【感想・ネタバレ】対決のレビュー

あらすじ

中堅私立医大の入学試験で、女子受験生の点数が一律減点されている――疑惑を耳にした新聞記者の檜葉菊乃は極秘取材を試みるうち、医大理事である神林晴海を突破口とみなし接触する。一方、疑惑の揉み消しを命じられた晴海は菊乃を強く警戒する。社会にはびこる女性差別と闘い、強く生きるふたりが立場ゆえに対立する。正義とは。信じるものとは。二人の「対決」の果てに見える地平を描く、傑作長編。

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Posted by ブクログ

男女雇用機会均等法、そもそも機能しているのかな最近では女性活躍か叫ばれているが、それは本当なのだろうか?いつの時代にも差別はあると思う、人間は生まれた時点ですでに差別があるのだから、でもやり切れない、切ないですね、みんな何かのメンツにこだわっているだけなのかも。本当の意味での男女平等になれば良いと思う。素晴らしい作品でした。

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2026年08月18日

Posted by ブクログ

久しぶりに、いい本を読んだ。この本をもとに、テレビドラマにもなった。
二人の女主人公の対決を描く物語。

一人の女性は、シングルマザーで日邦新聞東京本社の社会部の記者 檜葉菊乃。バツイチで、高校2年生の娘の麻衣子、17歳と暮らしている。40歳を過ぎてから社会部記者に抜擢された。娘は医者になりたくて、頑張っている。新聞記者なので、食事は健気に娘が作っている。

対決するもう一人の女性は、神林晴海、45歳。独身。両親はもう亡くなっている。統和医科大学の理事。その大学の理事は、ほとんどが医師であり、教授だったりするが、神林晴海は、事務職から理事になり、職員からも評判が良く、大学の事務仕事を改革してきた。

檜葉菊乃は、統和医科大学の政治家の息子の裏口入学の取材をしている時に、女子受験生への一律減点操作が行われていることを知った。実際、2021年に東京医科大が2月に行った医学部医学科の一般入試で、女子受験者の得点を一律に減点し、合格者数を抑えていたことが発覚している。その事実が、この物語の核をなす。男女平等が叫ばれる中で、女子が不当な差別を受けていた。入試の結果に不正をはたらき、人権問題であった。檜葉菊乃は、その確たる証拠を探そうとするが見つからない。実際合格者は、女子の合格者は男子合格者の3分の1だった。裏口入学の調査の時に、その一律減点の資料も検察が押収したのだった。検察にそのような資料があるはずだと檜葉菊乃は、聞くが、検察は何も語らない。

檜葉菊乃は、スクープだと思って、社会部に報告するが、周りは男ばかり。また、女がでしゃばってと冷やかしの言葉が返ってくるだけだった。新聞社の中でも、女子差別、パワハラ、セクハラは日常茶飯事だった。檜葉菊乃は、そういう雰囲気を我慢してきたことを反省する。女性の不当に置かれた立場を、新聞社でも当たり前だったのだ。

神林晴海は、女子受験生への一律減点操作の問題が表面化しないように、理事会で担当を命じられ、常務理事となった。医師の中では、公然の秘密とされ、女子は、結婚、出産、育児があるので、医師として使い物にならないとされていた。ただでさえ医師不足である状況で、女子が医者になったら、病院は回って行かないと平気で言う医師もいた。

檜葉菊乃は、神林晴海にその事実を確かめるために、対決するのだった。しかし、神林晴海はそんな事実はないと否定し、新聞記者が大学での取材をしたら、警察に訴えると言われ、敗退する。檜葉菊乃は、女同士だから理解してもらえると思ったのだ。しかし、全く神林晴海は動じず、さらに檜葉菊乃の娘が医学部志望であることを口実に、推薦入学で娘さんをいれると神林晴海理事に言われる。
檜葉菊乃は、自分はそのような裏取引に応じないと神林晴海と決裂する。その件を娘に話をすると、娘の麻衣子は「お母さんは自分のしたいことばかりする。高校生で、スーパーでネギ買ってくる子はいない」と反発する。

檜葉菊乃は、正しいこととは何か?について、迷う。そして、神林晴海がなぜ大学の理事になり、そして、神林晴海にとって正しいことは何だろうと考える。

テレビドラマでは、神林晴海が鈴木保奈美。檜葉菊乃が、松本若菜。二人の対決が、ジリジリして、すごいドラマだった。しかし、二人が対決しているだけでなく、神林晴海と檜葉菊乃の対決していたことは、女性差別という大きな問題に対決していたのだった。
原作とテレビドラマでは、結末は違う。原作の方が、今の社会構造によりリアルに描かれている。
テレビドラマは、結末が溜飲を下げるところまで演じられた。

大学病院の旧体然たる状況、医者の置かれた状況、そして、新聞社の中での女性の置かれた立場など、実にリアルに突きつけられて、日本はなかなか変わらないなぁと思って、本を読み終え、ドラマも5話、観た。正しいとは、立場によって違うことは、頭ではわかるが、公平というフェアーな精神が成熟するには、一人一人が自分の頭で考え、きちんと判断していくことが必要だ。

パワハラ、セクハラなどは、昭和生まれのおじいにとって身体の中に染み込んでいるものだと痛感した。しかし、月村了衛は、よくぞ、このような作品を描き切るね。

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2026年07月12日

Posted by ブクログ

2018年に発覚した東京医科大学での女子減点事件は、医師の働き方という点では私と無関係ではなく、また子供が受験生だった年で医学部入学だったという点でも無関係ではなかった。ただ当時も今も点数減らされようが男性を蹴飛ばせるだけの点数取ればいいじゃないのという高飛車な意見にそんなに変わりはない。

地検が裏口入学の捜査に来て、私立統和医科大学の資料を持っていった。政治家の息子が学生寮建設用地取得に便宜をはかってもらった見返りで、点数に下駄をはかせた疑惑である。日報新聞の社会部記者である菊乃は取材をしていた。入試で女子の点を減点しているとの噂がある。

統和医科大学の一次試験での男子合格率18.7%、女子合格率15.5%。二時試験では8.4%、2.5%。調べなければ。菊乃の娘は医学部を受験する予定の現役高校3年生なのだ。取材したほとんどの医師が女子減点は昔からやられている、と答える。

理事のほとんどは医師だが、統和医科大学理事の神林晴海は事務局出身。女子差別入試に対するマスコミ対策常任理事に指名される。隠蔽のための根回しを着々と開始する。その神林に菊乃は突撃取材する。不発に終わった。

菊乃が娘の予備校の親子面談に赴くとなぜか神林がいた。特別枠で統和医科大学に娘を入学させてもいいというのだ。かわりに取材から手を引けという。そんなくだらない申し出を受けるわけにはいかない。

菊乃は神林がなぜ理事になれたのか、必死で頭を働かせはじめる。

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2026年04月13日

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医学部の受験で女子が一律減点されていた問題をテーマに、それを暴こうとする記者と、大学の権威を守るために隠蔽しようとする理事の対決を描いた作品。
対決する女性2人は、立場こそ違えど誠実に生きようとしてる。そしてそれぞれが女性であるというだけで理不尽な差別を受けてきた。本書では性差別やその他の差別に正面から向き合い、それが決してなくなることはないことも受け入れつつ、解決を模索していく。そしてその思考の先に主人公2人の対決がある。
もう物語が動き始めてから最後の最後まで、まったく緊張感が途切れない。扱っている問題は胸糞悪いものですが、主人公2人がどこまでも誠実なので、物語としては清々しさすら感じるものとなっています。

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2026年02月14日

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ネタバレ

檜葉菊乃
日邦新聞社会部記者。四十三歳。シングルマザー。司法担当の中でも「P担」と呼ばれる検察官担当。のチームリーダーの「四番機」。統和医大が入試の採点過程で女子の点数を意図的に下げているという疑惑を追及していく。

瀬島
私立統和医科大学の教育課程でかつてドイツ語を教えていた初老のドイツ語講師。菊乃の取材に統和医科大学の不正入試の実態を話す。

相模
日邦新聞社会部 P担。キャップ。四十二歳。

甲斐田
日邦新聞社会部 P担の二番機。比較的温厚な人物。三十代半ば。

檜葉麻衣子
菊乃の娘。公立高校二年。十七歳。医学部専門の予備校「医究ゼミ」の現役クラスに通っている。北加世子に憧れ、統和医大に志望校を変更しようとする。

武居
東京地検次席検事。丸ノ内線内の座席で菊乃から統和医大から押収したブツの中に女子受験生入試差別の証拠書類がなかったか聞かれる。しつこく食い下がる菊乃に対して「オウンリスクで」と呟く。

日高
東京地検特捜部長。武居の上司。

西森
日邦新聞社会部 。P担の一番機。二十代後半。

和藤
日邦新聞社会部。P担の三番機。不健康にやせた男。頭頂部はかなり薄くなっている。四十二歳。

山口
豊島区にある検診センターに勤務する眼科の女性医師。三十六歳。既婚で子供が二人。配偶者も医師て、大学病院に勤めている。内密にという条件で入試差別は事実と話す。

志村
江東区の病院に勤務する外科医。三十七歳。女子一律減点があることは噂では学生の頃から耳にしていた。現場が欲しいのは体力のある男子だと話す。

吉澤
中野区で内科の個人クリニックを経営する女性医師。五十二歳。女子が受験でさべつされているのさ、同期で大学病院に勤務している人達が行っているのを何度か聞いた。女子一律減点について憤慨しており、菊乃に入試の不正を暴いてほしいと言う。

堀江
日邦新聞社会部司法担当デスク。

東海林
日邦新聞社会部長。菊乃の静岡支局時代の上司。菊乃を社会部に抜擢してくれた恩人。社会部は全面的にバックアップし「統和医大差別入試疑惑特別取材班」を編成する。

榊原
日邦新聞編集局次長。

神林晴海
統和医科大理事。四十五歳。女性。小山内の推薦により事務局から抜擢された。最年少の理事。

三浦絵美香
統和医科大学事務局情報課職員。三十歳。五年前まで晴海と同じ事務局の同僚で、晴海が理事に抜擢されてからも変わらず慕っている。

本間
統和医科大学理事長。理事会で第一に言及したのは、女子受験生差別入試の是非ではなく「本学の名誉を守る」ことだった。

久米井
統和医科大学事務局長。

川宮
統和医科大理事。国際医療センター長。

蜂須賀
統和医科大学。医学部長。副理事長。理事の中でも本間と並ぶ実力者。小山内の後任として医学部長となった。

北加世子
統和医科大学教授で理事。循環器内科。五十六歳。代々医師の家系で、多方面にコネがあり、プライドは極めて高い。医学界で生き抜く処世術に長けている。多数の著書を出版。菊乃の娘・麻衣子が彼女の著書『医学界で自立する女性』を愛読している。

玉置
統和医科大学事務局広報課職員。四十手前。

小山内源壱
統和医科大学前医学部長。病理学界の重鎮。誰に対しても公平に厳しく、公平に優しかった。晴海の仕事ぶりを高く評価し、後に理事に推薦している。

坂元
統和医科大学設備課。

佐藤
統和医科大学庶務課。

麻衣子の父
菊乃の元夫。自称デザイナーで自称イラストレーターだった。典型的なDV男。暴力が生後間もない娘にまで及びそうになったとき、菊乃は別れる決意を固めた。

アキラ
和藤の大学時代の親友の息子。医学部志望で三浪目。

甲斐田玲奈
甲斐田の娘。年長。

須永真紀子
お茶の水にある医究ゼミ本部総合企画部職員。

山之井
医究ゼミの保護者面談担当。

野木
山之井の上司。

栗本
日邦新聞社会部省庁担当キャップ。

佐伯
統和医科大理事。厚生省の天下り。

薪田光恵
佐伯と旧知の仲である参議院議員。北明大学医学部出身。

戸嶋
麻衣子の高校の担任教師。定年を間近に控えたベテランで、専横的なふるまいが目立ち、評判はよくない。校長やPTA会長に取り入るのがうまいため、同僚の教師も批判できない。

神林健次郎
晴海の父。

神林咲子
晴海の母。

広岡
統和医科大の系列下にある福島国際医科大学の副理事長。

烏山
福島国際医科大学の理事長。

沢原有希恵
統和医科大学事務局学生管理室職員。ハラスメント相談窓口で学生の対応をしている。落合優亜からの相談を受けた。

落合優亜
統和医科大学歯学部三年の女子学生。熊崎准教授のゼミに所属している。二人で研究旅行に誘われ、断ったところ執拗なセクハラ、アカハラなどの嫌がらせを受け始めた。

熊崎
統和医科大学歯学部准教授。蜂須賀派と並ぶ学内の一大派閥の遠山派に属している。女子学生に対して陰湿なセクハラを繰り返す。

大船
学生管理室長。

竹脇亥三郎
小山内の旧友。教授。小山内が入院した当時の長崎国際医科歯科大学の医学部長。全身性アミロイドーシスに関する国内の第一人者。

芝田光義
今日自由。竹脇の後任。

松兼
統和医大の非常勤理事。文科省からの天下り。

馬場
日邦新聞の元幹部。松兼の従弟。

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2026年09月17日

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面白かった。NHKで放送していたが、大学側の主人公役が苦手だったので、スルーしたけど、忘れたころにどこかで配信されたら見てみようかなあ・・

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2026年09月13日

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医大の理事と大手新聞記者の女性
男の世界の中で必死に自分の地位を築き上げてきた2人
男たちの理不尽な2人への差別
お互いに守らなければならない小さな存在のために対決する
医療の世界の逼迫した状況
女性軽視の中で光明を見出そうとするふたり

差別は決してなくならないし、どんな人間も差別はある
それを認めるのと認めないとで、世界の見え方も違ってくるのではないだろうか

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2026年07月31日

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 プロットはよく練られた感じ。
 確かに、何を、どのように発言すべきか。
 また、無反省な人々の感性をどうすべきか。

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2026年07月12日

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東京医科大学の入試不正問題を題材にした作品。2人の女性の主人公の立場からそれぞれの正義を戦わせながら社会のあり方を考察するという構成で読み応えがあった。

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2026年06月12日

Posted by ブクログ

いや〜おもろでした。
正直読む前は気乗りしてなかった。実際の社会問題が題材だし難しそうで。
読み始めても最初の方は、女性なら誰もが覚えのある不快感がいっぱいでいや〜な気持ちで読んでた。

でも菊乃と晴海の対決が始まるとページを捲る手が止まらなかった。
立場は違うけど、2人とも私の味方だなと思えた。

過去、嫌と言えなかったこと、曖昧に笑ってすませたこと、意思表示せず無視したこと、たくさん後悔があるけど少しずつ変えていきたいと思った。

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2026年05月13日

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テレビドラマ原作とのことで手に取った。明らかにしてほしいと思いつつ神林のためには明らかにならないほうがいいのかともどかしく思いながら読み進めた。読後感の良い結末だった。ドラマも見たい。

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2026年04月30日

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NHKBSで1話を見て、面白そうだなと思い、
買った本。
5話まであるようだが、早く中味を知りたかった。
面白かったけど、少しくどかった。
テレビで見る方が面白いかも?

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2026年04月15日

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4月5日(日)からNHK-BSでドラマ化予定とのことで読んでみた。

2人の女性が主人公。
一人は医大入試女子差別疑惑に切り込む新聞記者・檜葉(ひば)菊乃。
もう一人はその事実を隠蔽する医大の理事・神林晴海。
それぞれを松本若菜、鈴木保奈美が演じる予定のようだ。

二人とも男性優位の社会で、パワハラ、セクハラなど無数の理不尽に直面してきて、今の場所までたどり着いてきた。そんな共通点のある二人が、片や真実を追求する攻めの立場、もう一人は組織を守らなければならない守りの立場、それぞれの信念がぶつかり合うりタイトルの『対決』というのは、この二人が対峙するところから。敵対するシーンはちょっと手に汗握る。

実際にニュースで取り上げられているこの問題は、弁護団まで立ち上げられいるから、フィクションでは無いはずだ。

この問題に対し、なかなかコメントし辛いところもある。実際の医師に『女子学生の一律減点』に理解できるか?と意見を聞いた際に、『理解できる』と回答した医師は65%もいたらしい。小説の中でもどんなに困難なことにも立ち向かう女医もいるが、人によっては地方の医療現場や患者生命にかかわるような専門医は避ける傾向にあるという一文もあった。(これが女医だけに多いのか、真偽のほどはわからない)

ドラマにもなったことを考えると、是正すべき問題であることは間違いないし、医療界、また男女差別のリアルを思い知るような重いテーマだった。

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2026年04月02日

Posted by ブクログ

医大入試における女子受験生の一律減点という問題で、大学側の名誉を守ろうとする女性理事と隠蔽を暴こうとする女性新聞記者が対峙する。

二人は、いずれも男性優位の職場で理不尽な思いを耐え続けてきた女性。

女性理事は、大学の事務局職員として実績を上げ、理事に抜擢されたが、男性理事らから疎まれ、一律減点問題の専任理事に任命され、新聞社の取材に対して矢面に立たされる。

女性新聞記者は、支局時代にスクープを出しながら妊娠、出産で、仕事を中断せざるを得なかったところへ、パートナーからDVを受け離婚。
めげずに頑張り、本社の社会部に抜擢されるも、職場で、女性差別や蔑視を受けていた。

医大入試における女子受験生の一律減点問題に関しては、医師を目指す優秀な女子の希望を踏みにじる意味から決して許されない行為だった。

だが、その背景には、医局の権威や権限の低下から地方病院への医師派遣がしにくくなった新研修医制度、激務となる医療現場で、女性が体力的に耐えられないという性差などの問題があった。

これは、非常に奥の深い構造的な課題であり、さすがに、著者もこれに深部まで突っ込みを入れるところまでは至っていない。

著者の狙いは、これを端緒に、未だに現在社会に巣くう男性優位、女性蔑視にメスを入れること。

二人の主人公だけでなく、他にもセクハラ、パワハラ、アカハラに苦しむ女性、女性記者の同僚の男性たちの無意識な行動や内面、正直な気持の暴露などが満載され、男女共同社会、女性の地位向上について、真剣な理解を促す作品だと感じた。

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2026年03月22日

Posted by ブクログ

月村了衛、『対決』。
ドラマ化されるということで、月村了衛作品、初読み。

統和医大での裏口入学事件を取材していた、日邦新聞社会部記者・檜葉菊乃は、統和医大の入試で、女子学生の点数が一律減点されているという疑惑を耳にする。
秘密裏に取材を進める菊乃は、キーマンとして、統和医大・常任理事・神林晴海に辿り着く。
そんな中、菊乃のひとり娘・麻衣子は、国公立大学医学部を目指し、勉強していた…

東京医科大学の事件がモチーフとなっている。

男性優位の職場で女性差別を受けながらも出世してきた2人の女性の対決。
同じように、差別と戦ってきた姿勢に尊重し合いながらも、互いの立場や信念の為に向き合う2人の『対決』。

すべてを平等にすることは簡単ではない。
差別をなくすことは、難しい…
ハラスメントにうるさく、軽々しく口に出せない昨今の社会…
どうすればいいのか…

新研修医制度の医療現場の問題を知ってしまうと、簡単に、女性差別がダメだと言い切れない部分も出てくる…
現場の医師たちの訴えもわからないではない…
男女平等と強く言われているが、いざとなると女だからと逃げる女性も少なくはない。

平等とは簡単にできるものではない。
差別をなくすことは難しい。

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2026年03月13日

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この作品は2018年に起きた東京医科大の入試不正問題を機に入試での女子差別がモデルになっているという。そういえば当時、ニュースで目にした記憶はたしかにありそれなりのインパクトのある出来事であったと思う。女性への差別に鋭く切り込んだ社会派小説であり、また「対決」する2人の一方は医大受験を控える娘を抱えるシングルマザーの社会部新聞記者、そしてもう一方は私立医大の事務局から異例の抜擢で理事にまで昇進した女性、それぞれ過去に多くの不条理やパワハラ、セクハラを数多く経験してきている。その2人が主人公でありそれぞれ守らなければいけない立場をかけて「対決」する訳だが、物語の進行には常に女性蔑視、差別に対する問題提起があり深く考えさせながら読まされた。2人の女性の過去には犠牲にしてきたものも多く、それでも正しく懸命に生きてきたという清々しいまでの人生が読み取れる。
物語の結末は決して歯切れのいいものではないが、扱っているテーマがテーマであり現実社会でも今なお問題視されることから終わりはないということであろう。これからこの2人の女性は女性蔑視や差別の根絶に向けて更なる闘いを続けていくのであろうと思う。読み終えて、翻って自分の女性に対する偏見や差別的な接し方、見方をしていなかったかと自戒の念を含めて考えさせられる小説でした。

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2026年03月11日

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象牙の塔の中のお話しは昔からあったけれど、今の世相を取り入れた内容でとても面白く読めました。ただ題名は「対決」ではないような気がするけど。

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2026年03月03日

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月村了衛『対決』光文社文庫。

NHK BSで春から全5話でドラマ化されるようだ。

医大の女子受験生の一律減点という前代未聞の不正の事実を女性新聞記者が暴こうと奮闘する社会派小説である。

医大の裏口入学や女子受験生の一律減点という話はニュースなどで耳にしたことがある。裏口入学はもとより、女子受験生の一律減点など受験生の側からしたらたまったものではない。

裏口入学に関しては地方の私立医科大学などでは金さえ積めば入学出来るという話は数十年前からあり、実際にその医大を出た医師の多くは能力が低く、不人気である。

また、近年は社会がハラスメントに対して厳しくなり、ジェンダーレスが叫ばれ、女性差別への抵抗が強くなっている。

しかし、全ての女性が男性と同じように働き、同じ地位や権限を望んでいるかと言えば、そうでもないように思う。自分の周りでは上を目指そうという女性は殆ど居ない。多くの女性は面倒なことは男性に任せ、家事や育児に時間を費やしたいと考えているようだ。多様性の時代、考え方や生き方は様々あって良いと思う。


中堅私立医大である統和医大で起きた政治家の子息の裏口入学について取材していた日邦新聞社会部の記者である檜葉菊乃はより重大な疑惑を耳にする。統和医大の入学試験で、女子受験生をできるだけ合格させないように入試の点数を一律減点されているというのだ。

シングルマザーで医大受験を目指す優秀な娘を育てる菊乃は他人事とは思えず、極秘取材を続け、医大理事である神林晴海を突破口とみなし、何とか証言を得ようと奮闘する。

一方で不正を嫌う晴海は疑惑の揉み消しのために常任理事に昇格させられると大学の存続のためにと、菊乃への警戒を強める。

社会に蔓延る女性差別と闘いながら、強く生きようとする菊乃と晴海の2人の対決の行方は……

本体価格840円
★★★★

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2026年02月17日

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ネタバレ

かつて現実に起きた「東京医科大学女学生一律減点」の事件をベースにした新聞記者と理事の対決を描いた物語。
わたしの記憶にも残ってるくらい衝撃的な社会事件が基盤にあるだけあって訴えてくるテーマがあって読み応えがある。

一方で会社での一幕や理事会等々、本編には大きく影響しなさそうなところでルッキズムや性差別、パワハラ、アカハラ…その他様々なハラスメントに触れすぎててちょっとお腹いっぱいな印象。

面白くはあるんだが、面白そうなプロットの割にキラーフレーズや心に刺さる言葉があまりなかったのは少し残念。

綺麗にまとまった本でした。

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2026年05月18日

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女性2人の葛藤や奮闘が楽しみで手に取った。
テーマも展開も良かったけれど、なぜか途中からちょっと冷めちゃった感が強い。同じ場所でずっと足踏みしているような感覚。
ちょっとしたテンポや事の起きるタイミング的なものかな?
もう少し飲み込まれたかった!

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2026年04月17日

Posted by ブクログ

「男と女。性差というものが存在する限り、人間社会から生差別はなくならない。」という言葉が印象に残った。善意の発言や他愛ない話の中に点抜きがたく、無意識に蓄積された差別の根っこが残る。この辺を本書では全てにつながる問題の〈根〉を感じたと綴り問題提起する。

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2026年03月15日

Posted by ブクログ

2026.4.5 NHKBS ドラマ、松本若菜 豊嶋花
中堅私立医大の入学試験で、女子受験生の点数が一律減点されている――疑惑を耳にした新聞記者の檜葉菊乃は極秘取材を試みるうち、医大理事である神林晴海を突破口とみなし接触する。一方、疑惑の揉み消しを命じられた晴海は菊乃を強く警戒する。社会にはびこる女性差別と闘い、強く生きるふたりが立場ゆえに対立する。正義とは。信じるものとは。二人の「対決」の果てに見える地平を描く、傑作長編。

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2026年02月15日

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