両断する処なぞ、最後までう~ン、怪物と言おうか・・。 全ての緩やかな連関がinnvisibleであり そこから浮かび上がってくる・・のだろう。 何時もながら最高の訳 柴田氏の日本語 作中にあった「人間の心はいつも突拍子もないイメージをセンテンス化する」意を体現しきっている! 数ある、ポールの作品のベスト3に思えた。
『真実を求めれば求めるほど、目に見えない物語』 1967年コロンビア大学での二人の出会いから物語は始まる。複数の語り手が語る物語は、一体何が事実で何が作り話なのか、その境界が『不可視』である。最後まで、物語の全体像は『不可視』である。でも、それが心地良く感じるのが、ポール・オースター。さすがです。
「一九六七年の春、私は彼と初めて握手した。そのころ私はコロンビア大学の二年生で、何も知らない、書物に飢えた、いつの日か自分を詩人と呼べるようになるんだという信念(あるいは思い込み)を抱えた若者だった。」という主人公アダムの書き出しで、オースター読者ならピンと来る。本作も、ここ最近のオースター小説のベ...続きを読むースになっている内省的自叙伝の色合いが濃いのではないかと。(1967年、オースターはコロンビア大学の二年生) もうこの時点でオースター・ファンとしては期待値が一段階アップする。 語り手がアダムになったり、彼の友人のジムになったり、そして、ジムの語りの中でアダムの残した手紙を読んだり。こうしてアダム像が立体的に浮かび上がって…と書きたいところだが、そこはオースター。浮かび上がるどころか、アダム像はますますぼんやりと曖昧になっていく。事実と記憶、そして願望がない混ぜになり、アダムは少しずつ読者から遠ざかるような感覚にとらわれる。 そして、本書の題名が「インヴィジブル」であること、そして人はいるのに鏡には何も写っていない写真が装丁になっていることに思い至る。オースターに連れ出された我々読者が見たものは何だったのか。ふと気がつけば、読後に想像をかき立てるいつものオースター・マジックに罹っていた。
Sturm und Drang. 本書を読み終えた直後の私の心境は、まさのこの一言であった。暴力的なまでの物語の持つ力を見せつけられ、数分の間、茫然自失としてしまう自分がそこにはいた。 私にとって、現存する作家の中で新作をチェックしてほぼ読むようにしている数少ない一人がポール・オースターである。...続きを読むこれまで彼の最高傑作は多くの人々も認めるように1989年の『ムーン・パレス』だと思っていたが、その認識を改めた。本作こそ最高傑作といって良いのではないか。 物語は1967年、文学を志す20歳のコロンビア大学の男子学生を主人公に幕を開ける。彼が突然巻き込まれる暴力と恋愛をトリガーにして、彼の一生が劇的に変化していくのだが、その模様は彼が死の間際になって記した小説内小説というメタ的な技法を取り、3つの章で語られる。この小説内小説を大学時代の友人である彼から受け取るのが、もう一人の主人公であるポール・オースター自身と思しき作家である(彼が本作の中で語る初期の自らの作品とは明らかに1982年にオースターが発表した『孤独の発明』そのものとなっている)。 しかしながら、本書の広範では小説内小説という形で描かれる男子学生の一生の変化が本当に真実なのか、作家は疑義を持ち、その謎について独自の検証を行うことになる。このあたりで、一体どこまでが真実なのか、信頼できる語り手は男子学生なのか、作家なのか、次第に混迷する中で物語はさらなる謎と共に唐突の終わりを告げる・・・。 タイトルであるInvisible=不可視という言葉は、こうした謎自体を暗示しているように見えるし、また別の何かを明らかに暗示している。本書で数回登場するInvisible=不可視、という単語はいずれも象徴的な場面で用いられているのが一つの証跡であり、見えなくなってしまっているものは何なのかを確認するために、改めて本書を再度読み直したくなる気持ちに駆られた。
物語が物語を呼んで、さらに物語を紡いで、また前の物語に戻っていく。しかも、それらの物語の語り手はみんな異なる(四人もいる)。結局、真実は何だったのか...誰の物語が嘘で誰の物語がほんとうのことなのか。色々考えてしまったり。おもしろいです。す
話し手がコロコロ変わる構成。最後まで誰が何をしてこうなってるのか分からず、先を知りたくて一気読み。 伏線は回収されつつも、結局何が本当だったのか。 しっくりこなくてイラつくというよりもその逆で、完全にやられたという感じ。 最後まで読んだうえでもう一度読みたい小説。 ひとりの女たらしで身勝手な男の生き...続きを読む方を書いてるけど、それに否が応でも惹かれてしまう周りの人間も全てクソやったという、、、
1967年の春に文学部の学生の私は、コロンビア大学2年生の時にフランス人客員教授のルドフル・ボルンと、その同棲相手のマルゴに出会った。 親族から遺産を継いだというボルンは、一度しか会っていない私に雑誌を作る支援を申し出てきた。 ボルンはその時35歳、皮肉さと頭の良さは持っていたが、どこかしら人と違う...続きを読むおぞましさのようなものを感じさせた。しかし私は魅力的なマルゴと、雑誌援助の話を手放せずそのままボルンとの付き合いを続ける。 破滅はすぐにやってきた。ある晩道で銃を持った男に脅されたボルンは、迷わずナイフで男を刺殺した。 私が警察に言うか言わないかで悩んでいるうちにボルンはパリに姿を消す。 そして40年近く立った後、作家のジムの元に、学生時代の友人であるアダム・ウォーカーから手紙と、アダムが若い頃に経験した殺人事件の手記が送られる。 アダムは非常に美男子で文学の才能に溢れいてた。非常に美しい姉とまだ幼い頃に死んだ弟がいる。だが卒業後には姿を消していたのだ。 ジムへの手紙では、アダムは若い頃に文学への道は諦め、今は病気により死の床にあり、そして人生の転機となった1967年の経験を手記として発行したいと言って送ってきたのだ。 そしてジムの元に送られてきたアダムの2つ目の手記。 君は大学の留学制度でパリに行くことにした。パリではボルンに会うかもしれないが、それよりも将来への学びの道を選んだのだ。そして君はアメリカを去る最後の日々を幼い頃から心を通わせ合っていた姉のグウィンと過ごす。互いに幼い頃から性の成長も見せあってきた君とグウィンは、セックスに溺れ合うのだった。 アダムはその後死に、ジムが手に入れたのは手記第3段のメモ書きだった。 パリに行ったアダム・ウォーカーは、ボルンとマルゴに再会する。そしてボルンの殺人を暴くために、彼の婚約者のエレーヌと、その大学生の娘のセシルに近づこうとする。 アダムの目論見は達するのか、それとも得体のしれない影響力と暴力性を持つボルンの前に敗れ去るのか…。 ジムはアダム・ウォーカーの手記を完成させるために関係者たちを探して話を聞く。 そして小説としてこの話を出すことにしたのだ。 だから自分はジムではなく、アダムはアダムではなく、コロンビア大はコロンビア大ではないし、ボルンはボルンでない。 関係者の話が揃えば揃うほどに不可視性(インヴィジブル)は増すばかり。 そもそもボルンは本当に人を殺したのか、ボルンは政府の諜報活動をしていたのか、グウィンとアダムとの近親相姦は彼の妄想なのか…。 人は物事のすべてを知ることはできない。通常の小説であれば”全能の作者”が読者に真相を明かすことができるが、この小説では作者であっても真実を知ることはできない。結局誰もがその人にとっての本当のことを語り、それにより”事実”は余計に不可視となっていく。 <真実を語るためには、それを虚像にしなければならない。 本の中で私を演じる人物は違う名前を与えられる。たとえばX氏。ひとたび私がX氏になれば、私はもはや私ではなくなり、ひとたび私でなくなれば、我々はいくらでも新しい細部を加えることができる。P274より抜粋> <こうして海を超える飛行機にのっている今も五十、六十のハンマーの響きが頭の中で聞こえる。この音はこれからもずっと私とともにあるだろう。一生ずっと、どこにいて、何をしていようと、ずっと私とともにあるだろう。P279>
あることを中心に、たくさんの視点がそのことを語っていく、というスタイルの物語は何度も読んだことがあったけど、 すごく久しぶりに読んだポール・オースターは、 ことに関連して、少しずつ視点もずれていくし、 語り手も変わっていく。 読みなれなくて進むのに時間がかかったけれど、 読後感は気持ちが良かった。...続きを読む (内容がスカッとする、ということではない) 人の人生の、その時々の交友の厚みが伺える 時にあれほど仲良かったのに、という人と疎遠になってしまった悲しみを感じる時があるけれど、 それは先の人生や、極端な話明日にでも、 全くそんなことを思う必要おもなくなってしまうほど、 違う人生を歩み始めてしまう時もある。 ということなんじゃないか?とぼんやりと読後感に浸りたくなる作品でした。
「不可視」とう言葉が繰り返し出てくる。 誰の話が、どこまで本当なのか。 本当のことなど不可視だということか。
invisible。目にみえない。姿がみえない。などを表すタイトルの通り語り手や場所を変えながら、とある人物の真実に迫る。
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ポール・オースター
柴田元幸
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