あらすじ
中堅私立医大の入学試験で、女子受験生の点数が一律減点されている――疑惑を耳にした新聞記者の檜葉菊乃は極秘取材を試みるうち、医大理事である神林晴海を突破口とみなし接触する。一方、疑惑の揉み消しを命じられた晴海は菊乃を強く警戒する。社会にはびこる女性差別と闘い、強く生きるふたりが立場ゆえに対立する。正義とは。信じるものとは。二人の「対決」の果てに見える地平を描く、傑作長編。
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Posted by ブクログ
医学部の受験で女子が一律減点されていた問題をテーマに、それを暴こうとする記者と、大学の権威を守るために隠蔽しようとする理事の対決を描いた作品。
対決する女性2人は、立場こそ違えど誠実に生きようとしてる。そしてそれぞれが女性であるというだけで理不尽な差別を受けてきた。本書では性差別やその他の差別に正面から向き合い、それが決してなくなることはないことも受け入れつつ、解決を模索していく。そしてその思考の先に主人公2人の対決がある。
もう物語が動き始めてから最後の最後まで、まったく緊張感が途切れない。扱っている問題は胸糞悪いものですが、主人公2人がどこまでも誠実なので、物語としては清々しさすら感じるものとなっています。
Posted by ブクログ
月村了衛『対決』光文社文庫。
NHK BSで春から全5話でドラマ化されるようだ。
医大の女子受験生の一律減点という前代未聞の不正の事実を女性新聞記者が暴こうと奮闘する社会派小説である。
医大の裏口入学や女子受験生の一律減点という話はニュースなどで耳にしたことがある。裏口入学はもとより、女子受験生の一律減点など受験生の側からしたらたまったものではない。
裏口入学に関しては地方の私立医科大学などでは金さえ積めば入学出来るという話は数十年前からあり、実際にその医大を出た医師の多くは能力が低く、不人気である。
また、近年は社会がハラスメントに対して厳しくなり、ジェンダーレスが叫ばれ、女性差別への抵抗が強くなっている。
しかし、全ての女性が男性と同じように働き、同じ地位や権限を望んでいるかと言えば、そうでもないように思う。自分の周りでは上を目指そうという女性は殆ど居ない。多くの女性は面倒なことは男性に任せ、家事や育児に時間を費やしたいと考えているようだ。多様性の時代、考え方や生き方は様々あって良いと思う。
中堅私立医大である統和医大で起きた政治家の子息の裏口入学について取材していた日邦新聞社会部の記者である檜葉菊乃はより重大な疑惑を耳にする。統和医大の入学試験で、女子受験生をできるだけ合格させないように入試の点数を一律減点されているというのだ。
シングルマザーで医大受験を目指す優秀な娘を育てる菊乃は他人事とは思えず、極秘取材を続け、医大理事である神林晴海を突破口とみなし、何とか証言を得ようと奮闘する。
一方で不正を嫌う晴海は疑惑の揉み消しのために常任理事に昇格させられると大学の存続のためにと、菊乃への警戒を強める。
社会に蔓延る女性差別と闘いながら、強く生きようとする菊乃と晴海の2人の対決の行方は……
本体価格840円
★★★★