ガラスの街(新潮文庫)

ガラスの街(新潮文庫)

小説・文芸
737円 (税込)

3pt

「そもそものはじまりは間違い電話だった」。深夜の電話をきっかけに主人公は私立探偵になり、ニューヨークの街の迷路へ入りこんでゆく。探偵小説を思わせる構成と透明感あふれる音楽的な文章、そして意表をつく鮮やかな物語展開――。この作品で一躍脚光を浴びた現代アメリカ文学の旗手の記念すべき小説第一作。オースター翻訳の第一人者・柴田元幸氏による新訳!

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  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 海外小説
  • 出版社
    :
    新潮社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    新潮文庫
  • タイトル
    :
    ガラスの街(新潮文庫)
  • タイトルID
    :
    820694
  • 電子版発売日
    :
    2020年07月10日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

閲覧環境

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ガラスの街(新潮文庫) のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    頭良すぎる‼️‼️‼️‼️‼️‼️
    めちゃくちゃ面白かった。
    メタ構造というか、色々な二重構造があり、成り代わりがあり、物語としても構成としても新鮮に読める。

    0
    2026年08月22日

    Posted by ブクログ

    オースターのニューヨーク三部作。
    これら初期の作品で常に見られる孤独感を、ここでは作家である一人の男に負わせている。彼は自分の影に生きて消えたのか。

    「ガラスの街」はニューヨーク三部作の第一作で、「孤独の発明」「鍵のかかった部屋」「ムーン・パレス」「偶然の音楽」「幻影の書」と読んできて初期の作品を二冊残してしまっていた。中篇であり初期に書かれたもので、「孤独の発明」が次の作品にどういう形で書きつがれたかにとても興味があった。

    ただ既読の5冊の中には、共通する実態の掴みにくい孤独感が相変わらず座り込んでいる、だが表現法は似ているが、今回はそれをシーンに置き換えて明晰で分かりやすい内容になっている。
    ストーリー性が増し、明確な風景の中から物語が立ち上がってきている。そういう傾向に移行したのかと感じたのだが。

    ニューヨーク三部作の頃にはまだ主人公のまわりは常に現実との境が曖昧で、存在自体も、読者や本人にさえも見えない部分がある。
    主人公たちは、その見えない部分を自分や知り合った人たちの中に見たり触れたりして、鑑に写したように実感を得ようとしている。だがストーリーの最後では存在感が次第に薄れていって消えていく。


    夜中に間違い電話が何度もかかるので、「ポール・オースター?」と訊かれ、面倒なので「そうだ」と答えてしまう。
    実はダニエル・クインという探偵作家で、ペンネームはウィリアム・ウィルソンでありその陰に隠れていれば、エージェントとは私書箱を通しての付き合いで、直接世間に触れることなく、顔も出すことがなかった。彼は半月書き、余った時間を自由に暮らしてきた。

    間違い電話をかけてきたのは、ピーター・スティルマンという子供のころ幽閉されていた過去がある障害者だった。こういった症例は世界に散見する研究対象でもあり、あちこちで誘拐されて見つかった子供のように、彼も9年間、言葉や光のない部屋で育ち、実験的だという父親の暴行を受けていた。

    13年前に父が捕まったとき、結婚している妻が彼の遅れている成長を助けてきた。だが父親が釈放される日が近いので殺されないように保護して欲しいと言う。
    彼はまだ満足に話せない。こんなふうに言う。
    これはいわゆる話すという行為です。そういう呼び方だと思います。言葉が出て宙に飛んでいって、束の間生きて、死ぬ。不思議じゃありませんか。

    ダニエル・クインにとって作中の探偵ワークはもう自分が作り出した者ではなくなっていた、いつの間にか一体感を持っていたし、現在のペンネーム(ウィリアム・ウィルソン)もいて、現在の自分は三人の人格が合体したものに感じらていた。
    探偵とは、全てを見て、全てを聞き、物事や出来事がつくりだす混沌の中を動き回って、これらいっさいをひとつにまとめ意味を与える原理を探し出す存在にほかならない。実際、作家と探偵は入れ替え可能である。

    出所したスティルマンの父親らしい人物を見張り始める。安ホテルに泊まった老人はニューヨークを徘徊する。彼も常に後から歩いていく。何も怪しいそぶりもなく日が過ぎ。ついに彼は接触を試みる。

    その老人は新しい言葉を作り出そうとしていた。彼は老人の意識を確かめるために話しかけるが、既に過去のハーバードの秀才教授ではなくなっていた。
    だが彼の知識から生まれる物語は魅力的で、その奇妙な世界を聞きに何度も出会うようになる。
    ポー作品でデュパンはなんと言っているか?「推論者の知性を、相手のそれに同一化させる」ここではそれは、スティルマン父に当てはまる。おそらくその方がもっとおぞましい。

    父親は以前はヘンリー・ダークという名前で、今ここではない昔の楽園を作るために、乱れた言葉を元に戻すことを解く「新バベル論」を書いていた。
    クインは残っていたその小冊子を見つけた。

    赤いノートに1日の出来事を記録しながらクインの尾行は続いた。
    毎日父親を見張っていたがなぜか老人は数日見かけなかった。ホテルで聞くと投身自殺をしたそうだ。

    クインは依頼者のスティルマン夫婦のところに報告に行くとマンションは誰もいない空室になっていた。

    クインはついに、ポール・オースターを訪ねる。勿論彼は何も知らなかった。
    そして彼が今書いているのは何かと訊くと 「ドン・キホーテ」論だという。
    これはセルバンテスの作ではなくアラビアで書かれ、セルバンテスは翻訳されたものを編集したので、そうしたのは事実を語るのに疑いを挟ませない理由だと言った。ドン・キホーテは物語に魅せられた。しかし原作のアラビア人は登場する四人の組み合わさったものではないか、ともいう。

    クインの部屋に帰ると他人が入っていた。家のない彼は依頼者のスティルマンがいた狭い窓にない部屋で眠る。次第に彼が何もかも億劫になり、ついに消えた。
    オースターのところに来た友人にこの話をすると、友人はクインを心配して探してみたが彼のいた部屋は赤いノートだけが残っていたと言った。

    クインは、過去にはウィリアム・ウィルソンであり、創作した探偵ワ-クであり、ミステリ作家のダニエル・クインであった。その頃は快い孤独感とともにニューヨークの町を歩いて楽しむことが出来た。
    だが、ふと電話に出て見知らないポール・オースターになり、書く事をやめウィリアム・ウィルソンから離れてしまった、そのとき自分と一体であったものを切り離したあとの独り、このクインとは一体何者だろうか。

    一人でいることは自由だと言うことだが、それが続くとクインはソローの本(森の中)を探して読んでみたりする。だがクインの思うのはこの自由とは違う。

    仕事だと思った老人の追跡が意味のないものになり、町は次第に陰をなくし、それに連れて存在も希薄になる。孤独というものの実感さえ浮かばなくなり生存するということが抜け堕ちてしまう。それがどんな意味があるのかとさえ考えることのないところに入ってしまう。究極の言葉によって形作られるみえない深い悲しみや空虚感が見事に作品になった、珍しい文学的な前衛だという言葉が分かる初期ポール・オースターの作品だった。

    0
    2026年03月02日

    Posted by ブクログ

    クインの失われた息子と妻の話は最後まで語られない。その説明の不在こそトラウマの証拠だろう。
    ピーターとヴァージニアは、おそらく彼の失われた家族を暗喩している。
    ダニエル・クインのイニシャルが、ドン・キホーテと同じであるように、これは狂人、あるいは狂人に見える人の物語であり、孤独に陥っていく「浮浪者」あるいは「狂人」の内面を描いた物語だろう。
    最初は、ピーターの父である教授がそのように見える。しかし次第にクイン自身がそれと同じ境地に陥っていくのである。

    教授と同じ顔をした(立派なみなりをした)別の人間は、おそらくそうではなかった別の人生を生きる自分の暗喩である。クインにとってのオースターも同じであった。

    0
    2025年09月10日

    Posted by ブクログ

    NYタイムズ「21世紀名著 100選」に入らないわけがない。
    間違い電話をきっかけに探偵を名乗ることになった推理作家が、NYの街を行く迷宮ミステリー。

    ザ・ポストモダン。反推理小説にあたるでしょうか。探偵行動を続けるほどに哲学的要素が積み重なり、言葉やアイデンティティが壊れてゆく。
    不条理がオモロ怖くなりつつ…なんというかオースターのペンがノっているような、キャラが縦横無尽に動いているような感覚も。

    ガラスのように脆いのは常識や自我や概念か。セオリーをあえて外すところも含め、オースターによる小説独自のアソビがただただ見事でした。

    0
    2026年06月19日

    Posted by ブクログ

    最初は一本の間違い電話から。小説の最後まで、「間違い」「選択」というキーワードがあったように思います。少し難解でしたが、三部作ということでゆっくりと他の二作も読んでみたいと思います。

    0
    2026年05月20日

    Posted by ブクログ

    一本の間違い電話をキッカケに自分がポール・オースターという名の探偵となる作家ダニエル・クイン

    自分の気配を消し、探偵のふりをするうちに、自分という個の意識から自由になるかわりに自分を見失っていく話

    探偵となった主人公が何かを解決することもなく⋯うっすら根底に不穏な雰囲気を醸し出している

    「何者でもない自分」を演じ、そのように振る舞い、それが継続されていくと自己は自分を認識できずに混乱していくのか?、と思い至った

    ほの暗い色彩のないグレーな印象で少々気分が下がるけど
    なぜかこの著者の本を他にも読んでみたいと思った
    あと柴田元幸さんの翻訳がうまいと思う

    0
    2026年04月07日

    Posted by ブクログ

    「音楽的な文章ってなんだ」と思い、購入。
    本当に音楽的な文章だった。この言い表し方が最適だ。ラストは駆け抜けた、ともまた違うような感じがした。

    0
    2026年01月04日

    Posted by ブクログ

    ニューヨークの街並み、96丁目を曲がってとか109丁目の角を曲がってとか、ほとんど街並みのイメージが出来なかったけど、依頼を受けた私立探偵の動向が気になって仕方なかった。ドン・キホーテの解釈や失楽園、新バベルがとうとか難しい話も出てくるけど、そこはあまりこだわらなければ十分楽しみた。物語に著者のポールオースター自身が登場すると言う変わり種の本。のめり込んで自分を失う怖さを味わった。

    0
    2025年11月15日

    Posted by ブクログ

    デビュー作から異彩を放っているポールオースター。先が気になる予想できない展開に加えて類稀なる表現力と文章力。訳者もすごい。最後の物語の締め方も良かったです。

    0
    2025年10月29日

    Posted by ブクログ

    アメリカの近代作家オースターのニューヨーク三部作、鍵のかかった部屋と幽霊たち、とで3冊。
    話的には繋がってはいないけれど、3冊に共通するのは、ニューヨークという現実の世界の中で感じる非現実感。読み進むと、幻想的な迷路にはまってしまったような感覚に陥ります。
    どの話も推理小説のようであって推理小説ではありません。主人公は、誰かを探す、観察する、探偵、という体裁をとりながら、ひたすらある人を追ってニューヨークブルックリンの街を徘徊します。
    相手を知ろうとすればするほど他人とは何かと考え始め、他者の不確かさが深まり、延いては自分と他者との境界はあるのか、自分とは何か、となります。
    結論もなければ謎の解明もありませんが、3冊を通して読んだ時に、3冊の中に隠れた言葉の巧みな関連性、積みあがった言葉が消えていく感覚、最終的に自分と他者の境界が消失する、という不思議な感覚を体験することができます。
    とても不思議な世界観。

    0
    2025年10月15日

ガラスの街(新潮文庫) の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 海外小説
  • 出版社
    :
    新潮社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    新潮文庫
  • タイトル
    :
    ガラスの街(新潮文庫)
  • タイトルID
    :
    820694
  • 電子版発売日
    :
    2020年07月10日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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