久々原仁介の作品一覧
「久々原仁介」の「海のシンバル」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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小説・文芸
Posted by ブクログ
SNSで話題になり、クラウドファンディングで431%達成し書籍化。王様のブランチでも紹介されていたので、気になり手に取った。
下関の海岸沿いに立つファッションホテル『ピシナム』。そこで働く磯辺逢深(いそべあいみ)は、毎週違う男と201号室を利用する少女Rと、客室と受付を繋ぐ気送管を使って短い手紙のやり取りを始める。互いに惹かれる2人だったが、ある冬の日、Rは突然姿を消してしまった…
磯部とRとの少し変わった交換日記のようなやり取りで、物語は恋愛小説のていで展開していく。けれども、Rの抱える深い心の傷が明らかになったとき、装いが一転し一気に引き込まれた。
当事者と第三者。受けた傷の大きさや感じ方の違いは計り知れない。磯部に感情移入しながら読み進め、分かりたいけど分かるなんておこがましいような、何もできない無力感に胸が痛んだ。
心に沁みたフレーズ。
「その人との別れ目までに、何を想い、どんな言葉を伝えるのか。それを考える時間そのものが、優しさなんだと思っています」
伝えた言葉ではなく、どれだけその人を想い考えたのか、その時間こそが大切なんだと思わせてくれる優しい言葉に、どこか救われた気がする。