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Posted by ブクログ
久しぶりに、いい本を読んだ。この本をもとに、テレビドラマにもなった。
二人の女主人公の対決を描く物語。
一人の女性は、シングルマザーで日邦新聞東京本社の社会部の記者 檜葉菊乃。バツイチで、高校2年生の娘の麻衣子、17歳と暮らしている。40歳を過ぎてから社会部記者に抜擢された。娘は医者になりたくて、頑張っている。新聞記者なので、食事は健気に娘が作っている。
対決するもう一人の女性は、神林晴海、45歳。独身。両親はもう亡くなっている。統和医科大学の理事。その大学の理事は、ほとんどが医師であり、教授だったりするが、神林晴海は、事務職から理事になり、職員からも評判が良く、大学の事務仕事を改革してきた。
檜葉菊乃は、統和医科大学の政治家の息子の裏口入学の取材をしている時に、女子受験生への一律減点操作が行われていることを知った。実際、2021年に東京医科大が2月に行った医学部医学科の一般入試で、女子受験者の得点を一律に減点し、合格者数を抑えていたことが発覚している。その事実が、この物語の核をなす。男女平等が叫ばれる中で、女子が不当な差別を受けていた。入試の結果に不正をはたらき、人権問題であった。檜葉菊乃は、その確たる証拠を探そうとするが見つからない。実際合格者は、女子の合格者は男子合格者の3分の1だった。裏口入学の調査の時に、その一律減点の資料も検察が押収したのだった。検察にそのような資料があるはずだと檜葉菊乃は、聞くが、検察は何も語らない。
檜葉菊乃は、スクープだと思って、社会部に報告するが、周りは男ばかり。また、女がでしゃばってと冷やかしの言葉が返ってくるだけだった。新聞社の中でも、女子差別、パワハラ、セクハラは日常茶飯事だった。檜葉菊乃は、そういう雰囲気を我慢してきたことを反省する。女性の不当に置かれた立場を、新聞社でも当たり前だったのだ。
神林晴海は、女子受験生への一律減点操作の問題が表面化しないように、理事会で担当を命じられ、常務理事となった。医師の中では、公然の秘密とされ、女子は、結婚、出産、育児があるので、医師として使い物にならないとされていた。ただでさえ医師不足である状況で、女子が医者になったら、病院は回って行かないと平気で言う医師もいた。
檜葉菊乃は、神林晴海にその事実を確かめるために、対決するのだった。しかし、神林晴海はそんな事実はないと否定し、新聞記者が大学での取材をしたら、警察に訴えると言われ、敗退する。檜葉菊乃は、女同士だから理解してもらえると思ったのだ。しかし、全く神林晴海は動じず、さらに檜葉菊乃の娘が医学部志望であることを口実に、推薦入学で娘さんをいれると神林晴海理事に言われる。
檜葉菊乃は、自分はそのような裏取引に応じないと神林晴海と決裂する。その件を娘に話をすると、娘の麻衣子は「お母さんは自分のしたいことばかりする。高校生で、スーパーでネギ買ってくる子はいない」と反発する。
檜葉菊乃は、正しいこととは何か?について、迷う。そして、神林晴海がなぜ大学の理事になり、そして、神林晴海にとって正しいことは何だろうと考える。
テレビドラマでは、神林晴海が鈴木保奈美。檜葉菊乃が、松本若菜。二人の対決が、ジリジリして、すごいドラマだった。しかし、二人が対決しているだけでなく、神林晴海と檜葉菊乃の対決していたことは、女性差別という大きな問題に対決していたのだった。
原作とテレビドラマでは、結末は違う。原作の方が、今の社会構造によりリアルに描かれている。
テレビドラマは、結末が溜飲を下げるところまで演じられた。
大学病院の旧体然たる状況、医者の置かれた状況、そして、新聞社の中での女性の置かれた立場など、実にリアルに突きつけられて、日本はなかなか変わらないなぁと思って、本を読み終え、ドラマも5話、観た。正しいとは、立場によって違うことは、頭ではわかるが、公平というフェアーな精神が成熟するには、一人一人が自分の頭で考え、きちんと判断していくことが必要だ。
パワハラ、セクハラなどは、昭和生まれのおじいにとって身体の中に染み込んでいるものだと痛感した。しかし、月村了衛は、よくぞ、このような作品を描き切るね。
Posted by ブクログ
2018年に発覚した東京医科大学での女子減点事件は、医師の働き方という点では私と無関係ではなく、また子供が受験生だった年で医学部入学だったという点でも無関係ではなかった。ただ当時も今も点数減らされようが男性を蹴飛ばせるだけの点数取ればいいじゃないのという高飛車な意見にそんなに変わりはない。
地検が裏口入学の捜査に来て、私立統和医科大学の資料を持っていった。政治家の息子が学生寮建設用地取得に便宜をはかってもらった見返りで、点数に下駄をはかせた疑惑である。日報新聞の社会部記者である菊乃は取材をしていた。入試で女子の点を減点しているとの噂がある。
統和医科大学の一次試験での男子合格率18.7%、女子合格率15.5%。二時試験では8.4%、2.5%。調べなければ。菊乃の娘は医学部を受験する予定の現役高校3年生なのだ。取材したほとんどの医師が女子減点は昔からやられている、と答える。
理事のほとんどは医師だが、統和医科大学理事の神林晴海は事務局出身。女子差別入試に対するマスコミ対策常任理事に指名される。隠蔽のための根回しを着々と開始する。その神林に菊乃は突撃取材する。不発に終わった。
菊乃が娘の予備校の親子面談に赴くとなぜか神林がいた。特別枠で統和医科大学に娘を入学させてもいいというのだ。かわりに取材から手を引けという。そんなくだらない申し出を受けるわけにはいかない。
菊乃は神林がなぜ理事になれたのか、必死で頭を働かせはじめる。
Posted by ブクログ
医学部の受験で女子が一律減点されていた問題をテーマに、それを暴こうとする記者と、大学の権威を守るために隠蔽しようとする理事の対決を描いた作品。
対決する女性2人は、立場こそ違えど誠実に生きようとしてる。そしてそれぞれが女性であるというだけで理不尽な差別を受けてきた。本書では性差別やその他の差別に正面から向き合い、それが決してなくなることはないことも受け入れつつ、解決を模索していく。そしてその思考の先に主人公2人の対決がある。
もう物語が動き始めてから最後の最後まで、まったく緊張感が途切れない。扱っている問題は胸糞悪いものですが、主人公2人がどこまでも誠実なので、物語としては清々しさすら感じるものとなっています。
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